Lupln the third × Lycoris Recoil 〜泥棒と彼岸花と謎の壺〜   作:VOSE

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Episode9〜謎の爺さん〜

…一方その頃のたきなはというと、平賀のラボから少し離れたところでリコリスと交戦していた。

 

(なんでリコリスがこんなところまで?もしかして行動がバレた?)

 

つい数分前、ずっとラボの近くでしゃがんで待っていたたきなは、不意に足音が聞こえてきたため、わざと音を出してその足音の主を追いかけさせてきた。

そしてしばらく離れたところで交戦状態になり、足音の主を目視した。

その主は、セカンドとサードの2名のリコリスであった。

 

「そこのお前!今すぐ銃を投げ捨ててこちらに姿を現しなさい!」

 

セカンドのリコリスがそう叫ぶも、たきなはずっと影に隠れていた。

 

(このままじゃ、他のリコリスにバレてしまう…どうすれば…)

 

たきなは色々と頭を巡らせて考えていると…

ダンッ!

低く重い銃声が響いてきた。

 

「ぐはぁっ!」

 

リコリスが撃たれたような声を出したのを確認したたきなは、すぐに状況を確認した。

サードのリコリスが撃たれ、セカンドのリコリスは一瞬だがたきなの方の目線を逸らしていた。

たきなはそれを確認した後、すぐにセカンドのリコリスに向けて撃った。

 

「ぐふっ!」

 

セカンドのリコリスは肩に銃弾を食らったことを確認したあと、すぐに振り返ると…たきなが目の前に迫っていた。

たきなはすぐにセカンドのリコリスの顔面に回転キックを決めた。

セカンドのリコリスは食らったあと壁にぶつかり、ぐったりと倒れた。

そして…

 

「…あなたが…なぜ…ここに…」

 

少し顔をあげ、たきなの顔を確認したあと意識を失った。

 

「…ふぅ…」

 

たきなが一息入れたあと、別の方向から足音が聞こえた。

しかし、今度はたきなは逃げることはなかった。

 

「ったく…何をしてるんやら…」

 

次元である。

かなり呆れている様子だった。

 

「足音が聞こえてきたので、その場から離れた方がいいと思って行動に移ったまでです」

「それは結構だがよ、いいのか?同業者にバレちまってよ」

「いずれバレてしまうのは時間の問題だったので構いません」

「そうかよ…」

 

次元はいそいそと、平賀のラボへ戻ろうとして踵を返して歩き出した。

たきなはじっと見てその場に立っていた。

 

「…どうしたんだ?」

 

次元は足を止めて、たきなに問いかける。

 

「どうしたとは?」

「来ないのか?」

「どうしてついて行く必要があるのですか?私は見張りをしているだけです」

「そういやそうだったな…気が変わった。ついて来い」

「気が変わったとは?」

「深い意味はねえ。少しだけ信頼できると思っただけだ」

「少しだけですか?」

「あぁ。ほんの少しだけだがな」

 

次元はたきなについてくるように言うと、たきなは次元を追うようについていった。

そして2人で平賀のラボに入ると…

 

「よぉ、次元。頼んでたもの出来たぞぉ」

 

平賀がてぐすね引いて待っていた。

 

「出来たのか」

「あぁ。簡単だったぞぉ。それよりもぉ…」

 

平賀は、次元の隣にいるたきなに目線を送った。

 

「…この子はどうしたんだぁ?次元」

「あぁ…勝手に付いてきたやつだ」

「ほほう?」

「次元大介。彼は?」

「平賀泰介だ。お前さんは知ってるだろ?」

「平賀泰介…確か、DAが脅威になりうるとして探していた天才科学者…」

 

たきなが覚えていることをふと話すと、平賀は顔色を変えた。

 

「…お前さん、もしやリコリスかぁ?」

「元リコリスです。今の私はただの一般人ですから」

「それを証明するにはぁ?」

「先ほど、この近くにリコリスが現れました。私は銃を使ってリコリスと交戦しました。次元大介が証人です」

 

たきなは次元を使って自分の潔白を主張した。

 

「はぁ…」

 

次元はたきなに振られてため息を吐いた。

 

「…訳ありのようだなぁ、次元」

「勝手についてこられて困ってるところだ」

 

次元の様子を見た平賀は、やれやれと言わんばかりにとある物を取り出した。

 

「ほらよぉ、次元。それにお嬢さんもぉ」

 

そして平賀は取り出した物を次元とたきなに投げ渡した。

次元とたきなはお互いにタイミングよくキャッチする。

次元とたきなの手に渡ったのは、ボールペンみたいなものだった。

 

「これは?」

 

たきなは平賀に尋ねる。

 

「こいつぁジャミング装置だぁ。ボールペン型になっててなぁ、上のボタンをカチッとするとジャミングができるようになってるんだぁ。こいつで色んなものからお前らの情報を認識されなくなるんだぁ」

「これがですか?いささか拍子抜けと言いますか…」

「この爺さんは特殊なんだよ。なんせ、DA本部にある『ラジアータ』っつうAIの土台を作った天才なんだからな」

「ラジアータをですか!?」

 

たきなは次元が発した衝撃的な事実に目を丸くした。

 

「俺ぁあくまでラジアータの一片を作っただけだぁ」

「嘘言え。あんたがラジアータの基礎を作っちまったせいで、俺らにとっちゃ過ごしにくい日本になっちまったからな」

「いいじゃねぇかよぉ。犯罪者がいなくなるのはこちらとしても願ってたからなぁ」

 

平賀はケラケラと昔話を笑い飛ばした。

 

「しかし、そんなあなたがなぜDAに狙われているんですか…?」

 

たきなは平賀に質問をぶつけた。

平賀は渋い顔になりながら、さらに昔話を話してくれた。

 

「…ラジアータだぁ…ラジアータを優秀にしすぎたために、俺ぁ昔起こした実験の数々がバレてしまったんだぁ…例えば『浅草ビル街爆破事件』や『海外株式一斉暴落事件』なんてのは俺の実験で起きたことなんだなぁ」

「『浅草ビル街爆破事件』って…確か、何者かのハッキングによりビルのシステムの暴走により発生したガス爆発で負傷者を出した事件…そして、『海外株式一斉暴落事件』も何者かのハッキングで、日本株以外の海外株が軒並み暴落して大騒ぎになった事件…」

「よぉく覚えてるなぁ。その事件を起こしたのが俺なんだぁ」

「そうなんですか…」

 

平賀の告白に、たきなは表情を変えなかった。

 

「…怒らないのかぁい?」

「…別に、怒ってなどいません。その口調が癪に触るくらいですが」

「ほぉ?言ってくれるなぁ?リコリス」

「元リコリスです。もしまだリコリスの立場なら、私はあなたを射殺するところでした」

「ほほう?」

 

平賀はうむうむと頷いた。

 

「お前は信頼できそうだなぁ。次元に似ているぅ」

 

平賀はたきなを敵ではないと、ようやく認めたようである。

 

「はぁ…爺さん、そろそろこいつのこと教えてくれねぇか?」

 

次元は我慢できずに声を上げた。

 

「わかったぁ。それじゃ、こいつの説明だがなぁ…」

 

平賀は2人に、ジャミング装置について説明をした。

装置自体は電池稼働であるが、有効範囲が周囲500メートル以内ほぼ全てジャミングできるとのこと。

電池はどこにでも売っているような乾電池さえあれば使うことができ、有効時間もフルで使い続けても1週間は持つように作られている。

 

「…すごい…」

 

たきなは驚くしかなかった。

 

「…なるほどな…わかった。俺はそろそろずらかるぜ」

 

次元は一通り話を聞いた後、早速行動するべく立ち上がった。

 

「そうかぁ、もう行くのかぁ」

「俺も時間がないのでな…達者でな」

「次元もなぁ」

「ありがとうございました」

 

たきなも深々とお礼して、2人は平賀のラボを後にしたのだった…

 

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