ウルフウッドアーカイブ   作:タニシ・トニオ

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02_立ち向かうべき未来

「それでこのローテーション表作ったんか?」

 

「はい。私達の班はこの前シロコさんと一緒に出稼ぎに行ってました。帰りに柴関ラーメンに案内してもらったんですが……凄く美味しかったです」

 

「ん、みんな美味しさで()()()()

 

「そら良かったわ。このローテーションも悪くない思うで。こうやって一緒に暮らすんはええことや。厄介ごとも増えるが、人が寄り添って生きると色々なことがわかるしな」

 

「それにニコラスが加わっててくれたらもっとよかったんだけどね〜」

 

「……ホシノ、それはすまんかったゆうとるやんか。堪忍してーな」

 

「分かってるよ、言ってみただけ」

 

 私達がアビドスでお世話になってからしばらくして、ニコラス先輩がトリニティから戻って来た。そしてニコラス先輩からの情報を共有するため対策委員会の皆さんと私を含むアリウス小隊長改め班長達が集められていた。

 

「……それで、そっちはどうなったの?」

 

「それなんやけどな……」

 

 ニコラス先輩が壁に寄りかかる。その顔を見るにあまり状況は芳しくなさそうだ。

 

「とりあえずアリウス自治区の入り口は人海戦術で探すっちうことになってな、ワイはその時間稼ぎするためにエデン条約締結の延期交渉頼まれてもうた。ちうわけでワイはこの後ゲヘナに行かなアカン」

 

「ちょっと待ってニコラス、なんでエデン条約の延期が時間稼ぎになるの?」

 

「ああ、それはやなぁ……とりあえず敵の目的をトリニティとゲヘナの殲滅って仮定した場合、アリウスに残ってる戦力でそれをするにはエデン条約締結日を狙うんが一番やっちう話になってな。それでエデン条約締結日を期限に定めて動いとんねん」

 

「……確かに、条約当日には両校の首脳陣が出揃うからね。ヘイロー貫通弾があれば少人数でもそれらを一掃するのは不可能じゃない、か」

 

「……それだけちゃうが……まあそんなとこや。とはいえその日まで警備を疎かにしてええわけちゃうし、センセがトリニティで撃たれたことの対応とかもあってティーパーティーは今しっちゃかめっちゃかや。せやから入り口探すのも満足にできてへんのが実情でな。それでゲヘナに弱みを見せたないっちう都合もあって、ワイがシャーレの立場で条約延期の交渉することになったっちう訳や。……せやけどなぁ……」

 

 ニコラス先輩が困った様に頭をかく。

 

「なにか不都合でもあるんですか?」

 

「……なあスバル。お前達が持たされとったの、ホンマにヘイロー貫通弾か?」

 

「どういうことです?」

 

 突然の質問に困惑してしまう。ニコラス先輩は何が言いたいんだ?

 

「……いやな、お前らから押収したヘイロー貫通弾を証拠にして条約延期を迫ろうと思っとったんや。こんなん持っとる奴らが狙ってんねんぞってな。そんで試し撃ちしたんやけど……」

 

「えっ、誰か撃ったんですか!?」

 

「そないなことするかボケ! ワイの皮膚掠めさせただけやっちうねん。……んで、ホンマやったら皮膚が軽く切れるはずが……アカンかった。何べんやっても誰がやっても結果は同じや。終いに手を普通に撃ってみたが怪我はせんかった。お前らが持たされとったのは通常弾やったっちう訳や」

 

「は? そんな……!? 確かに私達はヘイロー貫通弾だと……」

 

「せやろうな。ワイらも当たらんよう気を付けとったから気付かんかったで。みんな騙されとった訳や」

 

 それは私達が先生狙撃のための囮だったという事実の補強に他ならなかった。

 

 マスター、あれだけ私達に機能たれと強いておいて……その使い道がこれですか?

 マダム、あれだけトリニティを憎め殺せと教えておいて、あれは茶番だったんですか?

 なんなんですか……なんなんだあんた達はっ!? あれだけのことを私達に強いておいてこれですか!? 馬鹿にするのも大概にしろ!!

 

 怒りで握り拳が震える。他の班長達も顔を歪ませていた。

 

「ここで怒ってもしゃあないで。それは取っとけ」

 

 ニコラス先輩の言葉でハッとする。

 

「……すみません」

 

「ええって。ほら、アメちゃん咥えとき」

 

 ニコラス先輩から受け取ったアメを咥え、少し落ち着く。ニコラス先輩はよく煙草を咥えているが、なんとなくその理由が分かった気がした。

 

「んで話を戻すけどな、あれが通常弾やったせいで危険な相手がおるっちう証拠が無くて強く延期しろ言えへんねん。センセがおればシャーレの強権でどうにでもできたやろうが、ワイはあくまでただの部員やからシャーレの強権は使えへんし……精々が警告止まりや。……あいつらそこまで見越して貫通弾渡さへんかったのかもしれん。せやから交渉するにはするが……」

 

「条約延期はゲヘナのトップの良心にかかってるってこと? うへぇ、期待できなさそ」

 

「ワイもトップに会ったことはないが風紀委員会に私情で嫌がらせしとるような奴らしいわ。まともな奴ちゃうやろな。延期を条件に何言われるか分かったもんやないし、できるかどうかは正直賭けになる」

 

 ニコラス先輩は大きくため息をつき、らしくない声量の落ちた声でボソボソと話す。

 

「……延期できへんからったら最悪、お前らにも色々手伝ってもらわなアカンかもしれん。巻き込みたくないが今回だけは……ワイだけやと届かへんかもしれへんねん……」

 

 その表情は本当に不本意そうだった。断腸の思いで言っていることが伝わる。

 対照的にホシノさん達はすごくニヤニヤしているが。

 

「……変わったね、ニコラス。いや〜生意気な同級生が素直になってくれてお姉さん嬉しいよ〜」

 

「ん、ニコ兄がデレた。今夜は赤飯だね」

 

「茶化すなやお前ら」

 

「茶化してなんかいませんよ、ニコ先輩。私達だって当事者なんです。もっと頼ってくれてもいいんですよ」

 

「そーよ! それにマスター・チャペルとベアトリーチェってやつを一発殴らないと気が済まないんだからっ!」

 

「セリカちゃん、一発だけじゃ足りないよ。……んん、とにかくニコラス先輩。私達の想いは一緒です。遠慮なんてしないでください」

 

 ニコラス先輩が驚きで目を見開いていた。私達も同じ気持ちだ。皆さんは静観していたって誰にも文句を言われない立場なのに、それでもそう言える強さはどこからくるのだろうか?

 

 

(そない大切な後輩が『ヘイロー貫通弾』持たされて外道に墜とされるのを、お前我慢できるか? ワイは我慢ならへん)

 

 

 ふと、ニコラス先輩の言葉が頭を過る。

 

――ああ、そうか。この人達も同じなのか。

 

 アリウスの生徒(新しい友達)が非道を強要させられることが、ニコラス先輩(家族)に酷いことをしたことが、許せない。そういうことなのか。

 

――なに冷静を気取ってるんですか、私は!? 私達だって当事者なんですよ!?

 

 私の中に燻っていた『怒り』が叫ぶ。

 マスターへの恐怖を押し返し『動け』と言う。

 まだあの大人達に囚われている仲間を、『見えない境界線の向こう側に行かせるな』と告げていた。

 ……ニコラス先輩が私達にしてくれたみたいに。

 

「……ニコラス先輩、私達にもできることがあれば教えてください。なんだってします。これは元々、私達の問題なんです。私達が立ち向かうべきことなんです」

 

 アリウスの仲間達も頷いてくれていた。みんな同じなんだ。あんな薄暗い所じゃなく、この陽だまりの下で皆と一緒にやり直したいんだ。

 

「……まだなんも決まってへんのにせっかちな奴らやな〜。そこまで言うならええわ。そん時が来たらこき使ったる。覚悟しとけよ」

 

 そう言うニコラス先輩はなんだか嬉しそうに見えた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 ニコラス先輩がゲヘナに向かった後、私達は来るべき日に向けて『ある物』を調達するためホシノさんにお願いをしていた。

 

「ミレニアムにツテがないかって? う〜ん、無いことはないけど……」

 

 どうやらシャーレで知り合いになったユウカさんという方がいるらしい。ミレニアムの生徒会会計というポジションらしくミレニアム内では顔が広いそうだ。であれば都合がいい。

 

 お願いに応じてくれたユウカさんに案内されて、ホシノさんと共に私は『新素材研究部』を訪れた。

 

 

「……うーん、『これ』を作るなら提示予算が二桁足りないねぇ」

 

「ふたっ……そんなにですか!? 足元見てませんよね!?」

 

 『ある物』を入手するためにここに来たわけだが、いきなり挫けそうになる。みんなからかき集めたバイト代でも全然届かないなんて想定外だ。

 

「失礼だなぁ。言っておくけど売上を勘定しないでこれだからねぇ。そもそも素材の『特殊合金』だけでも私達の部費の半分が溶けてる代物なんだ。しかも加工だって容易じゃない。エンジニア部に頼むことになるし本当だったらもっとかかるんだよ」

 

「同じ素材のパニッシャーの整備費用はそこまでじゃなかったはずだよね?」

 

 ホシノさんが援護してくれるが新素材研究部の部長は首を横に振る。

 

「それはあくまで整備だからさ。あとは彼女達のロマン割りだよ。この前のパニッシャー修復だって費用はセミナー持ちだったしねぇ」

 

「え? パニッシャーの修復? ……何があったのユウカちゃん……?」

 

「えと、その色々と……」

 

 ホシノさんが追及するがユウカさんは顔を反らしてはぐらかす。

 

「まあとにかく、残念だがこの依頼は受けられないねぇ」

 

「そ、そんな……、お願いです! 『これ』は必要な物なんです!」

 

「そう言われても……」

 

 

「――騒がしいわね」

 

 

 ごねている私の後ろから新たに声が聞こえてくる。振り向くと長い黒髪を携えた女性がそこにいた。

 

「会長!? なんでこちらに!?」

「おや、会長様じゃないか」

 

 ミレニアムの二人がその人を『会長』と呼ぶ。……まさかミレニアムの生徒会長!? なぜそんな人物がここに来てるんですか!?

 

「おかしなことではないわ。他校の生徒会長が『盗人』を連れてきたら警戒するのは道理でしよう?」

 

「盗人……? それってまさかスバルちゃんのこと言ってる?」

 

「そうよ、小鳥遊生徒会長。ああ、紹介が遅れたわね。私はセミナーの会長、調月リオよ」

 

「……紹介ありがと。私のことは気軽にホシノでいいよ。それでリオちゃん、盗人って?」

 

「……一年ほど前、新素材研究部の特殊合金が盗難される事件があったわ。そして犯人たちはそこの生徒と同じ制服を着ていた。――間違いないわよね?」

 

 リオさんが私を睨み付ける。不味い、アリウスがやったことがバレている。ホシノさんには悪いがここは逃走するしかないかもしれない。

 そう思って逃走ルートを探そうとした瞬間、とんでもない圧がかけられる。

 

「言っておくが逃げようとか考えんなよ」

 

 声がする先を見るとリオさんの後ろにスカジャンを着た生徒が佇んでいた。……あれは不味い、そう直感が告げる。あれはツルギやホシノさんと同類だ。逃げることはできそうにない。

 

「……私達がやったとして、どうするつもりですか?」

 

「それは情報を開示してもらってから考えるわ」

 

「情報……なんのです?」

 

「全てよ。探しても見つからなかった貴方達の学校のこと。なぜ今顔を出してきたのか。……タイミング的に先生がトリニティで撃たれたことも関係しているのでしょう? その全てを話してもらうわ」

 

 ホシノさんと顔を向き合わせると、ホシノさんは頷く。話そう、ということらしい。私達は包み隠さずセミナー会長らに事情を話した。

 

 

「……状況は理解したわ。エデン条約は今、最悪な方向に進んでいるようね」

 

 セミナー会長はそう言いながら新素材研究部に渡していた私の依頼書を見る。

 

「確かにこの事態に対抗するためには『これ』は合理的な装備ね。……材研部長、『これ』の費用はセミナーが持つわ、見積りを出してちょうだい。あとホシノ生徒会長、これ以外にも弾薬とかの補給が必要になるわよね。必要なものをピックアップして見積りを出してくれないかしら? 費用はセミナーが負担します」

 

「「「え!?」」」

 

 セミナー会長のあまりにも予想外な発言に材研部長までもがすっとんきょうな声をあげる。

 その内容はありがたいことこの上ないが、それ以上に意味が分からなくて嬉しさよりも困惑が勝っていた。

 

「ちょ、ちょっと待ってください! 会長!?」

 

「どうしたのユウカ? ……ああ、予算なら防衛費から捻出してくれて構わないわ」

 

「いえ、そうでなくて……」

 

「おいリオ、また悪い癖でてるぞ! なんでそんな結論になったのか教えろっつてんだよ!」

 

「ミレニアム、ひいてはキヴォトスを守るためと言えばわかるでしょ?」

 

「わっかんねーよ!! なんだその『風が吹けば桶屋が儲かる』みたいな話は! 一からっ、順序だててっ、説明しろっつてんだよ!!」

 

 私達が思っていたことをスカジャンの生徒が代弁してくれた。セミナー会長はその迫力にたじろぎ少しばかり涙目になりながら説明を開始した。

 

「そ、そうね……。では予想される敵の行動と、それによって何が起きるかを話しましょう。――まず敵の目的がトリニティとゲヘナの壊滅だとするなら、貴方達が予想している通りエデン条約締結日が狙われるでしょうね」

 

「やはり両校首脳陣を同時に襲撃できるからですか?」

 

「……いえ、それはそこまで重要な要素では無いわ。必要なのは()()()()()()よ」

 

「どういうことです?」

 

 質問に対する予想外の回答に疑問が深まる。まるで謎かけされているかのようだ。その答え合わせがセミナー会長から話される。

 

「……残されているアリウスの戦力と装備でトリニティとゲヘナを殲滅させることは簡単よ。条約締結の最中、どちらかの生徒を殺害して叫べばいい。『殺したのはあいつらだ』、と……。疑惑をかけるだけで十分。仲間を殺害された怒りと、何より『次は自分かもしれない』という恐怖が正常な判断力を奪い、瞬く間にトリニティとゲヘナの全面戦争が勃発するでしょうね」

 

 想像して納得する。仲間の死、次は自分かもしれないという恐怖は容易く自身を塗りつぶす。散々私達が経験してきたことだから。

 

「なるほど、両校の同士討ちを狙うわけですか……確かに合理的な作戦ですね」

 

 私の言葉にセミナー会長は顔をしかめた。

 

「合理的? なにもメリットを産み出さない怨嗟による行為を合理的とは言わないわ。むしろこれは非合理極まりないものよ。()()()()()()()()()()()()()()()

 

「終わらない?」

 

「――私が敵側だったら、トリニティとゲヘナを滅ぼすという非合理的な目的を達成するとしたら……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「それは……っ」

 

 皆が息を飲んだ。そんなことをすればどうなるか想像してしまったからだ。

 

「人が死ねば、相手を殺せば、……もう止まらない。止めることはできない。その憎しみと恐怖は誰もに『ヘイロー貫通弾』を持たせるでしょう。そして相手を滅ぼすまで終わらない絶滅戦争が始まる。……戦火はトリニティとゲヘナだけでは済まないでしょうね。その憎悪と怨嗟の炎はあらゆる火種に飛び火してキヴォトス全土を焼きつくすことになるわ。少なくとも二校の仮想敵でもあるミレニアムは無事では済まない。……そして、梯スバル。貴方達アリウス分校はもっと凄惨なことになる」

 

「……どういうことです?」

 

「その怨嗟が渦巻く最中、それを産み出した中心が貴方達だと知られたら……わかるでしょう? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それを聞いて、その未来を想像して、震えが止まらなくなる。排斥されること、殺意を向けられること、その恐怖を私達は学んできたのだから。

 それが、今度は私達に? しかもトリニティだけでなく、キヴォトス全てから?

 想像しただけで呼吸もまともにできなくなる。

 

 怖い…………怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い――

 私には、耐えられない……

 

 ――その恐怖に震える私の手が、そっと優しく握られる。それはホシノさんの手だった。

 

 

「リオちゃん。おねーさん、そういう言い方好きになれないな」

 

「……気分を害してしまったのなら謝るわ。ただ今話したことは脅しではなく十分起こり得る……そして絶対に阻止しなければいけない未来の話よ」

 

「そんなヤバイんだったらあたしらも殴り込みにいこうぜ!」

 

 スカジャンの生徒が意気揚々に言うが、セミナー会長は首を横に振るう。

 

「駄目よ、それはできないわ。先ほども言ったけどエデン条約締結後の最大の仮想敵は私達ミレニアムよ。だから私達がその場に向かうこと自体が新たな火種になりかねない」

 

「そ、そんな状況ならそもそも条約締結を中止すれば……」

 

「ユウカ、それもあまりいい案とは言えないわね。中止した事を理由に難癖をつけられて両校の関係が悪化し、緊張が高まるでしょう。そうなればいつ爆発するかがわからない。Xデーが不明になる分、対策が難しくなるわ。恐らくそれを嫌ってトリニティは延期という選択をしたのでしょう」

 

「……そうか、だから先生が狙われたんだ」

 

 ホシノさんがぼそりと呟く。それにセミナー会長が反応した。

 

「……その可能性は高いわね。今言った戦争を止められる可能性があるのは、行方不明の連邦生徒会長を除けばフィクサーたる先生だけだもの。ことが起きてしまえば……私達に止める手段はないわ」

 

 そしてセミナー会長は数歩歩き、私の前に立った。

 

「セミナーが貴方達を支援する理由は理解して貰えたかしら? ()()()()()()()()()()()()()()()()()。この未来を阻止できる可能性と、そしてしなければならない責任は……梯スバル、貴方達アリウスにある。同胞の声であれば襲撃犯達も銃を下ろしてくれるかもしれない。……貴方達がやるしかないのよ」

 

――正直言えば怖い。今度は恐らく『アリウススクワット』も、そして……『チャペル儀仗隊』も出てくるだろう。あれは私達にとって恐怖の象徴だ。背負うべき責任と相まって再び体が震え始める。

 

 すると、ホシノさんの私の手を握る力が強くなった。彼女を見ると優しく微笑み返してくれる。

 

――ああ、そうだ。私達には新しい仲間ができたんだ。頼もしい先輩もいる。私達も、仲間を救い出すために何でもすると決めたじゃないか。……恐怖に立ち向かうために『あれ』を求めて来たんじゃないか。

 

 セミナー会長と視線を合わせる。

 

「……やります。やってみせます。だから支援、よろしくお願いしますね。私達貧乏なものでして」

 

「わかったわ。材研部長も『これ』の製作、頼むわね」

 

「特急料金つけさせて貰うからねぇ〜、あとエンジニア部が変なものつけないかの監視費用もね」

 

「……許可するわ」

 

「会長、調整するの私なんですけど……」

 

「ご、ごめんねユウカちゃん、なんか大変な事に巻き込んじゃって……」

 

「……先生が退院したらホシノさんにはまた色々手伝ってもらいますから」

 

「わかったよ〜」

 

「あのホシノさん。なにかあるなら私も……」

 

「大丈夫。これは本当にスバルちゃんは関係ない乙女の話だからさ」

 

「は、はぁ?」

 

 ユウカさんとホシノさんのやり取りが気になるものの、求めていたモノは無事入手することができそうだ。帰ったらホシノさんに『アレ』の使い方の訓練を頼もう。

 そんなことを考えていると新素材研究部の部長に声をかけられる。

 

「サービスで『これ』への刻印はタダにしてあげるよ。なにか刻んで欲しいモノとかあるかい?」

 

「……それでしたらこの校章を、ただ少しデザインを変えてもらっていいですか? この薔薇の部分を太陽のマークに変えて欲しいんです」

 

「ほう、なにか意味でも?」

 

 

「……皆で陽だまりの下へ、その決意を形にしておきたくて。未来に立ち向かうための願掛けのようなものですよ」




ホシノがおねーさんどころかオカンすぎる……
スバル含めてキャラ変が酷いことに……
まあみんな光堕ちしてもらった結果だから仕方ないね。
ちなみにウルフウッドが最初に言っていたセリフはトライガン原作でおばちゃんが言っていたことの受け売りです。
おばちゃん、ウルフウッドはおばちゃんの教えてくれたこと守ってるよ。

パヴァーヌ編でリオをミレニアムに残しておいたことが功を奏しました。
おかげでスバルが求めた装備の入手がスムーズに。
こうやって今まで関わってきた生徒たちが力を貸してくれる展開が好きなんですよね。
リオも非合理的な考えを学んだからこそ最悪の未来をシュミレートできたわけですし。
ちなみにトリニティでも似たような結論になって、それを知っていたからウルフウッドは「……それだけちゃうが」と言い淀んでました。

ちなみにリオの語ったキヴォトス崩壊チャート、作中で触れるか微妙なのでここで書いちゃいますが、ベアおばの目的からは逸れているのでベアおばはそこまでする気はありません。ただチャペカスは自身の目的の手段の一つとしてリオが語ったことを考えており、そもそもアリウスの生徒が先走って暴発してもアウトなので実はリオがここでファインプレーしてます。


最後のユウカとホシノのやり取りはいつか書きたいなぁと思っている話の伏線。
シャーレ当番の生徒には先生派とウルフウッド派の生徒がいて、自らの恋路を叶えるために先生とウルフウッドを物理的に引き離そうと共闘するお話を書きたくて。
現状、恋する乙女たちの最大の障害はウルフウッド/先生なんですよ。
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