Lupln the third × Lycoris Recoil 〜泥棒と彼岸花と謎の壺〜 作:VOSE
…目的の時間に迫りつつある頃…
『石蒜壺』の置かれているフロアには次第に、自然にリコリス達が集まってきた。
一部を除いて…
「ねぇねぇ、たきな!これなんの皿かな!?」
「知りませんよ…全く…」
時間が迫っているにも関わらず、千束はのんびりと館内を見学していた。
たきなはそんな千束の様子を見て呆れながら付き合っていた。
「…そろそろ時間ですね…戻りましょうか…」
たきなは時間を気にしながら千束に話すも…
「えぇ〜、もうちょっと、もうちょっとだけでいいから!」
と、千束は両手を合わせてたきなに懇願していた。
「…全くもう…司令官に何言われても仕方ないですからね」
「本当に!?やった!」
たきなにしては珍しく、ミッション中でありながら千束の行動を許した。
それは千束も薄々感じていたようで…
「でも珍しいね。たきながそんなこと言うなんて」
と、驚いていた。
「なんか、変な感じがするんです…あの部屋の近くには行かない方がいいかもって…勘ですけど…」
「へぇ、本当に珍しい。まぁ、たきなの言うことは合ってると思うから、ここはまだ少し覗いていこっ」
「警戒は怠らないでくださいね」
「はーい!」
少しスキップしながら歩いていった千束を見たたきなだったが、すぐに違和感があることに気がついた。
「…フキさんからの連絡が来ない…この時間になっても…」
作戦には必ず遵守し一切の場の空気を乱すのが許せないフキから、時間になりそうな時でも応援の連絡が来ないことに、たきなは徐々に不安を感じ始めた。
その不安はすぐに的中することになる。
「たきな。聞こえるか?」
インカムから声が聞こえてきた。
楠木司令官である。
「はい。聞こえます」
「よかった。お前は無事なんだな」
「どういうことでしょう?」
「ん?お前達は今別のフロアにいるのか?」
「はい…千束が館内を見たいと言ってまして…」
「全くアイツは…ただおかげで助かった。他のリコリスからの連絡が途絶えた」
「え!?」
楠木司令官の言葉に、たきなは耳を疑った。
「こちらの声かけに誰1人応答しない。防犯カメラもジャミングを受けて見れなくなってしまっている」
「ということは…」
「すぐに石蒜壺のある部屋に行ってくれ」
「わかりました」
淡々と言ったたきなであったが、焦りも少し感じていた。
「千束!すぐに戻りましょう!」
「え?もう?」
「はい!」
たきなは千束を連れてすぐに石蒜壺が置かれている部屋へと向かった。
その道中で見かけたのは…
「これは…!?」
大量のリコリス達が全員倒れていたのだ。
「え!?どうなってるのこれ!?」
流石の千束も驚きを隠せない様子である。
たきなは近くにいたリコリスに近づいた。
「大丈夫ですか!?」
たきなが声をかけてもリコリスは起きない…ただ気持ちよさそうに寝息をかいていた。
「…眠らされてるようですね…」
「そうみたい…」
「おそらく、このフロアに私たちが集中すると見込んで睡眠剤を撒いたのでしょう…」
「ということは…」
「千束、行きますよ!」
たきなの先導で、2人は石蒜壺が置かれているフロアへ向かった。
そして、2人がそのフロアへ着くなり見たものは…
「あ、やべっ」
すでに石蒜壺をケースに入れて帰ろうとしたルパンと次元だった。
「おいおい、ルパン…こいつはまずくないか?」
「んなこと言ったってよぉ…これは流石に計算外だっての」
ルパンと次元が呑気に危機的状況に陥ったことに話し合っている一方、千束とたきなは泥棒2人に対してそれぞれ愛銃を向けた。
「ルパン三世と次元大介ですね!?大人しく盗んだものを返して降参してください!」
たきなは2人を説得すべく大声を上げたが…
「俺らがそんなにすんなりと返すと思うか?」
ルパンは余裕綽々といった表情だ。
「本当にいいんですか?私達は…」
「『マーダーライセンス』…殺しの権利を与えられてるんだろ?」
たきなの言いかけた言葉に、ルパンは不敵な笑みで答える。
「…私たちのこと、漏れてるみたいですね…」
「そりゃ、表でも裏でも有名な人だもの。私たちのことも調べてるでしょ?」
ルパンに自分たちのことがバレていることにたきなは驚いたが、千束は逆に落ち着いていた。
「さて、どうする?これを取り返すのが先か、盗まれるのか先か…」
「あなた方がそのまま置いて帰る選択肢は?」
「ないね」
たきなの最後の説得にも、ルパンは拒否した。
「それなら仕方ないですね…」
たきなは小さく呟くと、そのままルパン達に向けて発砲した。
それに続けて千束も撃ち始めた。
ルパンと次元はそれを見てすぐに置かれていた台の裏に隠れて銃撃を防いだ。
「ルパン…向こうは本気みたいだぞ?」
「なぁに、こっちはこれがあるっつうの」
ルパンはそう言うと懐からボール状の何かを取り出した。
そしてそれを千束達に向けて投げつけた。
「っ!?伏せて!」
たきなが伏せるように叫ぶと同時に、2人は背負っていたバッグを盾にした。
そしてすぐに、ボール状の何かは爆発した。
ただ大規模に爆発したと言うより、煙を出させるための爆発であった。
つまり、ルパンが投げつけたのは煙玉であったのだ。
「けほっ!けほっ!…千束!どこにいますか!?」
「ここだよ!」
「ルパン達は!?」
「外に逃げた!追いかけるよ!」
「はい!」
千束の言葉を合図に2人は部屋を飛び出した。
そして2人は周囲を見渡すと、外へ逃げていく2つの影を見つけた。
「千束、あそこです!」
たきなはその2つの影を追いかけようと声をかけるが、千束はすぐに引き止めた。
「待って、たきな!ルパン達はこっちだよ!」
千束は見えている影とは反対の方を指差した。
「え!?どうしてですか!?」
「なんとなく…まぁ、強いて言ったら足音が聞こえたからかな?」
「はぁ…なんとなくって…でも、今はなんだか千束を信じれる気がするので、そっちへ行きましょう」
たきなはため息をつきながらも、笑顔で、千束を信じてついて行くことにしたのだった…
いかがでしたでしょうか?
もしよろしければ評価等していただけるとありがたいです
では次回、お会いしましょう