ひねくれ元・防御術士はなにもしたくないのに   作:oomaguro

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第二十二話 戦闘配置だ!あるいはお前らどこから観てんの?

 

「お、あった。【No.361】……またはずれか。んっ、まだ反応があるな。あっちの木の根元の隙間、あっちの崖下、多分穴が開いててその中。それからあの一番高い木の枝にある鳥の巣」

 

わたしは目を閉じて集中し、反応があった場所を伝えていく。

 

最初の一つ見つけてしまえばあとは簡単だった。似た魔力反応が出ている場所なら、たいして集中せずとも魔力探知でひっかけられる。範囲こそそこまで広くないが、わたしの探知閾値の低さはキラザのパーティの中でも一番だった。

 

「了解!行ってきまーすっ!」

 

キリエがいい返事とともにダッシュしていき、ほどなくして両手に宝玉を抱えて戻ってきた。たまに命の危険があるような場所に隠されている分、こいつの瞬間移動能力は重宝する。

 

20メートル以上ある木の頂点であろうと、断崖絶壁であろうと、瞬間移動で宝玉を取って戻って来れるもん。つよい。つよいけど、なんかギルマスの意図してた攻略法じゃない気もする。

 

こいつこのイベントに対する適正高くね。

 

「はいっ!ただいまっ!うん、大量大量!」

 

キリエが額の汗を拭って、爽やかに笑う。

 

「お疲れ。水飲む?」

 

「ありがと!んぐっ……んんーっ!沁みるっ!」

 

微妙におっさんくさい台詞以外は、アイドルが出ているスポーツドリンクのCMみたいな清涼感だ。

それをぼんやりと眺めながら、

 

「キリエにこんな特技があったとはな。お姉さんびっくりだよ」

 

「えへへ!身体強化術式だけは昔から大得意なんだよね。でもこれくらい、普通だよ。そんなのよりミーちゃんのその……特技?スキル?魔力探知の能力どうなってるの?固有術式?」

 

「あぁ。これは昔、ちょっと必要に駆られて」

 

キラザのパーティにいた頃、全く戦えないのに魔王領の高ランクダンジョンに連れていかれたおかげで、数十メートル限定でならかなり小さい魔力の痕跡でも拾えるようになったのだ。

 

気配を消すタイプの魔物や即死トラップをいち早く見抜くためで、範囲が僅か数十メートルなのは、それが即死する前にエルヴィンの後ろに隠れられるギリギリだからだ。

 

「そ、そうなんだ……ミーちゃん、ぽへーっとしてるのにたまにえげつないスキル発揮するよねぇ。偉いっ!さすが!」

 

「へいへい、どうも。だから子供扱いはやめろってば……えぇいやめろ。撫でるな」

 

なんなんだこの年下は。なんで年上の頭をそうも自然な流れで撫で散らかせるんだ。ムリに振り払うと余計に面倒くさいことになるのが目に見えていて、結局なすがままになる。

 

「キリエ。わたし、そんなにぼやっとしてるかなぁ?」

 

光の全肯定キャラのこいつにそう言われると、さすがにちょっとへこむ。

 

「ぼやっとしてないよ!ミーちゃんはがんばってるしあとかわいい!」

 

「いや、そういうのじゃなくて……あぁもう一回離せこの!」

 

力まかせにキリエの腕をいい加減振り払って、丁度その瞬間だった。

 

わたしの魔力探知の範囲に、『新たに一つ、反応が増えた』。それも、かなりの速度でわたしたちのほうに向かってきている!

 

わたしは懐からレンタル品の銀の短杖を取り出し、

 

「キリエ、構えろ。なんか来てる」

 

「……っ、うん」

 

------

 

「マスター、マスターが予想されていた通り、宝玉の収集速度が明らかに速いペアがいくつか。追尾魔術のログからも、宝玉の場所が予め分かったうえで行動していると思われます」

 

「ほっほ!そうじゃろうよ。敏いものならあの説明で宝玉が魔力探知出来る類のマジックアイテムと気づくじゃろう。魔力探知はダンジョン冒険者の必須スキルじゃて。何?むしろできてない奴おるの?」

 

「また煽って……だいたい、あんな米粒みたいな魔力、一般冒険者にどうやって追えと」

 

「ふむ、秘書よ。おぬしは追えるじゃろ?」

 

「秘書(わたし)は秘書(ひしょ)なので、当然です。この程度できねば秘書(わたし)は秘書(ひしょ)を辞めねばなりません」

 

「秘書よ、ルビめんどくね?あとよく噛まんの、それ」

 

「ただ、参加者の中でそれらしき動きをしているのは100組中たったの十数組ですね。これは確かに、なげかわしい」

 

(無視……) 

 

「今回はノアさんも参加されていませんし。あの人はどこで何してるんでしょうかね」

 

「エルゼア領のか。どうぜまたぞろ面倒事に自分から首をつっこんでおるんじゃろうて。で、今んとこ順位はどうじゃ?」

 

「は、宝玉の獲得数は、【キラザのパーティ】からA級シュリ・イレイナペア、34個。【王立ギルド本部】からA級レイノルズ・マリーペア26個、B+級サザン・ミレニアペア25個。【ナザングル合同ギルド】からC級ハル・イージスペア19個。ま、その下も名のあるB級、C級が順当に上がってきてますね」

 

「なんじゃ、つまらんのう。というか、王立ギルドに負けるのだけは許さんぞ。あいつらにこれ以上資源を持っていかれてたまるかい」

 

「それは例年の仕掛けで、なんとでも」

 

「うむ、よい。で、掘り出し物はおるかの?」

 

「お待ちください。秘書探します」

 

「うむ……いや待った、それ一人称なの!?」

 

「秘書は秘書です。そうですね。冒険者ランクのわりに、というのであればこの、第11位。【ナザングル合同ギルド】から、F級キリエ・ミーシャペア。現在獲得数は……9個、いや10……12個になりました。

宝玉の少ない【郊外エリア】で、現状一つも逃さず宝玉を発見しながら移動しています」

 

「ほっほ!F級で11位にまでつけるか!ええのうええのう!!……ふむ?しかし、ちょい待ち。ミーシャといえば【キラザ】の坊主が追放した娘か?あのわけのわからん青色使いの」

 

「ミーシャ・ゼレンディアは【静香の森】でギルドカードの消滅が確認されています。本人も絶望的かと。このFランクの少女はミーシャ・ラッシュライフ。例の『黒幕』ミーシャとは魔術紋レベルで別人……とのことです」

 

「ほっほう、成程のぅ。ま、よい。ま、今期は全体に探知能力は課題ありじゃな。さて、諸君。宝を探すだけでは冒険者は務まらんぞい。次は戦闘スキルのチェックといこうかの!」

 

「おやマスター、意外と考えられているのですね。宝探し大会の意図は、ナザングルギルドの現状把握ですか」

 

「ん?何が?対人戦眺めてるのってウキウキしねー?魔物ばっかりじゃ飽きるて」

 

「…………はぁ、ほんとに、この人は。秘書うんざりです。秘っ書り」

 

「謎のオノマトペやめてくんね?感情が読み取れんのよ」

 




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