午後05:50 東区東部セントラルカジノノース地区7番街2丁目 カジノ 警備室
そこでジャスティは監視カメラの映像をチェックしていた
もちろん映像データのコピーはもらっている。問題ない
今この場で分かることがあれば良いのだが
「爆発時間まで早回しにしてくれ」
わかりましたと言うと警備員は映像を空間モニタに映し出してジャスティに見せた
「ストップだ」
ジャスティはあるシーンで映像を止めた。そこに映っている人物に心当たりがあったからだ
久し振りに見る連中だなと彼は独り言のようにつぶやいた
「知り合いですか?」
「金庫破りの達人だ。手段は問わないがな。爆薬に関する知識も豊富に持っている危険人物だ」
名前はヘレーク・バイオズ。45歳。元爆破工事の責任者をしていた
金庫破りの方は趣味で独学で学んだと以前逮捕した時は証言していた
とにかく爆薬に関する知識は豊富だ。爆弾作りのエキスパートでサイノスに恨みを持っている
彼に逮捕されて3年の刑務所生活を暮らした。その逮捕劇の時に銃撃戦になり左足に若干の障害を持った
日常生活には支障はないとされている。
「犯人は用意周到だな。腕の良いプロを雇うとは」
となると急いで指名手配をかける必要がある
奴は逃げることに関してはプロフェッショナルだ。仕事と同じで
「ほかのメンツも顔認証システムで照合してみるか。幸いなことに顔はわかっている」
どこかのデータベースに登録されていたらヒットするはずだ
ジャスティは自分の携帯情報端末を使って照合作業を始めた
他の侵入者も手慣れた行動をしている。おそらく前歴があるはずだ
連係プレイが取れていることは監視カメラの映像を見れば一目瞭然である
「それにしても銃撃戦で警備室に催眠ガスを流すとは用意が良いな」
そう、銃撃戦が始まる前にこの警備室に催眠ガスが流されて警備スタッフは眠ってしまった
おかげで対応が後手に回ってしまったのだ。これらの行動を考えるとプロの仕事だ
----------------------------
北区南部 クラナガンハイウェイ2号線(北線) 北行き
エディはラジオで経済ニュースを聞いていた
『先ほどサウスクラナガン魔力精製炉発電所の完全復旧作業が完了したとして出力を少しずつ上げていくとのことです』
『この報道を受けてクラナガン原油先物価格は大きく下落しました』
1バレルあたり4000ミッドまで下落していた。
今後もさらに下落基調にあることは十分考えられる
「さらに下落したらいろいろとエネルギー企業の株価に影響が出るかもしれないな」
クラナガン原油先物価格はミッドチルダ国内の原油価格の大きな指標となっている
そのため国内のあらゆる州商品取引所の原油取引価格に影響が出てくる
「本当に経済犯罪が発生するかもしれないね。シークレットサービスに確認しておく必要がありそうだ」
----------------------------
中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1係オフィススペース
ジャネットは報告書を完成させるとラジェットの未決済書類棚に提出
パトロールに出ることにした。これからは夜の時間だ。
昼間とは異なり暗い犯罪が起きる時間帯でもある
「ジャネット。これからパトロールかしら?」
シエル首席捜査官が声をかけてきた
「はい。シエル首席。何か用事でもありますか?」
「いえ、今日はいろいろとあるから警戒しておいて」
いろいろとは機動六課組のことを示していることぐらいジャネットは瞬時に理解した
彼女は了解ですと敬礼をすると駐車棟に移動してSUVでパトロールに向かった
「いろいろあるか。面倒事を押し付けられている私たちの立場を考えれば当然ね」
迷惑なことはわかっている。次元世界連合と時空管理局は面倒な人物を押し付けてきた
それも飛び切り迷惑な存在を。改革をしている間に彼らに帰る場所がなくなっていることはほぼ間違いない
するとこのままこちらで身柄を預かることになる。本当に嫌な話である
『中央本部から各員へ。南区北部ノースハーディー地区6番街4丁目と8丁目の間の通りで死体が発見された』
「こちらSA15。これよりその事案に対応する。緊急走行で向かう」
『現場指揮権を一任する。死体の身元だが情報ではマフィアグレモリーの幹部との情報アリ』
「了解した。詳細は現場に到着後に報告する」
予想していた嫌な展開が始まっているようである。
内部抗争が勃発したとなればこれから死体の山が南区で大量に出ることになる
できれば早期解決したいが新しいボスが決まるまでは死体が生まれ続けるだろう
組織の中は弱肉強食なのだから
----------------------------
南区北部ビューロー地区3番街2丁目1番地 ビューローストリートバー
レックスはそこで少し早めの夕食を食べていた
彼は今日が夜勤担当ので明日の午前9時まで24時間勤務である
食べられるうちに夕食をとるのは当然のことである
「今日は健康に良さそうなものばかりね。サラダを中心としたメニューだなんて」
いつもならステーキを食べているのにとバーのオーナーであるメルファ・コンテッサは言った
レックスはここで夕食のステーキを食べることが多い。しかし今日は野菜中心としたメニューだ
「たまにはいいだろ。今日はあっさりとしたい気分だからな」
『ワンワールドバンクの破綻に伴ってワンワールドバンクから融資を受けていた企業の中でも優良企業についてはほかの金融機関が引き取りをすることがわかりました』
ワンワールドバンクとの関係があった企業の中には優良企業は存在している
リスクマネジメントをしっかりとしているまともな企業はほかの金融機関に引き継がれることになり、
安定した企業の奪い合いを行っている金融機関は多い。
一方で次元世界連合全加盟国すべてに営業拠点を持ち最大規模を誇るミーミルバンク、
あそこはそういった企業の奪い合いには一切参加していない
その必要性がないのだ。グループ企業への融資やグループ関係企業への融資だけでもかなりの規模になるからだ
焦る必要性がなく安定感のある企業となっているので問題ないと判断しているのだろう
「ミーミルバンクは盤石な金融機関だから安心できる。非上場企業っていうところが微妙なところだが」
マスコミの報道はどこもワンワールドグループ企業の話題か時空管理局の不正行為で盛り上がっている
ワンワールドバンクには回収不能であることになることがわかりながら融資をした件数がかなりの数になる
わかっているだけでも現在100京ミッドにもなると言われている。これらは不良債権になっている。
「もうマスコミの話題はこればかりだな。もっとまともな話題があれば良いんだが」
「残念なことにニュース専門チャンネルは時空管理局とワンワールドグループ企業の話題で持ちきりよ」
もうどうにもならないからたちが悪いわねと答えた
「ちなみにメルファは投資はしていないのか?」
「私は投資には興味はないからするつもりはないわ。それに仮にあったとしてもリスク分散をして銀行預金よ」
メルファは危険な投資よりも安定感を求めるタイプの人間よと回答した。おかげで何も影響はないとのことだ。
むしろ中央パトロールの管轄領域が拡大したことでこのバーの収益は増加傾向にあると話していた
中央パトロール本部に勤務する人員が大幅に増加したことが最大の要因である
そして宿舎が近くにあることから仕事終わりにここで飲んで帰る人が多い
それが良い利益を生むサイクルを作り出している
もちろんこの近くにはクラナガン市政府庁舎もあるのでそちらの職員も飲みに来るので売り上げは右肩上がりである
「引退して大儲けしているわけか」
「まぁね。でも投資には興味はないわ。私は将来に向けて貯えをする派だから」
----------------------------