過去の話の誤字報告があったりして、「あ、いまでも新しく読み始めてくれている人がいるのだな」と嬉しく思うところがあるのですが、それ以上にもう一度最初から読み直した方がいいのでは……?と思う次第です。
先入観抜けてきたあたりで読み返して誤字修正漏れないか確認しなければ……
「……結局、会長がアリスを連れて行ったんだね」
「ねぇ……これって結構ヤバいんじゃない……? 」
「はい、非常事態です」
ハレ、マキ、コタマが神妙な面持ちをする。彼女たちはアリスが暴走したあの事件のことが気になりゲーム開発部を訪れていた。そこで先生達と合流し、アリスが連れていかれた現状の説明を受け今に至る。
ミドリが泣き顔のまま先生に尋ねる。
「……先生、アリスちゃんは……会長の言う通り、本当に……『魔王』なんでしょうか? 」
ユズも力なく先生に聞く。
「……わたし、には……よく、わかりません……。アリスちゃんは行ってしまったけど、それは……本当にアリスちゃんの気持ち、だったのか……ちゃんとお話し、したいです。か、会長にも……アリスちゃんは『魔王』なんかじゃないって……言いたいです。……先生、私達、は……どうすればいいんでしょうか……? 」
二人と一緒にヴェリタスのメンバーも不安げに先生を見る。友人が世界を滅ぼす「魔王」で、自分たちを傷つけたくないからと去ってしまった。そのショックと過多な情報に彼女たちは混乱していた。先生は彼女たちを見据え、ゆっくりと喋り出す。
” ……リオの言っていることが正しければ、アリスは確かに世界を滅ぼすために作られた兵器かもしれない。確かに、この前の事件がそれを証明づけているかもしれない。……でも、私はアリスが『魔王』になることを望んでいるとは思えない。アリスはアリスだ、彼女が『魔王』を望まないのであれば、なりたいものになって欲しい。進みたい道を進んでほしい。……ここで、未来を諦めないでほしい。そう思ってる。だから私はアリスを連れ戻しに行こうと思う。……君たちは、どうしたいかな? ”
「……私も行く!! こんなお別れ嫌だ!! 納得できないもん! 」
「私も、嫌です。また、アリスちゃんと……ゲーム作ったりしたいです。一緒に行きます! 」
ミドリとユズが涙をぬぐいながら答える。
「あたしらも協力するよ! ……この間の事件のキッカケ作っちゃったのあたし達だし、会って、アリスちゃんに謝りたい。それでまた一緒に遊びたいから! 」
マキを筆頭にヴェリタスのメンバーもアリスを連れ戻しに行く意思を表明した。
その直後、後ろから良く通る声が響く。
「おう! お前らよく言った! あたしたちも行くぜ! 」
皆がその声の元へ視線を向けると、そこにはC&Cとウルフウッドの姿があった。
” ネル! ……って、どうしたのその怪我!? ボロボロじゃない!? ウルフウッドも血まみれだし……大丈夫!? 一体どうしたの!? ”
「リオにハメられてエセ牧師と喧嘩しただけだ。それよりもリオのとこ行くんだろ!? あたしらも……アダダダダダッ! なにしやがるカリン!? 」
「お気持ちは分かりますがリーダーはお留守番です。こんなケガでどうするおつもりですか? 」
「別に問ダアアアアアッ、そこ摘まむんじゃねえ! 」
ネルの状態をよく見ると全身青あざだらけで、特に左半身が酷い有様だった。左手なんかは折れているのか仮固定されていて痛々しい。確かにこれじゃあ何もできないだろう。……病院行かなくて大丈夫なのかな?
「御覧の通りあのチビは留守番や。ワイと他のC&Cでリオのとこ行くで。……アリス連れ戻すんやろ? 」
” ああ。……でも、ウルフウッドも大丈夫なの? 全身血まみれだけど…… ”
「ん、これか。ワイは大丈夫や。ちょっと特殊な方法でな、ワイの傷はもう完治しとるから問題あらへん。どっちかっていうと問題はパニッシャーやな」
彼のパニッシャーを見ると、見るも無残にフレームがひしゃげていた。あの強固なパニッシャーが……一体どんな喧嘩したらこんなことになってしまうのだろうか……。
” と、とりあえずエンジニア部から『アレ』借りるしかないんじゃない? ”
「やっぱそうなるか。……あれビームの使い勝手が微妙やねんけど、贅沢は言ってられへんな……」
ウルフウッドがエンジニア部に連絡をする。私もリオの行き先を探るためユウカに連絡を取った。
◇ ◇ ◇
丁度エンジニア部が『スタンビード・パニッシャー』を持ってきてくれたあたりで、リオの行き先を調べてくれていたユウカとノアから連絡がくる。
<先生、リオ会長がアリスちゃんを連れて行った先が分かりました! お話を聞いて、まさかとは思ったのですが……まさか本当にセミナーの予算を横領していたなんて……>
” 横領? どういうこと? ”
<その……セミナーのデータベースから、削除された……意図的に隠蔽されていたような痕跡があるデータを調べたところ……>
なんだがユウカが言葉を濁す。少し言いづらい内容らしい。ノアが補足するかのようにその続きを話してくれた。
<予算の一部に不透明な流れを発見。それを追跡することに成功しました。それを追っていった先の場所がこれです>
ノアのホログラムがタブレットを操作するような動きをすると、二人のホログラムとは別の画像が映し出される。
” これは……都市? ”
映し出された画像は見たことも無い都市だった。ただ人の営みが感じられず、異様な雰囲気を醸し出している。
ユウカが画像についての説明を始める。
<データベース上から消去された資料を復元したところ、とある都市のデータを見つけたんです。コードネーム『エリドゥ』……リオ会長が秘密裏に建設していた『終焉に備えるための要塞都市』だそうです>
” 要塞都市『エリドゥ』…… ”
リオが造り出したモノ。その凄まじさからリオがどれだけ本気か伺うことができる。……だとしても、彼女がこれからしようとすることを認めることはできないが。
<一体……いつの間にこんな規模の都市を……。お金の流れを隠すことだって難しかったでしょうに>
「あ……」
ユウカの言葉にアカネが反応する。
「もしかして、先日のコユキさんの一件と関係があるのでは……? 」
<あッ!……コ~ユ~キ~! >
アカネの予想を聞いて私も思い出す。といっても当時は別の事件の対処に当たっていて私が直接関わったわけではなく、その事件で捕まり反省部屋に閉じ込められていたコユキ本人から聞くことになった話だが……。
確かセミナー名義でミレニアムの債権を大量に無断発行し、それを全部カジノで使ってしまった……という話だったと思う。しかもミレニアムが破産寸前になるまでの額を、とかいう大事件だったはずだ。
なるほど、それほどの金額が動いていたから横領の隠れ蓑には持ってこいだったということか。……アリスのことといい、目的のためなら手段を選ばなさすぎだよ、リオ。色々終わった後のリオとの面談事項にこれも追加しようと決めた。
ちなみに横でウルフウッドが「……金ってあるところにはあるんやなぁ。これの千分の一でもあればアビドスの借金返してもお釣り来るんやろなぁ……世知辛いで……」とぼやいていたが、それは聞かなかったことにした。
ユウカが話を戻す。
<と、ともかく、アリスちゃんはこの『エリドゥ』の中心部にあるタワーに連れて行かれた可能性が高いわ。ここの座標をお伝えしますね>
ユウカから私のタブレットに「エリドゥ」の位置情報が送信される。
<立場上、私たちがお手伝いできるのはここまですが……>
<お願いします……リオ会長を止めて、アリスちゃんを連れ帰ってくてください! >
” うん、任せて ”
ノアとユウカが通信を切る。とりあえずリオの居場所は判明した。後は……
「問題はエリドゥへの潜入方法だね。会長ならきっと、対侵入者用の防御システムを構築してるだろうから、何の準備もなく接近したら……『要塞都市』の肩書を実感する羽目になるだろうね」
” ……ウタハ、確かにその通りなんだけど…… ”
「ん、なんだい? 先生」
「いや、お前ら当たり前みたくおるけどええんか?ってセンセは言いたいんやで。ワイが頼んだのは『スタンビード・パニッシャー』のレンタルだけやし」
ウルフウッドの言う通りだった。これから私達が戦わなくてはいけないリオはミレニアムのトップだ。エリドゥの防衛機構の突破は単純に危険が伴うだろうし、ミレニアムでの今後の立場にも影響があるかもしれない。その点に関してはシャーレとしてできる限りのことをするつもりだが、それでもリスクがあることは否めない。故に、これからすることは安易に誘っていいことではない。
だがウタハは微笑を浮かべる。
「……もしかしてリオ会長と戦うことになることを心配してくれているのかい? それなら問題ないよ。私達にもリオ会長と戦う理由はあるからね」
” 戦う理由? ”
「リオ会長は、勝手にエンジニア部最大の発明品……『スーパーノヴァ』を奪っていったからね。うちのデータ実測を邪魔するなんて、それは越権行為に他ならないよ。リオ会長のしたことは事実上、エンジニア部に向けた宣戦布告ってわけさ。これはエンジニア部の部長として、到底看過することはできなくてね……」
ウタハがもっともらしい理由を述べるが、横にいたヒビキがウタハをじっと見つめる。
「……ウタハ先輩の恥ずかしがり屋」
便乗するようにコトリが私の横に来る。
「解説が必要ですか!? 」
” 大丈夫だよコトリ。ウタハが友達思いの優しい子だってことは知ってるからね ”
「そうやったな、お前ら頭良いけどバカやったな」
「ン、ン゛ン゛ッ」
ウタハが顔を赤くさせながらわざとらしく咳払いする。やっぱり『スーパーノヴァ』は建前で、本心ではアリスを助けに行きたいのだろう。リスクをとっても友達を助けに行きたいという思いがあるのであれば、協力してもらいたい。
「と、とにかくだね、私達エンジニア部も手伝うよ。私達なら『エリドゥ』への侵入ルートが分かるからね」
” そうなの? ”
「ああ。あれだけの都市だ。建設の『人手』ならリオ会長のドローンで事足りるだろうけど、『資材』となると話は変わってくる。それは外から運んでくるしかないからね。そしてミレニアム自治区の郊外には輸送用の無人列車がたくさんある。つまり、都市建設の資材をミレニアムから運んでいたと仮定するなら、その路線のどれかが『エリドゥ』と繋がっている可能性が高い」
” なら、その路線が分かれば…… ”
「ああ。そして、私達エンジニア部はそのインフラ整備に関わってきた。探せば詳細なデータが見つかるはずだ」
「そんならさっさと調べて『エリドゥ』に向かうで」
ウルフウッドがパニッシャーを抱えて立とうとする。……そうか、ウルフウッド達はまだ知らないんだ。
” ちょっと待って、ウルフウッド。あっちについてからどうするかも考えないと ”
「あ? あのAMASとか言う機械やったらいくら来たところで敵ちゃうぞ」
” それだけじゃなくて都市のセキュリティも相当だと思うよ。それに……リオ側にもC&Cが残ってるんだ ”
「は? C&C? ……ここにおるのが全員ちゃうんか? 」
私はC&Cへ尋ねる。
” みんなはトキっていう子を知ってる? コールサインゼロフォーって言ってたんだけど…… ”
みんなが首をかしげる中、アカネが口を開く。
「……そうですね、存在は知っておりました。コールサインゼロフォー。C&C所属でありながらリオ会長専属のメンバー、いわばリオ会長のボディーガード。……彼女を知っているということは、ご主人様はお会いになられたのですか? 」
” ……うん、取り押さえられて気絶させられてしまったよ ”
「えっ! ご主人様に手を出したんですか!? 全く、なんてことを……」
アカネが怒ってくれるが、問題はそこじゃない。……ウルフウッドも「ご主人様って、お前いつの間に……」って目を向けないでほしい。いや、その、そこじゃなくてね……
” えと、とにかくそのトキって子の実力は誰も知らないってことなんだよね? 警戒するに越したことはないと思うよ ”
「そうかぁ? いうて一人なんやろ? こっちはネル除いてもC&Cが三人に、ワイもおるんやで? 考えすぎちゃうか? 」
「……いや、警戒しといた方が良いと思うぜ」
ウルフウッドに警戒を促したのは意外にもネルだった。ウルフウッドも驚きを隠せず尋ねる。
「お前が言うほどなんか? 知らん奴なんやろ? 」
「確かにトキってやつには会ったことねえが……リオは博打をするようなヤツじゃねえ。そんなあいつがあたしって札を切っても手元に置いてる奴だ。少なくともリオの頭の中じゃ、その防衛都市とトキってのが揃ってりゃ、手負いのあたしたちには勝てる計算なんだろ。しかもかなりの安全マージンを持たせた上でな。作戦は立てて行った方がいいぜ」
” 私もその意見には賛成なんだけど……ネルが、『作戦』…… ”
「……んだよ先生?」
普段のネルのイメージとそぐわない言葉に、私もつい余計な言葉を零してしまう。
” ご、ごめん。ネルは正々堂々、正面突破ってイメージが強かったものだから…… ”
「あたしだって任務によっちゃやり方選ぶんだぜ。まあ今回は先生の言う通り正面突破だけどよ」
” え? 作戦を立てていくんじゃないの? ”
作戦を立てていくのに正面突破とは、どういうことなのだろうか。
「単純な話さ。要塞都市がリオの領域である以上、どんな方法で侵入できたとしてもその後のあたしらの動きは丸見えだ。だから変に策をこねくり回すより正面から突っ込んだ方が良い。……正確に言や陽動作戦か」
” 陽動作戦……? ”
「あのチビを救い出すにあたっての不安要素はトキってやつだ。だからまずエセ牧師を正面から突っ込ます。そうすりゃトキがエセ牧師の相手をせざるを得ないだろ。リオは勝てると見込んでるかもしれねえが、少なくともエセ牧師はあたしに勝ったんだ。そう簡単にやられはしねえだろ」
「そもそも負けへんっちうねん」
「で、エセ牧師がトキと戦ってる間に先生達であのチビを救え。基地の防衛機構があるだろうが、それはお前らがいれば問題ないだろ? 」
ネルがC&Cのメンバーに目配りすると、各々がそれに答える。
「了解した」
「もっちろん! 任せてよ、リーダー! 」
「ええ、先生達をアリスちゃんの元へ無事届けてみせます」
C&Cの皆がいてくれれば確かに心強い。それにリオとの付き合いの長いだろうネルの提案してくれたこの作戦が今回は一番いいだろう。
” そうしたら作戦は決定だね。まずは無人の貨物列車を利用して『エリドゥ』に侵入。そうしたらウルフウッドに先行してもらってトキを誘い出す。その隙に後発で私とゲーム開発部、エンジニア部、そしてC&Cで都市の防衛機構をかわしつつ、アリスの元へ向かう。ヴェリタスのみんなは遠隔で防衛機構のハッキングや目的地へのナビゲートで支援。……あとネルはこの後、医務室に行ってちゃんと治療受けること ”
「わ、わかってるよ! 」
軽く笑いが起きる。皆も気負い過ぎている感じはしない。良い感じだ。
” それじゃあ、作戦開始だ。リオを止めて、アリスを連れ戻しに行こう! ”
◇ ◇ ◇
エリドゥ内部の隔離施設、薄暗い牢獄の中にヒマリは捕らえられていた。そんな彼女の前にリオのホログラムが浮かぶ。
「……リオ、あなたがやっていることは本当に忌むべきことです。直視に耐えられません」
「……ヒマリ、貴女はいつも悪し様に私のことを罵るわね。陰気だとか浄化槽に浮かぶ腐った水だとか……そんな風に私を非難する事が出来るのは貴女くらいよ。……だから、そんな貴女なら、私がこれからすることを理解してくれるのではないかと、期待していたわ」
「アリスのヘイローを破壊する行為を、ですか? 」
「……」
「あなたは自分のする行いを、ミレニアム……ひいてはキヴォトスを守るための……そういった類の行為だと信じているのでしょうけれど……やろうとしていることは結局のところ、少女を誘拐して都市に監禁し、ヘイローを破壊しようとしているだけじゃないですか」
「その言葉は間違ってないわ。でも……いえ、そうね……貴女はそう考えているから、私のことが理解できず……許容もできないのでしょうね。……ウルフウッドも、先生も……」
「お二人にはちゃんと話したんですか? お二人はなんと? 」
「……ウルフウッドからは、まだその時ではないと……私にその判断をするのは早すぎると言われたわ。先生も、アリスはあくまで生徒だと……私自身の感情を無視するなと……そんなことを……」
「ちょっと待ってください。……本当にそう言われたんですか? ……まさかそれを言われた上で、あなたこんなことしてるんですか? 」
「え、ええ、そうよ……二人も、私のことを理解してくれなかったわ 」
その言葉を聞いてヒマリは片頭痛でも起きているかのように顔を歪め、頭を抱える。
「……あなたが人の感情を理解できないコミュ障なのは知っていましたが、まさかこれほどの唐変木だったとは……こんなに呆れたのは久々です。あのですね、リオ。『理解』することと『同意』することは違う意味なのですよ? 」
「?……分かっているけれど? 」
「分かってないでしょう、あなたはっ! 先生もウルフウッドさんも理解して、その上であなたをおもんぱかってくれてたんですよ!? それなのにその手を振り払って……ああ、あなたという人は……ッ。今からでも遅くはありません、アリスを帰してあげなさいな。どうせ先生達も来てくださるのでしょう? 」
「……それはできないわ。確かに先生達がアリスを回収しに来る可能性はほぼ百パーセント。ネルを退場させることはできたとはいえ、あちらの切り札であるウルフウッドは健在。それでも、私が目標を達成する確率は九十九パーセント以上よ」
「そういうことを言っているのではありません! 『ごめんなさい』してアリスを帰せと言っているんです! というかネルを退場って、あなた何したんですかっ!? 」
リオは視線を右下に逸らす。
「……もう話すことはないわ。切るわよ」
「あっ、ちょっと! 待ちなさ……」
リオが通信終了のボタンを押し、ヒマリの前からホログラムが消えた。ヒマリはその叡智極まる頭脳からリオへの罵声を絞り出すが、それは空しく独房に響くだけだった。
「……よろしかったのですか、リオ様? 」
「問題ないわ、トキ。それよりも予想が正しければ、もうそろそろ先生達が……」
リオ達のいる管制室の警報が鳴る。
「……リオ様、エリドゥの監視から報告が上がってきています」
「想定より少し早いわね。でも、誤差の範囲よ。トキ、計画通り迎撃へ。……ただし修正事項があるわ。『アビ・エシュフ』を装備していきなさい」
「最初から『アビ・エシュフ』をですか……? 相手は負傷しているはずでは? 」
「それでもよ。……シャーレの切り札、ニコラス・D・ウルフウッド。ネルですらまともなやり方ではダメージを与えられなかった相手よ。……たとえ負傷していても、あの男に対して戦力の出し惜しみは愚策よ」
「……イエス、マム」
トキが管制室から退室し、先生達の迎撃へと向かう。戦いの幕開けはすぐそこにまで迫っていた。
まさかのモモイ寝坊!
……というのも、伏線でも何でもなくただメタ的な理由でですが……
前話で先生が啖呵切っていた手前、原作通りに悩んでいると描写として合わず、さりとてそこに原作通りにモモイが登場すると話を進める人物が二人になってしまうため個人的にすんっっっごい書きづらいんですよ。完全にモモイと先生がポジション被ってしまうので。
で、先生が話を回さないとウルフウッドも動かしづらくてですね、そんなこんなでモモイには寝坊してもらうことにしました。
……あんまり先生を出しゃばらせすぎるのも生徒の成長物語としてどうなんだっていう思いもあって悩ましいところなのですが、まあこの話の主役はウルフウッドで、彼の活躍に欠かせないバディ役として先生を据えているので、もうそこは仕方ないかなって割り切ることにしました。