午後05:05 東区中央部 中央パトロール東分署庁舎 6階組織犯罪課オフィス
カレンは長男が持っていた携帯情報端末のデータを調べていた
本来であればラボでやるべきなのだから、今は移動する時間がもったいない
できるだけ素早い情報確認をすることが求められる時だ
「これね」
カレンが見つけたデータには両親がどこから麻薬を入手してだれに密売していたか
その売り上げをHRに収めていたとする記録が大量に含まれていた
これだけあれば時空管理局犯罪捜査局やFBIは喜ぶだろう
司法取引をするには十分な材料である
「FBIに連絡して連邦捜査官の派遣を求めるとしましょう。あとは時空管理局犯罪捜査局にも連絡」
情報共有を目的に連携して捜査をする方針で話を進めることにした
もうここまで来たら奥深くまで探求していくしかない
「これは大きな事件になることは間違いないわね。問題はどこまでの捜査権で協議をするか」
FBIも時空管理局犯罪捜査局もどちらも捜査権を主張して来ることは間違いない
カレンはその仲裁をしなければならないのだ。苦労するのは間違いない
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西区中央部 ノースミーミル地区ウエストクラナガン宮殿 執務室
いよいよパーティーは終了していた。
このパーティーのメインであるセリーナ・ヘイリガは疲れた表情をしていた
「本当に疲れたわね」
「セリーナ様。紅茶をお持ちしました」
宮殿内を掃除や管理を担当しているメイドの1人が紅茶を持って執務室に入ってきた
彼女は基本的にはセリーナの専属メイドである。
「ありがとう。今日のパーティーは疲れたわね」
メイドの女性はなぜ疲れたのかおおよその見当がついていた
「機動六課組ですか?」
「あなたも察しが良いわね。彼らの扱い方は難しいわ。クラナガン捜査局は大きなお荷物を背負っていることは間違いない」
彼女はラジェットとは顔見知りであることからよく知っている。
ゲストの顔を覚えるのもメイドとして当然の仕事である
「今回ははやて・八神さんが来られていましたが。ラジェット・ハングリー捜査官と一緒に」
「話は聞いていたわ。はやて・八神さんの教導官を担当しているのがラジェットなのよ。彼も苦労人ね」
セリーナとラジェットはよく顔を知っている。
セリーナの護衛をラジェットが担当したことが過去に何度かあったからだ
彼女はラジェットを指名することがよくある。話が合うからということで
クラナガン捜査局にとっても要人警護対象者として常に警護がつけられている
ミーミルグループ企業の事実上のナンバー1だ。狙われる可能性は高い
それだけに常に警護がついている。政治的な意味でも大きな影響力があるためである
「なるほど。今回は顔見せですか」
「捜査長官の考えることはわからないけどおそらくそのつもりでしょうね。ところで紅茶の他に何かあったのかしら?」
「この報告書が届いていました。早急に目を通していただきたいとのことで」
メイドは封筒を手渡した。セリーナは受け取ると封筒の中身である報告書を確認した
題名は『軍需物資の需要急増に伴う利益向上に関する報告書』と記載されている
今のミーミルグループは数多くの軍需物資の販売で莫大な利益を出している
拳銃から駆逐艦や空母まで。まさに軍事物資にならあらゆるものを扱っているのがミーミルグループである
それだけに莫大な利益を上げている。
「あまりうれしくない話題ね。できれば軍需物資が売れないほうが良いんだけど」
確かに軍需物資が売れるということは犯罪行為や海賊たちなどとの戦闘があるということである
そんなものがない社会を目指すためには軍需物資は必要になる。皮肉な話である
「少し1人にしてもらえるかしら」
「かしこまりました。30分後にまた参ります」
メイドはそう言うと執務室を引き上げていった
報告書の中身は次元世界連合全加盟国が買いまくっている軍需物資のリストがあった
売り上げだけでも総額にして数千京ミッドにもなる。これだけ稼げば利益は大きい
今は退役時空管理局員やHRが引き起こす事件に対応するために警察機構などの法執行機関が新たに新設された
それらの新設された法執行機関は国際機関の承認を得て初めて銃などの運用が認められる
さらに時空管理局とべったりとくっついていた多くの犯罪組織や反時空管理局勢力の摘発
彼らに対抗するには警察などでは無理だ
軍隊が必要になる。それには銃だけでなくミサイルなどの武装も必要になる。
それらの兵器の基本技術はミーミルグループが特許権を取得して独占している
もちろん一部の特許については技術仕様を無償で開示する代わりに、
一定数の艦船や航空機などの製造の独占契約を結ぶことになっている
これからは技術力の研究にあらゆる企業や組織が熱心になっていくことになるだろう
それはミーミルグループ企業も同じである。研究をさらに向上させて取引を手にできるように競争していくことになる
「売り上げが上がるのは良いけど、あまり気分の良いものじゃないわね」
武器を売るということは人殺しのためのものを売るということだからだ
死の商人と言われるようなものなのであまり気持ち良いものではない
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西区中央部 中央パトロール西分署庁舎 6階刑事課取調室
バスターミナルで身柄確保されたエレオノール・シュバルスの取り調べをフィリーが行っていた
「それであなたは何をしたのか素直にしゃべる気はあるのかしら?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「大量のコカインに銃火器を自宅から押収した。25年の刑期は確実かもしれないわよ」
「なら俺を刑務所に収監してくれ。そのほうが安全だ」
安全、詰まり彼自身も何かに追いかけられているということだ。借金取りに追われているのかもしれない。
もしくは犯罪組織から追われているからこそさっさと刑務所に収監されてほしいのかもしれない
「あなた。どれくらいの麻薬を密売していたのかしら?」
「答えることはない。俺は組織を裏切るつもりはないからな」
「下手をすると死刑判決になる可能性があってもかしら」
「ああ。組織の人間に嫌な殺され方をされるくらいなら死刑判決のほうが良い」
それに死刑判決になる可能性はそれほど高いはずがないだろうと少し余裕の表情を持っている
確かに死刑判決になるかどうかと質問されるとかなり難しいかもしれない
だが仮釈放なしの終身刑になる可能性は高い。
それでも犯罪組織の情報を漏らして裏切ったら、ヒットマンが送られてくることは十分ありうる
「何も証言するつもりはないのね。検事に情状酌量の余地があると説明できないけど」
「好きにすればいい。俺は組織を裏切るつもりはない」
だからさっさと拘置所に送ってくれと証言するだけだった
これ以上何を聞いても無駄と判断してフィリーは取調室を出た
「だめね。あれは完全黙秘を行使するわね」
「どうして取引をしようとしないのですか?刑が軽くなるのに」
「犯罪組織から暗殺者が送られることを考慮したら証言しないほうが長生きできると思っているのよ」
それは間違いない
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南区西部サウスオキーチョビ地区5番街8丁目7番地 倉庫
ステラとマイアは魔石濃縮装置の指紋採取などの現場鑑識作業を終えると危険物処理チームが来た
濃縮魔石の輸送を依頼している。大至急低濃縮にしてもらう必要があるからだ
今はAMF装置の影響下に置かれているので爆発することはまずない
だが何かのきっかけでどうなるかわからない以上、早く市内にある再処理工場に運んでもらう必要がある
港湾地区に魔石燃料加工工場があるのでそこで再処理してもらう
すでに話はつけているので後は移送だけだ
「危険物だからよろしく頼むわよ」
ステラがそう言うと危険物処理チームはより厳重な容器に入れてすぐに移送していった
問題はあの魔石燃料がどこのものかだ。魔石燃料から出る魔力粒子の波長は採掘した場所によって異なる
すでに場所はわかっている。クラナガン市の北隣にあるマリネット州の南部地方のノースオークレア魔石鉱脈のものと魔力波長が一致していた
そこが出元なのは分かるが、採掘現場も厳重に監視されている
簡単に持ち出しは難しいし採掘したての鉱石だけでは魔力爆弾は作れない
濃縮が最初の方はかなり必要になる。ここから先はただの推理だが、
マリネット州である程度濃縮して市内に持ち込まれた可能性が高いとステラは考えていた
そこに男性のFBI連邦捜査官が到着した。
「ステラ。大発見したらしいな。危険物はもう運び出してくれたんだろうな」
「濃縮魔石は既に処理施設に移送中よ。あとの捜査は任せても良いかしら。これは連邦事案だし」
「どういうことだ?」
ステラはこれまでわかっている概要を話した。それを受けてFBI連邦捜査官も表情を曇らせた
それはかなり危険だなと返答するのだから
「とにかく今はこの案件は任せるわ。こっちはこちらで報告に必要な現場写真や指紋最初は終わっているから」
今からこちらで採取した情報はFBIに送信しておくわとステラは伝えた
「手間を省いてくれて感謝する。鑑識をしてくれるとなるとかなり楽だな」
ステラはメモリカードに現場鑑識で採取した証拠情報をコピーしてFBI連邦捜査官に渡した
「じゃ、あとはよろしく」
「任せろ」
ステラとマイアは引き上げることにした
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