BEGINNING OF THE REVOLUTION   作:スタイニー

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レースを引っ張ってきたハギノカムイオーが3コーナーで早くも脱落する。

ただ、彼女が作り出したハイペースはいかに海外で実績を積んだウマ娘であっても、過酷であることには変わりなかった。

実力に劣る者から徐々に脱落していく極限の消耗戦の中、日本のウマ娘たちはどうやって勝機を見出していくのか!?




日本人の反撃

 

 

「テメェ!いつの間に!?どっから出てきやがった!?」

 

アンバーシャダイの後方からキョウエイプロミスが突然現れたことにエスプリデュノールが驚く。

 

「あたしはずっとアンバーの後ろにいたよ。ところでアンタ、末脚は残せてるの?まさか、カムイオーとアンバーの走りに気を取られて(・・・・・・・)、スタミナ使い果たしてないよね?」

 

「気を取られた?何言って………」

 

キョウエイプロミスの意味深な問い掛けを気にしたエスプリデュノールが、これまでの日本のウマ娘たちの動向を思い返す。すると…

 

 

 

ペース配分を無視してバカみたいに逃げた金髪

 

 

スタミナが切れるまで執拗に突っかかってきた生徒会長

 

 

ここに来て急にしゃしゃり出てきたハッタリ野郎

 

 

 

 

「……まさか!?3人ともグルだったな(・・・・・・・・)!?日本のレースで『チーム戦』をするのは"ルール違反"だろうが!」

 

ハギノカムイオーの破滅的な大逃げ、アンバーシャダイの自滅を厭わない徹底マーク、そしてキョウエイプロミスの仕掛けのタイミングから、エスプリデュノールは3人がチーム戦を展開していたことに気付く。そして、それが日本のレースのルールに違反するものだと指摘するが…

 

「やだなー、私たちは自分のレースで精一杯ですよー。だって私たち"低レベルな国"のウマ娘なんですからー」

 

「そうだよねー。"低レベルな国"のウマ娘が『チーム戦』なんて高度なこと出来るわけないよねー」

 

エスプリデュノールの指摘に対して2人は『たまたま』だと弁明をする。ただ、その言い草はとても白々しく、表情もあからさまにとぼけている。

 

「オメェら、白々しいウソをつくんじゃねぇーよ!こんなあからさまなチーム戦は処罰対象だろうが!?」

 

「あの、真面目に言い掛かりはよしてもらえますか?私たちがチーム戦をしたという"証拠"はあるんですか?」

 

「うっ…それは…」

 

「別にないよね?それにもしチーム戦をやってたとして、アンタはアタシらから"不利を受けた"の?」

 

「別に…何もねぇ…」

 

尚も執拗に食い下がってくるエスプリデュノールに対してアンバーシャダイは先程までのとぼけた態度を一転させ、真顔で反論をされると、それに気押されたエスプリデュノールは口籠る。

 

そして、それに畳み掛けるかのようにキョウエイプロミスもその疑いに根拠はあるのかと問いただすが、これに対してもエスプリデュノールは何も言うことが出来ない。

 

[確かにコイツらのポジション取りも戦術も全員リサーチ通りで、"変わったこと"はなにもやってねぇ…。くそッ!!こんなあからさまなのに、なにも"証拠"がねぇ…。コイツらがやったことは『完全犯罪』じゃねぇか…]

 

弁明が見え見えのウソだとわかっているエスプリデュノールだが、その一方でそれを証明できる手立てがないため、2人の問いかけに対して、具体的な証拠を提示できず、沈黙するしかなかった。

 

見事にエスプリデュノールを策に陥れたキョウエイプロミスたち3人。実はこの作戦は3人が考えついたものではなく、ある『助っ人』によってもたらされたものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、ジャパンカップに勝つためのミーティングってことなんだけど、カムイオー、"言い出しっぺ"は?」

 

「たぶん、もう来ますよ」

 

記者会見の次の日、キョウエイプロミス、アンバーシャダイ、ハギノカムイオーの3人は生徒会長室に集まっていた。

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

「ご機嫌よう、久しぶりね。アンバー、プロミス」

 

ハギノカムイオーが言い終わった瞬間に生徒会長室の扉が開き、1人のウマ娘が入って来る。

 

「久しぶり。遠路はるばるご苦労様。元気だった?」

 

「ええ、変わりはないわ」

 

「ねぇねぇ、"イギリス留学"は楽しい?」

 

「そうね、ほどほどに楽しいわ。日本では学べないことも多いから指導者になるための研鑽には適しているわね」

 

キョウエイプロミスとアンバーシャダイはそのウマ娘を笑顔で迎え入れる。ただ、迎え入れられたウマ娘に笑顔はなく、とても冷静な佇まいで淡々とした受け答えをする。

 

「わたくしのことはどうでもよくてよ。さっさと本題に入りましょう。昨日のジャパンカップの記者会見なのだけど……」

 

 

 

 

 

ゴクリ……

 

 

 

 

迎え入れられたウマ娘は挨拶もそこそこに早速本題に移ろうとする。その佇まいは威厳に満ちていて、場の空気を一瞬で変えてしまうほどだ。

 

「あれだけ嘲笑されたにも関わらず、反論したのはプロミスだけなの?この"ハギノトップレディ"、日本のウマ娘たちの不甲斐なさに呆れましてよ。日本を代表する名家"華麗なる一族"に連なる者として物申します。恥を知りなさい!!」

 

「「ごめんなさい…」」

 

アンバーシャダイとハギノカムイオーはそのウマ娘からの威圧感のある叱責にただただ平謝りするだけだった。

 

ハギノトップレディ。

キョウエイプロミスとアンバーシャダイの同期のティアラ二冠ウマ娘であり、日本有数の名家"華麗なる一族"出身のウマ娘。

 

ハギノトップレディの選手として活躍期間は2年ほどと非常に短いが、その短い現役生活の中でも、『1000mの日本レコード樹立』『史上最速タイの桜花賞制覇』『母娘2代による高松宮杯制覇』など数々の記録を打ち立てた名選手であり、選手引退後の現在はトレセン学園を休学し、指導者としての勉強をするため、イギリスへと留学している。

 

なので、本来であれば留学先のイギリスにいるはずのハギノトップレディではあるが、今回のジャパンカップに出場する"妹"のハギノカムイオーの応援のため2日前に一時帰国していた。

 

そして、今回のジャパンカップの記者会見の日本のウマ娘たちの不甲斐なさにいてもたってもいられず、『緊急ミーティングを開く』と言って、ジャパンカップの主力である同期の2人+妹の計3人を呼んだというのが事の経緯である。

 

「で、啖呵を切ったからにはジャパンカップに勝つ手立てはあるんでしょうね?プロミス?」

 

平謝りするアンバーシャダイとハギノカムイオーに向けていた冷酷で鋭い目つきを今度はキョウエイプロミスに向ける。そして、その勝算を問う。

 

「えっ?あっ?いや〜、それがなんとも言えないんだよね〜。強いていうなら、全力で頑張る!かな?アハハ…」

 

目線を向けられたキョウエイプロミスだったが、気まずそうな苦笑いで答えをはぐらかす。

 

「あれだけの啖呵を切っておきながら、無策とは…。啖呵を切ったことは褒めますが、あなたも2人と同罪です。恥を知れ」

 

「ごめんなさい…」

 

啖呵を切ったことは評価しつつも、その後の体たらくを叱責するハギノトップレディにキョウエイプロミスもまた面目なさそうに謝罪する。

 

「まあ、いいわ。どうせ、そんなことだろうと思っていましたから、わたくしがジャパンカップに勝つための秘策を考えておきました。このミーティングはそれを伝えることが目的です」

 

そう言ってハギノトップレディは作戦会議に必要な筆記用具や備品をテキパキとテーブルに並べて準備をしていく。

 

「コホン。では作戦を伝えます。今回は海外の一線級のウマ娘たちが相手です。正直に言って個々で戦っては勝ち目がありません。なので、あなた方3人で『チーム戦』を展開していただきます」

 

「『チーム戦』って、なに?」

 

「言葉の通り、複数名が連携を取りながら、レースを戦う方法です。ちなみにレースの本場、欧州において格式の高いレースでは『チーム戦』が展開されるのが常識です」

 

「えっ?そうなの?知らなかった…。で、『チーム戦』ってどうやるの?」

 

「欧州における基本的なチーム戦とは、ペースメーカーや進路確保などを手伝う『ラビット』と呼ばれるアシスト役の選手を1人か2人同じレースに出場させて、『エース』と呼ばれる本命選手が勝てるようにレースプランを考えます」

 

「ふーん。で、誰がどの役割をやるの?」

 

「まず、ペースメーカーとなる『ラビット』役はカムイオーがやりなさい。あなたの役割は出来るだけハイペースの展開を作ることよ」

 

「わかりました。今回は2400mですから、ペース配分を考えつつ、ハイペースを作り出します」

 

「ペース配分?わたくしが言ったのは『ハイペースの展開を作りなさい』ということです。ペース配分など"要りません"。スタートからスタミナが尽きるまで全力で逃げなさい。そうね、1600mまで持てば上出来だわ」

 

「えっ?それは結構体が辛いから、やりたく……」

 

「なに?姉の言うことが聞けないの?」

 

 

 

 

ギロリ

 

 

 

 

「もちろん!やります!全力で!」

 

いくら実の妹とはいえ、長幼の序に厳しい名家の出であるハギノトップレディは、公の場において妹の口答えを絶対に許さない。なので、姉に睨まれたハギノカムイオーは秒で姉の意見に従う。

 

「よろしい。では、次にアンバー」

 

「は〜い!私は何すればいいの?」

 

妹が作戦に同意したとみるや、次の作戦をアンバーシャダイに伝える。

 

「上位人気2名のマークとカムイオーが作ったハイペースによる前崩れ展開を確実に誘発させるのがあなたの役割よ。最低でも2000mまで。それまではスタミナを持ち堪えさせなさい」

 

「なるほど、ハギノの作戦のイメージが取れてきた。要はカムイオーと私で海外のウマ娘たちをできるだけ"道連れ"にしろってことね」

 

「ええ。そうよ。あなたたちの犠牲を我が国の勝利の礎とします。その身を捧げていただけるかしら?」

 

「わかりました」

「もちろん」

 

作戦を理解した2人が凛々しい顔つきで勝利のために犠牲になることを同意する。

 

「さて、プロミス。2人の決意を踏まえて、あなたの成すべきことはわかるわね?あなたの末脚に祖国の悲願を託します。よろしくて?」

 

「作戦は理解できた。2人のためにもアタシも全力で勝ちに行くよ。でも、本当にこれで外国のウマ娘たちに勝てるの?どんなにいい作戦があってもあの子たちの実力は侮れないよ?」

 

キョウエイプロミスもまた勝利のための覚悟を決める。ただ、それでも海外のウマ娘たちの実力の高さを警戒している様だ。

 

「臆することはないわ。彼女たちの実力の高さを見越してもなお、この作戦は必ず成功する。なぜなら、海外のウマ娘やトレーナーたちは『逃げ戦術』対しての有効な対策を持ち合わせていない。それはわたくしがレースの本場イギリスにおいて、欧州レース界の文化を学んでいるがゆえの確信よ」

 

キョウエイプロミスの懸念点に対してハギノトップレディは自信ありげに作戦が成功し得る根拠を語る。

 

「なんで海外のウマ娘は『逃げ戦術』の対策を持ってないの?」

 

「そもそもの話、欧州には"勝つための"『逃げの戦術』はなく、逃げるウマ娘は『ペースメーカー』でしかない。この時点で逃げ型のウマ娘に対しての対策に不慣れことがわかります。したがって、カムイオーが大逃げをするだけで幾らかのウマ娘を幻惑することができます」

 

「確かに、何人かは惑わされるだろうね。でも、こんなにわかりやすく逃げたらさすがに途中でバレない?」

 

キョウエイプロミスは有効な作戦であることは理解しているようだが、あからさま過ぎる大逃げではバレてしまうのではないかと疑っているようだ。

 

「それに関してはレースの勝ちウマ娘の支持率を隠れ蓑にします。今のところ支持率の日本人トップはカムイオーです。ファンの方々に"勝つかもしれない"と思われてる選手が、『ラビット』役をやるなんて誰も思わないでしょう?」

 

「「「なるほど…」」」

 

それに対してのハギノトップレディの説得力ある根拠に一同は感嘆の声を上げる。

 

「そしてもし、途中でカムイオーの逃げの意図に気付いたウマ娘がいても、アンバーがプレッシャーをかけることでペースを落ち着かせない。これで先行型の上位人気2名とその他の先行勢はほぼ潰せます」

 

「支持率上位の2人を囮にするとか、なかなか贅沢な作戦だよね…」

 

「格上相手に確実な勝利を狙うのなら囮役は必要不可欠。そして、その囮役の価値が高ければ高いほど、その価値に目が眩んでしまい、張り巡らされた罠を見抜けなくなるというものでしょう?」

 

「「「まあ…確かに…」」」

 

ハギノトップレディの幾重にも張り巡らされた周到な罠に3人は少しだけ恐ろしさを感じている様だ。

 

「あっ、今気付いたんだけど、そもそも日本のレースのルールじゃあ、チーム戦は出来なくない?ほら、ルールには『競走に勝つ意欲のない選手の出場の禁止』が原則でしょ?アタシは違うけど、カムイオーとアンバーは勝敗度外視なわけで、それがバレたら失格にならない?」

 

キョウエイプロミスが再び作戦の不安材料を心配する。どうやら、日本のルールでは事実上『チーム戦』の禁止が示唆されているからだ。

 

「それは問題ないわ。結局あのルールは『真剣に走らない』『相手に不利を与える』というのが肝なのです。よって、勝敗度外視でも"真剣に"かつ"他者の邪魔をしない"で走ってる人が処罰対象になったことなんて一度もないわ。だから、安心なさい」

 

そんなキョウエイプロミスに対して、ハギノトップレディはルール上の解釈次第でなんとでもなると主張する。

 

「でもさ、万が一もあると思うんだけど……」

 

ハギノトップレディの主張になかなか納得しないキョウエイプロミスにハギノトップレディは……

 

「まったく、心配性ね…。このわたくしが考えた作戦に"抜け"があると思って?そもそもを考えなさい。カムイオーが大逃げをして潰れることの何が"いつも"と違うの?」

 

「いつもではないですけど、珍しくもないです…」

 

「では、アンバーが先団で強豪選手の徹底マークすることの何が"いつも"と違うの?」

 

「まあ、普通…。というか、私の基本戦術です…」

 

「プロミスが好位差しの機を伺うことは"いつも通り"ではないの?」

 

「いつも狙ってます。むしろ、アタシの勝ちパターンです…」

 

「ほら、答えは出たじゃない?あなたたち一人一人の行動に特別な意味はなく、至って平常。しかし、囮役2人の行動に意識を奪われてしまうような"無能な者"や囮役の意図を見抜けても、プロミスの存在を忘れてしまうような"愚か者"にとっては、その平常が自らを陥れる『陥穽』に姿を変える。どう?わたくしの考えた『姿なき策略』は?完璧でしょう?」

 

「…」

「…」

「…」

 

ハギノトップレディの考えた作戦は周到に計画された策略でありながら、その痕跡も証拠も残さない『完全犯罪』として成立していることに3人はぐうの音も出なかった。

 

「『華麗であれ。至上であれ。常に最たる輝きを』。どのような事柄であっても我が一族の玉条は不変です。たとえそれが他者を貶める謀略(はかりごと)であったとしてもね」

 

「さすが、姉様!完璧な作戦をありがとうございます!よし、これで明日は勝てますね!」

 

「ありがとうカムイオー。もっと褒めてよろしくてよ」

 

作戦の完成度の高さに、ハギノカムイオーが満面の笑みで姉を褒め称える。妹の惜しみない賞賛に対してハギノトップレディも満更ではないようだ。

 

 

 

[ねぇ、アンバー。ハギノが今回の件でキレまくってるのは、絶対に"アレ"だよね?」

 

[絶対に"アレ"。だけど、ハギノのことだから、"アレ"だって家柄的に言えないんでしょ?ここは友達としてそれをスルーしてあげるのが、優しさだよね]

 

ハギノトップレディの表情に隙ができ、目線が外れたと見るやキョウエイプロミスとアンバーシャダイがヒソヒソ話をし出す。

 

 

 

「やっぱり、姉様は最高です!一晩でこんな完璧な作戦を考えつくなんて!」

 

「このくらい、愛する妹を貶めた"不届者"に対する『報復』と思えば、大したことではありません。むしろ、これでも生ぬるいわ!もっと苦痛で顔が歪むくらいの敗北をくれてやりたいわ!」

 

 

 

[ねぇ、ハギノがキレてる理由は絶対に記者会見で『妹をバカにされたから』だよね?国の威信とか、日本の誇りが、とか言ってるけど、要は『シスコン』の"逆鱗"に触れただけだよね?]

 

[そう、絶対にそう。あの時のカムイオーのバカにされ方はハギノが一番キレるパターンだもん…]

 

ハギノトップレディと付き合いの長いキョウエイプロミスとアンバーシャダイは彼女の"本当の"怒りの原因が『妹を侮辱されたこと』にあると早々に看破していた。

 

ハギノトップレディは名家出身の名に恥ない品性や知性、哲学を持っているが、その一方で妹のハギノカムイオーを溺愛している、"重度の"シスコンでもある。

 

同じ一族の姉妹でありながら、姉とは違い妹のハギノカムイオーが礼儀正しくも親しみやすい性格なのは、ひとえにハギノトップレディが、妹が一族のしがらみに囚われることなく自由に生きて欲しいと願い、妹の分まで名家の令嬢としての責務を一身に背負ったが故である。

 

妹が自由な人生を送れるのならば、自分の人生に倍の負担が掛かろうとも厭わない。それがハギノトップレディの妹に対する愛情の深さである。

 

もちろん、一族としての振る舞いを最優先するため、言動や佇まいに関しては公の場においてはそんな素振りを微塵も見せないが、付き合いが長くなるといずれバレバレになるため、『見て見ぬふり』をするのが同期の暗黙の了解であり、触れてはならないタブーである。

 

そんなハギノトップレディであるので、あの記者会見での妹に対しての侮辱発言に、彼女ははらわたが煮え繰り返ったらしく、妹がバカにされた瞬間に部屋を飛び出して記者会見場に乱入しようとしたらしい。そして、その怒りの度合いは、家の者たちが総出になってようやく止められるほどの凄まじい怒りだった。とは妹の談である。

 

「さあ、プロミス!アンバー!明日のレースは命を賭してでも必ず勝ちなさい!我が愛しの妹(国の威信と誇り)のために!いいですわね!」

 

「「はい…必ず勝ちます…[[妹のことでは絶対にハギノを怒らせない様にしよう…]]」」

 

 

3人が仕掛けたチーム戦はこの様な経緯によってもたらされていた。

 

 

 

 

「クソっ!日本人は『正々堂々』がポリシーじゃねぇのか!?汚ねぇぞ!」

 

「私たちは最初から『正々堂々』と戦っていますよ。ただ、あなたが"勝手に"落とし穴にハマってしまっただけでしょ?さて、あとはピーちゃん!よろしくね!」

 

「OK!任しといて!さあ、ここからが勝負だよ、フランス人!アタシの末脚とアンタの粘りどっちが勝つか、残り400mで勝負だ!」

 

「クソッ、イキがりやがって…[しかし、コイツの脚がかなり残ってるのはなんでだ?コイツも5番手くらいにいたはずなのに、なんでそんなに消耗が少ないんだ?]」

 

 

 

 

ずっとアンバーの"後ろ"にいた

 

 

 

 

[あっ!?あの生徒会長は『風除け』の役割もしてやがったのか!?チクショー!ムカつくくらいに周到な作戦だ…完全にハメられた…]

 

残り400mを切った地点でエスプリデュノールがようやく3人の作戦の全容に気付く。しかし、既に術中から抜け出すことが出来ないところまで来ていることも理解してしまい苦虫を噛み潰したような表情をする。

 

「あー、クソ!やってやるさ!!こっからはアタシもプライドを賭けて、本気で闘ってやる!世界の舞台で闘ってきたアタシに簡単に勝てると思うなよ!!」

 

「もちろん。ここからが本当の勝負でしょ?日本人(アタシら)を舐めんなよ!」

 

みんなで繋いだバトンを受け取ったアタシが、正真正銘の一騎討ちをエスプリデュノールに挑もうとしたその時だった……

 

「日本の方々のこのレースに賭ける想いをしかと見届けました。素晴らしいですね。ですが、それだけでは私には勝てない。私のこのレースに賭ける想いはあなた方の想いを超える!!」

 

「「!?」」

 

競り合うアタシたちの後ろから聞こえてきたその(想い)はとても静かで、でも、とても強い魂の叫びだった……

 

 

 




レース描写に関してはハギノカムイオーの大逃げ、アンバーシャダイの4角までの健闘、そして、それと入れ替わるように最終直線で抜け出してくるキョウエイプロミスという流れが、まるでバトンを繋いでいったかのように私には見えたので、3人が"秘密裏"にチーム戦を展開していたような描写にしてみました。

ちなみにですが、もともとハギノトップレディを登場させる予定はありませんでした。ただ、半弟であるハギノカムイオー(ウマ娘としてのキャラデザは口の悪くない金髪のシャカール)がこのジャパンカップで目立つので、せっかくなので登場させてみました。

一応、私の物語上でも『後のルビーのお母さん』にあたるのですが、シスコン要素は完全にオリジナル(でも、実際の姉キャラはだいたいシスコン)で、容姿と素の性格はルビー+ムーンライトルナシー÷2をイメージしています。

さあ、あと残すは最終直線。歴史に残る熱い叩き合いをお楽しみください。
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