BEGINNING OF THE REVOLUTION 作:スタイニー
しかし、残り100mを切ったその時、キョウエイプロミスの脚が限界を迎えてしまう。
万事休すかと思われたその時、キョウエイプロミスの元にある人物が現れる…。それはキョウエイプロミスがよく知る人物だった…。
「プロミス…[今、一瞬走りが乱れた気がするが…大丈夫だろうか?]」
ジャパンカップの最終局面。
観客から見守る政男が走りの乱れを一瞬だけ感じ、不安にかられる。その時、キョウエイプロミスは……
「ハッ!?あれっ?アタシ、何でここにいるんだろ…。ここは東京レース場の"メインスタンド"…」
最後の直線で後ろから来たアイルランドの子と競り合っていたアタシは、突然襲ってきた脚の激痛で意識が飛んでしまった。そして、"誰か"から声をかけられたと思って目を開けると、アタシは東京レース場のメインスタンドの観客席に立っていた。
「ちょっと、どういうこと?アタシは今、ジャパンカップを走って……」
「ずいぶん立派になったじゃないか、プロミス」
「へっ?」
何でこんなところにいるんだろうと、頭の中の混乱がおさまらないまま、悩んでいると突然後ろから声をかけられる。そして、振り返ると……。
「"おっちゃん"……どうしてここに?」
振り返ったアタシの目の前には亡くなったはずのおっちゃんがアタシが最後に覚えている元気だった頃の姿で立ってたんだ…。
「どうしたもこうしたもない。ワシはお前との約束を果たしにきただけだ。『日本一のウマ娘のデビュー戦を見届ける』。ワシはお前にそう約束しただろ?」
「いや、約束を果たしに来たっていっても、このレースは『デビュー戦』でもないし、アタシは『日本一』のウマ娘でもないし…」
「そんなことはない。このレースはお前が『日本一』のウマ娘になってからの『初めて』のレースじゃないか。ほら、約束通りだ」
「いや、それは屁理屈が過ぎるって…。まあ、見にきてくれたのは嬉しいけどさ…」
あまりにも屁理屈な三平の言い分に苦笑いをするキョウエイプロミス。とはいえ、生前の姿そのものの三平がレースを見にきているということ自体は嬉しいようだ、
「屁理屈ではないぞ、プロミス。後ろを向け。そして、耳を凝らせ。聞こえるか?今ターフで走るお前の姿にこれだけの声援かけられている。この光景を見てもお前はまだそんなことが言えるのか?」
三平の言葉に嬉しさはあれど、自信なさげなキョウエイプロミスに三平は後ろを向き、耳を澄ますように言う。すると……
プロミスー!頑張れー!
日本の誇りを見せつけろ!プロミスー!
行けー!プロミス!
あと少しだ!日本の底力を見せてくれー!
プロミス!プロミス!
「あっ…」
三平に言われるがままにキョウエイプロミスが振り向くと、360度全ての方向から地響きのような凄まじい観客の熱い声援が響き渡ってきた。
「確かに、今のこの一瞬だけのことなのかもしれん。しかし、今のお前にはこれだけの大声援が向けられている。こんな大声援を受けられるウマ娘を『日本一』と言わずになんと言うんだ?」
大声援に気付き驚くキョウエイプロミスに三平は満面の笑みで問いかける。
「アタシ、こんなに応援をもらってたんだ…。ずっと必死に走ってたから気付かなかったよ…。ねぇ、おっちゃん…。アタシはおっちゃんとの『約束』を本当に果たせたのかな?」
三平に言われるまで気付かなかった観客からの大声援を間近で聞いたキョウエイプロミスはその熱量に圧倒される。そして、その声援が自分に向けられていると自覚したキョウエイプロミスは、三平に約束が果たせているかを尋ねる。
「もちろん、果たしている!だから、ワシも約束を果たしに来たんだ。可愛い愛弟子が約束を果たしたのに、師匠が約束を果たせないなど、師匠の名折れだからな!」
キョウエイプロミスの問いに三平は豪快な笑みで迷いなく応える。
「ありがとう、おっちゃん…。でも、アタシもうダメなんだ…。脚を壊したんだ…。ここまで頑張ってきたけど、もうダメなんだ…」
三平の言葉を喜び笑顔を見せたキョウエイプロミスだったが、自分の脚が既に壊れていることを三平に伝えると再び悲しげな表情に戻ってしまう。
「そんな顔をするな。お前はまだ走れる」
「そんなこと言ったって、どうやって…」
「いいか、プロミス。目を閉じて感じろ」
「えっ?あっ、うん…」
突然の三平の助言に一瞬戸惑ったキョウエイプロミスだったが、気を持ち直し、素直に目を閉じる。
「壊れた右脚に意識を集中しろ。そして、感じろ。お前に掛けられた願い、夢、期待。いいか、プロミス。『日本一のウマ娘』はな、みんなの想いを力に変えて走れるんだ。壊れた脚はその想いが補ってくれる。大丈夫、今のお前ならそれが出来る」
「本当に?」
「大丈夫だ!疑うな。お前はこの高田三平が認めたウマ娘で、ワシの魂を受け継いだウマ娘なんだ。そして、みんなが認めた『日本一のウマ娘』だ。絶対に出来る!!」
不安そうにするキョウエイプロミスに三平はキョウエイプロミスを落ち着かせるかのように優しくも力強い口調で語りかける。
「………うん。わかった…」
三平の優しい言葉を聞いたキョウエイプロミスはすぐに気持ちを落ち着かせ、もう一度アドバイス通りに右脚に意識を集中させる。そして……
「うん、大丈夫。いけるよ、おっちゃん!」
アドバイスを頭の中でアドバイスをカタチにしたキョウエイプロミスがそっと目を開けて微笑む。その目には穏やかながらも計り知れない闘志がみなぎっているようだった。
「いいぞ!その『目』を待っていたんだ。強い覚悟を持った時に輝くお前のその『目』にワシは惚れたんだ!」
自信に満ち溢れたキョウエイプロミスの表情に満足した三平が満面の笑みで激励する。そして……
グッ
「さあ、行け!日本人の、いやお前自身の底力を世界のヤツらに見せてやれ!」
三平は拳を突き出し、キョウエイプロミスを
「うん!やってやるよ!おっちゃん!だから、最後まで観ててね!」
グッ、ちょん
差し出された拳にキョウエイプロミスも拳を重ねる。そして、ターフの方向を振り向く。
「もちろんだ!最後の最後まで観ているぞ!頑張れよ…」
キョウエイプロミスの逞しく成長した後ろ姿を見送る三平の目には薄らと涙が滲んでいるようだった…。
スタネーラ来た!
スタネーラ来た!
スタネーラの豪脚が唸る!!
[日本の方の走りのリズムに一瞬違和感があった。もしや、脚に異常を?もし、そうならこの方はもう、私に抗うことはできない。あと、私が気をつけなくてはいけないのは…]
『領域』に入りスパートをかけているスタネーラはキョウエイプロミスに起きた故障の可能性を考慮し、警戒対象をエスプリデュノールに切り替えようとするが……
ガシッ!
[えっ?肩を掴まれた…レース中に…?そんなことは…]
その瞬間に突然肩を掴まれたような感覚に陥る。そして、その不思議な感覚に恐怖を覚え、振り向くと……
「まだ、アタシは終わらない!『日本一のウマ娘』の底力を舐めんなよ!!」
そこには鬼気迫る表情で喰らい付いてくるキョウエイプロミスの姿があった。
「まだ食い下がりますか…。素晴らしい闘志ですね。ですが、もう余力はないのでしょう?」
故障したかもしれないと推測していたキョウエイプロミスが競り合ってきたことに驚いたスタネーラだが、そこはポーカーフェイスで悟られないようにカモフラージュしつつ、問答を通してキョウエイプロミスの余力と状態を探ろうと画策する。
「別に全然平気だよ!ってか、さっきも言ったけど、ちょっと優位に立ったくらいで、勝った気になられるのは困るなぁ〜。アタシはまだまだやれるんだから!」
心理戦を仕掛けてきたスタネーラに対し、キョウエイプロミスは脚に異常が出ているとは思えない口調と表情で反論する。
[…やはり、先ほどの違和感は気のせいですね。彼女の気力も迫力も全く衰えていない。それどころか、先ほどよりも凄みがあります。これは侮ってはいけませんね]
キョウエイプロミスの発言や迫力の強さを見たスタネーラは、すぐさま故障の可能性を消し去り、再度全ての警戒心をキョウエイプロミスに向ける。
「そうですか。ですが、激情にかられたことで生まれた『仮初の想い』では、心の奥底から湧き上がる『本物の想い』は超えられない。情熱のないあなたに私が負けることはないでしょう」
鬼気迫るキョウエイプロミスに少しずつ押されるスタネーラではあるが、再び問答をすることで、キョウエイプロミスの心を削りにかかる。
「情熱がないとか勝手に決めないでくれる?確かにアタシの想いは感情的だった。でもね、そんなアタシにだって、これだけの声援をかけてくれる人たちがいるんだ!」
「声援?そんなものは………」
キョウエイプロミスの言葉の真偽を確かめるべく、スタネーラが周囲に耳を向けると、そこには……
プロミスー!頑張れー!
日本の誇りを見せつけろ!プロミスー!
行けー!プロミス!
あと少しだ!日本の底力を見せてくれー!
プロミス!プロミス!
[確かに、これほど凄まじい声援は聞いたことがない…]
キョウエイプロミスが三平に気付かされたように、スタネーラもまたキョウエイプロミスによって気付かされる。自身の周囲に凄まじい大声援が取り囲んでいるということを。
「わかる?こんなアタシだけど、これだけの期待をされてるんだ。向けてくれた期待には絶対に応える!それがアタシの『情熱』だよ!」
そんなスタネーラにキョウエイプロミスは大声援に込められた観客たちの想いの熱さとそれに応える気概があることを高らかに宣言する。
「確かに、これだけの
スタネーラはキョウエイプロミスにも確かな想いがあることは認めたものの、それだけでは対等であり、自身の走りを超えるには至らないと告げる。
「実力が足りないなら、『覚悟』も乗せてやる!アタシはアタシの全てを犠牲にしてでも必ずあなたに勝つ!!」
キョウエイプロミスはスタネーラにはない『覚悟』があることを告げ、そのためには自らの犠牲も厭わないと言い切る。
「全てを犠牲にとは、自らの怪我も辞さない覚悟だと?そんなことできるはずが……」
キョウエイプロミスの覚悟が脚を犠牲にするつもりでいると気付いたスタネーラだが、そんなことは不可能だと言い放つが……
「できるよ!だって、アタシは『日本一のウマ娘』なんだから!!脚の一本や二本を引き換えにしてでも
スタネーラの否定的な意見を満面の笑顔で否定したキョウエイプロミスが脚に力を入れる……
バリン!!!
【
おーっと!キョウエイプロミスが差し返す!
スタネーラに再度喰らいつく!!
[『領域』に入った私を差し返してきた?まさか、この方も『領域』に?世界と闘ったことのない、極東の島国の方が、
世界の舞台で戦ったことのない日本のウマ娘の脚から、再び凄まじい末脚が発揮されたことに驚くスタネーラ。そして、その力は歴戦の選手であるスタネーラをして、世界に通じるものであると認めざるを得ないほどのものがある。
「前言を撤回させてください。今のあなたの実力は間違いなく"世界クラス"だ。ならば、私も決死の覚悟で挑ませていただきます!!」
キョウエイプロミスの底力も認めたスタネーラ。しかし、その底力にスタネーラは屈することなく、再度『領域』を使って力を引き出そうとするが……
ザザザザ…ザザザザ…
[私の『領域』にノイズ!?これは一体!?]
ザザザザ…ブツン!!
[『領域』が掻き消された!?なぜ!?私の集中力や気力に乱れなどないはず…どうして…]
勝てるぞ!遂に日本が外国に!
差し返してやれ!!
行け!突き抜けろ!
行ける!絶対に勝てる!!
[まさか、声援の圧力が私の精神力に影響を?こんなことは初めてです…。選手だけでなく、観客の方々も選手と同じく、このレースに勝ちたいと本気で思っていると?これが
『領域』から弾き出されるという想定外の事態にスタネーラの危機感は最高潮に達する。そして、心のどこかで日本を格下と慢心していた自分の愚かさを悔いた。
ただ、このことをスタネーラの慢心と蔑むことは適切ではない。
そもそも、今回のジャパンカップに対する日本人たちの期待は
健闘してくれればいい…
観客たちが日本のウマ娘たちに期待したことは『健闘』だった。しかし、キョウエイプロミスの差し返しを見たことで、人々はその先にまで『夢』を見るようになる。
勝てる!
日本人全員の期待が『健闘』から『勝利』に変わったことで声援の"質"が変わる。
その凄まじい声援の圧力は
これはウマ娘のレースの本場ヨーロッパでも事例のない異常な状況であり、スタネーラがそれを想定して対策を取るなど不可能だった。故にスタネーラに非はなく、取り乱してしまうことは仕方がないことなのだが……
「どうしたの?急に焦っちゃって。もしかして、『想定外』のことでも起きたのかな?」
一瞬の気の迷いが勝敗を左右する世界レベルの闘争の場においてそれは致命的だった。そして、スタネーラに焦りが見られたことを見逃さなかったキョウエイプロミスが不敵な笑みを浮かべ、逆に揺さぶりをかける。
「くっ…。いいでしょう…『領域』に頼らずとも、私にだって負けられない『覚悟』がある!それを今この瞬間に全て注ぐまで!!いざ、勝負!!!」
想定外の状況と切り札が封じられたことで一瞬動揺したスタネーラではあるが、そこはヨーロッパの一線級で活躍してきた選手。すぐに動揺を納め、再び闘志を漲らせる。
「そうだよね!想定外のことが起きたくらいじゃあ、あなたの心は折れないよね!?さあ、最後の最後まで死力を尽くして闘いましょう!!」
スタネーラの勇ましい姿を見たキョウエイプロミスは喜び、最後の最後まで闘い抜くことを宣言する。
「はぁぁぁー!!!」
「はぁぁぁー!!!」
スタネーラ先頭か!?
プロミス!!
スタネーラ先頭か!?
プロミス!!
スタネーラ!!
プロミス!!
スタネーラ!キョウエイプロミス!叩き合い!
勝つのはどっちだ!!!
アタシ/私は絶対に負けない!!!
もつれ込むようにして今、ゴーーール!
これは際どい!!
勝ったのはアイルランドのスタネーラか?
それとも日本のキョウエイプロミスか?
結果は写真判定にもつれ込みます!!
[ハッ、ハッ、ハッ…。肺が…脚が…私の身体の全てが疲れている。これほどの疲労感は凱旋門賞やエクリプスステークス以上かもしれない…。このレースのレース強度は間違いなく世界レベルだ…]
ゴール板を駆け抜けたスタネーラは凄まじい疲労感に襲われていた。それは過去に出場した正真正銘の世界基準の大レースにも勝とも劣らないもので、自分自身がいかに全力だったかを嫌が応にも気付かされるものだった。
「ねぇ、どっちが勝ったかな?」
全身が疲労感に襲われ、ひざを着くスタネーラの背後からキョウエイプロミスが声をかける。
「えっ?あ、ああ…私にもわかりません…。アタマ差…いえ、ハナ差?それくらいに際どかったですから…」
「だよねー。判定が出るまで待たないとわからないよね…」
疲労から息も絶え絶えになりながら答えるスタネーラに対して、キョウエイプロミスはとても冷静に淡々と会話する。
「あ、あの。すみません…。勝負とはいえ、あなたを侮るようなことを言ってしまい…。あなたは強かった。私が戦ってきた世界のウマ娘たちに全く引けを取らないほどに。本当に強かったです」
「まあ、勝負事だからね。それはしょうがないでしょ。それよりもあなたの気持ちの強さに私は驚くよ。こんな優しそうで、争い事が嫌いそうな雰囲気なのに、ここまで勇敢に闘えるなんてさ。あなたの想い人はそれぐらい情熱を見せたい人なんだ?」
少し落ち着きを取り戻したスタネーラはキョウエイプロミスにレース中の非礼を謝罪するが、当の本人は気にする素振りを微塵も見せず、むしろスタネーラの普段とレース中のギャップの方に関心がいっている。
「はい。欠陥だらけで、何の取り柄もない私を信じ続けてくれた、私にとって大切な運命の人です。だから、私は私の全てを賭けられる…。ただ、先生は忙しいから今回の遠征には来てないけど…」
「なーんだ。あなた、もともと"ハンデ"持ちなんじゃない。これじゃあ、もしアタシが勝てたとしても、全然勝った気がしないね…」
想い人に対してのことを聞かれたスタネーラは少し恥ずかしそうな顔をしながらも、想いの丈をまっすぐに伝えると共に、今回の遠征にはその想い人が不在だった旨を伝える。それを聞いたキョウエイプロミスはスタネーラには『ハンデ』があったと言い、どう転んでも完全な勝利にはならないことに苦笑いを浮かべる。
「いえ…そんなことは。しかし、結果はどうであれ、あなたの走りは人々から称賛されるでしょう。それほどに気高く、勇ましい走りでした。私はあなたと戦えたことを誇りに思います」
スッ
「それはどうだろうね…。まあ、それはそれとしても、あなたのような実力者と競えたことを誇りに思いますよ。ありが……」
苦笑いを浮かべるキョウエイプロミスにスタネーラは真剣な表情で否定をし、彼女の勇姿に敬意を評して握手を求め、キョウエイプロミスもその握手に応じようとしたが…
グラッ…
「えっ?」
バタッ
「だ、大丈夫ですか!?」
「ごめんなさい…。判定が出るまではと思って気張ってみたんだけど、もう無理みたい…」
「大丈夫ですか!?今、人を呼びますから、頑張って![身体が痙攣してる…。早くケアしないと、危ないかもしれない…]」
握手のために一歩近づこうとしたキョウエイプロミスが突然倒れ込む。慌てたスタネーラが抱き止め、顔を覗き込むと、そこには顔面蒼白で今にも事切れそうなほど、辛そうにしているキョウエイプロミスの顔があった。
「お願いします…。誰か呼んでくれませんか…痛過ぎて脚に力が入らないの…。ごめんなさい…」
「大丈夫です…。身体を預けて楽にしてください…」
「うん…ごめん…少し休みます…」
力尽きるようにスタネーラに身を預けたキョウエイプロミスはスタネーラに助けを呼んでくれないかとお願いをする。スタネーラは快諾し、キョウエイプロミスの身体を支え、楽な姿勢になるように配慮する。すると、身体が少し楽になり落ち着いたのかキョウエイプロミスは眠るかのように静かに意識を失った。
「ああ、あなたは言葉通りに"己の全て"を賭して勝利を目指したのですね…」
その姿を見守るスタネーラはレース中にキョウエイプロミスが言った言葉に全くの嘘や偽りがなかったことに驚くと共に、尊敬の眼差しを向けていた。
今回は日本の意地を見せつけ、世界を本気にさせた一世一代のキョウエイプロミスの『領域』についての設定を解説します。
キョウエイプロミスの『領域』はシングレでいう『ダービーのチヨちゃん』と同じで、私の物語の設定に当てはめるなら『犠牲的覚醒』です。
ダービー以降、力を全く取り戻せないまま引退したシングレのチヨちゃん同様に、キョウエイプロミスも大きな制約(100m限定&1度限り)と誓約(右脚の犠牲)があったからこそ覚醒できたという設定にしています。
領域名の【移木之信(いぼくのしん)】とは『約束を必ず実行することのたとえ』を意味する四字熟語で、『領域』に至れた要因である『代償』と『覚悟』の大きさを表せるかなと思い命名しました。
あと、スタネーラの『領域』が歓声の圧力によって掻き消されるという描写は私独自のものですが、これはジャパンカップの観客の凄まじい声援と会場の一体感を表現したくて描写しました。
実際に競馬の神様が中立の立場を忘れるくらいキョウエイプロミスを応援してるので、会場の全員の想いがキョウエイプロミスの奮闘の後押しになっているように描きました。