午後04:20 中央パトロール本部庁舎 9階統合管理官執務室
中央パトロールのトップであるエリ・ミズノはある報告書を見て考え事をしていた
そこにはヴィヴィオ・高町に関係する報告書が詳細に記録されていた
「面倒な子供を生み出してくれたわね。スカリエッティも」
ヴィヴィオに関係する報告書はすべて第1級機密事項として処理されている
現在はあの子は中央本部のそばにあるなのはとフェイトが一緒に暮らす官舎の部屋で、
査察部要人警護課から保育士資格を持っている女性がなのはたちが仕事をしている間は面倒を見ている
問題は彼女の扱い方だ。スカリエッティの裁判が行われた際に必ず登場する
それはそれで好ましいとは言えない。できることなら伏せておきたいことだがマスコミにその方針は通用しないし、
ヴィヴィオちゃんそのものがスカリエッティの犯罪の証拠そのものなのだ
「あの子に関しては裁判で存在そのものが証拠になるけど、それを裁判官がどうとるかは予測できないわね」
今のところ連邦検事局は彼女を生み出したことは法に触れるとしてスカリエッティに法的責任を取らせるつもりだが、
スカリエッティも時空管理局の暗部が生み出した存在である。彼もまた被害者の立場にあると言えるのだから
裁判の公判を維持する過程では、かなり難しいかじ取りを迫られることは間違いない
まだスカリエッティの裁判は始まっていない。公判前整理手続きの真っ最中。
正式な公判が始まるにはかなり時間がかかることは間違いない
「公判が始まったら時空管理局にとってはつらい状況になるでしょうね」
『クラナガン市下院議会は聖王教会に対して免税措置を取りやめる法案を可決しました』
今まで聖王教会は国際組織という位置づけであったことから租税回避に減速が機能していた
しかし今の聖王教会にその資格はないと判断したのだ
『市上院議会でも同様に可決される見通しから今年度から課税対象になることになります』
『このことについて聖王教会は大きな反発をしていますが。次元世界連合がクリーンな組織に生まれ変わったと出るまでは廃案にするつもりはないと多くの市議会議員はコメントを出しています』
「また無茶な法案を通すわね」
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東区中央部 中央パトロール東分署庁舎 6階刑事課オフィス
ラジェットと港湾パトロール安全保障局のフレリーズ・ハロックは事情聴取を終えて大きなため息をついた
この案件はかなり複雑になることは間違いない。司法取引に聖王教会過激派の情報。
連邦検事局はかなり苦労することになるが、今はそんなことを言っていられるような状況ではない
「本当に情報が正しければ過激が500人もいるなんて意外と組織力はあるな」
ラジェットの言葉にフレリーズはそれはそうだがこれ以上もっと情報を引き出すことが求められる
「港湾パトロール安全保障局としては司法取引をする価値があると判断するか?」
「同意する」
あとはこちらに任せてくれとラジェットは言うと携帯電話を取り出して検事局に連絡した
身柄を移管する手続きと司法取引の書類を用意してもらうための準備である
電話の相手である連邦検事は取引が承諾している様子だった
「司法取引で執行猶予処分になるようにしてくれ。あいつは相当の情報を持っている」
『取引の内容は確認した。こちらとしても重要視している。FBIも注目している』
「FBIも情報を欲しがっているのか?」
『ああ。そのようだ。聖王教会過激派の情報は国内のあらゆる法執行機関が欲しがっている』
国内のあらゆる法執行機関とはFBIなどの連邦法執行機関や各州警察なども含まれている
もう1つの貴重な情報というものが存在する。それは魔法至上主義という派閥に属する人間である
この派閥は退役時空管理局員で構成されている。HRと違って時空管理局の復権を目指している
こちらも危険な組織で内部情報はあまり法執行機関は持っていない
今は多くの潜入捜査官が潜入して情報を集めている。最近は他の犯罪組織とトラブルを起こしている
魔法至上主義の派閥も麻薬の密売に手を出しているからだ
市内に存在するギャングと密売場所でトラブルを起こすことが頻繁に起きている
「今度は魔法至上主義の連中の情報があれば最高なんだが、連中はトラブルばかり起こすからな」
『それは言えているな。こっちでもそれ関係で何か情報をつかんだらすぐに連絡する』
期待しているというと通話を終えた
あとは奴を拘置所に送検するだけである
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西区中央部 中央パトロール西分署ラボ棟 1階レイアウトルーム
フィリーとなのははそこで事件情報の整理をしていた
「犯人はおそらく時空管理局の秘密が漏洩するのを避けるために殺したんでしょうね」
「家まで燃やすぐらいですから」
「なのはの言う通りね。犯人はすべての証拠を消そうとしたけど間抜けではあるわね」
フィリーは不気味な笑みを浮かべていた。何か良い情報を持っているかのような
「犯人の顔写真を手に入れたわ。家に火を付けた人間のね。現場近くに街灯観測システムが設置されていたの」
そこの監視カメラ機能から家に火を付けた人物の顔写真を入手して顔認証にかけた結果、
一致する人物を発見したとのことだ
名前はエレオノール・シュバルス。男性で38歳。退役時空管理局員。彼自身も追跡されている真っ最中とのことだ
容疑は業者から多額の金を受け取っていたことと、押収品の横流しである
わかっているだけで総額10億ミッド近い額を業者から金をもらっていた
さらに押収品の横流しでも麻薬などを裏社会に再流通させていた。処分しないで
表向きは処分していたが実際の記録を調べたところ違うことが分かった
まったくもって酷い話もあるというものだ
「酷いですね」
「なのはもそう思うわよね。せっかく取り締まったのに意味をなくしてしまったのだから」
とにかく家に火を付けた奴はわかった。そいつを逮捕すれば事件の全容がわかるかもしれない
「エレオノール・シュバルスを早急に見つけて拘束しないと。逮捕状はすぐに請求できるわ。放火容疑でね」
フィリーはそう言うと西分署に併設されている検事局西分署検事部に連絡した
「大至急エレオノール・シュバルスの逮捕状を請求して。それと彼の家の家宅捜索令状もよろしく」
住所はわかっている。西区南区ハーニー地区1番街2丁目6番地603号室
賃貸ではなく分譲マンションである。金融情報を確認したところ、
マンションの部屋を担保に500万ミッドを借り入れしていた
「現場鑑識チームを手配してもらいましょう」
私達も行くわよと言うとなのはと一緒に現場に向かった
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中央区南部ノースレパブリック地区 レパブリック小中学校 保健室
尿サンプルを回収前に拘束した15名についてはセントラル分署に連行していった
あとはシエナが尿サンプルをセントラル分署のラボに持ち込むだけである
どれだけの人数が麻薬を使用していたのか。正確な人数を割り出すことが求められる
「でもまぁこれ以上は出ないと思うけど。出ないほうが嬉しいけど」
子供に麻薬が蔓延しているという事実が広まる事の方が最悪である
麻薬が蔓延しているという事実はあまりにも悲惨なことになっている
「小学生や中学生にまで麻薬が蔓延しているなんて、麻薬の取り締まり強化をしないと」
幼いころから麻薬を使用していると依存症になる傾向が高い
そのためにも麻薬密売の摘発が求められる
時間はかかってくるが何が何でも1件ずつ麻薬密売行為を立件していくしかないのだ
「では学校長。尿サンプルはすべて回収しましたのでセントラル分署のラボで分析をします」
シエナがそう言うとよろしくお願いしますと学校長は答えた
サンプルをすべて専用のサンプル輸送キッドに収納して麻薬捜査課の刑事たちが移送していった
シエナもラボで分析を手伝うことになっている
「これから時間がかかる作業になるわね。それに麻薬使用を自白した子供の事情聴取もしないと」
クラナガン市では未成年者の犯罪についてはしっかりと法律が存在している
正式には『クラナガン未成年犯罪法』で明確に定められている
7歳未満の男女が起こした犯罪に関して、法律上の責任を問われることは無い。
14歳未満の男女が起こした犯罪に関して、裁判は家庭裁判所で行うことを定めている。
14歳以上17歳以下の男女:[ 重犯罪行為者は刑事訴追 ]
14歳以上17歳以下の男女:[ 軽犯罪行為者は初犯は罰金 / 初犯ではない場合は刑事訴追 ]
刑が確定した場合、最長で少年刑務所に21歳まで収監される。
刑務所内ではさまざまな社会復帰のための訓練等が行われる。
麻薬の密売行為はどの程度の密売行為に関与していたかによって重犯罪行為者と軽犯罪者行為者に分かれる
今回の場合は麻薬の元締めに関する証言をする司法取引が成立している
それに年齢が14歳未満のケースもある。この場合は家庭裁判所で更生に向けての方針が決められる
14歳以上の麻薬使用者は罰金刑か仮に刑期がついたとしても執行猶予付き判決になるだろう
麻薬使用は軽犯罪になるので罰金刑になる可能性が極めて高い
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部レイアウトルーム
ヴィータがある報告書を持ってレイアウトルームに来ていた
「ヴィータ。収穫はあったか?」
「過去3件に使われた事件について共通点を調べてみた。そうしたらこんな事実があった」
そこにはある保険会社から多額の損害保険金を受け取る記録が記載されていた
その保険会社とはワンワールド保険。ワンワールドグループ企業の1つですでに破綻している
ちなみに3つの事件で降りた保険金の総額をすべて足すと5億ミッドにもなる
保険金がらみで事件が起きていると考えるのが筋である
「保険金関係とはなかなか想定外の出来事だな。具体的にはどんな保険に加入している?」
エルガの質問にヴィータは素早く回答した
「自宅金庫に保管してそれに保険をかけていた金塊などの貴金属関係が中心だ」
保険が掛けやすいものを選んだと考えたのかもしれない
「なるほどな。損害保険か。3件の保険の契約者は全員時空管理局員か?」
「そうだ」
3件とも時空管理局員となると偶然とは言えない。
2件目までなら偶然かもしれないが3件すべてとなると偶然と説明するのは無理がある
「これは保険金詐欺の可能性大だな。当時の捜査を担当したのは時空管理局地上本部の捜査部門か」
現場写真の記録から状況把握をしてみるかとエルガは言う。
携帯情報端末を使って事件記録にアクセスした。機密事項ではないので簡単にアクセスすることができた
3件の事件が発生した場所にはまだ共通点があった。事件が起きたのは中央区北部ガーフィールド地区である
そこは高級マンション住宅地として有名である。セレブが住んでいる。
当時は時空管理局幹部が住んでいることでも有名な地区でもあった
今はほとんどが住民が入れ替わっている。時空管理局の給与が大幅に下がったりしたからだ
「金塊のシリアル番号で追跡できないか頑張ってみるか」
金塊にはすべてシリアル番号が彫られているので取引をしている記録があればすぐに分かる
もちろん金塊を溶かして別の形に変えて売却した場合は話は別になってしまうが
それでも照合する価値はある。結果はあることが分かった。
1件の空き巣事件で盗まれたとされる金塊はすでに複数の人数を介する形で売却されていた
現在の所有者は一般人である。善意の第三者に該当するので取り戻すことはできない
善意の第三者とは盗品であることを知らないで売買したことを示している
この場合は盗まれたものだからと言って本来の持ち主が取り戻すことは難しい
「金塊は取り戻すことはできないが、盗まれた人物は高額な保険金を受け取っているな」
当時の金塊のレートと保険金の額を比較したところ、
盗まれたとして保険請求した場合の方が高額な保険金を受け取ることができていた
エルガは保険金詐欺を狙ったのかもなと話した
盗まれたことにして盗難保険を請求。おまけに金塊はブラックマーケットで売却
おいしいお金を2重取りということである
「ここまでくると呆れるな」
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北区東部シャーロット地区5番街5丁目10番地 地区パトロール事務所 取調室
アルシオーネは鑑識を終えると留置されているメブラード・ギャレットの事情聴取をしていた
「出所してすぐに空き巣を起こすとは呆れるわね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「黙秘権を行使しても良いけど、今度ばかりは長い刑になるわよ」
住居不法侵入に窃盗罪。それも複数の案件に関与してと思われる
この場合、三振法で仮釈放なしの終身刑か死刑判決になることもある
協力的に自供したほうが身のためだ。どうやって高級品ばかりを盗むことができたのか
そこが最も重要である。アルシオーネは保険会社の人間が背後にいるのではないかと考えていた
保険会社の人間なら盗難保険を契約する際に宝飾品や貴金属をリストにして登録している
それらは企業でも最高機密になっているためアクセスできる人間は限定される
だからこそ情報が漏れるとなるとそのあたりを疑うのが筋として通りやすい
「保険会社に友人でもいるのかしら?」
アルシオーネは揺さぶりをかけてみることにした
あえて手の内を明かして相手の反応を見る。するとビクッと体が動いた
どうやら当たりの様子である
「誰から情報を得ているの?証言したら三振法を免除するように検事に掛け合っても良いわよ」
このまま三振法で仮釈放なしの終身刑か死刑の道を選ぶか
それとも取引をするか。
「ただしこの取引は私がコーヒーを取りに行ってくるまでだけが有効よ」
そして席を立とうとしたとき、わかったと証言した
「誰から情報をもらっているの?」
「へトラス・ボーニング。以前はワンワールド保険の幹部をしていた。逃走する資金が欲しいからリストを買った」
何故逃走する必要があるのか確認すると、違法な保険契約を数多くしていたためであることからだとのことだ
携帯情報端末で名前を入力して確認するとFBIが指名手配をかけていた
詐欺罪の罪にも問われていた。それも100件以上の詐欺行為だ
州を超えた事件であることからFBIが捜査を担当していた
「いつそのリストを購入したの?」
購入した日がわかれば逃走先がわかるかもしれない
わかればFBIの友人に恩を売れるかもしれないと考えたので追及することにした
「1週間前だ。市外に逃げたいからと言われてな」
市内にいたらすぐにつかまると思っていたのだろう。利口な考えだ
「いくら払ったの?」
「500万ミッドだ。せっかく払った金の分を回収したのに」
リスト購入分の500万ミッドを回収して安心したところにつかまって本人はかなりショックを受けていた
だが本番はここからだ。へトラス・ボーニングがどこに逃げたか知らないかと問うと意外な回答をしてきた
高速バスのチケットを自らの名前で購入したとのことだ
逃走先はベルカ州とのことだ。ベルカ州なら潜伏生活するにはうってつけである
「いいわ。検事局には取引成立と話をしておくわ。ただし次はもうないわよ。真っ当な人生を送りなさい」
アルシオーネはそう言うと取調室を出た。外には北分署の刑事課の男性刑事が待機していた
「司法取引をしたから関連する情報はあとで報告書をそっちに送るわ」
「了解した。あとは任せてくれ」
アルシオーネは地区パトロール事務所で情報端末を使って報告書を作成する
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