午後05:30 西区中央部 中央パトロール西分署 6階刑事課オフィススペース
フィリーが港湾パトロール安全保障局からの情報待ちの間も調査は続けていたが目立った証拠はない
このまま何も出てこなければ港湾パトロール安全保障局の報告書に期待するしかない
できることならあまり頼りたくないところだが、攻める材料が必要なのだから仕方がない
彼女は休憩のついでにある報道番組を見ていた
『クラナガン市準備銀行は外貨準備として保有している他次元世界国の国債を売却。売りオペを開始すると』
売りオペ。金融市場から現金を減らす方法である
好景気の時にバブル景気になることを抑制するために行うことだ
連邦準備銀行も同様の行動を行うことを決めている
クラナガン市政府系金融機関であるクラナガン市準備銀行には評価額で500京ミッドの対外債権基金がある
そのうちの100京ミッドを金融市場に戻す。
連邦準備銀行には対外債権保有基金が評価額で8700京ミッドもある
そのうち100京~500京ミッドの債権を売りオペに出す。
今の金融市場から資金吸収を行うことを最優先にする事としている
「連邦準備銀行もバブル経済にならないようにするために必死ね。それだけの金額を売りオペにしたら後が大変」
「経済ニュースについていくのは大変です」
「そういったことでも努力することが重要なのよ」
「はい」
「売りオペでどこまで金融引き締めができるか見物ね」
どうしてですかとなのはは聞いてきた。
もし想定以上に売りオペに食いついてきたら、準備銀行はさらに売りオペをするかもしれないという思惑が出る
そうなれば通貨ミッドの金融市場で流れている量が減るため、他の投資に回すお金が減る
よって景気の過熱を抑えることができるのだが、それはすべて思惑通りに事が進めばの話である
世の中そんなに簡単に物事が進むことはない
「今の経済状況だと経済犯罪が起きるかもしれないわね」
できれば担当したくはないけどとフィリーは付け加えた
誰だって経済事件は担当したくない。ホワイトカラー犯罪は面倒な事ばかりが多いからだ
『ピーピーピー』
「連絡を待っていたわ。それで結果は?」
『驚きのネタが出てきた。銀インゴットでHRに支払いをしていることが分かった』
「何を購入したの?」
『購入した麻薬や銃火器の支払いに充てたらしい。時空管理局犯罪捜査局からの情報によると間違いない』
「7000億ミッド分の銃火器と麻薬か。派手な支払いね」
『金に困っていたからかなりせっついていたらしい』
「HRはその銀のインゴットをどうしたの?」
『さらに別の銀行を通して換金していた。すでに現金化された後だ』
これ以上追いかけるのはかなり難しいなと彼は語った
現金化されたとなると追いかけるのは難しい。
インゴットの状態なら追跡もたやすいのだが、
現金化されたとなると資金の流れを追いかけるのは通常ならば楽な仕事ではない
「追いかけるのは難しいわね」
『そうなるな。悪いな。力になれなくて』
「気にしないで。これだけでもいい情報よ。ありがとう」
通話を終えるとフィリーは大きなため息をついた。問題はどこから着手するべきかである
すでに7000億ミッド分の商品がブラックマーケットに流れているとなると大変である
大至急回収する必要がある。どこにあるのかを見つけないといけない
「なのは。エレオノール・シュバルスの金の流れを追いかけることはできたかしら?」
「一通り調べましたが途中で」
なのはも途中まではわかったが現金化されてからの足取りはわからないようだ
まぁ当然と言えば当然だが。簡単に追跡させられるほど犯罪者は甘くない
連中はうまく隠すことを知っている
「しょうがないわね。7000億ミッドものお金をインゴットにしたり現金化したりしているから追跡は難しいか」
なのははどうしますかと対応方法を聞きに来た
「答えは一つだね。資金洗浄の容疑で立件しましょう。あとは麻薬と銃火器の不法所持。三振法が適用できる」
仮釈放なしの終身刑か死刑になることは間違いない
「ならそのことを伝えてくるわ」
フィリーは取調室に入った。
「あなたを三振法で仮釈放なしの終身刑か死刑判決が決まったわ」
「証拠はあるのか?」
「証拠なら腐るほどあるわ。銀のインゴットを見つけたわ。7000億ミッド分の銀をHRに払ったわね」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「黙秘権を行使するということは認めたも同然よ。HRから狙われることになるわよ。喋る気になったかしら?」
喋る気があれば取引できるわよと伝えるが黙秘権の行使を決めたようだ
喋っても組織に狙われることがわかっているからだろう。HRは事実上機能停止の状況でもまだ組織力はある
それを考えれば喋らないほうが利口である。もし漏らしたことがばれたらとんでもないことになる
「情報を漏らして組織に狙われたら俺は終わりだ」
「本当にしゃべる気はないのね?」
「ああ。刑務所で死んだほうがましだ」
わかったわというとフィリーは地下留置施設まで連行するようにパトロール捜査官に指示した
もうことは用済みである。喋る気がないなら情報を得ることはできない
検事と取引するつもりはあるかもしれないけど、それはあちらの判断次第である
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東区東部セントラルクラナガン空港 セントラルカジノノース地区7番街2丁目 カジノ店舗内
サイノスはカジノ内にある銃弾の薬莢を回収していた
写真撮影しながら大量の薬莢を見て呆れていた。弾はすべて5.56x45mm弾である
アサルトライフルを大量を撃ちまくったようだ
どれだけ派手にしたら満足するのか。ここまでくると呆れてしまう話である
これだけ撃ちまくって金を奪うことができなかった。個々の警備体制の万全さを知らなかったことである。
簡単に言ってしまえばへまをしてしまったということである
ミスをしなければ大金を持って逃亡生活をすることになっていた
「本当に薬莢が多いね。派手に撃ちまくってくれたことは迷惑な話だけど」
サイノスは1つ1つ記録を取りながら必死に回収していたが薬莢だけで100以上は存在する
面倒なことにそれはラボで照合作業をするのに時間がかかるということだ
「ラボの分析官を手伝うしかないね。急いで照合するには」
「そうなんですか?」
ティアナはそれは大変ですねというのと同時にどうしてそこまでするんですかと聞いてきた
「事件は時間との戦いだよ。急がないと犯人さんは言い訳を考えてしまう。だから素早く正確な捜査が求められる」
「逃げられた経験はありませんか」
「あるよ。でも執念深いから追いかけて捕まえた。逃げたら逃げたでどこまでも追跡するだけの話だよ」
粘り強いんですねとの言葉にそれが捜査官というものだよとサイノスは答えながら現場鑑識を続けた
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北区南部 ノースクラナガン堰(ノースクラナガン第1水力発電所) 警備室
エディは発電所室内の監視カメラの映像をチェックしていた
CIAの彼女以外に不審者が本当に入っていないかどうかを調べるためである
問題は早期に解決する方が良い。発電所施設内や周辺に爆弾が設置されている可能性があると警備チームに伝えた
大至急捜索させている。確かな証拠はないがさっきの証言から可能性は否定できない
0でないなら疑ってかかるのが仕事である。今は安全確保が最優先だ
「本当に見つかったら大変ですね」
「できればないことを祈りたいが、世の中都合よくできていない。敵は何かを仕掛けてくるはずだ」
とにかく今は不審物を捜索することに力を注ぐことにした
結果は運がよかったとも言える。危険物は何も発見されなかった
10人以上で捜索して何もないとなると問題はないだろう
念のため巡回を継続的に行うように伝えるとエディは警備室を出て水力発電所施設からも出た
ここの警備に関してはあとは彼らの管轄だ。ブラスト・ミッチの捜索は引き続き行うことにした。
あの情報もあることだし警戒するに越したことはない
「本当に些細な事でもとんでもないことに発展する街だな。クラナガン市は」
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