BEGINNING OF THE REVOLUTION   作:スタイニー

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土浦との交渉によりカツラギエースと話し合いの場を持つことが出来た寺永。そこで語られるミスターシービーの過去と想いとは……。


戒め

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

「どうぞ」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

「こんにちは。失礼します」

 

「わざわざ来てくれてありがとう。こちらに座ってくれ」

 

「はい。はじめまして、カツラギエースです。今日はよろしくお願いします」

 

少し緊張した面持ちで寺永のトレーナー室に入ってきたカツラギエースが一礼して室内中央にあるソファに座る。

 

「お互い何度も見かけているのだから、"はじめまして"というのもおかしいな。ただ、こうやって面と向かって話すのは初めてか。そういう意味では"はじめまして"だな。よろしく頼む」

 

「は、はい」

 

「まあ、そんなに硬くならないでくれ、別に君を説教をするわけではないし、むしろ、君には大きな恩がある。リラックスしてくれ」

 

「はい…」

 

緊張で顔が強張るカツラギエースに寺永は優しく語りかけ、なんとか緊張をほぐそうと試みる。

 

「さて、さっそくだが、シービーが君に嫌な思いをさせてしまったようだ。この場を借りてまずは私から謝罪させてくれ、すまなかった」

 

これ以上緊張をほぐすことをしたところで効果がないと悟ったからだろうか。寺永が話を進める。

 

「あっ、いや、トレーナーさんが謝ることじゃないですし、シービーも全く悪くありません!自分の弱さが招いたことなんで…。むしろ、あたしの方がシービーに酷いことを言っちゃったから…あたしの方こそ、すみませんでした…」

 

深々と頭を下げ謝罪する寺永にカツラギエースは慌ててしまいオタオタとしてしまう。そして、事の原因が自分にあると告げ、カツラギエースも謝罪する。

 

「まあ、お互いが謝り続けても建設的な話にはならないな。お互いが立ち直るためにも話を進めていくとしよう」

 

「あっ、はい。ところで、シービーはどうしたんですか?」

 

「実は今日の話し合いの場にあの子を誘ったんだがな。『まだ、アタシにはエースに会う資格がないから』と言って来なかった。君もわかっていると思うが、シービーは不器用な子だ。謝罪したくないとか罰が悪いとかいう保身的な話ではなく、あの子なりの戒めでまだ会えないと言っていた。それは悪く思わないでほしい」

 

「それは気にしてません。シービーはいいヤツですから…」

 

カツラギエースにミスターシービーの不在を問われた寺永は少し申し訳なさそうにしながら、この場にいないことの理由を話す。理由を聞いたカツラギエースは特に動じることもなく、アイツらしいなと割り切ったようだ。

 

「ありがとう。あの子をそう見てくれて。まあ、会わない代わりと言ってはなんなんだが、シービーから君に話してもいいと言われていることがある。私はその話を君に伝える伝言役のような立場だ。だから、今日のこの場に緊張感などは不要だ。肩の力を抜いて聞いてくれ」

 

そんなカツラギエースを見た寺永は優しく微笑み感謝の言葉を述べる。そして、ミスターシービーが来ない代わりに伝えたいことがあると言う。

 

「話してもいいこと?なんですか、それは?」

 

予期しない話の方向にカツラギエースは少し驚いたようだが、気を取り直して伝えたい話の内容を聞く。

 

「おそらく、君も薄々気付いているだろうが、シービーは自分の身の上話やトレセン学園入学前の話を、誰かに話すことを自分からは絶対にしない。あの子にとってそういった類のことは友達であっても話したくないことなんだ」

 

「確かに、シービーからそういう話を聞いたことないです…」

 

「そうだろ。今日ここに来ていない理由の一つが、そういった類の話を自分からしたくないという抵抗感によるものだ。ただ、逆に言えば自分ではない誰かからなら、話をしてもいいという、あの子なりの誠意であったりもするんだ。君はシービーから本当に大切にされている。昔からあの子を見てきた、私からしてもこんなことは初めてだ。だから、気を悪くしないでくれ」

 

寺永は再び申し訳なさそうにしながら、ミスターシービーがここに来ていない理由を話す。そして、謝罪をしつつ、ミスターシービーがいかにカツラギエースに特別な感情を持っているかを伝える。

 

「そんな、気を悪くするなんて、とんでもないです!アイツのことは多少はわかります。これがアイツなりの誠意ってことも、なんとなくはわかりますから…」

 

「そうか。ありがとう」

 

褒められて気恥ずかしそうにするカツラギエースを寺永は優しく見守っていた。

 

「さて、気を取り直して、まずは菊花賞の話についての謝罪といこうか。シービーに聞いたよ。あの子が軽々しく『努力』を語ってしまったんだろ?まあ、普段から『努力』している子たちからすれば、馬鹿にされて、見下されていると捉えられてもおかしくことを言っていると私から叱っておいた。改めて謝らせてくれ、すまなかった」

 

話の前振りが終わり、寺永が話の本題を切り出す。寺永が切り出した最初の話は菊花賞での出来事だった。寺永はことの顛末をミスターシービーから聞いていて、彼女の落ち度を咎めていたからだろうか、カツラギエースに対して、再び申し訳なさそうな表情をしながら、深々と謝罪する。

 

「いやいや、あたしこそ、レースに大負けして気持ちが沈んじゃってたんで必要以上に浸っちゃってすみませんでした…」

 

再度の深々とした謝罪にカツラギエースはまたも慌ててしまう。

 

「それなら尚更言うべきではないだろう。それはあの子の察しの悪さだ。あの子の否の方がよっぽど大きい。とはいえ、あの子があの時に君にその話をしたことには明確な理由がある」

 

そんなカツラギエースに対しても、寺永は真剣な表情を崩さず、謝意を表する。たた、寺永はそれに加えて、ミスターシービーがあのような話をした理由をカツラギエースに明かそうとする。

 

「理由?なんですか、それは?」

 

「あの子は君に感謝の気持ちを伝えたかったんだ。苦手な長距離である菊花賞を走り切れた理由が君のおかげだったからだ。あの子はしきりに言っていたよ。『あのレースは人生で最高のレースだった。それはエースのおかげで出来た』とね」

 

「確かに、そんなこと言ってた気がします。あたし、気落ちしすぎて冷静に話を聞けてませんでした。ますます、あたしが悪いです…」

 

寺永の言葉を聞いたカツラギエースは今一度冷静になって菊花賞の時の出来事を振り替える。そして、落ち込んだ感情のままミスターシービーの話を聞いてしまい、ミスターシービーの真意を理解しないまま聞いていたことを自覚し、罪の意識で俯いてしまう。

 

「それは無理もない。先ほども言ったが、達成感に満たされすぎて、配慮を欠いたシービーの落ち度の方が余程大きいのだから。とはいえ、こうなってしまった原因は私の指導にも原因がある。それも踏まえた上で、シービーの中にある心情を君に伝えたい」

 

罪悪感を感じているカツラギエースを擁護する寺永は事の原因の一旦が自分に否があると告げる。

 

「えっ?トレーナーさんは何も悪くないと思いますけど…」

 

「いや、そんなことはないよ。シービーに真剣に『努力』することを課さなかったのは私の落ち度だからな」

 

「いや、でもそれはシービー本人の意識の問題ですし、それにアイツくらいの才能があれば、確かに『努力』なんてしないですよね」

 

寺永の突然の告白に驚くカツラギエースが寺永を擁護する発言をする。

 

「まあ、それに関しては恥ずかしながら、YESと言うしかないな。実際、シービーは走りに関して『努力』をしたことがない。これは誇張でもなんでもなく本当だ。それくらいあの子は走りの才能はずば抜けている。それこそ、ウマ娘の神様から与えられた『天賦の才能』といっても大げさでないくらいにな。だから、あの子に『努力』するという概念はそもそもないんだ」

 

「ホント、アイツは正真正銘の天才ですよね…」

 

あまりにも大袈裟な言葉ばかりで、一見するとお世辞のように聞こえる寺永のミスターシービー評。しかし、間近で実力を思い知っているカツラギエースからすればそれはどれもが真実であり、額面通りの評価であると、納得している。

 

「ああ、今までいたトレセン学園のウマ娘の中でも、天才という言葉があれほど似合う子もいないだろうな。トレーナーを長くやっている私でさえ、あの子のような天才に出会ったことは、過去に1度しかない。それほどあの子は稀少で特別な才能を持っている。だからだが、あの子の気ままな性格と相まって『努力』することが逆の意味で特別なことになっていた。そう、君に"負けるまで"はね」

 

「まさか、シービーがあたしに言いたかったことって…」

 

「ああ、言葉尻はどうあれ、見下してなんか一切ないんだ。むしろ、あの子にとって君は"新しい価値観をくれた恩人"なんだ。だから、菊花賞のレースが終わってから一目散に君を探したんだ。その感謝をいち早く伝えるためにね」

 

「そうだったんですか…。ああ、あたしはアイツになんてことを言っちゃったんだ…」

 

寺永の意味深な強調にカツラギエースの中にある可能性を考える。そして、寺永から語られた真相と合致したことで、カツラギエースは先程以上に罪悪感に苛まれてしまう。

 

「いろいろと間の悪いことが重なった不運なんだ。君だけが重く受け止める必要はない。君はこれ以上気に病まないでくれ。シービーもそう願っているよ」

 

「わかりました。とりあえず、菊花賞のことは、スッキリしました。自分は自分としてシービーにしっかり謝りますけど、これ以上は引きずりません!」

 

寺永の励ましに対して、カツラギエースは頬を叩いて気持ちを切り替えるような仕草をする。そして、これ以上は引きずらないと宣言して、悲しげな顔から笑顔に切り替える。

 

「そうか。ならよかった。ひとまず、この話は解決したようだな。なら、次の話にいこうか」

 

その顔を見た寺永が微笑む。そして、次の話を切り出そうとする。

 

「まだ、あたしに話すことがあるんですか?」

 

「ああ、まだある。というか、むしろ次の話の方が本筋だ。これから話すことはシービーの身の上話になる。ただ、これは君がシービーにとって最も親しく、信頼できる親友だから話してもいいと言ったことなんだ。だから、この話は君の心の内に閉まって欲しい。約束出来るかな?」

 

話を切り出そうとする寺永が少しだけ神妙な面持ちになる。どうやら、次の話は先程以上にミスターシービーの内面に切り込んだ話になるようだ。

 

「シービーの身の上話ですか…。確かに今までシービーからそんな話は聞いたことがありません。もちろん、誰にも話すことはしません。それで、シービーはどんな過去を抱えてるんですか?」

 

「まず初めに、これは世間的にも有名な話だが、シービーの両親のことは知ってるかな?」

 

「はい。まあ、ざっくりとですけど。シービーのお父さんは元トレーナーで、トレセン学園でも有名なトレーナーだってことと、お母さんもトレセン学園の生徒で、レースで重賞に勝つくらい優秀な生徒で、お父さんの教え子だったってことくらいは知ってますけど、それ以外は知らないです」

 

「まあ、それくらいは有名な話で誰でも知っているだろうな。では、こんな話を知っているかい?私がシービーの父親の同期で友人、シービーの母親とは生徒時代から知り合いだったことは知っているかな?」

 

「えっ?いや、知らないです。トレーナーさんとシービーの両親との繋がりがそんなに昔からあって、仲も良かったなんて知らないです」

 

初めて聞く事実にカツラギエースが驚く。

 

「まあ、そうだろうな。私もあの子の両親も公にはそれを隠しているからな。ちなみに、シービーがトレセン学園に入学する数年前にあの子の父親はトレーナーを引退している。その理由はわかるかな?」

 

驚くカツラギエースに対して、寺永は淡々と語っていく。

 

「えっ?辞めた理由ですか?う〜ん……。お父さんがトレーナーを続けてるとシービーが無駄に注目されて学園生活が大変になるから…とかですか?」

 

「素晴らしい。君は本当にシービーをよく理解しているな。そうだ。シービーの父親はそれを気にして早々にトレーナーを引退することを決めた。娘の学園生活が大変にならないようにとね」

 

「まあ、今の感じでも十分すぎるくらい騒がれてますから、それでトレーナーがお父さんだったら、マスコミはますます追っかけますよね…。あっ、もしかして、トレーナーさんがシービーを担当してる理由って…」

 

「それも正解だ。シービーと契約をしたがるトレーナーはトレセン学園入学前から大勢いたよ。それこそ、あの子があるレースクラブにいるという噂が広がるだけで数日に一度は誰かしらトレーナーがスカウトに来ていたくらいにだ」

 

「シービーが入学前から話題になってた天才っていうのはなんとなくは知ってましたけど、そんな感じなのは知りませんでした。じゃあ、トレーナーさんは入学前から専属契約することでトラブルにならないようにシービーの両親から頼まれていたんですか?」

 

「だいたいそういうことであっている。それに加えて私自身がシービーが生まれた時から知っているという親しみやすさもあって、あの子を託されたんだ。もっとも、余計なトラブルにならないように、私とあの子の両親との繋がりについての痕跡が、探られないようにいろいろと努力はしているがね」

 

「そうだったんですか。確かに、そんなすごい両親がいて、本人にも凄い才能があったら、騒がれまくっていろいろとトラブルが多そ…………もしかして、シービーが過去の話をしないのは、そういう家庭事情とかがあって、いい思い出が少ないからですか?」

 

「そうだ。あの子はトレセン学園の入学前に、さまざまな苦い思い出を経験している。もっともそれは本人の自由奔放な性格や走りの才能が原因になってもいるから、一概に周りだけがいけないわけではないがね」

 

寺永との会話を通してカツラギエースはミスターシービーに隠された真実に徐々に近づいていっているようだ。

 

「そうだったんですか。例えばどんなことがあったんですか?」

 

「レースクラブでの折り合いの悪さは酷かったな。自由に走りたいあの子と教科書通りの育成プランをしていきたいレースクラブ側とで必ず揉め事を起こしていた。酷い時は1時間と持たずにクラブを辞めたことがあったな」

 

寺永は過去にあったトラブルを苦笑いしながら話していく。

 

「そんなことがあったんですか。まあ、アイツらしいですけど。じゃあ、結局アイツはクラブに入らなかったんですか?」

 

「最終的には両親が諦めた。まあ、あの子からすれば、クラブの指導の仕方が嫌だったからクラブに入れないこと自体は全く気にしていなかったがね」

 

「クラブに入らなかったってことはわかりましたけど、そしたらシービーはどうやって走りの才能を磨いていったんですか?やっぱり、ご両親が教えてたんですか?さすがに、レースのルールや走り方は学ばないとトレセン学園の試験には合格できないような…」

 

話の終着点を見たカツラギエースではあるが、そこからさらに派生する疑問点を寺永に尋ねる。

 

「あの子の両親が教えていたというのも多少はあるが、あの子が走りの才能を主に磨いていた場所は野良レース場だ。それこそ、クラブを渡り歩くずっと前から、あの子は野良レース場に出入りして、年上のウマ娘たちとレースに明け暮れていた。あの子の母親曰く、シービーが初めて野良レース場でレースをした時、『レースって楽しい!世界で1番、自由な場所を見つけた!』と言って、今まで見たことのないくらいの満面の笑みで帰宅したそうだ」

 

カツラギエースの疑問に対して、寺永は丁寧な口調でミスターシービーの過去を解説していく。

 

「それもアイツらしいですね。そっか、アイツの走りの原点はそんなところにあったんですね。だから、アイツは練習なんかよりもレースをすることにこだわってるんですね」

 

「そういうことだ。ただ、これも数年して問題が起きるようになった」

 

先ほどまで丁寧な口調で説明していた寺永の口調が突然変わる。

 

「えっ?問題?なんですか、それは?」

 

「問題だったのは、あの子の類い稀れなる走りの才能だ。あの子の走りは"悪い意味"で年相応ではなかった。小さい頃はまだ良かったが、年齢が上がり、体が成長していくと、3・4歳くらいの年齢差であれば簡単に覆せるだけの走りの才能を身につけてしまったんだ」

 

「えっ?それだと同い年の子たちは…。もしかして、シービーとレースをしてくれない子が出て来たんですか?」

 

「そうだ。まあ、かなり歳の離れた子たちは気にしていなかったが、同い年や1つや2つくらいの年齢差の子たちはみなレースをしたがらなくなった。負けるにしても圧倒的な差をつけられてしまうからだ」

 

「野良レースをやる子の多くはトゥインクルシリーズなんか目指さないで、気ままに走ってますからね。そんなところに三冠ウマ娘レベルの子が混じったら敬遠されるのは当たり前ですよね……あれっ?野良レースもできない、レースクラブも無理…シービーの走る場所がなくなってませんか?」

 

過去のエピソードを紐解くたびにカツラギエースは新たな気づきを得る。ただ、その気づきはどんどんとネガティブな方向へと進んでいく。

 

「そういうことだ。そもそもの話だが、野良レースで走れなくなり始めたことで、両親があの子のためにあの子に合うレースクラブを探し始めたんだ。しかし、そこではクラブとの折り合いがつかない。一時的ではあったが、あの子は本当に走る場所を無くしてしまったんだ…」

 

真実を語る寺永の表情は悲しげで、ミスターシービーの過去の話は彼にとってもやるせないことのようだ。

 

「じゃあ、今のシービーは…」

 

「あの子はこの学園での生活を心の底から楽しんでいる。レースをすることには困らない。その上、実力があり、気の合う仲間もたくさんいる。トレセン学園そのものがあの子が夢見た『理想の世界』なんだ」

 

「そっか…だから、シービーは毎日あんなに笑顔で、楽しそうにいられるんですね…」

 

「そうだ。そして、自由奔放な性格もあって友達が少なかった、あの子にとって初めて出来た『親友』であり『ライバル』と呼べる存在が君だ。だから、あの子は今、自分を戒めている。『親友を傷つけた自分にレースを走る資格はない』と言ってね。レースが何よりも好きなあの子が一切レースをしないんだ。君を傷つけたことは他人には分かり得ないほど、重い罪となってあの子にのしかかっているんだ」

 

「そうだったんですか…。ごめん、シービー…。あたしが弱いばっかりに…」

 

寺永の言葉を受け取ったカツラギエースは目に涙を浮かべる。

 

「君は君としていろいろと辛い思いをしたことは重々承知だ。ただ、それをわかった上で改めてお願いをしたい。シービーに対して君自身、罪の意識を一切持たないでくれないか?そして、今までのシービーの行いの全てを許してくれないか?今のシービーにとって、仲直りの言葉や握手よりもこのすれ違いを乗り越えて、君が以前のように元気にレースしている姿が、あの子にとって自らの戒めを解く鍵になるんだ…」

 

「わかりました!あたしはもう大丈夫です!ただ、少し時間をください。あたしは必ずシービーの側で走るに"相応しい姿"になって帰ってきます!」

 

カツラギエースは涙を拭い、凛々しい顔つきで復活することを誓う。

 

「ああ、そうしてくれると嬉しいよ」

 

凛々しい顔つきに戻ったカツラギエースの表情を見た寺永は優しく微笑む。

 

「そうだ、トレーナーさん!シービーに伝えてください。あたしはあんたに『戻ってきてくれ』なんてお願いはしない。あんたがあたしを認めてくれたら『戻ってくればいい』から、待ってろって!」

 

復活を誓ったカツラギエースは自力で復活を遂げるとさらに誓い、手助けは無用と言い切る。その顔にはカツラギエースらしい豪快な笑顔が溢れていた。

 

「わかった。必ず伝えよう。君の健闘を祈るよ」

 

「はい!シービーは必ずあたしが復活させます!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、今年からGⅠレースに認定された『宝塚記念』。今年は役者が多数揃っています!!

 

 

 

 

4番人気は今年に入り重賞2勝、3連続連対中と絶好調のダイセキテイ!!

 

「よぉ、菊花賞でボコボコにやられて凹んでたらしいが、今日の調子はどうなんだ?」

 

「ええ、おかげさまで。今はすこぶる絶好調ですよ!」

 

 

 

 

 

3番人気は姉モンテプリンスと同じく、今年の春の天皇賞を制し、天皇賞姉妹制覇を成し遂げたモンテファスト!!

 

「寺永さんから言われてる、容赦なく叩き潰せってね。シービーの友達だろうと手は抜かないよ!」

 

「もちろんです。手加減なんて無用ですよ。あたしはあたしの約束(ケジメ)のために戦い、あたし自身の力で先輩に勝ちます!」

 

 

 

 

 

2番人気は一昨年の菊花賞ウマ娘!天皇賞の悔しさをここで晴らします!ホリスキー!!

 

「調子に乗ってる"シービー世代"をそろそろ叩かないとアタシらの『先輩の威厳』ってヤツに関わるからね!簡単に勝てると思わないでよ!」

 

「世代なんて関係ありませんよ。先輩だろうが同い年だろうが、あたしはあたしの強さを証明しますから!」

 

 

 

 

 

そして、重賞2連勝でこの宝塚記念に乗り込んで来ました!今のトゥインクルシリーズを牽引する"シービー世代"のウマ娘……

 

 

 

「見ててくれ!シービー!あたしはあんたのライバルに相応しいウマ娘だって、このレースに勝って証明してやるから!!」

 

 

 

カツラギエース!!堂々の一番人気です!!

 

 

 

 

 

 

 

6月3日 阪神レース場 2200m

第25回宝塚記念 GⅠ

 

 

開幕!

 

 

 




シービーの過去話はアプリ版でもあるエピソードを盛ったりアレンジしたりしてシービーの『暗い影』のエピソードを創作しました。

そんな『暗い影』があるシービーだからこそ、私の物語のカツラギエースというウマ娘にはアプリ版以上にシービーの『光』であり『救世主』としての役割を与えています。

さあ、お待ちかね!
次回から復活したカツラギエースの躍進が始まります!
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