“ ……ところでウルフウッド、流れで君にディフェンス任せちゃったけど……実際のところ大丈夫? ”
シロコ達を巻き込まぬように彼女達から離れている最中、僕はウルフウッドに確認をする。
一応、
――まあそれは相手も同じなので、僕は弾丸をプレナパテスに直撃させる必要があるのだけど……
ともかく、ウルフウッドはそうもいかないのだ。彼は使い手ではないのだから。
プレナパテス対策として
「問題あらへん。エンジニア部に頼んで装備の絶縁処理は済んどる。スタンピード・パニッシャーにいたっては頼んでへんっちうのに、食らった電気でビーム充電する機能まで搭載済みや」
なるほど、流石だ。というかウタハ達も凄いな……。とりあえずウルフウッドもプレナパテスの弾丸に直撃しなければ大丈夫そうだ。
「――ちうか、おんどれこそどうやねん? あいつ倒せるんか?」
“ あー…… ”
今度はウルフウッドから質問が投げ掛けられる。なかなか答えにくいやつだ。
実のところ
師匠達含め、牙狩りによる
なので今のところ復活できない倒し方は滅獄の使い手による『密封』しかないのだとか。それがどのようなものかは見たことないのでさっぱりだけど。
ただこの場での勝利条件で言えば、師匠たちと同じ時間稼ぎができればいい。プレナパテスの
正規の手段を踏んでいない紛い物の
だから――
“ あいつの体を
「多分かい‼」
“ いや、可能性があるだけマシな話なんだって、ホント! ”
それにこれは憶測でしかないから口にできないけど、もうひとつの可能性がある。
「お前だけでは駄目なんだ」という彼のメッセージ。
自身が最大戦力であろうにも関わらず今の今まで最前線に出てこなかったこと。
もし僕が同じ状況に至った時、どんな選択をするか。
本当にプレナパテスが僕で、その行動に彼の意志が含まれているのであれば……
――シロコが勝ってくれれば決着がつく。
その可能性は期待するにはあまりにも部の悪い危険な賭けなので頼るわけにはいかないけれど……。
どちらにしろ、大いなる時間稼ぎをこれから達成しなければいけない。弱音を言う暇はない。やるしかないのだ。
僕らとプレナパテスの足が止まる。シロコ達との距離は十分だ。互いに構えをとる。
同じ間合いの取り方、同じ銃の構え方、それらの所作からプレナパテスが自分であることを嫌でも確信させられる。
とはいえスペックの差は歴然だけど。相手は無限とも言える体力を有しているのに対し、僕は昔の古傷のせいで血流操作による身体強化を行える時間は三分が限界だ。話にならない。
ウルフウッドがいてくれて本当に良かった。彼がディフェンスを担当してくれるお陰で血流操作による身体強化を最小限にすることができる。それでやっと勝負の土俵に上がることができるのだから。
ウルフウッドが僕の前に出る。パニッシャーを盾の様に構え、スタンピード・パニッシャーをプレナパテスに向けていた。
そして最大出力のビームをいきなり放つ。
確かに通常兵器では
プレナパテスもその狙いに気づいているのか跳躍、それを躱す。――速い、目で追うのがやっとだ。
でもウルフウッドはあの重い銃身でプレナパテスを捉え続けながらビームを拡散モードに切り替え追撃する。その光がプレナパテスの手足を穿った。
プレナパテスの右手と左足がちぎれ飛び、バランスを崩す。
――今だ!
そう思って狙いを定め、とんでもない物を目にする。
レーザーで
そして血で出来た右手もどきが鞭のようにしなり、こちらへ放たれた。
ドパンッッ!
それが空気を突き破る音と、パニッシャーに弾かれる音が重なり轟音が響いた。
その衝撃波だけでも僕はダメージを受けてしまいそうだ。しかし、ウルフウッドが作ってくれたこの隙を逃すわけにはいかない。
僕を守ってくれたパニッシャーの影から僅かに身を出し、プレナパテスに弾丸を放つ。
この距離、バランスの崩れた身体、躱すことは不可能なはずだ。
予想通り放った弾丸がプレナパテスに直撃し、雷が彼を焼いた。急造品の手足は焼け崩れ、彼が地に伏す。
このチャンスを逃すか!
マガジンに残っている弾を全てプレナパテスへと送り出す。
もっとだ。ダメージは入っている。だからもっと――
「――センセッ!!」
急にパニッシャーが僕の前を塞いだ、と同時に弾丸が弾かれる音が鳴る。雷がパニッシャーをアースにして地面に霧散していった。
プレナパテスの
そう思いながら視線を向けて、再びぎょっとする。
プレナパテスの千切れた右手が自立して
その隙に乗じてプレナパテスは自立して向かってきた左足を自身に繋ぎ、バッタのように跳躍。こちらを攻撃してきた右手まで跳んでそれも回収していた。
正直言って気色悪い。そんな動作をする僕を見たくなかったなぁ……
そうやって千切れた手足を復活させたプレナパテス。しかしこちらの
いける。ダメージはゼロじゃない。このまま回復しきる前に
「おいセンセ……」
ウルフウッドが顔を更にひきつらせていた。理由は明白だ。
プレナパテスに刻んだ傷痕が蠢き、何かが現れていた。
――見たことのあるハンドガン、ショットガン、ライフルにグレネート……絆を結んだ生徒達の武器、それを血液で模した物。
それらの銃身がプレナパテスの身体中から生えていた。その銃口は帯電し、僕らに向けられている。
“ ――ヤバい!! ”
“
瞬間、僕たち居た場所が消し飛んだ。
「うおおおおおッ!!」
ウルフウッドがパニッシャーを一つ捨て、僕を抱えて全力で逃げている。そのすぐ後ろ、走ってきた道筋がプレナパテスの銃撃によって消し飛んでいた。
まるでマスター・チャペルが全力で攻撃してきた時みたいだ。いや、もしかしたらそれ以上かもしれない。止まったら死ぬ。仮にパニッシャーで防御しても数秒も持たないだろう。
だからこそ、オフェンス担当の僕がどうにかしなければ。
走り回っている人間に物のように抱えられているのだ。当然視界も揺れまくり、 狙いなんてまともにつけられる状況じゃない。
――それでもやる。やらなければいけない。
血流操作で瞬間的に身体を強化する。
集中力を研ぎ澄ます。
相手の攻撃はウルフウッドが躱してくれる。だから僕は相手に弾丸を当てることだけを考える。
時が圧縮されるような感覚がする。
――わかる、ここで撃てば……当たる!
“
一発の弾丸がプレナパテスに着弾した。
たったの一発。でも、それは特別製だ。
プレナパテスは僕だ。だから『
血液を属性変化させるタイミング、それを撃ち込んだ弾丸によって無理矢理『
(“ 一緒に爆ぜろ! ”)
僕の弾丸に込められていた雷がプレナパテスの銃身に込められている弾丸へと走る。
そしてそれらに込められているエネルギーを暴発させた。
瞬間、雷鳴がプレナパテスの内側から鳴り響く。フォース・パニシャッシャー以上の破壊エネルギーが一斉に炸裂したんだ、無事で済む訳がない。
案の定、プレナパテスは落雷が当たった枯れ木の様に立ち尽くしていた。このチャンスを逃してたまるか。
“ ウルフウッド‼ ”
「おう!」
ウルフウッドから降ろされた僕は、彼の手に残されていたもう一丁のパニッシャーをバイポッドの様に支える。そして、ありったけを込めていく。パニッシャーが帯電し、その長身が電磁投射砲化した。
――この瞬間に、僕らの最大火力を叩き込む!
“「
閃光がプレナパテスを穿つ――はずだった。
その射線上に一枚の扉が鎮座していた。
あれはブラッドブリードの
いつの間に⁉
放った必殺技が門の向こう側へと吸い込まれていく。
「上やっ‼」
ウルフウッドが警告と同時に僕を蹴り飛ばす。
宙を舞う僕の視界にもう一つの
(“ 僕らの真上に
その門の向こうから僕とウルフウッドの間へ閃光が走る。
それは僕たちが放ったLightning Punisherだった。
まさかそんな方法でカウンターしてくるなんて⁉
「アカン‼ 逃げろセンセェ‼」
Lightning Punisherの光の向こうに影が差していた。
それは僕へと向かって来ていた。
焼け焦げた枯れ木のような手足で、しかし肉食獣の様に力強く、プレナパテスが僕に肉薄していた。
光に紛れて彼も
そしてカウンターで私達を分断しつつ、私を仕留めに来たのだ。
プレナパテスの手刀が眼前に迫る。
枯れ枝の様にも見えるそれには、ただの人間など容易に引き裂く力が秘められている。
――駄目だ、避けられない。
玉座に、鮮血が飛び散った。
プレナパテス鬼つええ!このままクロコに逆らう奴ら全員ぶっ殺していこうぜ!(駄目です)
一応先生の予想通りプレナパテスはブラッドブリードとしてのランクは低いのですが、いかんせん元が未熟とはいえ元牙狩りなので戦闘力だけは高いというタチの悪さ。
原作の主砲もこのプレセンだと恐らくカウンターしてきます。
果たして先生は無事なのか……