前回
私と奥方様の関係、そして私の前世までをみんなに聞いて貰いました。
今世の事は置いておきます。
今はこのままで良いです。
何よりも、今度こそ約束を守りたい。
今回
私の能力が増えて更に強化されました。
尸魂界の大農地について、何とかなりました。
サチ様(奥方様)との語らいは懐かしくて楽しいです。
みんなの料理の腕は着々と伸びています。
揚げ物のひとつ、コロッケを作りましょう。
私が前世の記憶を取り戻した翌日、この【世界】でも今までに得た能力を持ち越しているのが判明した以上、それらをどれだけ再現出来るのか色々と試す事にした。
ザエルアポロ監修の元、だいぶ時間をかけて調査をした結果、今世で得た能力【影による癒しと強化】に大きな変化が起きていた。
【影】を傷に当てれば治るのは変わらないが、【影】を細い糸に変化させて傷を縫い合わせたり、広範囲に展開して一気に複数人を治したり、【影】から肉体を形成する大量の繊維と怪我人自身の細胞の培養をして欠損部位を補ったりが可能になった。
流石に、欠損部位の補足は怪我人の身体に馴染むまで数日かかるが、縫い合わせた部位は余程のヘマをしない限り、すぐに完治する事も解った。
リリアとリリエ、ニエの能力と私の薬師と医者の経験に加えて<見える目>と<器用な手>が上手く噛み合い、治癒に関して出来る事が増えた。
強化の方も発動条件に変化があった。
以前は、食べて1〜3時間の経過(個体差あり)と睡眠或いは仮眠が必要だったが、食べて30分の経過(個体差なし)に短縮、数分の仮眠或いは欠伸3回で発動するようになった。
そして、新たに【影の支配権の行使<あなたの【影】も私のモノ>】が使える事も確認出来た。
陰の国の女王時代に使用していた能力で、有りと汎ゆる【影】を自分の支配下に置けるというモノで、私よりも遥かに強いドルドーニとチルッチの【影】を支配して、その場で座らせたり、歩き回らせたりした。
勿論、本人達は抵抗しようと足掻くが思い通りに動けない。
発動条件は対象の【影】を視認する事で、解除条件は【影】を認識から外す或いは、私を霊圧による威圧で怯ませて強制解除を促す事である。
但し、一度視認した【影】は何時でも同じ虚圏にいれば捕捉出来る。
現世や尸魂界に行かれたら居ないと解るだけになる。
…帰刃していないとは言え、一時的でも【刃】のメンバーの動きを制する事が出来るのは大きいよね
その後、能力調査に付き合って貰ったお礼として、2人の好きなお菓子詰め合わせを渡した。
尸魂界の大農地の件も、東仙に頼んで綱彌代家から詳細な資料と、以前の所有者と管理者に話を聞けるように手配して貰ったら、快復した時灘が前所有者と管理者を連れて来て、当主立会いの下話合いをした結果、正式な私の代理人として、ほぼ今まで通りの農場(牧場)経営をして貰える事になった。
一部開拓した土地は、試験的に育てて欲しい作物専用農地にして貰った。
…薬師一族の頭領時代と、陰の国の女王時代の経験でどうにかなって良かった
後回しにせざるを得なかった事を全て片付けた頃には、既に半年は経っていた。
その間に姫様方とのおやつの時間が、週1回から週2回に確定した。
姫様の相手はビアとシオン達が積極的にしてくれるので、奥方様ことサチさんと昔話に花を咲かせるのが習慣になった。
因みにロカとテスラは、ハリベルさんやスタークさんと情報共有に勤しんでいる。
「…でね、私もね、偶に作りたくなって簡易キッチンでちょちょっと作ったりしてたんだけど…如何せん、材料が揃わなくて…能力の〈紙に描いたモノが実現する〉は、現物があれば幾らでも完コピ出来るし、拡大、縮小もイケるけど…そうじゃない場合はしっかりイメージ出来ないと上手くいかなかったから…」
「あらら」
「お菓子は和洋どっちも好きだけど、食事は洋食寄りだったから何気に辛くて…昔はこっそり出して食べてたけど、今はそうもいかないから尚更ね。だから、丸パンや洋食のおかずが出て来るようになって嬉しくって…そうそう、先日の鶏のトマト煮込みは凄く美味しかったわ〜」
「あ、やっぱり?厨房もね、調味料は和食向けのしか無いし、香辛料も生姜と大蒜、唐辛子に山椒、山葵くらいしか無くて…この半年で漸く種類が揃って来て、でも洋食に馴染みが無いから、いきなり出して体調崩されたら困るから、取り敢えず厨房のみんなも割と手軽に作れるゼリーとかクッキーで暫く様子見て、大丈夫そうだから思い切って出してみたんだけど…喜んで貰えて良かった〜」
「そうそう、旦那様もね、あんなに嫌ってた茹で卵だけど、イワシのフライにかけたタルタルソースの卵なら平気だって解ってからはマイマヨの手配しちゃって…小さく刻んであるのとソースの味に、みいが「たりゅたりゅおいしいよ、とーさまもあ〜ん!」したのが大きかったんでしょうね」
「嫌いなモノを克服する方法が見付かって良かったじゃない。まぁ、依存症になって健康を害さなきゃ良いけど」
「そうなんだけどね、あんな旦那様初めて見たわ。そうそう、みいは溶けるチーズが気に入ったみたいね。オムレツにたっぷり入ったの見て喜んでたわ」
「それは何よりね。あ、そうだ、上手く行けば近い内に丸パン以外にも食パンやパスタも食卓に出せるかも知れないわ」
「え、本当に!?やったぁ!ずっと食べたかったのよ〜!」
「前から道具は揃ってたけど、練習する時間が取れなかったからね。興味があるって人達と一緒に試行錯誤を重ねて漸くコレだ!っていうのが出来つつあるからレシピが完成次第、メニューに加わると思うわ」
「ありがとう〜!楽しみだわ〜!」
…余程、我慢してたんだろうなぁ
…目が期待に満ち満ちてるよ
…ちゃっかり話を聞いていたウルキオラの目も心なしか輝いているし
帰り際、ウルキオラにトマト料理とチーズ料理を増やして欲しいと要望があった。
但し、人参とセロリ、ピーマンは減らして欲しいとも言われた。
…虚無を司る筈のウルキオラから、姫様やリリネット以上にお願いされているんですが?
…あと、体質或いはトラウマとかが原因では無く、ただの食わず嫌いは却下です
…食べやすいように此方も工夫しているので、ひと口でも良いので召し上がって下さい
…以前よりも表情が豊かになりましたね
…むくれても駄目です
おやつタイムを終えて厨房に戻り、先程奥方様に伝えた食パンの試作品の二次発酵を終えた生地を、予熱済のオーブンに入れて焼いている間に夕食の用意を始めた。
「前回、前々回と同じように焼けると良いですね」
「そうね。今回も成功すればこのレシピでいけるって証明出来るから」
「今回もあんバターにして良いですか?メノ姉様」
「駄目に決まっているでしょう、ビア」
「ロカには聞いてません」
「もう…前みたいに、いきなりあんこを乗せるのはナシだからね?」
「はい!ちゃんと食パンの試食をしてからにします!」
「なら良し。夕食もあるから乗せ過ぎ厳禁だからね」
「はい!」
「…メノリさんはビアに甘過ぎますよ」
「やれやれ…」
試作品の感想を知りたくて、厨房のみんなは勿論、先着順で食事を取りに来た破面達にも配ってアンケートを募った。
何処で嗅ぎつけたのか、1番乗りでザエルアポロが来たのにはビア含め全員揃って驚かされたが。
…何にせよ、食パンのレシピはコレで完成ね
…予想以上にみんなの料理スキルも成長してるし
…そろそろ教えても良いかな?
…揚げ物の定番、コロッケを
「この初心者用料理本、<料理人の卵>にあるレシピを、ひと通り一緒に作ってみんなに提供して来ましたが、評判はご存知の通り上々で、食材と調味料をしっかり計量する習慣も、調理方法も基本の炊く、茹でる、煮る、焼く、炒める、蒸す…をこの7ヶ月で皆さんがほぼ身に付けたと判断し、いよいよ最後の調理法、揚げるを実践します。作る揚げ物は事前連絡の通りコロッケです!」
「「「「「おぉ!!」」」」」
「「「ついにこの時が来たのか…!」」」
「ほんのちょっとの油断が大惨事に繋がるからと、止められていた揚げ物を…!」
「しっかり基礎を覚えねば!」
「「「「「宜しくお願いします、料理長!」」」」」
「では早速、タネを作りましょう」
「「「「「はい!!」」」」」
材料はじゃがいも(男爵)、玉ねぎ、合挽き肉、粉チーズ、ナツメグ、塩、胡椒、牛乳を計量する。
「まずはじゃがいもを茹でます。この間作ったポテトサラダと同じ茹で方なのですが…はい、プレガントさんチーム、どうやりましたっけ?」
「えっと、いもを綺麗に洗って、目を取ります!」
「茹でた後、皮が剥きやすいように包丁で浅く切れ目を入れてグルっと一周します!」
「えっと、必ず水から茹でる事、いもの大きさと量で茹でる時間が変わるので…前回は25分程茹でました。今回も同じいもですが、量が多いのでもう少し茹でた方が良いと思います」
「茹で過ぎても失敗に繋がるので、25分を過ぎる辺りで竹串を刺して火の通り具合を調べます!抵抗無くスッと入れば茹で上がりです!」
「正解です!では、茹でている間に、いもに混ぜる具を用意しましょう」
「「「「「はい!」」」」」
玉ねぎを全て微塵切りにする。
毎日、時間外でも色々な食材で様々な切り方(飾り切りや隠し包丁も含む)の練習をしているだけあって、手早くキレイに形を揃えて切っている。
…にしても破面って、本当に便利よね
…人間なら絶対に目に染みる作業だもの
「「「「「出来ました!」」」」」
「はい、ではフライパンにバターを溶かしてしんなりするまで玉ねぎを弱めの中火で炒めます」
「「「「「はい!」」」」」
フライパンのサイズに合わせて刻んだ玉ねぎを分けてどんどん炒めていく。
しんなりして来たところで、合挽き肉を加えて出来る限りパラパラになるように炒めていく。
じゃがいもを茹でている鍋は、吹き溢れない程度の火加減のまま、時折交代で様子を見るように指示してあるから、手が空いた者がタイマーを見たり、水分が減り過ぎていないか確認したりしている。
合挽き肉に火が通ったところで塩、胡椒、ナツメグを入れて少し濃い目の味付けをする。
ピピピピピ…ピッ
「「…良し、茹で上がりました!」」
「「「こっちもです!」」」
「…私のも茹で上がりましたね…では、湯切りして皮を剥きましょう!」
「「「「「はい!」」」」」
湯切りして直ぐに冷水の中にいもを入れて粗熱を取り、切れ目の左右を親指で開いてスルリと剥いて行く。
…相変わらず、スルスル剥けて気持ち良い〜
…みんなでやるからあっと言う間に終わるわ〜
「剥けましたね?では4つのボウルに分けて、2つはマッシャーで滑らかになるまでしつこいくらい潰して下さい。残りのは、フォークでいもの食感を残す様に荒く潰して下さいね」
「「「「「はい!」」」」」
4人1チームなので、全員が出来るように分けて潰していく。
…みんな、無心になってるね
…みんなの呼吸音といもを潰す音しか聞こえないよ
「…メノ姉様、このくらいで良いですか?」
「ん〜…うん、しっかり潰れてるね。みんなはどうかな?」
「「「「「出来ました!」」」」」
「良し良し…では、荒く潰した方に粉チーズを入れて、しっかり潰した方には牛乳を入れて全体に馴染ませて下さい。その後に炒めた玉ねぎと合挽き肉を混ぜて下さい」
「「「「「はい!」」」」」
…粉チーズを入れるとコクが出るし、牛乳を入れるとより滑らかな食感になるんだよね
全部混ぜて、最後に成形をする。
食感の違う2種類を1個ずつで1人分だから、1個あたり80gを目安にして区別がつくように荒く潰した方を丸く、滑らかな方を楕円にして貰った。
「成形し終えたのはアルミのバットに入れて…冷蔵庫でしっかり冷やします。温かいままだと、揚げた時に破裂して、とても残念なコロッケが出来るので必ず冷やして下さいね」
「「「「「はい!」」」」」
「では冷やしている間に他の夕食の用意をしましょう」
「「「「「はいっ!」」」」」
それぞれ担当に分かれて下拵えに取り掛かる。
今夜はコロッケの他にサバのソテー、トマトソースとみぞれソースの2種類を添えて、コールスローサラダ、野菜たっぷりのミルクスープに豆ご飯と、奥方様が喜ぶだろうメニューにしてみた。
というのも、この世界での彼女の誕生日が1ヶ月程前にあったと先日のおやつタイムで知って、みんなに協力して貰い、今夜決行と相成ったのである。
奥方様曰く、百何十年も生きてる(?)と、その辺どうでも良くなるらしい。
…まぁ、解らなくもないけど
折角知ったんだし、遅ればせながらも祝いたい気持ちが湧き上がったのだから仕方ない。
豆ご飯とミルクスープをロカとテスラに任せて、コールスローサラダをビアとサラダ担当にお願いして、私はサバのソテーの下拵えに取り掛かる。
サバを三枚おろしにしてから毛抜きで骨取り、塩をふって暫く置いて出て来た水分を綺麗に拭き取る。
湯剝きトマトと大蒜、ハーブでトマトソースを、大根おろしに出汁醤油を用意してみぞれソースを作っておく。
下拵えが終わった頃には、タネはしっかり冷えていた。
「良し、しっかり冷えたので、衣の用意をしていよいよ揚げて行きます!」
「「「「「はい!」」」」」
ここからは他の料理を作る担当、衣担当、揚げる担当の3手に分かれて作る。
バットに振るった小麦粉を広げ、溶き卵を別のバットに移し、食パンをミキサーで粉砕して生パン粉を作って更に別のバットに入れる。
コロッケがしっかり隠れる量の油を鍋に入れて火にかける。
「油温計のチェックは怠らないように。温度が高過ぎたり、低過ぎたりしても破裂する恐れがあるので、170〜180℃で揚げていって下さいね。適温のところにテープを貼ってあるので、それを目安に火加減を調節して下さい」
タネに小麦粉、卵、生パン粉の順にまぶしていく。
「この順番を間違えると衣が剥がれて失敗になりますので気を付けて下さい。それと、最後のパン粉を全体的にたっぷり付けると破裂しにくく、衣が綺麗に出来ますよ。こうやって、軽く押さえてパン粉を潰さないように気を付けながら周りにも…はい、コレを後は揚げるだけです」
見様見真似でそれぞれ衣付けをどんどん行っていく。
ある程度出来た辺りで油も適温になったので、揚げる作業に入る。
「油がはねると危ないどころじゃ済まないので、こうやってそっと入れて行きます…一度にたくさん入れると温度が下がってしまうので、6〜8個くらいずつを目安に揚げて行って下さい。因みにコロッケはタネに火が通っているので、衣がキツネ色になるまで揚げたら出来上がりです。時々ひっくり返して大体2〜3分くらいでキツネ色になる筈…良し、網で油を切って完成!あ、次のを揚げる前に、油に残ったパン粉は網杓子で掬って下さいね。放っておくとどんどん焦げるし、他のコロッケからもパン粉は落ちるから、パン粉塗れの油じゃ揚げにくいし、他のコロッケに付着したらもう悲惨だからね。さぁ、どんどん揚げて行きましょう!」
「「「「「は、はい!」」」」」
緊張した面持ちでみんな慎重に、おっかなびっくりになりつつも揚げ始めた。
どうしても破裂してしまうのもあって、それらは一旦横に置いといて、私達用のにすれば良いと声をかけた。
コツが掴めてきただろう、全体の3割が揚がった辺りで、交代時間を知らせた。
「そろそろ交代して!第一陣が来る時間だよ!」
「「「「「はい!」」」」」
「「「「了解です!」」」」
「ロカ、テスラ私達も交代!」
「はい!」
「解った!」
…そろそろ第一陣が食堂に来る!
…同時に姫様方の給仕係も!
「コロッケ以外は出来ているから!」
「後は盛り付けだけです!」
「解ったわ!」
ビアだけでなく、ムカマさんにも手伝って貰って、何とか間に合わせた。
…全部共通のメニューは今回が初めてだったからなぁ
…時間配分、ちょっと甘かったなぁ
…次はもう少し余裕を持って始めよう
食堂の破面が疎らになった頃、厨房のど真ん中に突然黒腔が現れ、中から思わぬ人物が出て来た。
「…何や此処は…厨房?何でや、今度こそ大丈夫言うてたやんか、喜助ぇ…」
…は?
「ひ、平子様!どうして此方に!?」
…幻覚じゃない?本物?
「おー、久し振りやなぁ、ロカ…何や、知らん顔もおるけど…ん?もしかしてお前さんがメノリ言う破面か?」
「え?あ、はい、そうですが…どちら様でしょうか?」
「やっぱりかぁ、惣右介の手紙にあったエライ美味くて凄い飯作れる破面いうのが、こない可愛エェ娘やなんてなぁ…羨ましいわ!ウチのと交換して欲しいわ!…っと」
「兄さん!来るなら連絡してくれって前にも言っただろう!?何で厨房にいきなり出て来てるんだ!?」
「お〜、惣右介久し振りやなぁ、文句は喜助に言うてくれや。今度こそ大丈夫言うたんはアイツやからな」
「全く…で、あと2人は何処に?」
「知らん。ってか解らんわ。途中まで一緒やったんやけど出ようとした途端、居なくなったさかい」
……手紙?
………にいさん?
…………誰が?
…え、どういう事?
…何で藍染が平子を兄さん呼びしてるの?
…って、あれ?何か騒がしいのが近付いて来てる?
…この声は
「離せ!このハゲ!!」
「うるせぇ!!テメェの所為で折角の風呂が台無しだこのクソチビ!!」
「うっさいわボケェ!!ウチかて好きであないな所落ちた訳や無いわ!!ってか、誰がクソチビや!!」
「じゃあクソ痴女が!!」
「何やてぇ!?」
「どちらも落ち着け、無駄に注目を集めているぞ」
「「あぁ!?」」
…グリムジョーと猿柿ひよ里?
…2人とも、何でびしょ濡れなの?
「…あ〜、スマンなぁグリムジョー、お前さんとこ行っとったか〜」
「あぁ、風呂の準備中にいきなり落ちて来やがって!おかげで風呂にヒビ入るわ、思いっ切り湯は浴びるわ、開けたばっかの入浴剤は駄目になるわ、散々だっつうの!!」
「…何しとんねん、オマエ」
「だから、好きであないな所落ちた訳やあらへん言うとるやんか!!」
ギャーギャー怒鳴り合う2人を呆然と見ていたら、ドルドーニが誰かと厨房に入って来た。
…あの特徴的なヘアスタイルは
「随分賑やかだと思えば…お久し振りですな、平子殿!」
「おー、久し振りやなぁドルドーニ、ラブを連れて来てくれてあんがとな」
「いやいや、久し振りに現世の話が聞けて楽しかったですぞ。では藍染様、皆、吾輩はこれで失礼致す」
颯爽と去って行くドルドーニが羨ましいが、まだやる事がある以上、彼等が立ち去るまで成行きを見ているしかない。
…何で仮面の軍勢の3人が来るの?
…しかも浦原喜助経由ってどういう事?
…平子に向けている藍染の表情、何だか私と話す時のビアと似てるんだけど
…兄さん呼びしてるし、この2人って兄弟だっけ?
…何で普通にグリムジョーやシャウロン、ドルドーニと彼等が話してるの?
…もう訳が解んないよ
…どうでも良いから、厨房から出てってくれないかなぁ
書き始めが中々決まらず、かなり苦戦しました。
本当は、もっとしっかり料理の基本をやりたい気持ちもあったのですが、余りダラダラとお決まりのメンバーでの料理を続けるのもなぁ…というのもあって、一気に時間を進めて、初級編の終わりに王手をかけた状態にしました…。
忙しなく虚夜宮と尸魂界を行き来する東仙よりも、料理長としていつも厨房にいるメノリの方がみんなに教えるペースが早いのは当然で、個人差はあれど半年も毎日やってれば、ある程度身につく筈だし。
今後も、色々な料理を教えていく予定だし、その都度、復習も兼ねての質疑応答を交えて初級編について挟んでいけば良い。
…と、自分に色々言い訳しながら執筆しました。
次回、平子と藍染の関係、藍染の過去と目的を書く予定です。
上手く書けるかなぁ…?
〈今回のオリキャラ〉
プレガント
スペイン語で問うの意味。
不器用だが、とても勉強熱心で努力家の男破面。
身長はメノリよりも小さいが声は大きい。
知りたい、聞きたい事は直ぐに直接聞きに来るので、早期に馴染めた破面でもある。
ムカマ
スペイン語で女中の意味。
テスラと同じくらいの背丈の女破面。
盛り付けのセンスがとても優れていて手早いので、良く手伝って貰っている。
〈作者が忘れない為の設定/【家族達】の能力について〉
カノン/情報収集と防御、有能な分身体、空間干渉
背中の翼は割と生え変わりが早く、抜けた羽根は分身体となって、色々な場所へ潜り込みメノリの為の情報収集に日々勤しむ。
〈南奈〉の時からずっと傍らにいた為、自然と他の家族達の纏め役をして来た。
みんなの能力暴走が起きないように、分身体を通して調整、補佐を行う。
カノン本体が常時発動している防御壁は、上級虚の虚閃1発なら耐えられる頑丈さを誇る。
壁を破られても即座に再展開するので、同格相手ならまず負ける事は無い。
分身体は部分的な盾を発動出来るが、同格の虚弾数発で簡単に壊れてしまう。
分身体が行った事のある場所にも本体とメノリは行ける。
本体と分身体の居る場所を交換出来る。
防御壁の内側にある空間転移の壁は、有りと汎ゆる攻撃を全く別の空間へと強制転移させる。
例えば、拳打だと、拳を空間転移させて殴ろうとした本人に当たるようにしたり、その場所も、本人の内臓に直接行くように調整する事も可能。
リリアとリリエ/分析と万能薬精製、脱皮した皮(触るな危険)
どちらかが対象に牙を立てて状態を分析(噛み付く必要は無い)、もう片方が肉体を通して対象用の万能薬を精製、牙から分泌された液を対象に飲ませる或いは塗布する事で効果を発揮する。
即効性で副作用も一切無い為、常用して無茶をする者が増えるのがデメリット。
かつての〈私〉が転生先でよくやらかしていた為、メノリには基本精製しない。
脱皮した皮には、猛毒が蓄積していて、メノリ以外は触れない。
触れたモノ全て(手袋全般、ピンセットとかの道具も含む)が一瞬で朽ち果てる程危険なシロモノである。
解毒して安全な状態に出来るのはメノリ以外居ない。
無毒化した皮は有りと汎ゆる薬の性能を、限界まで引き上げる効果を持つ。
ロウコ/戦闘の達人(熊)
最も得意なのは見ての通り接近戦だが、防御から反撃する隙を窺う持久戦が真骨頂である。
上級虚の攻撃もある程度受け流せるだけの技能がある。
索敵範囲もかなり広く、半径30km以内なら、どんな気配も逃す事は無い。
マスミ/【影】に潜む、能力の【共有】、ゲリラ戦
普段はメノリの【影】にいて、必要に応じて他者の【影】に潜り込み、【影】の持ち主にメノリの能力を【共有】させる事が出来る。
敵の【影】に潜み、奇襲を集団でかけるのが基本戦術。
最大で10101匹まで増加する(現時点では)。
戦闘不能にする方法は、刹那の狂いなく全員を同時に倒すのみである。
1体でも残ればそれが本体となってまた増加するが、霊力残量が危険域に入れば自動的に本体のみになる。
アンオウエン/世界を照らす神獣(元)の加護と祝福
アーロニーロのような光が弱点の破面にとって、天敵の存在と思われがちだが、実際はメノリの同胞である破面は、家族達に害をなさない限り、加護や祝福を受ける事が出来る。
元神獣で全盛期の半分以下の力しか無くとも、虚夜宮内ならば余裕で加護と祝福の範囲内である。
なので、虚夜宮内での戦闘ならば破面達の方がより有利になる。
破面でなくとも、メノリと懇意だと判断した対象も加護と祝福を受ける事が出来る。
シオン/約束された豊穣、神罰
どんなに劣悪な環境でも植物を実らせる事が出来る。
おかげでメノリが欲しい香辛料用等の農地が虚夜宮でも完成した。
最低限の手入れをすれば、欲しいだけ収穫出来る夢の農地である(メノリは何もしなくても手に入るが)。
この能力を独占したくて、拘束し続けたかつての村人達の気持ちも解らなくもないと思わせる程強力である。
あんこの為にわざわざ小豆用の農場を作ったザエルアポロに協力して、小豆を育てるのに最適な環境を作り上げた。
神罰とは、家族達は勿論、懇意にしている者達を故意に害した対象を祟る。
対象が触れた植物は全て灰や砂、腐敗したナニカになり、植物との縁切りを強制される。
害した対象が反省し、許され、仲直りするまで祟りは続く。
ニエ/有りと汎ゆる糸(繊維)を生成
前回の本編にある通り、有りと汎ゆる糸(繊維)を生成出来る。
出来た糸(繊維)の強度及び寿命は、木綿や絹だと市販の物より少し頑丈程度だが、肉体を形成する筋繊維等だと身体に馴染み次第、新たな怪我をしない限り、対象の身体の一部として存在し続ける。
見た目は可愛いが、能力は結構エグい傾向にある。
設定考えるの大変だけど楽しいです。