偽書 超ロボット生命体トランスフォーマーSAGA   作:ポルポル君

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覚醒

ホワールを助ける為、青く太い足に力を入れて立ち上がろうとしたオプティマス、しかし、次の瞬間にはその足は爆音と噴煙を伴って消失し支えを失ったオプティマスは崩れ落ちてしまう。

その噴煙の直後よりメガトロンの右手のキャノンからは硝煙が上がっており、今回もオプティマスの腹やホワール同様にその足を抉り取ったキャノンの破壊力を、砲主でありながらその振動から破損した右肩を抑えるメガトロンが立証している。

それでもなお立ち上がろうとするオプティマスにメガトロンは一気に歩み寄り、残された左足と両手でその巨体を支えるオプティマスに容赦ない鈍器の洗礼を浴びせる。

「……ひぃ……ひぃ……。」

バンブルビーはメガトロン自身への恐怖やトラウマに銀色の顔を歪め、今にも泣き出し逃げ出しそうな状態で、もはや攻撃すらままならない下の彼女の存在などメガトロンの眼中にない。

そうして打ちのめされて尚、オプティマスの闘志は折れる事はなかった。

「まだだ……メガトロン……。」

だが、まともに立ちあがる事もままならぬ状態でどうたたかおうというのか、メガトロンは嘲る様子でオプティマスに言った。

「まだだと?まともに立ち上がれない貴様がこれで負けていないというか?」

左手を振りおろさんとした時メガトロンの膝を強烈な痛みが貫いた。

「ウオオオッ!」

痛覚の発信源となった左膝の皿はまるでガチャガチャのカプセルのように真っ二つに切れ、その傷は熱を帯びて未だに白い煙を発している。

そして何よりもメガトロンを苦しめたのが、その傷にしっかりと喰い込んだ炎のようなオレンジ色の高熱の手斧、それがメガトロンの足に未だに痛みを与える。

痛みをこらえて手斧を引き抜いた時、メガトロンの足からはまるで人間が傷から血を吹きだすように大量の火花を噴射し、メガトロンを物理的にも精神的にも苦しめた。

「計ったなオプティマス!だがそう簡単には……。」

次の瞬間、大斧のグリップを支えに立ちあがったオプティマスの斧の一撃がメガトロンめがけて振りおろされ、間一髪でメガトロンは左手の盾で受け止める。

「しまったッ!」

その直後、支えを失ったオプティマスにメガトロンの無傷の右足による力強い蹴りが入り、再びオプティマスをなぎ倒してしまう。

そして何度も持ち上げては投げ、最後には倉庫の壁にオプティマスを叩きつけると胸部にはオプティマス自身の斧を突き刺し、貼り付けにしてしまう。

「残念だったなオプティマス、逆転のチャンスなど最初からなかったんだよ。」

 

そんな乱闘の様子を遠巻きに眺めるバンブルビー、オプティマスが次第に不利になっていた時、恐怖に支配されていた精神にある一つの考えが芽生え始める。

目を背けていた戦いの中、追いつめられるオプティマスの赤い身体は次第に彼女の兄……『クリフジャンパー』の姿と重なってゆく。

遠い記憶の旅に出かけたバンブルビーがバージニアの空軍基地を出発し、到着したのは『あの日』の月の真っ白な荒野。

足を怪我した自分を突き飛ばす兄の姿、黄色と銀の細い身体を白い砂で汚しながら転がる中聞こえる少年の断末魔、起き上った自分の足元に転がってきた赤い破片とその前に立つメガトロン、発声回路がショートしそうな勢いで出た自分の叫び……。

彼女の丸い頭の中の思考回路が出した答えは『このままではオプティマスを失う』。

その直後、頭の中の全てが真っ白になったバンブルビーは、気が狂ったように叫びながら、その足を二人の元へと運び始めた。

 

「よせッ、バンブルビー!」

背後から聞こえてきた少女の叫びとオプティマスの静止を聞いたメガトロンが振り向いた瞬間、既に激しく破損していたメガトロンの右肩にはさらなるダメージが伝う。

それまで歯牙にもかけなかったバンブルビーの凶器はメガトロンの肩に深く食い込み、さらにはそこから流れ出る電流がメガトロンの全身を伝い、さらに苦しめる。

「この小娘がッ!」

だが、杭のように食い込んでいたバンブルビーの槍はメガトロンの凄まじい怪力によっていとも簡単に引きはがされ、コンクリートの地面に叩きつける。

そしてメガトロンの右手のキャノンが火を噴き、そこから吹きだす紫の炎は弱火ながらもバンブルビーを吹き飛ばし、黄色く愛嬌のあったその姿を黒く焦げて崩れかかったまるでゾンビのような姿へと変えてしまう。

「バンブルビー!」

仲間の悲惨な姿にオプティマスは思わず叫んだ。

そんな無残な姿になってもまだ生命がある事を訴える青い目は、メガトロンのしっかりと捉え、折れ曲がった槍で今度はメガトロンの生命を奪わんと何度も何度も付きだされ、その足は未だに走り続ける。

「こいつッ、化け物かッ。」

肩の反動を抑える為に弱火だったとはいえこのヒュージョン・カノンで撃たれて尚立ち上がる執念にはメガトロンも驚きを隠せない。

だが、半狂乱のバンブルビーの繰り出す攻撃は単調であったが故に、それを読んだメガトロンがバンブルビーを抑え込むのはたやすかった。

わめくバンブルビーにメガトロンがついにトドメをさそうとした時、メガトロンの聴覚回路が捉えたのは今月面にいる忠臣サウンドウェーブの声。

「スタースクリームガドローン複数体トクーデターヲ起コシタ。」

「なんだとッ!」

メガトロンは驚く、スタースクリームにはあのパフォーマンスで野心をへし折ったつもりでいたが、それでも懲りない彼への怒りもある。

今はひとまずこのクーデターを鎮める事を優先したメガトロンは、再びA-10へと変形して空の彼方を目指す。

 

危機が去った事を知ると、徐々に落ち付きを取り戻してゆくバンブルビーの意識は全身に走る痛みを自覚するのもつかの間、その意識を闇へと落とす。




ビーがメガ様にトラウマがあるっていう設定は実写版から拝借しましたが、流石にこれだと深刻すぎるかもしれません。

何気にスタスクが影のサイバトロン戦士していますね。
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