Lupln the third × Lycoris Recoil 〜泥棒と彼岸花と謎の壺〜 作:VOSE
…自分を下水道に引き入れたのが、国立博物館で戦った敵であることを知った次元は、驚きを隠さなかった。
「お前…何でここにいる!」
「私はただの通りすがりの一般人。困ってたから助けただけです」
「通りすがりの一般人ね…こんな下水道に入るのも一般だってことか?」
「ノーコメントで」
「けっ、そうかよ…」
次元はゆっくりと立ち上がる。
「それで…目的は何だ」
「目的?」
「あぁ…何の目的で近づいた」
「目的…そうですね…あるとするならば…あなたについていきたいということでしょうか」
「はぁ!?」
いつも硬派を決めている次元でも、たきなからの告白に声を上げてしまった。
「お前…今何と言ったんだ…」
「ですから、あなたについていきたいと…」
「冗談だろ?リコリスのお前が、昨日戦って負かされた相手についていくなんてよ…」
「冗談ではありません。私はあなたの元で修行をしたいんです」
「修行だと?」
「はい。あの時私には冷静さを欠いていました…千束を撃たれて、気が動転して…そして貴方に銃を撃たれて、絶望したんです。この人には勝てないと…」
「…」
「それでも、あなたの腕を見て確信しました。あなたの元で修行すれば、千束やみんなを守れるって。あなたの腕と、その冷静さを会得出来れば…」
「…はぁ…」
たきなの話を聞いた次元は、深いため息をついた。
「…さっきも言ったがお前はリコリスだろ?こんなコソ泥の俺らといちゃまずいだろ」
「それは心配ありません。私、リコリスじゃないので」
「ん?リコリスじゃないだと?」
「えぇ。だから私はこうしてあなたと話に来たんです」
「リコリスを抜けたという証拠でもあるのか?」
「ないですが、私は今銃を持ってます。これを彼女たちに見られれば即射殺でしょう。そしてあなたと一緒に行動しているということでも、彼女達は容赦しないはずです」
たきなは次元に見せるように、自分の銃を取り出した。
「…はぁ…ついてくるなら勝手についてこい」
「ありがとうございます」
こうしてたきなは次元と共に行動をすることになった。
「…それで今からどこへ向かうのですか?」
たきなは早速次元に尋ねた。
「わからねえ。とりあえず遠くへ行かなきゃ行けねえんだ」
「遠くへですか?」
「あぁ…ルパンと博多で合流することになってるんだ。それまでの手段をどうにか考えないとな…」
「なるほど…それでは、新幹線で向かいますか?」
「そうしたいのも山々だが、いかんせんここは監視社会と化した日本だ。軽々と公共交通機関を使いたくない」
「それは、DAが目を光らせているからでしょうか」
「あぁ。そしてたちまちお前の仲間に捕まっちまうからな」
「…そうですね」
未だ信用しきれていない次元に対して、たきなはそれに同意するしかなかった。
「…そういや…ここは確か…」
ふと、次元が足を止めた。
何かを思い出したらしい。
「どうしたのですか?」
「…この近くに、俺の知り合いがいるんだ。凄腕の技術屋でな。そいつにちと頼もうかなと思ってる」
「何をですか?」
「それは秘密だ」
次元はどこにいるかわからなくなりそうな下水道の道を、まるで覚えているかのようにひたすら歩いて行く。
そしてたどり着いたのは一つの扉の前だった。
「お前はここで見張りをしていろ。俺だけ中に入る」
「わかりました」
次元はたきなにそう伝えたあと、次元だけ扉の中に入っていった。
その扉の中にはもう一つ扉があり、その周りにはカメラが4台、扉の横の壁にはマイクがあった。
「おい、聞こえてるか、爺さん」
次元がマイクに向かって話しかけると…
「んぁ?誰だ?」
どこにあるかわからないスピーカーから声が聞こえてきた。
「俺だよ」
「んぁ?次元かぁ?久しぶりだなぁ」
「あんたも相変わらずだ…ちと中に入りたいんだが、いいか?」
「いいぞぉ」
少しの会話を挟んだあと、扉からピーと音が鳴り、鍵を解除した音が聞こえた。
その扉の先には、怪しげな器具が置かれているラボがあった。
そのラボは吹き抜けの2階建て構造になっており、先ほどの声の主は2階でゴソゴソと何かをいじっていた。
「おい、平賀の親父。元気だったか?」
「あぁ、元気だぞぉ」
間延びした独特な喋りをした男…平賀は次元を見て嬉しそうにした。
「それでぇ、次元は今回は何用なんだぁ?」
「ちと作って欲しいもんがあってな…」
「どんなもんだぁ?」
次元は平賀に作ってもらいたいものの概要を伝えた。
次元から概要を聞いた平賀は、少し顔を曇らせた。
「そいつはルパンが考えたものかぁ?」
「その通りだが、出来るか?」
「出来ないことはないがなぁ…ただ、期待はできないぞぉ」
「そんなの、はなっから期待はしてねぇ」
「そりゃそうかぁ。んじゃ、作るとする…」
平賀が早速作業に取り掛かろうとしたその時だ。
突如、ラボ中に警告音が鳴り始めた。
「ん?なんだ?」
「んぁ?侵入者かぁ?」
平賀はすぐに外の様子を見るべくモニターを覗いた。
そのモニターに映し出されていたのは、たきなとリコリスが交戦している様子であった。
「…」
「よぉ、次元。こいつぁまずいぞぉ」
「だろうな…そういえばあんたも、DAに追われている身だったな」
「そうだぁ。ここがばれちまえば、俺は死ぬしかなくなるなぁ」
「はぁ…仕方ねえ」
次元はため息を吐きながら1階は降りた。
「そういやぁ次元よ」
外へ出て行こうとした次元を、平賀は呼び止めた。
「何だ」
「ここに映ってる黒の髪の子、おまえさんの新しい相方なのかぁい?」
平賀はモニターを次元に見せ、たきなに指をトントンと置いた。
「…俺が女嫌いなのは知ってるだろ?」
「それにしちゃ、随分とべっぴんな子をひきつれてるじゃないかぁ」
「勝手についてきてるだけだ」
「それなら何で助けに行くのかぁい?」
「このまま死なれちまったら、幽霊にでもなって俺を襲ってきそうだからな」
次元はそう呟くなり、扉を開けてその向こう側へ消えていったのだった…