午後04:45 北区西部ノースウエストクラナガン貨物ターミナル
「コンウェイ・モリルトン捜査官。わざわざ来ていただいて感謝します」
男性パトロール捜査官の言葉にコンウェイは仕事だからなと回答した
彼がここに来た理由は簡単で密輸品があることが分かったからだ
ベルカ州の貨物ターミナル駅から運ばれてきたコンテナから大量の銃火器が満載されていたからだ
銃火器だけでなく麻薬と思われる袋もあった
コンウェイはすぐに捜査キッドから判別用の試薬を取り出してサンプルを取って検査した
結果はメタンフェタミンであった
「かなりの量があるな。メタンフェタミンだけでも何百kgもありそうだな」
おまけに銃火器である。いったいどこに運ばれるはずになっていたのか積み荷伝票を携帯情報端末で確認した
結果、市内にある運送会社が保有する倉庫にこのコンテナが運ばれる予定となっていた
会社の内情についても調べたところ、経営状態はかなり悪い
危険な商売に手を出して負債を何とかしようとしているのかもしれない
金融機関から20億ミッドも借り入れしていたが返済期日がまもなく迎えることになる
そのための資金作りかもしれない。もしくは犯罪組織のフロント企業になったのかもしれない
表向きの商売をするためにマフィアがフロント企業を立ち上げることは珍しいことではない
ちなみにそれらの企業は連邦法の犯罪組織対策法で指定されている
今回運び込まれる先の企業はまだフロント企業として登録されていない
正規のルートで裁判所に情報開示令状と家宅捜索令状を請求しなければならない
「これだけのものを貨物列車で持ち込むとはなかなか肝が据わっているな」
コンウェイの言う通りである。今は検査が厳しくなっている
簡単に密輸などができるような状況ではない
特に貨物船や貨物列車を利用した運送方法ではチェックが厳しい
「今日は仕事が多いな。俺は休暇の立場の人間なんだが」
コンウェイは昨日の夜から夜勤に入っていた
しかし事件の件数が多すぎて呼び戻されたのだ
機動六課組のこともあることから今は動かせる人員の確保を名目に活動している
さすがにそこを言われるとつらいところである
「休日返上で仕事は嫌なものだ。なんで俺たちがこんな負担を背負わされるんだろうな」
「苦労していますね。機動六課組の受け入れで」
男性パトロール捜査官の言葉にまったくだとコンウェイは返事をした
誰だって連続24時間勤務を終えたのにさらに超過勤務をするなんて嫌な話だ
「これで勤務時間超過手当てがつかなかったらやってられない」
超過手当てをもらっても割に合わないのがこの仕事である
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東区東部ノースハリーファックス地区9番街2丁目と6丁目の間の通り
カレンとフェイトはまだ張り込んでいた。
今も4人が現れないかじっと耐えていた時、無線連絡が入ってきた
『東分署からSA21。SA21が捜索していた4人の身柄が高速バスターミナルで逮捕されました』
「逮捕場所はどこなの?」
『逮捕場所はイーストセントラルバスターミナルです。これから東分署に移送します』
バスセンターに現れるとは間抜けな連中もいたものだ
捜査指令が出されているのにわざわざ逮捕されに行ったようなものである
指名手配をかけているので間抜けな連中である
「了解。こちらも東分署に向かうわ」
カレンはエンジンを始動させると東分署に向かうことにした
「見つかったみたいですね」
「フェイト。そうだけど、問題はこれからよ。連中が簡単に自供するとは思えないし」
そう犯人が簡単に自供することはない
特に犯罪組織の構成員となるとなおさらである。
自供させるために必要なのは証拠だ。証拠を突きつけて吐かせるしかないのだ
裁判でも物証は大きく影響する。証拠で固めていくしかないのだから
『クラナガン市政府は先ほど新たな備蓄制度を策定すると発表しました』
『原油備蓄量を現在の2億バレルから3億バレルまで増量するとのことです』
クラナガン市政府の関連企業であるクラナガンシティエネルギーは現在原油を2億バレル備蓄している
それをさらに1億バレル積み上げて3億バレルにすることにした
万が一の供給不足に陥った際に対応するためであると市政府は発表している
今のクラナガン原油先物価格は以前に比べて高値で取引されている。
あまりに価格が高騰した場合には一時的に備蓄原油を放出して価格の安定化を図る必要がある
そのための準備として備蓄原油の量を増やそうというのだろう
「市政府も大変ね。独自のエネルギー資源備蓄制度を導入するのに」
『中央本部から各員へ。サウスクラナガン魔力精製炉発電所の完全復旧が完了。AMF装置の除去に成功した』
『追加報告、容疑者はすでに拘束済み。犯行動機は市内へのライフライン混乱を狙ったものと証言している』
サウスクラナガン魔力精製炉発電所は最大発電出力6000万KWにもなる
市内にとっては重要な電源である。市の近隣州にとっても重要な電源であるので早期復旧は良いことだ
「早く解決して良かったわね」
「発電所の安全保障にも関係しているんですか?」
「もしブラックアウトになったら大変だから市内の大規模発電所の警備は中央パトロールと港湾パトロールの共同警備になっているのよ」
特に魔力精製炉発電所の警備は厳重な体制がとられている
魔力精製炉は扱い方次第では魔力爆発を引き起こす可能性があるためだ
そのため出入りできる人間は入館ゲートで手荷物検査などのセキュリティチェックを受けることになっている
退室する時も同じである。不審なものを持ち出していないか手荷物検査などのチェックがある
それだけ魔力精製炉発電所の管理運営は厳しいものになっている
「発電所が停止して停電だけはなってほしくないわね」
特にクラナガン市という首都という面ではなおさらである
さらにミッドチルダ国内経済の中心地でもあることから停電などのライフラインへの攻撃は大きな影響が出る
それらの攻撃を防ぐためにクラナガン捜査局が存在しているのだ
「とにかく今は東分署に戻りましょう」
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西区中央部 中央パトロール西分署ラボ棟 3階銃器刃物ラボ
ウィリアム・トレーシア分析官は大量に持ち込まれた銃の銃弾サンプルを得ると線条痕の照合作業に追われていた
「かなり忙しそうね。手伝うわ」
フィリーはウィリアムにそう伝えると補佐をしてくれると助かると返答した
今はとにかく急いで銃弾の線条痕を照合して犯歴が歩かないかを確認しなければならない
こればかりはかなりの労力が必要になる事ではあるが仕方がない
「多すぎるのも考え物ね」
フィリーは線条痕の過去のデータベースの照合作業を行っていた
1つ1つミスがないように慎重に作業を続けていった
しかし今のところは犯歴のある銃弾は確認されていない
「本当に多すぎるわ。データベースの照合も並行作業で行わないといけないとなると」
照合作業がついていけないと愚痴りたくなったが、そこまでは我慢した
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部3係オフィススペース
ステラとマイアはホリーズ・エミックの関連情報を探っていた
問題はどうやって低濃縮魔石を入手したかだ。魔石については厳しく監視されている。
特に魔石に含まれている魔力粒子を濃縮するために必要な設備の運営は連邦政府が厳重に監視
国際機関も厳しく監視している。簡単に手に入るものではない
魔石から魔石粒子を濃縮するのは時間とコストがかかる
特に魔力粒子の濃縮には多くの電気代がかかることから電力消費量が急激に増えた施設は厳しく監視されている
「魔石燃料を持ってどうするつもりなのかしら」
「低濃縮じゃ爆弾には使えないですし」
魔力粒子が90%以上含まれた魔石燃料でなければ魔力爆弾を作る事はできない
それ故に高濃縮魔石燃料の監視体制は極めて厳しい。製造工場になりうる施設も政府が監視している
「またどこかで濃縮するつもりかもしれないわね」
ステラの言う通りだ。爆弾にするにはまだまだ作業が必要になる
そうなる前に見つけ出して魔石燃料を回収しなければならない
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