Lupln the third × Lycoris Recoil 〜泥棒と彼岸花と謎の壺〜 作:VOSE
…たきなに銃口を突きつけられた次元…
それにもかかわらず、次元は…
「くっくっくっ…ぐぁはっはっはっ…!」
大笑いした。
「何がおかしいんですか」
「いや、こりゃ傑作だと思ってよ」
「傑作…ですか?」
「あぁ…そこまでの実力があるってのに、まだ仲間を守りたい。強くなりたいってか?傑作も傑作だ」
次元はひとしきり笑い合えた後、両手をあげてコンバットマグナムを地面に投げた。
「俺の負けだ。流石だな」
「たまたまです。あなたが乗っているのが木箱じゃなかったらこう出来ませんでしたから」
「しかし、拳銃で木箱を壊すとはなぁ…まぁ、あの木箱も腐っちまってたから壊れるのも時間の問題だったが…」
「そう見えたので、壊したまだです。それより…」
たきなは銃を下ろしてホルスターにしまいながら、次元にとあることを尋ねた。
「…なんでこんなことをしたのですか?」
いきなり始まった模擬戦について、その意図を確認したかったのである。
「…なぁに、『守れる力』ってものを伝えようとしただけだ」
「先程言ってたことですか?」
「あぁ…お前、あの千束ってやつが危ない状態になったって時に、すぐに俺の誘いに乗ってくれただろ。普通はあんな安い挑発に乗っちゃいけねぇが、裏を返せばそれだけ守りたいって気持ちがデカかっただろ」
「…それが『守れる力』とでも言いたいのですか?」
「お前はすでに十分持ってたってことだ」
次元はゆっくりと立ち上がった。
その様子に、戦う姿勢は見られなかった。
「飯食いに行くぞ。ルパンと、お前の相棒が待ってる」
「ま、待ってください!」
こうして次元とたきなの模擬戦は、たきなの勝ちで幕を下ろした…
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…次元とたきながダイニングに着くなり目の前に広がったのは、ルパンが作ったフランス料理の数々と、それを見事に平らげている千束の景色だった。
「たきな、おっそいよ!もう私腹五分目まで来てるんだよ!」
「どれだけ食べて五分目なんですか…全く…」
かなりの量を食べていると思われる千束に、たきなは呆れを感じた。
「いやぁ、いい食いっぷりだったぜ?なぁ、アミ」
「そうね。私も手伝った甲斐があったわ」
料理長のルパンと、その横で一緒に食事を運んでいるアミが得意げに笑いながら話す。
「あれ?アミさん、解析の方は?」
「ちょっと休憩よ。なかなか手こずりそうなものだから」
アミは食卓に皿を並べながら話した。
「まぁ、細かいことは食ってからにしようぜ。ひとまず、いただきますとするか!」
ルパンの合図で千束を除く全員で食事の時間にすることになった。
ルパンが作った料理は家庭的なものが多いが、たきなはそれらを食べて舌鼓を打つ。
「美味しい…!」
「ね?ルパンって、もしかしてシェフになれたり!?」
「おだてるのはやめてくれ。調子乗っちまうだろうが」
「ま、こう見えてこいつ自身が料理の素材にもなりかけたしな」
「ぐふっ…ルパンが!?」
次元の衝撃的な暴露に、頬張っていたアミが吹き出しかけた。
「すごい昔のことだ…てか次元!変なこと吹き込むな!」
「事実じゃねぇか。それに、燻製にもされかけたしな」
「く、燻製…」
「挙げ句の果てには蝋人形に…」
「もういい!それは過ぎたことだっつうの!」
ルパンはすごい勢いで次元に突っ込む。
当の次元はまるでルパンの反応を楽しんでるかのように笑う。
その様子を見たアミ、千束、たきなはお互いに目を合わせて思わず笑ってしまった。
「なんだよ…お前ら…」
「いや、次元さんからの話を聞いてたら、ルパンって色々な事経験しているんだなって…」
「そりゃ、長く生きてりゃ変なエピソードの一つや二つ出来るからな。それこそ、次元だって一時期帽子がないと射撃が全然ダメになったってこともあったぜ?」
「おい、ルパン!」
「それだけじゃねぇ。ロシアがまだソ連だった時にそこで仕事してたら、次元は女と駆け落ちしそうになってたからな」
「あれは状況的にそうするしかなかっただろ!嘘をつくな!」
今度はルパンが次元をからかう。
先程とは真逆の様子だ。
「そういえば、次元さんって、あまり女性に縁がなさそうに見えるけど…」
ふと、千束が疑問に思ったことを口にした。
「俺は女が嫌いだからよ」
次元は千束の質問に淡々と答え…
「それこそ嘘つくな!こいつぁなかなかなプレイボーイだぜ?」
と、ルパンがすかさず突っ込んだ。
「そうなんですか?」
たきなは少し興味ありげに聞いた。
「あぁ。過去に何人も恋人作ってるしな。結局全員別れちまってるけどよ」
「過去のことはどうでもいいだろ」
次元は皿に残ってた料理を一気に口の中に入れ…
「ごちそうさん。俺はタバコ吸ってくる」
バツが悪そうな様子で席を立った。
「…ちぃっと焚きつけすぎたかな?」
ルパンは少し反省しながらご飯を口に運ぶ。
「そういえば…」
たきなは徐にアミの方を向いた。
「アミさん。今難航していると言っていましたが、かなり行き詰まっているのでしょうか?」
「そうね…この壺を作った人は本当に天才よ。ルパンが言ってたように、釉薬の配合すら暗号に使われてるもの…」
アミはため息を吐きながらご飯を喉に通す。
「1人じゃ厳しいか?」
「時間をかければ出来るけれど…そうもいかないのよ…私は今学校を休んで来てるわけだから…」
「リミットは2日くらいと考えると…」
「悠長にやってられないわね…どうしたら…」
アミはかなり思い詰めたような表情になる。
千束はそのアミを見てふと、とあることを思いついた。
「それじゃあさ!クルミを呼ぼう!」