Lupln the third × Lycoris Recoil 〜泥棒と彼岸花と謎の壺〜 作:VOSE
…食事を終えた一行は、すぐにアミの作業場に戻り、とある場所へ連絡をとった。
先程の千束の提案で、アミと同じ天才ハッカーであるクルミにも協力を取り付けようということになった。
「…とりあえずハッキングして『ウォールナット』の居場所は特定できたけど…果たして繋がるかしら…」
アミは渋々キーボードをカタカタと鳴らしながら『ウォールナット』…クルミとのコンタクトを試していた。
クルミの居場所を特定し、メールをすぐに送って電話を待つことになったが…
「え!?早っ!?」
千束も驚くほどのスピードですぐに電話がかかってきたのである。
「やぁ、『アンダーワールド』。君から声をかけてくるなんて珍しいじゃないか」
電話口は変声機を使っているような感じだった。
「お久しぶりね。あなたにやられてから随分と経つけど元気そうじゃない」
「おや、今回は君は声を変えてないのかい?ということは、その声が『アンダーワールド』の生声ってことか」
「えぇ。こうせざるを得なかったけどね」
「というと?」
アミはマイクを千束とたきなに向けた。
「やっほー!クルミ、元気?」
「クルミ…今大丈夫でしょうか?」
「その声は…!?…なるほど…」
『ウォールナット』は電話越しでガチャガチャと何かをいじり始めた。
しばらくして今度はビデオ電話の申請が来た。
アミはその申請を許可してビデオ電話にした。
そのテレビ越しからは、千束とたきなにとっては懐かしい姿が見えた。
「千束!たきな!お前ら何してるんだ!」
「やっぱりクルミだ!」
「クルミ…良かった…」
「良かったどころじゃねぇよ!たきな!お前のせいで色々大変だったんだからな!」
「すみません…」
「ったく…ま、別にいいけどね」
テレビ越しとはいえ、久しぶりに顔を見れた3人はお互いに笑顔に話すことができた。
そして、クルミはとある人に目線を向けた。
「…あんたが、『アンダーワールド』?」
アミである。
「そうよ。こうやって顔を見ることができて嬉しいわ、『ウォールナット』」
「本当にそう思ってる?あんた、私に一回やられたのに」
「今はそれどころじゃないもの。あなたにお願いがあってこうやって電話したの」
「ほほう?」
クルミはアミからこれまでの顛末を軽く伝えた。
「なるほどね…石蒜壺にそんな秘密があったなんて。それでデータは?」
「抽出済みのデータを今送ったわ」
「さすがアンダーワールドだ」
「どういたしまして」
石蒜壺からデータをもらったクルミは早速アミと相談しながら作業を開始し始めた。
「さて、ここからはハッカー同士の共同作業だ。俺らは出るとするか」
「そうだね」
「はい。あとは2人に任せましょう」
ルパンと千束、たきなは作業部屋から邪魔をしないようにそっと出た。
「…しかし、縁って不思議なものね」
「そうだな…まさかの好敵手からお願いが来るなんてな」
「私もよ。ライバルだった人がこれ以上ない援軍に加わったのだから」
いつのまにかアミとクルミは笑顔で会話しながら作業していた。
その後にいつのまにか罵り合いになってしまったのはまた別の話…
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…日が跨ぐか否かというほどの真夜中のこと…
千束とたきなが先に休んでいる中、ルパンは次元を連れて家の外で誰かを待っていた。
しばらくして、一台の車が敷地の中に入って来た。
その車から出て来たのは、ショートボブにメガネをかけた痩せ体型の男だ。
「よぉ、アルベール。今回はすまないな」
「今回は貸しだぞ、ルパン。俺にも訳を言ってくれ」
ショートボブの男…アルベールはルパンは呆れながら言い放つ。
「まぁ、外じゃなんだから、中でな」
ルパンはそう言うと、アルベールをリビングに入れた。
そのリビングでは護衛として待機していた五ェ門が座っていた。
「それで、アメリカ軍からの要請は来てたのか?」
ルパンはコーヒーを出しながらアルベールに聞いた。
「そりゃな。CIAも血眼に探してやがる。お前が目をつけられたあのガレスって奴は相当な権限を持ってるんだろうな」
「なるほどな…」
「それより、約束の話だ。今回の件、きっちり説明してもらわないと割に合わん」
「そうだな…ま、これはお前が狙いそうなものじゃねぇから、話しておくか」
ルパンは事の顛末をアルベールに洗いざらい話した。
「…『不老不死の薬』か…お前はどう思ってるんだ?ルパン」
「どう、というと?」
「本当にあると思ってるのか?」
「…ま、ねぇだろうな」
ルパンの言葉に、アルベールはふっと笑う。
「そういうことだろうと思った」
「お前もそう思うだろ?本当に不老不死の薬を作ったとして、ここまで厳重にする必要はないと思ってな…」
「それでルパン。あの石蒜壺には何があると思う?」
「まぁ、不老不死になれることには変わらねえな。おそらく俺の予想だと…」
と、ルパンが話そうとした時である。
アルベールはふっと右手を上げた。
「ん?どうした?」
「いや…そこでこそこそと聞いてる奴がいるからな…」
アルベールが目線を廊下の方へ移す。
「あー…出てきていいぞ、2人とも」
ルパンが言うと、廊下の陰から2人ぬっと現れた。
先に休んでいたはずの千束とたきなである。
「えへへ…バレました?」
「素人じゃ流石に見抜けなかっただろうがな。もっとも、ルパンは気づいてなおスルーしようとしてたらしいが」
「あ、バレた?」
「そこのお嬢ちゃんと同じようなこと言うな」
アルベールはお茶を一口飲み…
「それで、お嬢ちゃんたちは?」
千束たちに問いかけるように聞いた。
「その前に、あなたから自己紹介してもらえないでしょうか?どうやらルパンたちと仲が良さそうだと思っていますが、名乗ってもらわないと信用できないので」
たきながまるでアルベールに突き返すように返事した。
「ほう…なるほどな。まるでルパンと次元みたいなコンビだな」
アルベールは興味深そうに千束たちをまじまじと見る。
「まぁ、そっちがその対応ならそれに応えなきゃな。俺の名はアルベール・アンドレジー。フランス司法警察中央局局長だ。よろしくな」
「フランス司法警察中央局の局長って…かなりのお偉いさんでは!?」
アルベールの肩書きを聞いた千束はかなりの驚きの表情を見せた。
隣にいたたきなも声は出さずとも狼狽えた表情を見せる。
「安心しろ。こいつは俺の仲間だ。もっとも、こいつとは『ルパン三世』の名前を賭けて争ったライバルだしな」
「え、えぇ!?」
ルパンからの説明で、千束たちはさらに驚きの顔を見せる。
「そういうことだ。君たちが不法入国しても見逃しているのはこの俺のおかげだと思ってくれ」
アルベールは嫌味ったらしく千束たちに話した後…
「さてと、今度は君たちの出番だな」
千束たちに自分たちの素性を明かすようにと言わんばかりの鋭い目線を向けながら質問した。
「そうですね…今度は私たちの出番ですね。私の名前は井ノ上たきなです」
「錦木千束でぇっす!よろしくね、アルベールさん!」
「あぁ、よろしく。それで?君たちは一体何者なんだ?」
「私たちは元々リコリスでした。今はその肩書きはなくて、ただルパン一味に同行しているだけです」
「リコリス…そうか、あの有名な…」
アルベールは興味津々に2人のじろじろと眺めた。
「リコリスを知っているんですか?」
「噂程度にはな。日本には昔の忍者みたいな隠密に動く部隊が存在し、その構成員は女の子であると」
「そうなんだ。うちってそんなに知られてたんだね」
「と言っても、本物を見たのは初めてだ」
アルベールは千束たちと話をした後、再び椅子に座り直してルパンの方を見た。
「さて、話を戻すとするか…それでルパン、お前はあの壺には何が書かれていると?」
「それは…と言いたいところだが、そろそろその答えが出てきそうだ」
ルパンが意味深な言葉を言ったその直後、ガチャリと別のドアが開いた。
「ルパン、解析が終わったよ」
アミが澄ました顔でルパンに報告したのだった…