ウルフウッドアーカイブ   作:タニシ・トニオ

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04_鬼札VS鬼札

 

 

 ” モモイ…… ”

 

 モモイの頬をそっと撫でる。しかし、モモイはその目を開けることはない。

 アリスが暴走したあの日、その騒動に巻き込まれたモモイは意識を失った。設備の整っているシャーレの医務室で診ているものの、それからまる二日か経過した今も、モモイの意識はまだ戻らない。

 

 不幸中の幸いか、ウルフウッドが速やかにあのロボットたちを破壊してくれたおかげで、モモイ以外は無事だった。気絶させたアリスも目を覚ますといつものアリスに戻ってくれて、一応事態は落ち着いたが……しかし、事件が解決したわけではない。

 

 あの事件に至る経緯はヴェリタスの皆が教えてくれた。マキがゲームのアイディアになるかもと、私達に連絡していた正体不明の機械……「不可解な軍隊(Divi:Sion)」を見せるためにゲーム開発部を呼んでいたらしい。そして「不可解な軍隊(Divi:Sion)」に接触したアリスの様子が一変し、暴走を始めたのだという。また、ミドリが言っていたことだが、その時にモモイが持っていた「G.Bibleをダウンロードしたゲーム機」が急に起動していたらしい。

 

” ……そうだ、なんで忘れていたんだ。G.Bibleと一緒に<key>というフォルダを仕込んでいたあの機械の名前を…… ”

 

 廃墟で見つけた「Divi:Sion System」、きっとそれも関連しているのだろう。ただミドリの話を聞いて再度ゲーム機を確認したが、それは電源すら入らずまるで空っぽになってしまったかのようにうんともすんとも言わなくなっていた。謎は残ったままだ。

 

 ちなみにヴェリタスが回収していた「不可解な軍隊(Divi:Sion)」は元々ある程度破損していた個体群だったらしく、そのせいで反応が弱かったため見逃してしまい、ミレニアムへの侵入を許してしまったものだとリオから説明と謝罪があった。ただ、この事故に関してはリオは悪くないと思う。彼女は懸命に動いてくれていたし、何よりこれほどの予兆があって感づけなかった私に、彼女を責める資格はない。

 そう、悪いのは私だ。アリスにちゃんと説明していれば、「Divi:Sion System」のことを思い出していれば、マキからの連絡をもっとちゃんと聞いていれば……モモイはこんなことにはならなかったのかもしれない。もしもあの時、と後悔ばかりが頭をよぎる。

 

――そんな思考が渦巻いていた時だった。お尻に衝撃が走り、前のめりに倒れてしまう。

 えっ、蹴られた? 

 

「お前なぁ、葬式と葬式と葬式がいっぺんに来たよな顔してくさりよって……アホちゃうか。まだ誰も死んでへんっちうに」

 

” ……ひどいなぁ…… ”

 

「ひどいなぁって……なにがじゃこのボケぇ! お前の葬式にしたろか!? 」

 

” あだだだだだだッ! ”

 

 ウルフウッドがパニッシャーで私の背中をグリグリしてくる。

 

「あれはどないにもならんかった事故や! それなのにいつまでもウジウジウジと、大人がキショイっちうねん! 泣きたいのはお前ちゃうねんぞ! 」

 

 ウルフウッドの一言に我に返る。確かに彼の言う通りだ。今回の事件で一番傷ついているのはゲーム開発部の子達だろう。私は大人として、先生として、彼女たちのために何かできることをするべきだ。

 

「ハッ……少しはマシな顔になったか。ほれっ」

 

 パニッシャーをどけたウルフウッドが私にヘルメット投げ渡す。

 

「お前もミレニアムへ行くんやろ? ついでに送ったるわ」

 

” ……『お前も』って? ”

 

「リオから連絡あってな、あの機械の取りこぼし処理するのを手伝ってくれっちう依頼や。見逃しあったのはワイらの責任でもあるしな」

 

 ウルフウッドだって後悔が無いわけじゃない。それでも自分のできることをやろうとしてくれている。

 

” ……そっか。私はゲーム開発部に行くよ。モモイの容体を伝えるのと……アリスに本当のことを話そうと思う。その上で、どうすべきかを一緒に考えるよ。一番混乱しているのは多分アリスだから ”

 

「ま、せやろな。そうと決まったら、ほな行くで」

 

 私は再びウルフウッドのバイクのサイドカーへと乗り込み、ミレニアムに向かった。

 

◇ ◇ ◇

 

 前と同じところでリオから作戦の指示を受け、再び廃墟へと向かう。事前にAMASで廃墟をしらみつぶしに探索していたらしく、敵の残党が残っとると思われるポイントにワイとC&Cが向かって対処するという作戦やった。

 そしてなぜだかワイとネルが組まされ、あるポイントへと向かわされる。いくら何でも過剰戦力やろと文句を言うたが、「デカい反応があるから念のため二人で行ってくれ」と言われ渋々とそこへ向かうことになる。隣にいるネルも気に入らんのか終始不機嫌そうにだんまりやった。

 

「……ここ、ちゃうんか? なんもあらへんやんけ。道間違えてもうたか? 」

 

「いや、ここで合ってるぜ、エセ牧師」

 

「ん? 」

 

 ここにきて初めてネルが口を開く。が、どこか様子がおかしい。

 

「合ってるて、なんもあらへんやんけ? 」

 

「ああ、リオが言ってたデカい反応ってやつか? すまねえ、それは嘘だ。まあデカい獲物がいるっていうのはあながち間違っちゃいねえがな……」

 

「はぁ? なに言うてんねん? 」

 

「……一つ聞かせてくれよ」

 

 ネルがワイの疑問を無視して喋り出す。

 

「リオからよ、あのチビのこと聞かされた。ぶっちゃけ何言ってるのか半分も理解できなかったけどよぉ、どうもあのチビがあの変な機械をミレニアムに呼び寄せてるっていうことは、まあわかった」

 

「……らしいな」

 

「……それは、あのチビが望んだことなのか? 」

 

「それはちゃう。アリスはそないなこと微塵も思っとらへん」

 

「やっぱりか…………気に食わねぇ」

 

「は? 」

 

 ネルから殺気が漏れ出す。その矛先は、確かにワイに向けれられている。

 

「だから気に食わなねぇって言ってんだよっ!! そこまで分かってて、なんであのチビ殺して『はい解決』になんだよっ!? ふっっざけんじゃねーぞッ!!!! 」

 

 間近で爆弾が爆発したかのような圧がワイにかかる。いや、意味が分からん!

 

「ちょい待てや! お前さっきからホンマ何言っとんねん!? 」

 

「しらばっくれんじゃねぇぞエセ牧師! リオから聞いてんだよっ! てめえがあのチビ殺そうとしてるのを!! 肉声の証拠付きでなぁ!! 」

 

「はぁぁぁぁ!? ちょい待てッ、誤解やッ! 」

 

「うるせぇっ!! 言い訳は病院で聞いてやるよぉ!! 」

 

 ネルがワイに銃口を向け、発砲する。戦いの火ぶたが切って落とされてもうた。とっさにパニッシャーで銃撃を防ぎつつ声をかけるが「うるせぇ‼ 」の一言で会話にならへん。完全にブチ切れとるやんけ、ネルの奴。これ説得無理なパターンやん、クソッたれ。ワイが何したっちうねん。

 

 ネルが跳躍し、ワイのすぐ横にまで迫る。――速い。速さだけならリヴィオ以上やぞ、これ。振り払うようにパニッシャーで殴りつけるが、それもすんでの所で躱される。同時に引き抜いとったハンドガンをネルの額に突きつけるが、ワイの額にも同時にネルのサブマシンガンが向いとった。

 

――数発の銃声が響く。

 

 互いに額の皮一枚で弾丸を躱し、体制を崩す。ウルフウッドがその体制の崩れを勢いに変換し、ネルへ回し蹴りを放った。ネルは両腕でそれをガードするが、互いの重量差からネルが大きく吹き飛ばされてしまう。距離が開き、仕切り直しの形となる。

 

 ……手加減できる余裕があらへん。ホシノといい、チビの三年生は強いっちう法則でもあるんか? なんでGUNG-HO-GUNS レベルがごろごろおんねん、キヴォトス(ここ)は?

 しかも最悪なことに、ネルとワイと相性は最悪や。パニッシャーという兵装の特性上、接近戦は不利。対してネルの戦い方、身のこなし……あれの十八番は接近戦やろ。あのレベルの接近戦を捌ききるのは至難の技や。しかもチビやから的もちっさいし、やりづらいことこの上ないわ。

 

 ネルが起き上がり、笑みを浮かべる。歯を見せながらのそれは、さながら猛獣の威嚇のようにも見えた。第二ラウンドが開始される。

 

 ネルの奴がさらにギアをあげてワイの周りを飛び回る。せやろな、ランダム回避しながら接近戦に持ち込む……正解や。ワイには逃げて距離を開けるっちう選択肢を選ぶことも出来へん。……丁度ええわ。訓練の成果を発揮するには、丁度ええ危機感(塩梅)や。

 

「……ええで、ネル。お前の一切合切、迎撃したる」

 

◇ ◇ ◇

 

 肌がひりつく。こんな感覚を味わったのはいつ以来だ? 確かにあの間合いはあたしの間合いだった。エセ牧師の得物じゃ接近戦は不利なのも明白だ。なのにあの野郎は凌ぎやがった。

 あのチビと喧嘩した時もあのチビが得物を鈍器代わりに振り回して反撃してきたが、それとは比べ物にならない反応の良さだ。攻撃躱した先にハンドガン置くとか、どんな経験したらできんだよ。あたしの攻撃タイミングだって確殺だったはずなのに、それすら躱して蹴りまで入れてくるとかどんな体幹してやがる。

 認めたくねーけど、マジでつええ。「負ける可能性」が頭をよぎるぐらい、この野郎は強い。誇張なしで今までで最強の相手だ。

 

――でもよぉ、負けるわけにはいかねぇ。あのチビ殺すとかぬかす相手に、先輩として、コールサインダブルオーとして……負ける訳にはいかねぇっ! 

 

 愛銃を握りしめる。蹴りを食らったしびれはもう無い。最初からトップギアだ。足元の瓦礫を踏み砕きながらあいつの周りをランダムに跳躍する。その重い銃身じゃ狙えねえだろ!? このままハチの巣にして、隙を見せた瞬間に残弾斉射叩き込んでやる。

 そう思っていた時だった。あいつがパニッシャーをまるでバトンみたく振り回し、同時にあたしの足元が爆ぜる。パニッシャーの銃口がこっちを向いていた。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(まさかやぶれかぶれの乱射でもしてんのか? )

 

 しかしその考えはすぐに誤りだとわかる。次の着地点でも、その次の着地点でも、あたしの近場が爆ぜ、パニッシャーの銃口も向いていた。気づけばあたしが動いてかく乱しているのではなく、パニッシャーの銃撃からあたしが逃げているという構図に状況が書き換わっていた。

 

 ついにパニッシャーの銃弾がネルの足を掠る。

 

(嘘だろ!? あり得ねぇ、段々と精度まで上がってやがる!? 化け物かよっ!! )

 

 これは今のウルフウッドだからできる芸当だった。元々、彼には下地があった。目が見えなくなってもGUNG-HO-GUNSミッドバレイを追い詰めた闘争への嗅覚。食らった技を、相手の動きを、癖を、呼吸を、覚えて対応するミカエルの眼としての性質。そこにヘイローにより強化されたフィジカルが加わり実現した迎撃術。

 マスター・チャペルの存在を知ってから特訓していた、あらゆる方向からの敵意に対応するために研鑽していた力が、ネルという驚異を前にして花開く。

 いかにランダム回避と言えども、人は無意識に指向性を持ってしまう。その癖を、呼吸を読むことができれば視界に捉えなくとも相手を補足することができる。そして強化された膂力と優れた体幹を十全に使いパニッシャーを補足先へ向ける。その迎撃術はネルですら追い詰めていた。

 

 ネルの体に段々と銃弾のかすり傷が増えていく。

 

 不味い、このままだとジリ貧になるのはあたしの方だ。もはやこっちが攻撃する暇すらない。瓦礫に身を隠してもアレの攻撃力の前じゃ盾にもならない。……腹を括るしか、ねえ。

 

 ネルは逃げ回りながら自身の左腕に愛銃の鎖を巻き付ける。そしてランダム回避を止め、鎖で防御力を上げた左腕を盾にして真正面からウルフウッドへと突撃する。

 

(左手はくれてやるッ! )

 

 容赦なくパニッシャーの銃撃がネルの左半身に浴びせられる。

 

 痛え、すっげえ痛え。左手もバキバキだなこりゃ。()()()()()()()()。時が圧縮される感覚がする。あと一歩分であたしの間合いだ。

 

(叩き込んでやる……! このクソ野郎にっ! あたしらの後輩に手を出すってのがどんなことかをなぁ!)

 

 

 パニッシャーの銃撃が止み、ネルが右手のマシンガンをウルフウッドに向けようとする、その刹那だった。ネルの眼前にロケットランチャーの弾が映る。ネルは反射的に前に出していた右手でそれを弾いてしまう。

 

(なんだ? 今のは? こんな距離で爆発したらあたしら二人とも無事じゃ……)

 

「あれに反応できるなんて大したものやで」

 

 ロケットランチャーを弾いた一手の遅れ、ネルはその隙を突かれパニッシャーによって地面に押しつぶされる。

 

「がぁッ!! 」

 

「とりあえず眠っとけ」

 

 そしてウルフウッドはネルを押し付けているパニッシャーの持ち手の隙間にハンドガンを差し込み、ネルの胸部に一マガジン分の銃弾を食らわせた。

 

 ハンドガンの発砲音の後、静寂が訪れる。

 

「……お前ガキのくせに強すぎやぞ。ホンマに手加減できへんやったやないか」

 

 ウルフウッドがパニッシャーをネルから離し、それを肩に抱えながらネルを見下ろすように立つ。

 

(……クソ、体が動かねぇ。あたしの負け、なのか……? )

 

「……ふざっ、けんじゃねぇ、ぞ……エセ、牧師……」

 

「お前根性ありすぎやで。でももう体も動かへんやろ、お前の負けや。大人しくワイの話を……」

 

「まだ、負けてねぇ」

 

「いや、お前なぁ……そもそもワイらが戦う必要も無いねんぞ。誤解や言うとるやろが」

 

 エセ牧師が何か言っているみてーだが、よく聞こえねぇ。少しでも気を抜いたら意識を失いそうな状態だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(まさか念のためにアカネに仕込んでおいてもらった仕掛けを使うことになるとはな。確かにテメーは強ええよ、エセ牧師。でも……)

 

「……勝つのは()()()()だ」

 

「だから何言って……」

 

 ポケットに隠し持っていたスイッチを押す。事前にアカネに仕掛けておいてもらった、この場所の直下にある地下施設の構造体爆破スイッチ。万が一戦闘で敵わなかった場合に、あたしごとエセ牧師を生き埋めにするための危険な最終手段。

 地下から爆発音が聞こえ、地響きが始まる。

 

「おい、今何した!? なんや様子がおかしいぞ!? 」

 

 狼狽えるエセ牧師を逃がさないよう、最後の力を振り絞ってエセ牧師の足にしがみつく。

 

「わりーがテメーも道連れだ。地の底まで付き合ってもらうぜ」

 

「はあっ!? 何してんねん!? ちょっ……」

 

 次の瞬間地面が崩落し、それによる轟音と巻き上がる土埃に二人の声と姿は埋もれてしまった。

 

◇ ◇ ◇

 

 ぽたりと、生ぬるい液体が頬をなぞる。その感触で目を覚ました。どうもあたしはさっきまで気絶してたみてーだ。目を開けるが真っ暗で何も見えない。体の痛みで頭がガンガンするが、右手はかろうじて動かせそうだ。

 

――そこで違和感を覚える。

 

 あたしは確かさっき起動させた仕掛けで生き埋めになってるはずだ。なのになんで体を動かせる? 本来ならあるはずの圧迫感が無いのはなんでだ?

 

「……ようやく目が覚めたみたいなや、このボケ」

 

 あのエセ牧師の声が頭上から聞こえる。暗闇に慣れた目が捉えたのは、パニッシャ―を支えにして瓦礫からあたしを守ってくれていたエセ牧師の姿だった。その姿は瓦礫を一身に受けていたせいかボロボロで、中の白かったシャツは血が滲んで見る影もない。さっきあたしの頬をなぞった液体はエセ牧師の血だったらしい。

 

「……なんでそこまでしてあたしを助ける……? あたしは敵だぞ? 」

 

「なんでもクソもあるかこのドアホッ! あのまま埋もれとったらお前、死んでもおかしなかったんやぞ! 」

 

 エセ牧師が叫ぶとともに、その口から血が数滴飛んでくる。内臓もやられてんじゃねえのか、お前? なんで、なんでそこまでできる……

 

「……なんで、なんで()()をあのチビに少しでも向けてやれねえんだよ……ッ」

 

「だから誤解やゆうとるやろがこのボケッ!!! 話を聞け!! 」

 

 自身のダメージをまるで気にしてないようにエセ牧師が叫ぶ。狭い空間で叫ぶなよ、耳がキンキンするだろうが。

 

「なんなんだよ一体? なにが誤解だってんだ? 」

 

「……頭に上った血が抜けて少しは聞く耳持てるようになったか。遅すぎやっちうねん」

 

「うるせえな、良いから話せよ! 」

 

「チッ、……あんなぁ、お前がリオに聞かされた話は恐らく肝心なところが抜けとんねん。確かにワイは言うたで、一番確実なんはアリスを殺すことやってな。でもな、それには続きあんねん。『ただそれでもシャーレとして、今はその方法は無しや』ってな」

 

「……ちょっと待て、そんな話聞いてねーぞ!? 」

 

「お前リオからなんて言われたんや? 」

 

「あたしは……あのチビの説明受けて、それでてめえがあのチビ殺そうとしてるって聞いて……どうするか聞かれて……」

 

 そうだ。それでエセ牧師をとっちめるって答えて、偽の任務で爆弾仕込んだこの場所に呼び寄せてタイマンを挑んだ。だがエセ牧師の言葉が本当なら、このタイマンはリオがそうなるように仕向けてたことになる。……なんでだ? あいつは無駄なことはしない。やることはいつもあいつなりに意味のあることだ。この戦いは何のために仕向けられた? ……まさか、

 辛うじて動く右手でインカムを起動し、リオに繋ぐ。

 

「おいっ、リオ! 応答しろ! 答えやがれっ、リオ!! ……くそ、応答しねぇ! 」

 

 嫌な考えが現実味を帯びてくる。通信をC&Cのメンバーに繋ぎなおす。

 

「おい、お前ら! あたしらの掘り起こし急いでくれっ! リオの奴、裏切りやがった! 」

 

<エッ、どういうこと、リーダー!? >

 

<会長が裏切ったとはどういうことですか? >

 

 他の隊員が驚きの声を上げる。あたしだって信じたくねえ。でも、そうとしか思えねぇ。

 

「おい、どういうことやネル!? 」

 

「……お前の言ったことが本当だとして、じゃあなんでこの喧嘩をあいつが促したと思う? 」

 

「……まさか」

 

「ああ、邪魔だったんだよ、あたしらが。……あのチビ狙ってるのは、リオだったんだ」

 

◇ ◇ ◇

 

 爆発と同時にワイらを掘り起こしに来てたのか、あの後間もなくC&Cのメンバーがワイらを掘り起こしてくれた。ただ被害は甚大や。ワイらは満身創痍、おまけにパニッシャーはネルを瓦礫から守るための盾にしてたせいでオシャカになっとる。こら後でリオに治療費と一緒に修理費も請求せなあかん。

 

「おしっ、リオのとこ行くぞ! 」

 

「その前にリーダーは治療が先決です! ウルフウッドさんもですけどボロボロじゃないですか!」

 

「いらねぇよ! リオを取り逃がしちまうだろ! 」

 

「駄目です! そんな状態でどうするつもりですか!? 」

 

 ネルが空元気で先走ろうとするが、アカネに取り押さえられて応急処置をされとった。確かにワイの攻撃で少なくとも左腕は折れとるやろうし、そもそもパニッシャーの銃撃直撃して辛うじてでも動けるのがおかしいねん。

 

「さ、ウルフウッドさんもこちらへ」

 

「ん、おおきに」

 

 アカネがワイも呼び寄せて応急処置を開始する。

 

「……すみませんウルフウッドさん。私達もあなたのことを敵だと勘違いしてました」

 

「別にかまへんわ、リオがそう仕向けたんやろ。ちゃっちゃと治療済ましてリオのとこ……」

 

 そこまで言いかけたところでワイのスマホの着信音が会話を遮る。どうやらセンセからモモトークが届いとるみたいや。スマホを取り出しメッセージの内容を確認する。

 

「……チッ、アカン、遅かったか。ネルの手当ては済んどるんやろ? ミレニアムに急いで戻るで」

 

「あ、ちょっと! まだ貴方の手当てが済んで……」

 

「そんな暇もなさそうやねん」

 

 懐から『三本』ある内の『一本』を取り出す。これ使うの二年ぶりぐらいか? まだ消費期限は問題ない、よな?

 

 ウルフウッドは懐から一本の試験管を取り出し、中に入っていた液体を飲み干す。するとすぐさま彼の体が反応を起こし、肉と骨がうごめく異音と蒸気が発生した。

 

「それは一体……傷が……!? 」

 

 アカネが信じられないようなものを見たようにつぶやく。ウルフウッドの傷がまるで動画の早送りでも見ているかのようにみるみると塞がっていく。

 

「ワイ専用の特効薬みたいなもんや。それより急ぐで」

 

 ウルフウッドが自身のスマートフォンの画面を見ながら告げる。その画面には先生からのメッセージが映っていた。

 

<” リオがアリスのヘイローを破壊するって、アリスを連れ去ってしまった ”>




相変わらず戦闘描写が難しい……
キヴォトス最強クラスとウルフッドのバトルでしたが、キャラの強さのイメージが読んでいただいている皆さんのイメージと齟齬が少ないといいのですが。

ちなみにウルフウッド、実は回避とパニッシャーでの防御が異常に上手いだけで実は素の耐久力は一般生徒に毛が生えた程度しかない設定です。なので建物崩壊の瓦礫が直撃したら相応の怪我を負ってしまいます。根性で耐えてるだけ。

ネルが少し短絡的過ぎたかな……とはちょっと思ったのですが、「後輩が理不尽に殺される」って聞かされたら頭沸騰するタイプかな? と思って今回のような内容にしました。

>なんでGUNG-HO-GUNS レベルがごろごろおんねん
ちなみにこれ、GUNG-HO-GUNSに匹敵する生徒がおかしいのか、キヴォトスの生徒に人の身でありながら匹敵以上の力を持つGUNG-HO-GUNSがおかしいのか、どっちなんでしょうね?
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