Lupln the third × Lycoris Recoil 〜泥棒と彼岸花と謎の壺〜   作:VOSE

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Episode6〜失意の中で〜

…数日後…DA本部…

 

「…千束を始めとしたファーストをもってしても防衛に失敗…それどころか千束を長期にわたる戦線離脱にさせるとはな…」

 

司令官の楠木は報告書を淡々と読み上げていた。

 

「…唯一の救いは、これだけの騒動があったのにも関わらず、我々の存在は一般の人に認知されることはなかったこと…石蒜壺に関しては調査のために()()()()展覧終了したと…な」

 

淡々と読み上げていく楠木の言葉は、怒りにも悲壮にもならない、何とも言えない雰囲気を漂わせていた。

 

「…これは()()()だな…本当に…我々を侮辱してくれる…」

 

楠木はふと目線を机の向こうに向けた。

そこにはずっと頭を下げているフキ、そしてたきながいた。

 

「今回このような失態を犯してしまい、申し訳ありません…」

「申し訳ありません…」

 

2人は楠木に深々と謝罪の弁を述べた。

 

「…気にするな…今回の作戦の失敗は私にある…明らかにルパン達を舐めていた」

 

楠木は静かに2人の謝罪を受け入れ、全ての責任を負うことを述べた。

 

「しかし、今回我々があの時ガスに気づいていれば!」

「それは仕方ない…我々も何とかしたかったが、防犯カメラと通信以外の機能が妨害されてた…こちらにも責がある」

「…でも…」

「憎いか、ルパン三世が」

 

楠木がルパン三世の名を言うと、2人はピクリと身体を動かした。

 

「…はい」

「たきなもか?」

「…私は…」

 

たきなはようやく顔を上げた。

そのたきなの目の奥には、メラメラと燃えるものがあった。

 

「私は、次元大介ともう一度戦いたいです」

「ほう?」

「あの男はすごかったです…何でも見透かされているような感じがして…だからこそ、私はもう一度戦って、勝ちたいです」

「…なるほどな…」

「そこでお願いがあるのですが」

「ん?なんだ?」

「…私はしばらく、リコリスを抜けたいと思います」

「んな!?」

「…」

 

突然のたきなの発言に、フキは驚き、楠木はじっとたきなを見つめた。

 

「…私は、ルパン三世のことを知りませんでした。もちろん、次元大介のことも。ただ今回、実際にその2人を目の当たりにして…すごいとしか言いようがありませんでした…私はもっと、磨かなきゃいけないと思ったんです…動けない千束の分まで…そのために…」

「…おい待て…たきな、お前何を考えてるんだ…」

 

たきなの話の途中でフキが声を上げた。

何かを感じたらしい。

 

「…私は、しばらくリコリスを抜け、次元大介に師事しようと考えてます」

「たきな!お前…敵に寝返るつもりか!」

 

フキはもちろん声を荒げた。

今回の事件で完全に敵とみなした相手の元へ行く…それはリコリスの敵のはもちろんのこと、日本中を敵に回すと同等の意味を指す。

たきなの発言は、到底看過されるものではないのである。

 

「寝返るつもりはありませんし、リコリスのことを話すつもりはありません。ただ…あの人についていけば、何か掴めるような気がするんです」

「だからといって、ここを抜けてルパン達についていくことはないだろ!」

「それでも私は…このままではダメだと思ったんです」

「だーかーら!!!」

 

と、たきなとフキで水掛け論になったところで…

 

「そこまでだ」

 

楠木が2人を止めた。

 

「…たきな。本当に抜けるんだな?」

「はい」

「…わかった。たった今から井ノ上たきなはリコリスから脱退処分とする」

「司令官!」

「フキは今は言葉を慎め」

「…はい…」

 

フキはヒートアップしてしまい、声を荒げてしまったが楠木に一蹴された。

 

「…本来なら、この場で処分することになるが、今だけ許そう。ここから先は…わかるな?」

「わかっています。それでは、失礼します」

 

たきなは踵を返してその場を後にした。

 

「…司令官…」

「今は放っておけ…千束をやられておかしくなったんだろう…」

「それにしても、向こうに寝返るなんて…」

「それが、あいつなりのやり方なのかもしれないな…」

 

楠木はふぅと息を吐いて外の景色を見た。

 

「…延空木の事件後、千束とたきなの絆はより硬いものになった。だからこそ、今回の件はたきなとしてはやるせないものだろう…」

「だからって…」

「それにたきなの離脱は()()()だ」

「想定内…ですか…」

「あぁ。お前には後で話しておくからあいつのことは放っておけ。それより千束の様子はどうだ?」

「撃たれたショックで気絶していますが、撃たれたのは右肩なので命に別状はないかと」

「そうか」

「しかし、銃を撃てないとなると、これ以上ルパンを仕留めるのは厳しいかと…」

「そこは心配いらない。ルパンのアジトと思しきところには目星を付けている」

「目星を…ですか?」

「あぁ。あとはある人の力を借りることになるがな」

 

楠木はそう言うと、とあるファイルを手に取ってフキに渡した。

そのファイルの中にあったのは、『銭形警部』のプロフィールであった…

 

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…都内某所…

アジトに着き、一息ついていたルパン達は一夜あけて、泥棒の成功の打ち上げを行った。

 

「ふぃぃ…やっぱビールはうめぇや」

「こりゃたまらんな」

 

2人で仲良く缶ビールを片手に、すき焼きを囲って食べていた。

 

「しかし、それが本当に『不老不死の薬』のありかがわかるのか?」

「さぁな…でも、不二子ちゃんのためなら何だってするからね!」

「全く…毎度のことながら不二子のことになりゃ…」

 

と、2人で談笑していたが、ルパンが徐に指を立てて静かにするようにジェスチャーを送った。

 

「…どうした?ルパン」

「…妙だな…日が昇ってるのにやけに静かだ」

 

不気味な静かさを感じたルパンは、静かに外の様子を覗いた。

 

「…リコリスか?」

 

次元は知ったこっちゃないと言わんばかりに、卵を割ってかき混ぜる。

 

「あぁ…しかも包囲してやがる…」

「こりゃ絶体絶命だな」

「全くだぜ…ちと煽りすぎたかな」

「煽りすぎくらいがちょうどいいってもんよ」

 

ルパンも自分の席へ戻り、すき焼きを頬張った。

 

「しかし、包囲してるのになぜ突撃して来ないんだ」

「おそらく、何かきっかけを掴もうとしてるんだろ…監視社会とはいえ、ここまで戻るのにAIすら騙せるジャミングをたくさん使ってるんだ」

「お前が開発したやつだろ?」

「だから、これで少しでも時間稼ぎになってくれりゃ…」

 

と、ルパンが話した次の瞬間…

 

「おい、ルパン!ここにいることはわかってるんだぞ!」

 

聞き慣れた声が玄関から聞こえてきた。

 

「おいおい、こんな時にとっつぁ…」

 

と、呆れたルパンだったが、突如何かを察した。

 

「…マジかよ…」

 

ルパンは冷や汗をかきながら呟くのだった…

 

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