偽書 超ロボット生命体トランスフォーマーSAGA   作:ポルポル君

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トランスフォーマー達が変形するビークルの車種等についてはこれからは明確に書かせて頂く事にしました。
その前にスタスクの機種を明記していた以上今更感は否めませんが。


選択

生き物という印象を全く抱くことができないようなバンブルビーの無機質な銀色の体内に黒い長方形の物体が一つ、一秒ごとにその中に存在するであろうタイマーによって数秒後に迫る危機を知らせる。

「ばッ、ばばばばばばば爆弾んんんッ!」

まさか自分が危険物と化しているとは思わなかったバンブルビーは、驚愕と恐怖から取り乱す。

「お前……それどこで!?」

「分かんないよッ、あいつらにスペースブリッジで基地に連れてこられてからここに来るまでの記憶がないよッ!」

ハラルドは爆弾を取り付けられた経緯が分からず、さらに混乱する。

「爆発まで……一分!」

爆弾に取り付けられたタイマーの赤い数字はそれを見たラチェットに現実を突き付け、焦りを募らせた。

だがたとえ焦っていようともラチェットは手慣れた様子で素早く正確にそれを解体し、さらにはバンブルビーの体内からそれを排除する事に成功したのだった。

しかしそれでもタイマーは動き続け、一同への害意と危機は未だ去っていないという現実を教え続けた。

タイマーが一同に与えられた猶予が三十秒である事を指示した時、その中にある二つの配線をラチェットとハラルドは発見した。

「ええっと爆弾を止められるのは……。」

「これだ!」

ハラルドは自身の電子工学の知識から最善の答えを出したつもりだった。

床の上に置かれた爆弾の緑の配線に指をさしたハラルドをラチェットが一蹴した。

「違う!それを切ったら一環の終わりだ!」

「緑!」「赤!」「緑!」「赤!」「緑!」

オプティマスは手を止めていたラチェットをどかし、自らペンチを握る。

「いちかばちかだッ!」

オプティマスは渾身の力で赤の配線をペンチで挟み込むと、配線はブツンという重く気持ちのいい音を立てて真っ二つになる。

まるで即死してしまったかのようにタイマーは止まり、彼らに判決を言い渡すかのように沈黙した。

そしてその沈黙が永遠に続いた事は、赤い配線を切った事が正解であった事を知らせた。

緑の回線を指示していたハラルドはラチェットに向かって感謝と謝罪の意を込め無言で頭を下げると、ただ一言で彼を讃える。

「流石はプロだ。」

「いいや、それ程でも。」

ラチェットは照れ臭そうにハラルドに向き直る。

 

爆弾が片付き、いよいよ本格的に修理にとりかかろうとした時、彼らの耳には人工的で甲高く大きな音を耳にする。

消防車、救急車、パトカー…どれだかは分からないがそれが公共の機関の乗用車の接近を知らせている事は分かった。

「あまりここに長居はできない、作業は基地でやろう。」

「彼らの邪魔になってはならないからね。」

赤いロボットの言葉に答えたラチェットは腕に取り付けてある機械の操作を行うと、あの神秘の渦『スペースブリッジ』が一同の眼前に姿を現した。

「バンブルビー、オプティマス指令、すまないが場所を移す事になった。」

「ああ、分かった。」

「…俺も付いてきていいか?ロスの自宅にも帰れないしこのまま一人ってのも正直ちょっと不安なんだ…。」

ハラルドの申し訳なさそうな質問を赤いロボットは承諾したかのようにうなずいた、赤いロボットにラチェットは警告する。

「『ロディマス』、いくらなんでも身元の分からない地球人を基地にまで連れ込むのはどうかと思うんだが。」

不安げなラチェットに『ロディマス』は答える。

「彼はバンブルビーの命を救い、司令官が再び立ち上がる切っ掛けになった、俺は信用に値すると思うが。」

「まあ……泊めるだけならな。」

ラチェットは悩ましい表情をしながらも、一応は賛成する事にしたのか、引き下がるのだった。

「司令官、大丈夫ですか?」

「ああ、すまない……。」

よろめきながらも立ち上がるオプティマスをロディマスは介抱する。

「バンブルビー、良かったら手を貸そうか?」

「大丈夫、自分で行ける。」

ラチェットを断ったバンブルビーは、突如ソルスティスの姿へと変わる。

「乗って、基地まで送ったげる。」

「あ、ありがとう。」

ソルスティスのドアがバンブルビーの意思によって開くと、ハラルドは言われるがままにその車内に乗り込む。

「あ、それじゃ先に。」

走り出したソルスティスは、緑の渦に一直線で突っ込んでいった。

 

「ついたよっ」

半壊した博物館からあの緑の渦を介して、果たして物理的にはどれ程の距離があるのか分からぬ程の道のりを、なんと五秒という驚異的スピードで彼らはこの謎の空間にたどり着いた。

上下左右がコンクリートのグレーで覆われた空間には、人間には大きすぎる程のサイズ……恐らくこのロボット達が扱うためと思われるパソコンのような物など。

地球の物でない未知の文明の存在を思わせる空間がここにある事にハラルドは喜ぶ。

「あんた、ほーんとこうゆうの好きだね。」

自身の車内にいたハラルドが、まるで欲しいオモチャが手に入った子供のような満面の笑みを浮かべいた事を知り、バンブルビーは関心したように呟く。

ハラルドは自ら車内から出た事を確認したバンブルビーはロボットの姿に変化して背後を向くと、遅れて渦から現れた上司達を迎える。

「いつの間にこんな空間が……。」

一万五千年という永い時間を眠って過ごしていたオプティマスは人類と自分の部下達の間でどんな交渉が行われていたかを知る由もなく、この『基地』の存在を今まで知らなかった。

オプティマスを介抱していたロディマスはこれまでの経緯を伝えた。

「我々は米政府との交渉の結果『地球を攻撃しに来る侵略者《ディセプティコン》の排除』と『侵略者の脅威からこの星の住民を守る事』、そして『極力民間人には正体を悟られない事』という要求に『人間同士の争いには干渉しない事』を条件として、この星に滞在する事、及びこの土地を我々の居住スペースとして使用する事を許されました。」

「なあ、一体何時誰とそんな交渉したんだ?」

興味津々な様子でたずねてきたハラルドに、ロディマスは記憶を探るように一瞬目を閉じた後、先程と変わらぬ程明瞭に伝えた。

「『NASA《ナサ》』とか言ったかな、あそこのお偉いさんとな。

最初はこんなぶっ飛んだ話信じてもらえなかったけど、丁寧に話したらあっちも信用してくれたんだ。」

「会ってきたのか!」

「ああ、向こうも俺達の事初めて見た時には結構驚いてたな。」

二名の楽しげな会話に水を差す事を申し訳なさそうに思いつつも、どこか心配そうな様子でラチェットはロディマスに囁く。

「……いいのかい、民間人にここまで喋ってしまって。」

ラチェットが危惧しているのははハラルドにここまで情報を明かす事で三つ目の要求に背いてしまう危険だけではない、ラチェット自身が抱いている地球人への不信感もあった。

「大丈夫さ、彼はきっと秘密をまもってくれるさ。」

「だといいんだがね……。」

笑顔のまま答えるロディマスに、ラチェットは未だに不安な様子だった。

 

巨大なパソコンのような装置の上のモニターが作動して映し出されたのは、黒い頭部と赤い身体を持った一体のロボットである。

「こちら『サイドスワイプ』、ニューヨークのディセプティコンは全て排除したッス。」

「御苦労だった、ラチェット、スペースブリッジを展開してくれ。」

モニターが消えた直後、基地の奥にはあの緑色の渦が発生する。

まず最初に渦から飛び出したのは、シャープなシルエットが特徴的な『ランボルギーニ・アヴェンタドール』がその赤い車体を見せびらかすようにしてハラルド達の前に躍り出てきた。

先程モニターに映ったロボットの色から、ハラルドは目の前のアヴェンタドールこそが『サイドスワイプ』である事が分かるのだった。

次に現れたのは6mという長い車体が目を引く緑色の『シボレー エクスプレス スタークラフト』がバンブルビーの方向へと走ってゆく。

そして、青い機体を持った『シコルスキー X2』が基地内の壁や天井に当たらぬように低空飛行しながら現れ、皆の元に降り立つ。

大トリに現れたのは、高級感のある金色のラインと漆のような黒の車体を持つ大蛇・兜、ハラルドはそれ……いや、彼の名がドリフトである事を知っている。

スペースブリッジが消えた後、それぞれが変形を初め、本来の姿であるロボットモードへと姿を変えるのだった。

 

「無事だったんだなビー!」

エクスプレスだったロボットは変形が完了しまるで力士のような巨体へとその姿を変えると、緑色の太い腕でバンブルビーの黄色く細い身体をぬいぐるみのように抱き上げ、彼女との再会を喜ぶ。

「あたしも会えてうれしいよ『バルクヘッド』」

バンブルビーも緑色のロボットに抱きつくのである。

「どうだい、無事を祝って俺とつきあって…いてててッ」

良く分からない理由でバンブルビーを口説こうとしたサイドスワイプだったが、わざとらしく揺れたバンブルビーの脚が彼の股間に当たる部位に激突すると、サイドスワイプは患部を両手で押さえて丸くなってしまった。

「『ホワール』そっちはどうだった?」

「指揮官やってた『ブリッツウイング』と『スラスト』とかいう奴は尻尾巻いて逃げやがりましたよ、でもそれ以外の奴はズタズタの蜂の巣にしてやりましたぜ!大部分がドローンだったのがむかつくんですがねえ。」

ニューヨークで戦った三名の中唯一手の空いていた青いロボット『ホワール』の口から飛び出したのは、善良であるという事にされているロボットの言葉とは信じられぬような過激な物だった。

ホワールの猟奇的な言動を直接耳にしたロディマスや部屋の端で聞いていたと思われるオプティマスは顔をしかめたようであった。

「先生、ご無事で!」

「久しぶりだなドリフト、仲間とはうまくいっているか?」

オプティマスの元にドリフトが駆け付け再会を喜んだ時、オプティマスの表情は喜びからか打って変わって柔らかい笑顔へと変わった。

 

一同のリペアが一通り済んだ後の事。

「所業でハラルド、マトリクスはいかがなった?」

ドリフトに問いかけられたハラルドは、その結果を思い出し申し訳なさからか黙り込んでしまう。

それを見かねてかオプティマスはハラルドに変わって事の経緯をドリフトに伝えた。

「……そうですか、うばわれてしまったのでござるか。」

そして、オプティマスは何かを決意したような表情で言うのだ。

「これから私は、一人でディセプティコンの基地に乗り込み、メガトロンから直接マトリクスを奪い返そうと思う。」

「えッ!」

一同は驚愕した、オプティマスの余りにも無理のある提案には、面食らったのも無理はないだろう。

それを初めて指摘したのはサイドスワイプであった。

「無茶ッス司令官、あの基地は奴らの総本山ッスよ、あそこにどんだけのディセプティコンがいると思っているんスか!」

「だが、マトリクスを渡す事を決めたのは私だ、この件は私が落し前を付けなくてはならん。」

「で、でも……。」

そんな時、彼らの一方通行な応酬に、バンブルビーが割って入る。

「私もいきます。」

「ビー!おめえ何言って……。」

こんな無理のある作戦への参加を志望したバンブルビーを、バルクヘッドは友人として止めに入るが、それでも彼女の意思は曲らない。

「私が捕虜にさえならなければ、マトリクスはディセプティコンに渡る事はなかった……私にだって責任はあります。」

「だとしたら俺も同行するべきだ、俺達がもう少ししっかりしていれば、そもそもバンブルビーは捕虜になってはいない。」

ロディマスもまた、同行を決意すると、残りの四人もまた名乗り出る。

「本当にマトリクスを取り返しに行きたいってなら、人数は多い方がいいですぜ。」

一同が決意から団結が固まり始めた時。

「なあ、その『基地』ってどこにあるんだ?」

「地球人が『月』と呼んでいる星にある。」

ハラルドの一つ目の素朴な疑問にロディマスは流暢に答えたが。

「お前ら月までどうやって行くつもりだ?そこの青いのでも全員運んでいくのは無理だぞ。」

第二の疑問を聞いた時、ロディマスはおろか一同は困惑してしまった。

現在、彼らのスペースブリッジの技術はディセプティコンに送れをとっていた。

「ラチェット、スペースブリッジは……。」

「残念だが、月は無理だよ、向こうのオートボットの基地『メトロプレックス』以外はね。」

本部からディセプティコン基地『トリプティコン』に攻撃を仕掛ける事は、やはりリスクが大きい事を、ここに来る前に過ごした一万年間をメトロプレックスで過ごしたロディマスは知っていた。

そんな時、ロディマスに助け舟を出すように、オプティマスが自信ありげに割って入ってきた。

「ラチェット、月面に行く事自体は可能なんだな?」

「はい、そうですが……。」

オプティマスの自信はより大きくなるのである。

「私にいい考えがある。」




ラチェットもバリケード同様に実際にアメリカで救急車として使用されているフォード・スーパーデューティーに変えさせていただきました。
あの分厚いボンネットがかっこいいですね。

ホットロディマスはシボレー・コルベットスティングレイにしました。
G1ではトラックス、実写映画版ではリベンジのサイドスワイプ、ロストエイジのクロスヘアーズの車種です。
個人的にはロディマスのはクロスヘアーズが変形してた奴と同じイメージです。

バルクヘッドはシボレー・エクスプレス・スタークラフトです。
最初はSUVにする予定でしたがSUVはもう軍医の他に登場予定のアイアンハイド等がおり、バルクヘッドまでSUVだとあまりにも多過ぎると思い代わりにワンボックスです。

サイドスワイプ(ランボル)はランボルギーニ・アヴェンタドールです。
初代がランボルギーニ・カウンタックだったのでメーカー繋がりでチョイスしましたが、変形ヘンケイのランボルがランボルギーニ・ガヤルド(っぽい車)だった辺りこういう発想はみんながみんなするのかもしれませんね。
記憶に新しいのはロストエイジのロックダウンでしょうか。

ホワールはシコルスキーX2です、これまた「そんなもんどこでスキャンしたねん」って代物ですが、こまけぇこたあいいんだよ!
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