何故かメノリに成り代わりました。   作:如月雪見

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前回
私の能力を確認したら、かなり強くなっていました。

厄介事を片付けました。

コロッケをみんなで作りました。

何故か仮面の軍勢の3人が来ました。

今回
藍染と平子はどういう関係なのでしょうか?

この【世界】と藍染の過去を知りました。


ですが…


会話がメインです。


藍染と平子の関係→藍染の過去(本人語り)

 

 

物凄い悪態を吐くグリムジョーと、それを宥めるシャウロンが立ち去り、漸く厨房から移動してくれた。

何故か私とロカ、ビア、テスラを伴って。

 

…何で私達まで?

 

後片付けとか、明日の準備とかやらなきゃならない事はあるのに、全部みんなに任せる事になって、凄く申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、立ち入り禁止区域内の会議室に入った。

 

先に来ていた東仙と日番谷にサチさん、姫様がテーブル、イス、お茶の用意をして待っていた。

 

「あ、おじちゃんたちだ〜!こんばんは〜!」

「お〜、みい、久し振りやなぁ!何や、ちょっと見ぃひん間に大きなったやんか!」

「ホント!?」

「ホンマ、ホンマ。おじちゃんウソ吐いた事ないやろ?」

「えぇ〜?」

「そこはうん!って言うところやろ!」

「えへへ〜」

「お久し振りです、お義兄さん」

「おー、久し振りサチ。元気そうで何よりや」

 

物凄く和気藹々とした会話がテンポ良く続いている。

会話に満足した姫様が欠伸をし始めたので、明日一緒に朝食を取る約束と、お休みの挨拶をしてサチさんに手を引かれながら日番谷と共に退室した。

 

「…さて、待たせたね。兄さんを招待した時に君達には話そうと思っていたのだが…まさか、こんな形になるとは予想していなかったよ、兄さん?」

「いや、ホンマはちゃんと惣右介に開けて貰お思っとったんやで?けど、喜助が大丈夫やて、送ったるって譲らんくてなぁ…あ、コレお土産な。京都の老舗の数量限定の特製豆腐。こっちはサチが好きなコンビニスイーツの新商品で、コレはみいお気に入りの菓子屋の季節の詰め合わせな。結構イケる味やったで」

「それはありがとう。でも、此方が了承しない限り、勝手に黒腔を開けるのは止めて戴きたいと言うのをしっかり解って貰う為にも、コレを渡しておいてくれないかな?」

「あ、藍染様…」

「ちょ、おま、コレは…」

「うげっ…」

「…うーわ」

「頼むよ、兄さん」

「…あーもう!悪いんは喜助やもんな!必ず渡したるわ!」

「兄さんならそう言ってくれると思っていたよ」

 

黒い紐でぐるぐる巻きの小さな箱を渡す、笑顔だけど明らかに怒っている藍染と引き攣った顔の東仙、平子、ひよ里、ラブを見るに、良からぬブツが入っているのだろう事は簡単に想像出来た。

 

…にしても、随分仲が良いなぁ

…本当の兄弟と遜色ないくらい軽口叩きあってる

 

「…あぁ、放置してしまって済まないね。ロカとテスラは知っているけど、メノリとビアは初めて会うからね。紹介しよう、手前から平子真子、猿柿ひよ里、愛川羅武。で、此方の同じく手前からメノリ=マリア、ルビア=アルコ=イーリス、兄さん達も知っているだろうけど、ロカ=パラミア、テスラ=リンドクルツだ」

「さっきは驚かせてすまんかったなぁ。平子真子や。惣右介達が世話になっとるけど、今後も仲良ぉしてやってな。特にみいの事、宜しゅう頼むわ」

「…ふんっ、猿柿ひよ里や」

「おい、ひよ里…ったく、コイツ、初対面の相手には何時もこうなんだ。慣れるまで勘弁してやってくれたら有り難い。愛川羅武だ、宜しく」

「ご紹介いただいたメノリ=マリアです。宜しくお願いします」

「ルビア=アルコ=イーリスです。みんなからはビアと呼ばれています。宜しくお願いします」

「お久し振りです、皆様、お元気そうで何よりです」

「久方振りです。愛川様、あの時は大変失礼致しました」

「あー…ありゃ不可抗力だろ、寧ろ、テスラの方が大丈夫だったか?」

「はい、頑丈なのが取り柄ですので」

「なら良い、この話はこれで終いだ。な?」

「…はい!」

 

…私が破面化する前の話だよね?

…いつから知り合いなんだろう?

 

「彼等は全員元死神で、隊長、副隊長を務めていたんだ」

「まぁ、通りで…あの、失礼なのは重々承知なのですが…その…」

「何故元死神なのか…何故虚の気配がするのか…かい?」

「はい…すみません」

「謝らなくて良い。それも含めて私の昔話をしよう。かなり長くなってしまうが…聞いて欲しい」

「「「「は、はい」」」」

 

どうやら、仮面の軍勢の事は知っていても、藍染自身の過去はロカもテスラも知らないらしい。

 

話は藍染と平子の出会いから始まった。

 

「物心が付いた頃には、既に頼れる人は私には居なくてね。ただ覚えていたのは「お腹がグーって鳴ったら水を飲みなさい」と誰かが教えてくれた事と、同時に唯一持っていたのは欠けた湯呑みだけで、当時の私は只管それを実行して過ごしていたんだ。何せ、幾ら飲んでも直ぐにお腹が鳴るから、常に水を飲んでいる奇妙な子どもにしか周りには見えなかっただろうね。そんな子どもが水飲み場を半ば占領しているのは許せなかったのだろう。ある日、子どもの力では到底持ち上げられない岩を重石にして井戸を封鎖されてね。あぁ、此処にはもう居てはいけないんだと理解した私は新たな水飲み場を求めて彷徨ったんだ」

「え…」

「何ですかそれ…」

「酷い…」

「新たな水飲み場を見つけても結果は同じ。大人が同伴しないと飲めないようにされてね…もう何処に行っても同じだと理解した私は、井戸では無い、誰も知らない水飲み場は無いか更に彷徨う事になったんだ。まぁ、空腹を抱えた子どもが行ける場所なんてたかが知れている。直ぐに動けなくなって道端で蹲って、どれくらい経ったのか解らないけれど、奇特な誰かが私に声をかけて来た。それが兄さんだったんだ」

「いやぁ、あん時はホンマ驚いたわぁ〜、何せ久し振りに帰省しよ思うたら知らん子どもが道端で盛大に腹ぁ鳴らして倒れとるんやもんなぁ」

「まともに返事も出来ない私に、彼は聞いて来たんだ。「何や、腹減っとるん?大したモン無いけどウチ来るか?」とね。私は既に話す気力も失くなっていた。もう諦めていたからね。でも、言葉の代わりに今迄で1番大きく腹が鳴ったんだ。彼は笑って私を俵担ぎにしてそのまま家に連れて帰った。「元気な返事やな!気に入ったで!」って言ってね」

「まぁ…」

「平子様らしいですね」

「担がれて行った家には、兄さんに良く似た男の人と、容姿は似ていないけど、話し方や仕草がそっくりな女の人が迎えてくれてね。当然、担がれた私に凄く驚いた後、また腹を鳴らした私に事情を察した2人は、直ぐに水を飲ませてくれただけでなく、食事の世話もしてくれたよ。今迄水しか飲んだ事の無い私に、食べやすい大きさに切った豆腐とネギが入った塩味の汁物をね。初めてだったよ、あんなに良くしてくれる人達なんて居なかったから。とても不思議だけど嫌では無い感覚を…私の中で何かが満たされたと思えたのもね。以来、私は豆腐に目がなくてね。特に何か良い事があれば必ず作ってくれる揚げ出汁豆腐に大根おろしが添えてあるのが好きでね…君の作る揚げ出汁豆腐が良く似ていて、つい食べたくて何度も要望していたんだ」

「そうだったんですか…それはきっと、藍染様にとってお袋の味なのですね。私の料理が似ていると仰って頂けるなんて、料理人冥利に尽きます」

 

…そう言われたら、今後も作ろうって思っちゃうよ

…嘘偽り無い本心だって、表情見たら解るし

 

「それでも此処が私の家だと思えるようになる迄、そして父さん、母さん、兄さんと呼べる迄10年くらいは掛かったけれどね」

「それは仕方無いと思います。誰も頼れずたった1人で居たのなら尚更ですよ」

 

カノンとシオンの頭をそっと撫でながら、嘗ての幼い藍染が抱いただろう感情に思いを馳せた。

 

「…ありがとう。私が常に空腹を抱えていた原因も父さんのおかげで判明してね。と言うのも2人とも元死神で、父さんは4番隊の第5席で、母さんは11番隊の第6席だったんだ」

「「「「え」」」」

「ホンマ現役時代はブイブイ言わせてたらしいで?本気で怒らせるとホンマおっかなかったしなぁ」

「良く母さんに拳骨落とされたり、尻を叩かれたりしていたよね、兄さんや近所の悪ガキ達」

「あー…もうえぇから続き続き!」

「はいはい。で、私の体質に問題があると知った父さんが治療してくれて、霊圧の扱い方もしっかり教えてくれたおかげで、ずっと私を苛んでいた空腹から解放された。…あぁ、私の口調が兄さんと違うのは、仕事中の父さんの話し方を真似していたからなんだ」

「成程…」

「父さんの仕事…鍼灸院の手伝いをして、回道と縛道を教わって、母さんからは剣術を教わった。覚えるのが早い、筋が良い、教え甲斐があると、2人とも熱心に鍛えてくれたよ。死神時代の話も良く聞いた。それが私も死神を目指そうと思った切っ掛けだね。家族以外の近所の人達も協力してくれて、私は人を頼る事を知って、何もかも決め付けて自己完結をする悪い癖も少しは改善したと思う」

「せやなぁ、惣右介は思い込みが激しくて、そのまま暴走しがちやったから、直ぐに気付いた母ちゃんが「言いたい事、聞きたい事はハッキリ言い!悶々しとったって解決せぇへん!母ちゃんは万能やないからな、言われんと解らんわ!ほれ!言うてみい!」って惣右介に何言われても怒らへんし、寧ろ遠慮せんくなったのが嬉しい言うて、惣右介に抱き着いとったくらいやしなぁ…懐かしいわ、あの時の惣右介の顔」

「んんっ!まぁ、おかげで私は無事に学院に入学して順調に進級、卒業に向けての論文を書く為の資料収集をしていた時に、ある資料の欠落に気付いてね。それの原本が綱彌代家にあると知って、偶々講師の助手として来ていた歌匡さんに橋渡しを頼んで、本家の書庫に入れて貰えたんだ。そこで知ってしまったんだ、この【世界】がどうやって造られたかを」

「「「え…」」」

「この【世界】の…?」

「あぁ」

 

初めて入った書庫の隠し扉を瞬時に看破した藍染に、同伴していた時灘は、ほんの出来心で原始の歴史書に加えて祖先と歴代当主の手記をも読ませたらしい。

そこには〈私〉が知っている通り、瀞霊廷の遥か上空にある霊王宮の事、そこに祀られている霊王の事、霊王と【世界】の護り手である零番隊の事が書かれていたと言う。

だが、霊王が祀られる事になった経緯が違った。

 

約百万年前、何もかもが曖昧な嘗ての【世界】で生者を喰らう虚が出て来た頃、奇跡の兄妹が生まれた。

兄は虚を滅却する力を持ち、妹は虚を整に変える浄化の力を持っていた。

妹が浄化し切れない虚を兄が滅却する事で、被害を食い止めていた。

しかし、このままではいずれ【世界】が停滞する時が来る事に変わりは無く、それを良しとしない者達が声を上げた。

それが5大貴族の祖先達であった。

綱彌代家以外の祖先達の動機は小説と同じだったが、綱彌代家が全く違った。

祖先は確かに兄の力を怖れたが、それ以上に妹を深く愛した。

妹が大切にしているモノ全てに気を配り、怖れた兄とも交流を続けるうちにその恐怖心を克服、妹を妻にと強く望み、尽くすその姿に兄からも信頼を得て、2人は結ばれた。

最愛の妻とこれから生まれて来る我が子の安寧を強く願った祖先は、虚との明確な境界線を欲した。

 

5大貴族に兄妹、当時の実力者達、そして生者を守り、虚のみを喰らう黒い鳥の姿をした変わり者の女虚を交え、話し合いを重ね、生と死、そして虚それぞれを完全に分離させる三界分立を考案、準備期間を経て儀式の日を決定したその夜、事件が起きた。

 

虚の群れに妹が襲われ、重傷を負った。

異常に気付いた黒い女虚が応戦し、主犯の虚を逃したものの、共犯者達を斃す事には成功した。

妹抜きの儀式は多くの不安材料を抱える形で行われた。

その予想は的中、儀式の妨害に大量の虚が押し寄せて来た。

その中には居て欲しくなかったあの虚もいた。

当然、妻の件で冷静さを失った綱彌代の祖先が陣形を崩し、仇討ちとばかりにその虚を追い回し始めた。

その穴を他の者達が埋めようと努力したが、一度崩れた陣形は元に戻せず、儀式が終わった時には皆、満身創痍に疲労困憊、死者も出た。

儀式中、身動きが取れなかった兄は四肢欠損、胴体も深く抉られ骨や臓器も一部が行方不明、生きているのがおかしいくらいの酷い有様だった。

出来上がった3つの【世界】も機能はしているが、いつ何が起こるか解らない程不出来なモノだった。

兄曰く、

「支えが必要だ…創ったのは私で、私にしか制御出来ない…念の為に用意していた〈あれ(制御装置である水晶)〉に私を入れてくれ。最後のお願いだ」

当然、兄以外の全員がその願いを拒絶した。

それでも兄の意思が固いのを察した親友がある〈約束〉をした。

「解った。今はそれしか無い…だが、必ずお前さんの肉体を全て探し出し、元に戻そう。その時、儀式のやり直しをしよう。誰も犠牲を出さずに済む柱を創り直そう。〈約束〉だ」

と。

 

綱彌代の祖先は、未来を左右する重要な儀式だと言うのに、感情に身を任せて台無しにした己を恥じ、せめてもの償いとして霊王の身体探しとその保管を買って出た。

 

藍染曰く、何も知らない者からは霊王の欠片の独占行為にしか見えないが、代々当主となった者が責任を持って大事に保管していると言うのも独自の調査で判明しているらしい。

 

因みに、本家が時灘と歌匡を結婚させた本当の理由は、欠片持ちの保護は勿論、時灘が綱彌代の名を今後も名乗るのに相応しいかを見極める為だったらしい。

―伴侶を蔑ろにする者に綱彌代を名乗る資格は無い―

時灘は無事試練をクリアして今に至るとの事。

 

閑話休題。

 

霊王の存在を知った藍染は、いつ果たされるか解らない〈約束〉を待ち続ける霊王が今どうしているのか、何を思っているのかが知りたいと平子に相談、霊王宮に行く方法を模索し始めた。

 

「…助けるとかではなく、会って話がしたい…のですか?」

「助ける…そうだね、確かにそう思わなかった訳では無いよ。でもそれを霊王は望んでいるのか解らないし、当事者でも無い私が〈約束〉の横槍をするのはいけないだろう?」

「そう…ですね」

「うん。それからは兄さんと時灘殿に奥方の歌匡さん、当時既に友人だった要とそのお嫁さんの協力の元、霊王宮に行く為の情報収集に協力者の見極めと勧誘を仕事の傍らで進めていたよ」

「いた?何で過去形なんですか?」

「ちょ、ビア」

「その疑問は尤もだろうね…そう、あれが…あれが無ければね…あれが…あれ…が…ゔっ」

「惣右介!」

「藍染様!」

「「「「藍染様!?」」」」

「アカン!要、サチん何処連れてき!後は俺が話しとくさかい!頼んだで!」

「はい!」

「「「「………」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…顔色が一瞬で真っ青になったけど、大丈夫なの?

…何か、前前世で医者だった時に診たトラウマを刺激された患者の反応と酷似していたんだけど

…何かあったんだろうな、ああなる原因が

…本人は退場しちゃったけど、代理の平子は何を話してくれるのかな

 





〈今〉に至るまでまだ話は続くので、一旦切ります。


次回、藍染に代わって平子と東仙が語ります。

藍染の遣りたい事まで書き切れるよう頑張ります。
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