CSI:クラナガン   作:アイバユウ

95 / 95
新暦76年4月1日午後05:45

午後05:45 西区中央部 中央パトロール西分署 6階刑事課オフィススペース

 

『先ほどFBIは時空管理局暗部組織であるHRの関連資産1兆ミッドを差し押さえたことを発表しました』

 

『この情報はクラナガン捜査局によってもたらされた情報によって差し押さえに成功したと声明を出しています』

 

「FBIに手柄を譲ったんですか?」

 

刑事課の男性刑事はフィリーの対応に驚いていた。

こちらの手柄になるはずのものを簡単に引き渡すなんてありえないと考えていたからだ

 

「気にすることではないわ。彼らに恩を売っておいて損はないもの。いつかたっぷりと利子をつけて返済してもらうから」

 

「怖い人だ。捜査部の捜査官は」

 

フィリーは駆け引き上手と言ってほしいわねと訂正した

確かにフィリーは駆け引きが上手である。今後の戦略的に考えて彼らに恩を売っておいて損はない

むしろ利益しか生まれないなら恩を売っておいてしかるべきだ

 

「押収した資産についてはどうするつもりですか?」

 

「FBIとこっちで半々で差し押さえということで話はまとまっているわ」

 

つまり中央パトロールには5000億ミッドの資産が入ることを示している

かなり巨額な収入だが50%の一部は犯罪被害者救済予算に割り当てられるので、全額が自由にできるわけではない

 

「あとは事務部に対応を任せましょう。金をすべて差し押さえたことを知ったエレオノール・シュバルスの反応を見に行きましょう」

 

フィリーはそう言うと取調室に入っていった

 

「あなたの財産である連邦国債7000億ミッドを押収したわよ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「さらに2000億ミッドの関係者の資産も押収。HRは1兆ミッドの資産を失ったわ」

 

「・・・・・・・・・さっさと刑務所に入れてくれ」

 

「喋ったほうが身のためよ。資金洗浄(マネーロンダリング)は連邦罪になるわ。あなたは仮釈放なしの終身刑か死刑が待っているわ。三振法でね」

 

それでも喋るつもりはないのかしらとフィリーは追及するが口を開くことはなかった

いうことはただ1つ。刑務所に入れてくれというだけであった

裏切り者になるつもりはないようだ。よほど信念があると見える

 

「信念のために死を選ぶというの?」

 

「残酷に殺されるくらいならその道を選ぶ。話はそれだけだ」

 

頑なに話すことを選ぶことをしない。もう無駄と判断したフィリーは取り調べを中断した

これ以上は無駄と判断した。とはFBIに身柄を移管することにした

 

「FBIに移管しましょう。私たちの捜査はここまで。報告書をまとめないと」

 

「良いんですか?FBIに手柄を何でも譲って」

 

なのははよほど手柄にこだわっているのかもしれないがこれも駆け引きなのよとフィリーは語った

お互い一線を守っていたら良いこともあると彼女は語った

どちらにしても大量の銃火器の所持と麻薬の所持で2ストライクである。

今更罪が増えたところでどうとも思っていないのだろう。奴は

フィリーはFBIの友人に連絡して身柄を引き取りに来るように伝えると報告書の作成に入った

 

----------------------------

 

東区東部セントラルクラナガン空港 セントラルカジノノース地区7番街2丁目 カジノ店舗内

 

ジャスティはサイノスに代わって証拠採取の作業に当たっていた

しかし銃撃戦と爆弾の区別もしなければならないのでいろいろと苦労していた

 

「よく死者が出なかったな」

 

ジャスティは爆発の規模から見て死者が出なかったのは幸運と言えると評した

それも予告電話のおかげだろう。問題はなぜ予告電話をしてきたかだ

恨みによる犯行に手は少しおざなりに過ぎる気がする

 

「サイノスが狙いかそれとも捜査部に恨みを持つから攻撃を仕掛けてきたか。判断はできないな」

 

ジャスティは証拠を回収しながら今後の展開についていろいろと考えていた

何か大きな陰謀が裏であるのかもしれないと。もし陰謀があるなら暴かなければならない

これは極めて重要なことであることは間違いない

 

「いったいどんなバックがあるのか、かなり慎重に捜査を進めるしかないな」

 

今は何も全体像が分かっていない。カジノ強盗が爆弾事件になったということしかわかっていない

他にも何かあるとするなら別の強盗事件があるかもしれないことだ。

そこでジャスティは念のためカジノのオーナーにこのカジノ店の金庫室を確認するように求めた

警備のためにパトロール捜査官を2人つけていった。もしかしたらという嫌な予感を感じたからである

 

「どうして金庫の確認に行かせたんですか」

 

現場鑑識チームの隊員が聞いてきた

 

「一連の行動がすべて陽動だった場合に備えての行動だ。本当の狙いが金庫ならカジノから人を避難させることが狙いかもしれないからな」

 

もしかしたらありうる話である。これまでのことがすべて囮なら可能性としては存在する

そこまで利口な人間かどうかはわからないが、確認作業を進めることは当然のことである

 

「何もなければいいんだが」

 

『SA32へ。カジノの地下金庫に穴が開いています。至急地下金庫室に来てください』

 

「やっぱりこうなったか。了解した。すぐに向かう」

 

金庫は爆弾でも使われていたのか大きなアが開いていた

サイノスが爆弾攻撃を受けたときに同時に爆破した可能性がある

本命はお金である。パトロール捜査官などの命はおまけのようなものだろう

かなり卑劣な連中である。仲間を見殺しにするとは

 

「金のためには手段を選んでいられない状況のようだな」

 

地下金庫室に到着するとかなり大きな大穴があけられていた。かなりの爆薬を利用したことを示している

サイノスへの爆弾予告はこれの音をごまかすためのものと判断していいだろう

金庫の警備担当のパトロール捜査官は気絶させられていた

近くに布が落ちていてにおいと甘い香りをした。おそらくクロロホルムだろう

これで気絶させられたのだろう

 

「いくら盗まれました?」

 

「金庫の札は全部で100億ミッド近い金額がありましたがそのすべてかと」

 

カジノの金庫には大金が収められている。犯人グループはかなり利口な人間のようである

まずはカジノエリアで暴れている。そちらに注意を向けて爆破予告をしてほぼ同時に金庫の扉も爆破したのだろう

 

「ここまで入念に計画した犯行は珍しいな。よほど金に困っていると見える」

 

「取り戻せますか?100億ミッドは」

 

しかしカジノにとって100億ミッドは大した金額とは言えない

彼らはその十倍以上の資金力があるのだから。それに盗難保険もかけているのであまり痛いと感じていないはず

このカジノの総資産額は数兆ミッドになるだろう100億ミッドくらいなら腹を壊すほどではない

 

「保証はできません。まだどのグループか組織か特定されていませんから」

 

「できれば取り返してください」

 

「全力を尽くします。そのために我々が存在するのですから。精一杯仕事をさせていただきます」

 

とりあえず金庫内の鑑識をしますので許可をいただけますかと聞くとどうぞと許可をくれた

鑑識をしないことには犯人逮捕は難しい

ジャスティは金庫の爆破された時の残留物を採取した

爆薬がわかれば正規品か密造品かで犯人のグループがわかってくる

密造品なら不純物からどこが製造したかわかってくる

一方の正規品の場合は話が異なっていく。組織かグループが盗んだものを使用したことになる

今のところ爆薬の盗難届は出ていない。爆薬は厳しい管理が求められている

簡単に盗めないように管理することが法律で義務付けられている

 

「金庫の監視カメラ映像を押収します」

 

もしかしたら犯人らしき人物が記録されているかもしれないのでとカジノの支配人に伝えた

もちろん協力しますのでお金を取り戻してくださいとだけ言われた

これだけ用意周到な連中なら他にも策をしているかもしれない

慎重な捜査が求められる

 

----------------------------

 

北区南部 クラナガンハイウェイ2号線(北線) 北行き

 

エディは北分署に向かっていた。今は少しでも情報が欲しいところだ。

分署地域情報センターの方が情報が集めやすいと判断したためである

 

「ノースクラナガン堰を爆破するつもりがないなら何をしようとしているのだろうな」

 

いろいろなことをエディは考えていた。もちろん運転に集中しながらだが

連中は堰を破壊するためならとっくに爆弾を設置して爆発しているはずだ

それがないということは何か別の狙いがあるということになる

 

「経済的な攻撃を狙っているのか。それとも経済戦争でもしたいのか」

 

経済戦争。

市内に混乱が生じるかもしれないと報道させて株式市場などで空売りを仕掛けて経済的な利益を得る

そんな可能性もある。問題は連中がどこまでやる気があるかである

 

「経済的な攻撃を仕掛けてくるなら俺達だけじゃ対応はできないな。FBIにCIAの協力も必要だな」

 

もし経済的攻撃を仕掛けてきた場合は即座に対応しなければならない

彼らに利益をもたらすわけにはいかないのだから

 

----------------------------

 

中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1係オフィススペース

 

ジャネット・パウワーは報告書の作成を行っていた

アルシオーネが逮捕したグレモリーというマフィアのボスであるユン・ブラウンの後釜に関する報告書だ

本来ならアルシオーネが作成する作業なのだが、ジャネットの方が情報を持っていることから代行していた

 

「これから抗争事件に発展することは間違いないわね」

 

新しいボスをめぐって内部抗争が起きることはいつものことなのだから

今度の新しいボスは誰になるか。それによっては組織間の抗争に発展するかもしれない

 

「新しいボスになるのがだれかわかればいいんだけど」

 

現実問題ではグレモリー内部ではすでに関係者が数名死亡している

明らかに殺しである。ボスになることをめぐって内部抗争が起きていることは間違いない

これ以上被害がひどくなる前に押さえることが捜査部と組織犯罪課の仕事である

グレモリーは南区を拠点としているマフィアだ。問題はギャングとの抗争事案にならないかどうかである

それだけは何が何でも避けてほしい

 

----------------------------

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

魔法科高校の退学希望者(作者:無淵玄白)(原作:魔法科高校の劣等生)

▼『現代日本』に住む男が死んだらば、色々とあって再び人へと転生したがそこは完全に誰かの創作の世界!▼しかも分かってしまった範囲では、とにかく地獄のような世界で有名な魔法科高校の劣等生という作品世界。▼こんな世界で魔法を使える立場など御免被りたい転生者の退学を目指していくどこまで続くか分からない物語。▼なにがなんでも後ろに向かって前進する(バック・トゥ・ザ・フ…


総合評価:7694/評価:7.68/連載:39話/更新日時:2026年09月30日(水) 00:00 小説情報

転生ナルト物語(作者:ドロイデン)(原作:NARUTO)

 社会に絶望し、自殺した男が転生したのは、まさかのうずまきナルトだった。男はナルトとして、理不尽な迫害をしてくる木の葉で、今日も惰性のように生きていく。▼ 作者の原作知識が片寄っているので、暖かい目で読んでくれると幸いです


総合評価:8488/評価:7.67/連載:24話/更新日時:2026年10月23日(金) 18:04 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>