Lupln the third × Lycoris Recoil 〜泥棒と彼岸花と謎の壺〜 作:VOSE
…平賀の作ったジャミング装置を受け取った次元とたきなは、そのジャミング装置をうまく利用して新幹線に乗りこんでいた。
「…はい、買ってきました」
「ん、ありがとよ」
東京駅で先に乗っていた次元に、たきなはコンビニで買ってきたものを渡す。
中に入っているのは乾電池と酒、お茶、おつまみだった。
たきなは次元の隣に座り、出発する時を待つ。
しばらくして静かに動き出した。
「…お前は、なぜ俺についてきた」
次元が外の景色を見ながら徐に話し始める。
「話しましたよね?修行のためだって」
たきなはまっすぐ見ながら話す。
「それだったら俺じゃなくてルパンについていけばいいことだろうよ」
「どうしてですか?」
「あいつの方が頭が切れるし、銃の腕ならあいつも負けねえ。なんで俺にこだわる」
次元は再度突き放すように言葉を投げる。
たきなはすこし沈黙した後、話し始めた。
「…次元大介って、ルパン三世のこと好きなんですね」
たきなの唐突な発言も、次元は表情を変えなかった。
「好きか…そんなことはねえ」
「そうですか?」
「あぁ。あいつは腐れ縁だ。俺とは趣味が合わねえし、そもそも好きなものも違え。あいつは派手なものが好きだが、俺は静かな方が好きだ」
「そんなあなた達が、なぜここまで長くいられるのですか?」
「…あんたが聞きてえことはそのことか?」
次元がそう言うと、たきなは少し表情を変えた。
「…千束は、自由奔放でおっちょこちょいで、任務とは関係ないようなことも平然とやって…最初はこんな人と一緒にできるかなって思ってました」
「…」
「でも、喫茶店での出来事や任務を重ねていくうちに、千束の本当の姿を見られていって…信頼できる相棒として、背中を預けられる存在になったんです。でも…ルパン三世や次元大介、あなたの2人と戦った時に千束を失って…私の中で動揺が広がって…真島との戦いで、克服したと思ったのに…」
「…はぁ」
たきなの独り言のような話に、次元はため息を1つ吐く。
「…申し訳ねえが、お嬢さんのような考えを俺とルパンには持ち合わせていねえ」
「え?」
次元の言葉に、たきなは驚いて次元の方を見た。
「言っただろ。俺とルパンはただの腐れ縁だ。盗人と用心棒、ないしは同じ同業者…たまたま利害が一致して、たまたま共に過ごしているだけの関係だ。それ以上もそれ以下もねえ」
「…それなら、なぜ千束を撃てたのですか?」
「過去に同じような能力を持った奴がいたからな。そいつと同じ対応をしたらたまたま出来ただけだ」
「…」
「いいか、嬢ちゃん。あんたら組織にいた人間のコンビとと、俺らみたいなはぐれもののコンビは一緒じゃない。何度も言うが、たまたま利害が一致したからつるんでるだけの人間だ。聞きたいことがわかったなら、次の駅で降りな」
次元はたきなを次の駅で降りるように促した。
しかし、たきなは一歩も動かなかった。
「…それを言うなら、私もはぐれものです。私は元々孤児でした。それをDAに拾われて、組織の人間に仕立て上げられただけで、もし拾われなかったらあなたと同じです」
「…」
「千束も同じです。確かに組織に入っている人間ですが、元はあなた方と一緒です。だから、あなたとルパン三世がどういう絆で結ばれているのか知りたいのです」
「…だからついてきたってわけか…」
次元は小さく呟きながらようやくたきなを見た。
「申し訳ねえが、俺らからしたらお前ら2人の方が絆は強い方だと思うぞ?」
「それでもあなた方には勝てなかった。だから…今度こそは…」
「もういい。少し寝る」
次元は帽子を目深に被り直して眠りに入った。
たきなは再びまっすぐ見つめ直して、終点に着くまで待ったのだった…
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…福岡県のとある某所…
次元とたきなはその場所に歩いてようやく到着した様子であった。
「…ここは?」
「ルパンとの待ち合わせの場所だ」
次元とたきながたどり着いたのは、とあるトンネルの入り口。
周りの森とは全く似合わない荘厳な扉が付けられた入り口だった。
「トンネル…?どうしてここに?」
「ここで海を渡る」
「海を?」
「あぁ…そのトンネルはかつて日本と韓国が共同で進めていた日韓トンネルの跡地だ。トンネル自体は完成し、あとは開通式を待つのみとしていたんだが、貫通直後に双方の国内事情のせいでお釈迦になっちまったのさ」
「なるほど…ということは、このトンネルの先は…」
「韓国だ。まぁ、不法侵入にはなっちまうがな」
次元はそう言いながらタバコに火をつけて吸い始めた。
「それで、韓国に渡った後はどうするんですか?」
「その先は別の国へ渡る。とある人に会いにな」
「とある人ですか?」
「あぁ。ま、それはお前には関係ない話だがな」
と、次元がのんびり話してたその時だ。
ダンッと銃声が聞こえた。
次元とたきなは咄嗟に物陰に隠れて銃弾がどこに着弾したか確認した。
銃弾は次元のタバコをかすめてトンネルの扉に着弾した様子だった。
「敵ですか?」
「さぁな…」
次元はそっと目線を上げて銃撃してきた位置を確認しようとした。
その時、不意に声が聞こえてきた。
「そこから出てきなさい」
男の声が聞こえてきた。
次元とたきなは目線を合わせた後、その声に素直に応じて物陰から出た。
「素直で良いことだ」
次元とたきなの前に現れたのは、アメリカ軍の軍服を着た男である。
どうやら声の主はその男のようだ。
その男の周りには銃を構えたアメリカ軍の兵士達がたくさんいた。
「…お前は何者だ」
「俺の名はガレス。アメリカ陸軍の者だ」
「ほう…」
次元は名前を聞いてもなお落ち着いていた。
「そのアメリカ陸軍のやつが、なぜこんなところにいる?お前らの目的はなんだ」
「なに、挨拶をしにきただけだ」
「そうは見えねえがな。少なくとも、銃を下ろしてくれないと挨拶なんて言えないが」
「そう言ってくれるな。そうだな…強いて言えば、君の相棒に出し抜かれてしまったからね」
ガレスはそう言うと、とある物を次元たちの前に見せた。
それは『石蒜壺』だった。
「それは…石蒜壺!?どうして!?」
「やはり、リコリスの君には見覚えあるのだな。いや、その場にいたから当然か」
「…どうしてそれを…」
「アメリカ軍のパイプだよ」
ガレスはたきなに事情を知ってることを話すや否や、その壺を地面に置いた。
そしてその石蒜壺に向かって、周りにいる兵士たちが一斉に撃ち始めた。
「え!?」
たきなが驚く間も無く、壺は銃弾によってどんどんと割られていく。
「ちょっと、やめてください!」
たきなは強く叫ぶも、銃声がそれをかき消す。
しばらくして銃声が止むと、壺は跡形もなくなり、土と化していた。
「…壺が…」
目の前で壺を割られたショックからか、たきなはその場でへたり込んでしまった。
一方の次元は冷静のままだった。
「…お嬢さんは何か勘違いをしているようだが」
ガレスは徐に声を上げた。
「その壺は偽物だ。俺らは偽物の壺をルパンに掴まされただけだ」
「…偽物?」
「そうだ。なぁ、次元大介よ」
ガレスはゆっくりと目線を鋭くして次元を見つめたのだった…