偽書 超ロボット生命体トランスフォーマーSAGA   作:ポルポル君

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さあ、戦いだ

「本当に大丈夫ですか?」

オプティマスの立てた作戦に不安を抱きながら、ラチェットはサイドスワイプから拝借したジェットパックの接続部を改造しオプティマスの背中に取り付ける。

「大丈夫だ、きっとうまくいく。」

自信ありげに答えたオプティマスであったが、それでも彼の部下達は不安な様子である。

流石にこれではうまくいきそうにないと思い、ロディマスは新たな提案をする。

「司令官、本部にも協力を要請すべきです、マトリクスを奪われたとあれば流石に本部も動いてくれる筈です。」

ロディマスは本部にこの作戦を伝える事で助けを求め、大人数で一斉に攻撃を仕掛ける事で、その混乱に乗じてマトリクスを取り返す事を図る。

その旨をオプティマスに伝えると。

「なる程、言い考えだ。」

引き続きジェットパックの調整を続けながら、案外にあっさりそれを取り入れようとするオプティマス。

オプティマスは何も考えてないのではないか?そういった不安からバルクヘッドは隣のバンブルビーに問いかけた。

「なあビー、本当にでえじょうぶか?」

「大丈夫だって……司令官の事だから、何か考えが……。」

実は何も考えていないような気がしたためか、バンブルビーも答えに詰まってしまった。

とにかく提案が受け入れられたロディマスは、作戦への協力を要請するために本部との通信を始めようとする。

それまでの五年間の地球滞在で馴れた手つきでパネルを操作するが、どうゆう訳か本部との通信は出来ず、ただその画面には灰色の砂嵐と自然界のそれを彷彿とさせるノイズ

だけが響き、誰との会話も出来ない。スペースブリッジは向こうとの交渉がなければあちらのスペースブリッジが作動できず、最早自分達は月に行く事すらできない。

「くそう!通信ができないッ!」

ちょっとやそっとの事ではエラーが生じないように作られたこの機械は、前日ラチェットがメンテナンスを行ったばかりだったためか故障が生じた可能性が低い。

考えられるのは向こうの機器に何かがあったか、それともディセプティコンによる妨害電波か、とにかく通信ができない。

「司令官!作戦の決行は無理です!どうか考えなおし……。」

たとえ作戦が決行できずとも、マトリクスを取り返すという意思は変わらない。

意を決したオプティマスは、ジェットパックに火を付ける。

「私一人で行く。」

「先生、待たれよ!」

「いくらなんでも無謀ッスよ!」

もはや部下達の静止を聞く間もなく、オプティマスは灰色の天井を突き破って群青色の空へと飛びだし、いつしかこの星の大気を抜け出した。

「ヒャアアハハハハハア、俺様もついていくぜぇ。」

X2へと姿を変えたホワールは、これからまっている戦いを予感しオプティマスが天井に開けた穴へと上昇していく。

その時、中に浮き始めていたホワールの青い機体に何か大きな衝撃が走り、その機体は一瞬大きく傾いた。

「おいビー!よせ!よすんや!」

バルクヘッドは突如ホワールにぶら下がったバンブルビーに静止を呼び掛けた。

これからオプティマスと同じ用にディセプティコンの基地へと向かい、またもやその身を危険に晒そうとする行為は、彼女の友として止めずにはいられなかった。

「バルクヘッド、悪いけどあたしも行く。」

「待て、いくらなんでも無謀だ!」

ラチェットも静止に加わろうとした時、体制を整えたホワールはとうとう穴から出て行ってしまった。

「ああ……ビー……。」

バルクヘッドは友人を止められなかった事に後悔し、俯いた。

「アイツら……無茶しやがって。」

ハラルドもまたこの作戦の無謀さに困惑するばかりであった。

 

力強いジェット噴射で成層圏を抜けたオプティマスは、赤と青のツートンカラーのボディをオレンジの炎に包み、黒にその身を染めつつも純白の月を目指す。

その月の方面から高速でオプティマスに接近する二つの巨大な飛行物体が二つ。

双方ともスタースクリーム同様に戦闘機『F-22』の形を取っていたが、彼らがオプティマスを迎撃せんとして飛んできたディセプティコンの尖兵である事にオプティマスは気が付いていた。

一定の距離まで接近していたそれらは変形を開始し、前方の者は黒の、後方の者は青の機体を折りたたむようにして人型を成してゆく。

彼らがスタースクリームの側近達たる若き精鋭『スカイワープ』と老兵『サンダークラッカー』である事にオプティマスはその色で気が付いていた。

「こ……ここから先は……。」

「ここから先を通る事はこのわたくし達が許しませんわ。」

サンダークラッカーの怯えきった弱々しい声を尻目にスカイワープはこの宇宙空間によく通る甲高い声でオプティマスに告げる。

「ならば……力づくで通るのみだ。」

オプティマスは腰から青く光る一本のライフルを取り出し、その銃口からオレンジの弾丸をこの二名目掛けて放つ。

「ほひゃあ!」

とうとう開始された攻撃にサンダークラッカーが怖気づく中、スカイワープは突如青白い光を発し、その場から消えてしまった。

消えたスカイワープをオプティマスが探す中、オプティマスの背後、息がかからんばかりの距離に一つの不穏な気配をがあった。

「死んでもらいますわプライム。」

間一髪、スカイワープが薙ぎ払ったオレンジ色の刃をオプティマスはすり抜けるが、その時オプティマスの背中で、何かが切れる音がした。

「しまった!」

先の斬撃によってオプティマスをこの宇宙空間まで押し上げてきたサイドスワイプのジェットパックが真っ二つに切断されてしまった。

ジェットパックのブースターは本体が真っ二つに裂けると共に力尽き、それまで力強く吹きあげていた炎の力を絶やしてしまった。

支えを失ったオプティマスの黒い巨体は重力によって遥か遠くの大地へと引きつけられ、再びオレンジの炎にその身を包む。

「ほわああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」

段々と消えていくオプティマスのその姿を二名は見届ける。

「や……やったの……かな?」

恐ろしい敵の存在が消えうせたからか、サンダークラッカーは安心しきった声で呟く。

「もう飛んでくる事は不可能でしょうし、『迎撃した』とメガトロン様に報告しましょう。」

両者とも各々のビークルモードへと変形し基地へと引き返そうとした時、新たな飛行物体が一つ、彼らの間を駆け抜けていった。

「あ、あれは?」

その重厚なシルエットを持った飛行物体はその銀色の機体を大気から噴き出すオレンジに染めながら、急速で落ちて行ったオプティマスへと向かってゆく。

「な……なんだろうね?」

「あら、トドメを刺しにいかれたのですわ。」

二名は関心してただ大地を目指す物体を見ていた。

 

所変わってバージニアに位置する広大な空軍基地。

「ほわああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」

オプティマスかつて赤と青のツートンカラーで彩られていた黒いボディを、宇宙同様の夜空に、光る軌道を描きながらコンクリートの地面に打ち付けてしまう。

コンクリートの破片とオプティマスというゆうに12mはあろう巨大な落下物が地面に叩きつけられた爆音が起こり、それと同時に灰色の地面に直径30mはあろうクレーターが作り出された。

「うう……なんという……ことだ……。」

部下達が思っていた通り、作戦は失敗した。

さらにはジェットパックまで失い、月のディセプティコンの基地へ突撃する手段もなければ、どこにあるかも分からぬ基地へと帰る手段もない。

途方に暮れていたオプティマスの聴覚回路は、東から聞こえるタイヤの音を捉え、危機感を覚えた。

ハラルドに見つかった時は個人の範囲であったからまだしも、ここで大勢の人間に見つかればこの星のメディアで自身が注目の的になる事は間違いなく、ロディマス達のこの星での活動の大きな障害になる事は想像に難くなかった。

オプティマスはサイバトロン文明トラックの形態に姿を変えると、その黒いボディを空軍基地内の建物の影にひそめる。

その時、その建物の横側の『フレイトライナー・アーゴシー』、赤と灰色、そして黒で彩られた12mの未来的な車体はオプティマスの巨体には手ごろなサイズであった。

「よし。」

オプティマスは再び人型のロボットの姿を取ると、そのカメラ状の目から一筋の青い光線を発し、倉庫の側に佇むアーゴシーを包みこむ。

再びトラックの姿となって走り出したオプティマスの車体からは最初に車体の両側から黄色い火花を吹きだしたのを境に、次第に黒く焦げた装甲が剥がしながら、その姿を未知のトラックから大型のトラクターへと姿を変え、バージニアの公道へと乗り出す。

 

その時、空を駆け抜けたもう一つの流れ星が次第に大きくなり、オプティマスの方向へと向かっていた。

それは降下の過程で接近した対地攻撃機『A-10』に赤い光線を浴びせると、ずんぐりした未知の文明のジェット機の形態からそのボディを引き延ばし、機体を覆う炎を振り払いながら先程光線を浴びせたA-10へとその形態を変化させてゆく。

機体の変化が終了した後、18mという巨大な機体からは数発のミサイルが発射され、地面に着弾したその全てが空軍基地の倉庫へと向かった。

この爆撃による凄まじい音とそれを聞いて逃げ惑う人々の悲鳴がオプティマスの聴覚回路にまで達し、先程までいた空軍基地へと引き返す。

「何があったというんだ。」

空軍基地、焦土の荒野と黒い鉄屑が散らばった場所、その中央にはA-10が本物と違う銀のボディが街明かりを反射し、その存在をオプティマスにアピールするように佇んでいた。

「元気なようだなオプティマス。」

初めて見た地球の文明の産物である筈の攻撃機から聞こえたのは、この五万年間幾度となく聞いた壮年の声、オプティマスには覚えがあった。

その声の直後AC-10の同あの三本の黒い角を持った頭部がせり出した。

「メガトロン……。」

爆撃機から変化したその姿は、まさしく宿敵のそれであった。

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