それゆけ!マスターボンプ!   作:ハンニバル

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旧都陥落

 

 

 

 “十一年前 エリー都 ミネルヴァ区7番通りヘーリオス研究所”

 

 「カローレ!!」

 

炎に包まれている研究所内に巨大な腕に掴まれた研究員の名を叫ぶ声が響いた。

執行官としての証である浅葱色の羽織を羽織ってはいるが、所々に傷を作り血を滲ませている。そして手には彼の特別な武器である蜻蛉切が握られていた。

 

 「忠勝!私はいいからアキラとリンを連れて逃げるんだ!」

 

今まさに連れ去られようとしているカローレの眼前に抱きしめ合い泣きながら恩師を見ている子供が二人居た。

忠勝と呼ばれた執行官は蜻蛉切を収納し腰のホルダーに固定すると二人を抱きかかえた。

 

 「兄さん!」

 「にぃーに!」

 

 「すまない二人とも!お前たちは必ず守らなければ行けないんだ!」

 

二人を抱きしめ襲いかかる白い腕を振り切りながら忠勝は走った、彼にとってカローレは大切な友達であったがそのカローレが大切にしていた二人を今はこのホロウ災害と【奴ら】から逃さなければ行けなかった。

 

 「先生ぇー!!」

 「うわぁーん!」

 「無事に生き延びて!アキラ!リン!」

 

そのまま白い腕に引きずり込まれ、カローレは消えた。

泣き叫ぶアキラとリン、その光景を背に忠勝は走る、研究所を出るとそのままホロウの出口へと向かう。

既にエリー都は地獄絵図へと変わっていた、エーテル適正の低い住民がエーテリアスへと変貌し逃げ惑う住民を襲っているのだ。

 

突如として起こったホロウ災害で既に防衛軍のダイヤモンド大隊とルビー大隊が壊滅。忠勝の部下も彼をヘーリオス研究所へと向かわせる為に犠牲となっていた。

 

 「ンナ!ンナナナ!」

 「リッグス!来たか!」

 

装甲トラックがドリフトをしながら忠勝の前に止まり、運転席から一匹のボンプが顔を出す。同時に後部ドアが開いてさらに三匹のボンプが出てきた。

 

 「イアス!システムは中だな?!アキラとリンも中に!俺は並走しながら護衛する、走れ!」

 

ンナンナと二人を受け取った三匹、ドアを閉めるとトラックは白煙を上げながら走り出す。忠勝は並走しながら襲いかかるエーテリアスを蜻蛉切で弾き飛ばしながら腕時計の時間を確認した。

 

 (ホロウに入る前に傍受した通信によればTOPSの馬鹿どもは式輿の塔を爆破すると言っていた。そうなれば脱出は不可能になる!)

 

拡張し続けているホロウを止めるために膨大なエーテルエネルギーを溜めている式輿の塔を爆破する、そうなればどうにか安定している今のホロウ内の空間がどうなるか。

歪みに歪みエーテリアスに変貌するまでさまよい続ける事になるだろう。それまでにアキラとリン、そしてボンプ達を脱出させねばならない。

 

 「境界線まではどれくらいだマスター!」

 「ンンナ!ンナンナンナ!」(あと6kmです!)

 「ンナナンナ、んなんな!」(ダイヤモンド大隊の残存兵力がこの先で最後の脱出路を確保しています!)

 「よし!」

 

忠勝はエーテリアスの襲撃が無くなったのを確認するとトラックのルーフに飛び乗り、点検口から車内へと滑り込む。

 

 「アキラ、リン。」 

 

三匹のボンプに囲まれた二人に声を掛けると涙に濡れた顔を忠勝へと向けた。

 

 「このままトラックに乗ってホロウを脱出したらセーフハウスに向かうんだ。場所はイアスが知っているから」

 

 「イアスが知ってるって、兄さんはどうするの?」

 

アキラの問いに忠勝はバツが悪そうに笑うとアキラの頭をクシャクシャと撫でた。

 

 「カローレと約束したからな、お前たちを逃がすために残らないといけないんだ」

 

 「でもエーテリアスは襲って来なくなったんじゃ…」

 

「カローレを拐った白い腕、遠いが気配を感じるんだ。足止めをしないと」

 

 「にぃに一緒にいてよ、先生みたいにいなくならないで」

 

 「リン、大丈夫だ。必ず戻って来るしカローレも助け出すから」

 

震える小さな手を握り、アキラと一緒に抱きしめた。血の繋がりはないが大切な弟と妹。最後まで守りたいが白い腕の気配がさらに近づき増えて来ているのを感じる。

エーテリアスならまだしもトラックを守りながらタイムリミットのある状態で忠勝と言えど白い腕を退ける事は難しい。

 

 「ンナ!ンナ!」(境界線まで3kmです!)

 

運転席のリッグスが叫ぶと忠勝は点検口から飛び上がりトラックから降りた。リンの泣き叫ぶ声がトラックと共に遠のいていく。見えなくなるまで見送った忠勝は荒れ果てたエリー都の幹線道路の中央に立つと蜻蛉切で線を引いた。

 

同時に地面から白い腕が複数生え、浮き出た眼球が忠勝を見つめる。

 

 「ここから先は通さん!」

 

蜻蛉切をアスファルトに打ち付けると紫電が周囲に走り目の前に迫っていた腕を塵に変えた。そのまま蜻蛉切を一回転させて正面に構える。

 

 「本多家当主、忠勝。いざ、参る!」

 

式輿の塔の爆破直前に防衛軍のダイヤモンド大隊の生き残りが赤く染まっていた空を轟音と共に巨大な紫電が突き破るのを目撃した、ホロウ外で待機していたオブシディアン大隊の隊員達もホロウから突き出る紫電を目撃しており一時的にホロウの膨張が止まったと証言をしている。

 

その後、式輿の塔が爆破されホロウの膨張は停止。ホロウ災害は数万の市民、防衛軍3個大隊と。  

 

HOLLOW SPECIAL OPERATIONS SECTION ZERO

対ホロウ特別行動部第零課

 

虚狩の称号を持つ本多忠勝が率いるは最強の部隊。

現在では星見雅率いる第六課が現在の最強と言われその存在が忘れ去らようとしているが、H.A.N.D内では今だ伝説が語り継がれている。

 

エリー都陥落を阻止しようと課員の12名が死亡、1名がMIA(作戦行動中行方不明)となってしまい零課は永久欠番となっている。

 

時は流れ十数年後…

 

 





作戦報告

対ホロウ特別行動部第零課、本多忠勝(役職課長)を回収。
現在は睡眠ポッドにて拘束、エーテル侵食は軽微。

神槍“蜻蛉切”は零号ホロウの影響で高エネルギーを内包している為、封印処置。余剰エネルギーは睡眠ポッドのエネルギー源として使用。

最重要ターゲットであるカローレ·アルナとは友人関係の為、人質としての利用価値もあると思われる。

ヘーリオス研究より逃走した被験体2名関しては追跡を断念、式輿の塔爆破の影響により地殻変動が発生。
追跡部隊が巻き込まれ壊滅の為にロスト。
ただし重要度は低い為、今後の追跡は不要とする。

エリクサーの開発に現状のリソースを振り分けるとする。
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