何故かメノリに成り代わりました。   作:如月雪見

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前回

【繭】メンバーとの挨拶。

奥方様との予想外な接点が判明し、おかげで〈前世〉までの記憶が復活しました。

〈家族〉を全員取り戻しました。

謁見した姫様は藍染そっくりでした。

今回

やっぱり料理は〈私〉を落ち着かせてくれます。

奥方様が東仙と日番谷を伴って参りました。

奥方様と〈私〉の関係。

みんなに〈私〉の〈家族〉と〈前世〉を出会った順番に話します。



〈私〉と奥方様の関係→〈私〉の前世&転生歴

 

 

 

【繭】メンバーになり、姫様と奥方様との謁見とおやつを済ませた後、急いで厨房へと向かった。

姫様の説得に時間がかかり、夕食を用意する時間がギリギリになってしまったからである。

厨房ではすでに夕食担当者達が、今夜の献立を作っていた。

 

「あ、料理長にロカさん、ビアちやん、テスラさん、お帰りなさい」

「「「お疲れ様でした」」」

「夕食担当から連絡が来たので、献立表にあったわかめご飯と汁物用のお出汁の用意を済ませておきました。おかずの材料は此方に。確認お願いします」

「ただいま。応援ありがとう、助かったわ!…うん、大丈夫!後はおかずとお味噌汁の用意ね」

「姫様ご希望の五目卵焼きは俺がやろう」

「青菜となめこの和え物はボクにお任せ下さい!」

「なら私は漬物とお味噌汁を担当しますね。藍染様ご希望の豆腐料理はメノリさんお願いします」

「解ったわ。カノン、マスミお願いね」

「ナァーオ!」

「キャン!」

 

藍染のリクエストは揚げ出し豆腐との事。

 

…3日前にも作ったけどね

…どれだけ気に入ったんだか

 

食べやすいように8等分にした豆腐の水切りをしている間に出汁醤油と薬味の用意。

出汁醤油は鰹出汁を取ってみりん、薄口醤油を加えてさっとひと煮立ちさせておく。

薬味は大根おろしに大葉の千切り、摩り下ろした生姜、青ネギの小口切りに削り立ての鰹節をたっぷり用意して準備は完了。

油鍋に豆腐がしっかり浸かるだけの油を入れて170℃になるまでやや強火にかける。

小麦粉をバットに広げて豆腐の全面に小麦粉をしっかりまぶして余分な粉はハケで落としてから揚げていく。

165℃前後をキープしつつ、時々上下を返しながら衣がキツネ色になるまで揚げて金網に乗せてしっかり油を切る。

 

「和え物出来ました!ご飯も炊けたので盛り付けに入ります!」

「漬物とお味噌汁、出来たのでテスラさん手伝います」

「済まない、あと1回分頼む。今焼いているのとそれで終わりだから」

「はい」

「あれ?ワゴンが無い…?メノ姉様!」

「えぇ!?姫様専用なのに!?誰よ勝手に使ってるのは…仕方ないわ、予備の出して来て」

「あ、はい!」

「良し、卵焼き出来た!」

「揚げ出し豆腐ももう少しで終わるからお品書きの準備お願い!」

「はい!」

「薬味をそれぞれの器に入れてと…揚げ出し豆腐は藍染様だけ2切れ追加…出汁醤油はあちらでお好みの量をかけて貰うからこの容器に移して…よし、完成!」

「「「姫様方の夕餉を受け取りに参りました」」」

「はい、此方のワゴンに用意してあります。此方がお品書きです」

「…確かに。ではお運びします」

 

…ギリギリ間に合ったぁ

…みんなの方はどうだろう

 

手伝おうとしたが、姫様と奥方様との謁見で疲れているだろうから、先に休憩がてら夕食を済ませるように言われた。

 

…みんなの気遣いに感謝だわ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、やるべき事を全て済ませて厨房のみんなを呼んだ。

絶対気になっているだろう〈家族〉達の説明をする為に。

 

「大丈夫ですかメノ姉様?」

「無理は禁物ですよ?」

「今日は色々な事が一度に起こったんだ、ゆっくりした方が良いと思うが?説明は明日以降でも全然問題無いんだし」

「大丈夫。料理してたらだいぶ落ち着いたし。もし具合が悪くなったらそこで止めるから、ね?」

 

心配そうなみんなを宥めながらカノン達について順を追って説明を始めようとした。

そこに…

 

「私も良いかしら?」

「「「…え?」」」

「お、奥方様!?何故此処に!?東仙様!?日番谷様!?」

「俺達も止めたんだが、どうしてもと懇願されてな…」

「藍染様からも「好きにさせてあげて欲しい」と仰られてはどうする事も出来なくてな…すまない」

「そんな…」

「我儘を言っているのは解っているわ。でも、次に話が出来るのはどんなに早くても5日後のおやつの時間の1時間くらいでしょう?そんなに待つなんて私には無理よ!聞きたい事や話したい事は山程あるんだもの!みいは旦那様が見ていてくれているから大丈夫だし!ね、お願い〈南奈〉さん!」

「…〈なな〉さん?」

「最初の【世界】での私の名前よ。いつぶりかしら呼ばれたの」

「へぇ…」

 

…姫様の性格は奥方様似かも?

…仕方ない、かぁ

 

「…みんな、聞いての通り、藍染様の奥方様にして、姫様の母君であらせられるサチ様とご同伴になるけれど…私の話を聞いてくれる?」

「はい、俺は聞きたいです」

「「「わ、我々だって、料理長に何があったのかお教え頂けるならお聞きしたいです!」」」

「ヒロさん、みんな…ありがとう」

 

奥方様、東仙、日番谷にも椅子に座って貰い、それぞれにお茶を出して普段の口調で話す許可を貰ってから改めて話を始めた。

 

「まず始めに、私と奥方様の関係から説明するわね。私と奥方様は前世の記憶を持ったまま生まれ変わった転生者で、最初に居た【世界】が同じ、つまり同郷者なの」

「カノンさんとマスミさんの話の時に言ってましたね」

「まさか、奥方様もとは…」

「で、その【世界】で私の祖父母は喫茶店を営んでいて、小母夫婦と共に私は従業員として働いていたのは説明したわよね?奥方様はそのお店の常連客の1人だったの」

「まぁ」

「何と」

「え、じゃあ奥方様も追放されたんですか?」

「ちょ、ビア」

「…追放?どういう事ですか?私が死んだ後、何があったんですか?」

「え?あれ?違うのですか?」

「…奥方様が事故で亡くなられた後、看板犬だった愛犬が老衰で死んで、みんなペットロス状態になっていたところに小母がカノンを拾って来て、新しい家族として迎えたのよ」

「…あの子は天寿を全うしたのね。良かった」

「えぇ、1番都合が付きやすい私がカノンの世話をして、みんなも可愛がってくれて、新しい看板猫効果でお店も持ち直して、良い事尽くめだったけど…」

「…確か、神を名乗る黒い犬と、その眷属とかいう白い猫にカノンは【世界】にとって異物で、居てはならない存在だから手放すように命じられて、真っ向から反抗したら共に追放された…だったか?」

「えぇ、何度思い返しても腹立たしいわ」

「え?〈南奈〉さんも神に会ったの?」

「…奥方様も?」

「えぇ、と言うか、私が死んだ原因だから」

「「「「「「「は?」」」」」」」

「自転車で移動中に目の前にそちらと同じく白い猫と黒い犬がいきなり飛び出して来て、慌てて避けようとして、運転をミスして運悪く石階段から落ちてそのまま…気付いたら神とその眷属を名乗る彼等と同じ空間にいて、何で死んだのか教えられて、慰謝料を色々貰って意識が遠のいたと思ったらこの【世界】の現世に赤ちゃんとして生まれていたわ」

「…あのクソ神…本当にロクでも無ぇな」

「メノ姉様、落ち着いて下さい」

「口調、口調が変わってますよ」

「取り敢えず、お茶で喉を潤さないか。少し喉も渇いてきただろうし」

「…ありがとう…ふぅ〜、私と奥方様についてはこのくらいで良いかしら?」

「そうね、話し足りないけど、続きは次に会う時にしましょう。今は他の子達の話を聞きたいし」

「ありがとうございます…じゃあ最初の転生から話すわね」

「「「「「「はい」」」」」」

 

お茶を淹れ直して〈私〉の転生について話し始めた。

 

「最初の転生先はみんな動物型の相棒を伴って生まれる【世界】でね。私が生まれたのは代々薬師の家系で、相棒は必ず蛇が生まれる特殊な一族だったわ。その中でも白い双頭蛇は極めて稀な存在…リリアとリリエを相棒として生まれた私は次期頭領として育てられたわ。その時の知識と経験は今のところ、殆どがリリアとリリエに継承されているけど…少しずつ私の方にも戻って来ているみたいね」

「「シュー!」」

「ま、ザエルアポロ曰く、怪我の治りが悪いらしい私の貴重な回復役と言える子達ね」

「…涅マユリには絶対に知られてはならないですね」

「そうね」

 

指で頭を軽く撫でてあげると嬉しそうに尻尾を腕に絡めてじゃれて来た。

 

「シャー!」

「クォー!」

「グルルルル」

「クァー!」

「フー!」

「ギチギチギチ」

 

他の子達の機嫌が嫉妬で一気に悪くなった。

 

「おっと、ごめんごめん。2番目の転生先の話するわね」

「「「「「「あ、はい」」」」」

「次に行った【世界】も相棒を伴って生まれるのが当たり前だったの。しかも、生まれる相棒によって就ける職業が決まるっていう【世界】で、ヒグマが相棒の私の職業は軍人に決まって、子供の頃から軍の養成学校で育てられたの。今の身体よりもガッシリしてて、汎ゆる戦場への適応能力だって誰よりもずば抜けていたから、いつも危険な前線に居るのが当たり前だったわ…しかも青春真っ只中の時期に、内乱起こした馬鹿が無駄な抵抗して紛争を長引かせたせいで、完全に婚期を逃して一生独り身で終わったわ…せっかく、結婚まで考えた人と出会えたってのに…」

 

思い出した怒りで思わず歯軋りして顔が歪んだ。

ロウコを抱き寄せて深く深呼吸をする。

 

…久し振りの熊吸い、落ち着くわ〜

 

「メノ姉様、大丈夫ですか?」

「…すぅ~…はぁ〜…ふぅ~…」

「次、次の【世界】の話に行きましょうか!」

「ええっと、3番目に転生した【世界】でマスミさんと出会ったんでしたよね?」

「そうそう、料理長は陰の国と呼ばれる大国の王女として生まれたんでしたっけ。先祖代々、影に犬を持って生まれた者が次代の王となるのが掟だとかで、その条件に当てはまるのが当時の料理長だけだったとか」

「国内外で類を見ない程の熾烈な伴侶争いの末、マスミさんが受け入れた男が伴侶に選ばれた…とか…」

「そうね…私を全っ然、顧みない連中の身勝手さには辟易したわ…」

「クゥ〜ン…」

 

マスミの頭を撫でながら、今度は思わず遠い目をしてしまう。

ロカに身体を揺さぶられた。

 

「メノリさん、メノリさん!戻って来て下さい」

「…と、危ない危ない。えっと…4番目は【世界】そのものが溶ける事の無い分厚い氷に包まれてて、火も無い、光もまともに当たらない国々の為に存在する神獣アンオウエンの巫女として生まれて…大体1200年だっけ?ずっと一緒に、それこそ次代の神獣が生まれる寸前まで存在し続けたの」

「え…じゃあこの子…神獣?」

「"元„ね」

「クァッ」

「でも熱くないですよ?」

 

手を伸ばしたビアに自分から頭を擦り付けるアンオウエンにほっこりしながら質問に答えた。

 

「ココには火も光もあるから必要無いでしょ?私に害をなす存在も居ないから浄化の炎も必要無いし」

「「「「「「っ!?」」」」」」

「な、何て言った今!?浄化の炎!?」

「安心して、みんな私に害意とか一切無いから大人しいでしょ?」

「クァッ!」

「神獣の役目から解放された上に、元居た【世界】から離れて久しいから全盛期の半分も力が無いし」

「いや、全盛期の全力を知らない此方としては、気が気じゃないんだが…!?」

「でもこれ以上話しようも無いし、取り敢えず5番目の【世界】について話すわ」

「…諦めて今は話を聞きましょう、テスラさん」

「…はぁ…そうだな」

 

肩を落とすテスラ達に少し申し訳ない気分になりつつも、またお茶をひと口飲んで話を続けた。

 

「5番目の【世界】ではハンターを生業としていたの。仕事の内容は、負の感情に囚われた有りと汎ゆる精神体或いは生命体の解放なんだけど…」

「…何だか、俺達死神みたいだな」

「あー…確かに一部該当するかも。まぁ、何かしらに未練や恨み辛みに逆恨みとか…とにかく、そう言った悪感情に雁字搦めになった者を解放し、救済するのがハンターの主な役目なの。シオンと会ったのは30間近の頃ね。とある村の都合で1000年以上もの間、捕らわれて搾取され続けた元神の御使いが邪神化したからどうにかしてくれって、先祖代々やってきた、いわば自業自得でシオンからしたら正当な報復なのに、それの尻拭いさせられたのよ」

「うわぁ…」

「最悪ですね」

「そのまま報復させてやれば良かったのでは?」

「させてあげたかったけど、見て見ぬ振りしたら最後、討伐対象として肉体だけでなく魂も粉微塵にして完全消滅の儀式をやらなきゃならなくなるのよ。そんなのあんまり…っていうか、おかしいじゃない」

「そんな…」

「…それで、メノリさんはどうしたんですか?」

「シオンが此処に居るという事は…」

「ん?シオンの気が済むまで一緒に居たのよ。連中への恨み辛み、有りと汎ゆる憎悪が晴れるまで。連日連夜の恨み節を聞いて、どんなに噛まれようが引っ掻かれようがお構いなくね…まぁ、カノン達のフォローもあって、割と早くに神格を取り戻したけどね」

「ギャァ、ギャッ」

 

私が近付けた手を甘噛みしてじゃれてくるシオンの後頭部を撫でてあげたら、まだ自分が終わっていないとニエが手の甲に乗ってアピールして来た。

 

「はいはい、もうちょっと待ってね…で、神格を取り戻したシオンを返せと、ちっとも懲りてない村の連中は、ずっとその様子を見てきた神からの神罰くらって1人残らず全滅、件のシオンはすっかり私に懐いちゃって、カノン達とも馴染んでるしで、神からも私になら安心して譲れるって、シオンと私達を同格の存在にしちゃって…ハンターの仕事は大変だったけど、居心地良くて結構長居したなぁ…でも他にも入れる【世界】はまだあるからって【世界】を去る時に、主神様直々に「もし他に居場所が見つからないなら戻って来なさい。貴女達なら何時でも大歓迎だから」って。ようやく居場所候補が出来たって訳」

「「…え」」

「あくまで候補地ってだけだから、そんな顔しないで、ね?」

「「………」」

「取り敢えず6番目の【世界】の事を話すわ」

 

居場所を求めて様々な【世界】を転々として来た私達が、ココに来る前に候補地を得ていた事に動揺するビアとロカを宥めながら話を続ける。

 

「6番目の【世界】は…ココでは変温動物に該当する生き物が相棒になる場所でね、【世界】そのものが常に暖かくて寒さとは無縁だったわ。その所為でロウコとマスミにはちょっと厳しい環境だったわね」

「クォー…」

「キュ〜ン…」

「で、私の相棒は見ての通り蜘蛛のニエで、この子は有りと汎ゆる<糸>を無限生成出来る能力を持っているの。正確に言うと繊維に分類されるモノ全てをね」

「木綿とか絹とか?」

「それだけじゃないわ。鉄繊維とか筋繊維とか神経繊維とかも作れるの」

「「「「「「え?」」」」」

「「「「は?」」」」

「だから私は本業に医者を、副業兼趣味でハンドメイドとDIYをやってたわ」

「「「「「………」」」」」

「楽しかったですか?」

「そうね〜…ん〜…どれも良く稼いだなぁ…まぁ、夢中になり過ぎて危うく過労で何度か死にかけたけど」

「おい」

「メノリさん?」

「もう終わった事なんでお説教は聞きません。ってか、当時もカノン達に滅茶苦茶怒られたし、仕舞いには道具一式取り上げられたりもしたなぁ…それでも何だかんだ70代後半まで生きたし悔いは無いよ。まぁ、結局異物扱いで【世界】から追い出されたけどね。ニエは身体が小さいから、ちゃっかりカノンに引っ付いて来たんだよね〜」

 

中指の爪に乗ったままのニエを目の高さまで持ち上げて見つめれば、照れ顔を隠すように前脚を上げた。

 

「最後の7番目の【世界】では、相棒は居ないけど、1000人に1人くらいの割合で特殊能力を持って生まれる子が居て…まぁ、私がそれだったんだけど。私の能力は良く見え過ぎる〈目〉と器用過ぎる〈手〉で、視界に入った有りと汎ゆるモノの情報が勝手に見えて、私がやりたいと思った手作業は道具さえあれば勝手に動くものだから、今、目の前で起きている事を見るのに凄い神経使って、手作業はそれが完成するまで止まらなかったりして、日常生活に支障ありまくりで、制御する為の専用の装置を特注したり、カノンがフォロー出来るようになるまで、両親には凄い苦労させちゃったわ」

「う、うわぁ…」

「何て厄介な…」

「あ、じゃあ部屋にあるあのぬいぐるみとかクッションって…」

「私が無意識に作っていたんだと思う。記憶が無くても、6番目、7番目と連続した上に多分、今世でも使っていたんじゃないかしら」

「大丈夫なのか?」

「カノンが上手く調整して、必要に応じて発動してるから平気よ。〈目〉に関しても、この孔の方だけに宿っているんだけど…見えなくなる条件があるみたい」

「条件?」

「1つ目は私よりも霊圧が高い事。高ければ高い程見えなくなるわ。2つ目は私よりも長生きしている事。前世まででも3000年は存在している私よりも上だとやっぱり見えなくなるわね」

「カノン大活躍ですね」

「ナァ〜オ!」

「まぁ、制御出来るようになってからは、追放されてから長年の夢だった喫茶店を開く為に大いに利用して、祖父母のよりもずっと小ぢんまりとしたものだったけど、生涯現役でお店の主人やってたわ。でもやっぱり異物として死んですぐに追い出されたのよね」

 

 

 

コレでこの【世界】に来るまでの過去話は終わった。

でも…

 

「…これだけ話しても、この【世界】で破面化して覚醒する前の記憶が無いままなのよね」

「メノ姉様…」

「…思い出せないと帰刃出来ないから、どうにかしなきゃってずっと悶々としてたけど…もう良いかなって思えてきた」

「メノリさん?」

「だって、"ずっと一緒„の約束破っちゃうくらいの何かがあったんだよね?だったら思い出さない方が良い。また同じ事を繰り返さない保障は無いもの。それに…この刀、みんなで作ったんでしょ?記憶を失くした私の為に」

「ナァ〜」

「「シュ〜」」

「クォ〜」

「クゥ〜ン」

「クァッ」

「ギャゥ」

「キチキチッ」

「刀から伝わって来るの。全てから逃げ出した私の為に、カノンとすら会っていないあの時までの〈私〉の記憶が残るように色々と手を尽くしてくれた事…下手したらみんな離れ離れで、そのまま消えちゃうかも知れないのに…みんなが居なくなっても私は元の、〈南奈〉が生まれた【世界】に還れるように文字通り命懸けで…そんなみんなをやっと思い出せたのに、帰刃に拘ってまた失くすのは嫌。だから私の帰刃はこの手にある刀が良い。みんなと一緒が良い…カノン、リリア、リリエ、ロウコ、マスミ、アンオウエン、シオン、ニエ…みんな、今度こそ"ずっと一緒„ね!」

「「「「「「「………!」」」」」」」

 

鳴き声も出さずに、みんなもう離すまいとしっかり私にしがみついている。

どれだけ悲しい思いを、苦しい思いをさせたのかが良く解る。

そして…

 

「あーもう、ビア、ロカもそんな顔しないの。今の〈私〉の居場所は此処なんだから。料理長辞めるなんて事も一切ありません。辞めさせられる事も無いし。ですよね?東仙様、日番谷様」

「当然だ、君以外に務まる筈が無い」

「あぁ」

「ほらね?だから、これからもこの子達共々、宜しくお願いします」

「…はい!メノ姉様」

「私の方こそ宜しくお願いします、メノリさん」

「これからはもっと賑やかになるな…宜しく」

「「「「「「これからも御指導、宜しくお願いします!!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…これで良い

…どうして私の記憶が無いのかが分ったんだもの

…少なくとも〈前世〉までを思い出せたし

…まぁ、今世の記憶が戻った時が怖いけど

…その時はその時としか言いようが無いし

…どんなに考えても今の〈私〉がメノリ=マリアなんだし

…うん

…さて、すべき事がひとつ増えたから、これから更に忙しくなるだろうなぁ

…まぁ、ゆっくり"みんな„とやって行こう

 

 





〈私〉の〈前世〉までを思い出させたので、成り代わりに対するアレやコレやに漸くひと区切りがつきました。

記憶が戻ったので出来る事も必然的に増えます。

【影による癒しと強化】にも変化が出て来ます。


〈家族〉達の容姿/仮面の名残りについて
カノンとマスミは省略。

リリアとリリエ
真っ白な双頭蛇/
それぞれの首に巻いているリボン

ロウコ
ヒグマの子ども/
左耳のイヤーカフ

アンオウエン
黄色と赤、橙色の体毛と羽根を持つ小鳥/
頭部に巻いているバンダナ

シオン
白い天狐の子ども/
首に巻いている大きなリボン

ニエ
指の爪サイズの蜘蛛/
小さくて解りにくいが、下顎に仮面の名残りがある。

*全員、甘えやすいサイズに変化中。
本来のサイズはもっと大きい。




次回、厨房のみんなからのリクエスト、揚げ物の作り方を教えます。
揚げ物にも種類があるから、どれにしようか考え中です。
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