午後04:10 東区中央部 中央パトロール東分署庁舎 6階刑事課オフィス
ラジェットは港湾パトロール安全保障局の人間を待っていた
彼らもボイズレーク・ナットスから情報を聞き出したいから待たせるように手配をかけてきたのだから
「それにしても港湾パトロール安全保障局が興味を示す情報とはどれくらい根深いんだろうな」
ラジェットはそんなことを考えていた
今の聖王教会のトップはカリム・グラシアであるが、彼女はあくまでもお飾り的な存在に近い
実権はほとんど握っていないのだから。それに聖王教会に見切りをつけて離れていった関係者も多い
そんな人物の一部で構成されているのが聖王教会過激派である
彼らはかつての権力を取り戻そうと必死になっている
「何を考えているのか知りたいところだな」
「港湾パトロール安全保障局が司法取引に参加することは珍しいんか?」
はやてがラジェットに質問してきた。ラジェットはそんなことはないと答えた
「それほど珍しい事じゃないが、聖王教会関係になると彼らも情報収集に必死なのだろうな」
どの情報機関も聖王教会の内情に詳しい人物の情報は極めて有益であると考えているのだろう
司法取引をしてでも詳細な情報を得ることを求めてくることに積極的になっているように見られる
「それにしても港湾パトロール安全保障局でも聖王教会過激派の情報不足とは」
まだ組織として立ち上がったばかりの過激派となると内情はしっかりとしていないのだろう
簡単に潜入することは難しい。仲間意識が強いからだ。外部の知らない人間を入れるような真似をするとは思えない
となると構成員の多くは聖王教会関係者でほとんどが顔見知りということになる
新参者が入るのはかなり厳しいことは明白だ。それだけに関係者から情報を得る機会を逃せるはずがない
「とにかく到着を待たないと話は進まないな」
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西区中央部 ウエストクラナガン廃棄物処理施設
フィリーとなのはは作業を服を脱ぐと消臭剤を自分の服にかけていた
「少し臭いますね」
いくら消臭剤をかけても完全に臭いを消すことは無理な話だ
「これも仕事よ。仕方がないことだから」
そう。悪臭の中でも捜査をすることが求められる。
できればこんな臭いをするところで捜査はしたくないが、現場がそこならやらないわけにはいかない
「消臭剤でごまかすか西分署でシャワーを浴びるまで我慢しなさい」
西分署でシャワーを浴びて服も洗濯に出さないとこの臭いはとれないだろうことは容易に想像できる
「そこまで耐えないといけないんですか?」
「香りや臭いも大事な証拠だから、捜査官は嗅覚が強くないと」
確かに香や臭いも大きな証拠になることは間違いない
だからこそどんな臭いでも敏感に反応することが求められる
「わかりました」
とにかく西分署ラボで証拠を分析しましょうというと西分署に向かうことにした
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中央区南部ノースレパブリック地区 レパブリック小中学校 学校長室
シエナは学校長と話し合いをしていた
「学校長。残念な結果になりましたね」
本当に残念な結果である。ここまでひどいとはだれも予測していない
「本当にその通りです。それで私に話したいこととは何でしょうか?」
「この学校の生徒全員の尿検査をすることになることを事前にお話ししておこうと思いまして」
「全員の尿検査ですか」
さすがの学校長も驚いていた。まさかそこまでの事態になるとは思っていなかったのだろう
誰だってそうである。25名の拘束で終わると思うはずだが手抜きはしない
全生徒の尿検査をして他にも麻薬を使用している人物がいないかを確認する
そのことをあえて事前に話をするのは協力してもらうためである
今は裁判所に令状を請求している
「拒否はできないと?」
「すでに裁判所に強制執行の令状を請求していますがあなたが透明性を図るために行ったという体裁作りに利用していただこうと思い事前に話を持ってきました」
そうこれはシエナなりのやさしさである
学校が麻薬撲滅のために全面的に協力したとマスコミに発表すればまだある程度の名誉を守ることはできる
「わかりました。全面的に協力します」
「協力を深く感謝します」
令状はまだだが寮生全員の尿検査を行ってサンプルをラボで分析することにした
学校長としてもマスコミに対して中央パトロールに協力的であったとアピールすることができる
犯罪撲滅に熱心であると言えるためでもある
「ではさっそく令状が届き次第、尿サンプルの回収作業に入ります」
『ピーピーピー』
クラナガン市検事局からの連絡だった
「シエナよ」
『裁判所から尿サンプルの強制採取の令状が出ました。開始してかまいません』
これで強制的にでも尿サンプルを回収することができる
文句など言えるような状況ではない
「ありがとう。こっちも学校長の協力を取り付けたわ。すぐに作業に入るから」
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部レイアウトルーム
エルガとバレッツ・ハウンド連邦捜査官はボイーク・ディビス潜入捜査官が殺された動機についていろいろと考えていた
一番あり得る話が組織に潜入捜査官であることがばれたという可能性である
潜入捜査官の任務は極めて厳しい。時には危険なことをしなければならないのだから
「どう思う?」
エルガの質問にバレッツは今ある情報では断定はできないと回答した
確かにその通りである。今ある情報だけでは何も決めることはできない
わかっていることは殺しに使われた銃は別の3件の事件に使われているということだ
おまけに10年前に押収されてとっくに処分されたはずの銃
それがまだ裏社会にさまよっていた
「10年前の銃が処分もされずに今も裏社会に流れている。時空管理局の不祥事ネタとしては受けるだろうな」
「マスコミ発表は中央本部に任せていいか?」
エルガの問いにそれについては任せるとバレッツは回答した
マスコミは時空管理局の不祥事として叩くだろう
「マスコミは好き勝手に騒いでくれている間にこちらに捜査を進めるとしよう」
エルガの提案にバレッツは後でトラブルにならないかと懸念していた
騒いでいる間に事件を解決することができればマスコミの目は時空管理局の不祥事の方向だけに行く
潜入捜査の件は露見しない可能性が高い。確率で言えばの話だが
「そうだな。その手で行こう」
ならさっそく事務部に頑張ってもらうとしようというとエルガは携帯電話を取り出して事務部に連絡
マスコミに対して時空管理局が過去に押収した銃火器をブラックマーケットに横流しをした事実を確認したと発表するように要請した
「エルガ、これでうまくことが進めばいいがな」
「世の中チャレンジ精神が大事だというだろ。賭けに出るのも良い」
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北区東部イーストシャーロット地区5番街1丁目と2丁目の間の通り
アルシオーネは自転車に乗ってセキュリティレベルの高いマンションに入っていった男が出てくるのを正面玄関で待っていた
出てきたところで即時確保する。そして職務質問をして何か不審物を持っていないかを確認するのだ
さっきの男が連続空き巣犯ならかなり幸運に恵まれている。アルシオーネにとってはだが
犯人にとっては最悪の運勢になるが
「早く出てきてくれると助かるんだけど」
すると男が大事そうにリュックサックを抱えて出てきた
「中央パトロールよ。職務質問をしても良いかしら?」
「断る!」
すると男は慌てて駆け足で逃げようとしたが、アルシオーネがすぐに覆いかぶさる形で止めた
「公務執行妨害の容疑で逮捕されたいの!?無駄な容疑が付きたくなかったら直にリュックを見せなさい」
アルシオーネは無線で応援を要請した。
リュックを調べるわよと言うとリュックを確認した。
中にはかなりの現金を持っていた。さらに指輪などの貴金属も持っていた
どう見ても正当な所有者でないことがわかるものも含まれていた
指輪にはイニシャルが刻まれているからだ。
「窃盗の現行犯で逮捕するわよ」
「くそ!せっかくうまく行っていたのに!」
「余罪もたっぷりあるようだから厳しい取り調べを覚悟することね」
そこにパトカーが到着した。アルシオーネは男に手錠をするとパトカーの後部座席に乗せた
問題は今回はどこの部屋に空き巣に入ったかだ。
そこから調べなければならないし、この男の家の家宅捜索も行わなければならない
やることは盛りだくさんあることになる
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