何故かメノリに成り代わりました。   作:如月雪見

18 / 51


前回

姫様の誕生日が2ヶ月後にある事を知りました。

献立作りはみんなの協力が必要不可欠でした。


今回

献立が決まったので、只管特訓します。

ビアがみんなに相談を持ち掛けて来ました。

ビアの成長を垣間見れて嬉しいです。



準備期間中にあった事

 

 

 

姫様の誕生日会でお出しする献立が決まったので、藍染と東仙に確認をして貰った。

東仙からは特に何も言われなかったが、藍染から更なる要望が出た為、献立を増やした上でのOKサインが出た。

 

「と、言う訳で藍染様から正式に了承をいただきましたので、こちらの献立で行きます。各自、担当のレシピを配りますので、誕生日会当日に向けて頑張りましょう!」

「「「「「はい!」」」」」

「そして、今回は助っ人が来て貰える事になりました。いつも料理教室に参加しているシャルさん達と、ディ・ロイさんにロリ、そしてガンテンバインさんの11名です」

「「「「「よろしく(ネ)(頼む)」」」」」

「【刃】の方々やクールホーンさん達が助っ人…!」

「「「何て心強い!」」」

「「「「「宜しくお願いします!」」」」」

「担当ですが、主食はテスラとドルドーニさんにガンテンバインさん、主菜はロカとシャルさんにペッシェさん、汁物はシャウロンさんとディ・ロイさんにドンドチャッカさん、副菜はネリエルさんとチルッチさんにロリ、タレとソースはビアとナキームさんにそれぞれ入って貰います」

「「「うむ」」」

「おぅ!」

「…あぁ」

「「…ふん」」

「了解よ」

「よし、やるぞぉー!」

「おー!でヤンス!」

「姫様の為に頑張らなきゃ」

 

…にしても、シャルさんイチオシの助っ人がガンテンバインとは思ってもみなかったわ

 

シャルさん曰く、元々は同じ従属官だったが、当時の【刃】の面々と渡り合える実力者だからと、従属官から【刃】に昇級させられてしまい、今に至るらしい。

従属官を外されても、度々会ってはお茶と世間話をする仲だと言う。

しかも、他の従属官達が数々の試作品を前にギブアップしても、彼だけは最後迄真剣に付き合ってくれるとも。

 

…結構、人付き合いが良い人なのね

…シャルさんの影響で、私の動画を見て料理をするようになったらしいけど

 

試しに作れる料理を3つ程作って貰ったけど、五目御飯とお味噌汁にカレイの煮付けを作ってくれた。

全体的に味はだいぶ薄いけど、下拵えと火加減はしっかり出来ていた為、出来上がりはそれ程悪くは無かった。

 

…動画見ながらとは言え、ここまで出来るのは十分凄いわ

…これなら、味付けに気を付ければどの作業を任せても問題無いでしょう

 

話し合った結果、本人が希望する主食担当に入って貰う事にした。

他の人達の料理スキルは大体把握済みだから、余程の事が無い限り、やらかす可能性はそこまで高くは無い筈である。

 

「…あれ?料理長、お出しするパンがサンドイッチ以外にも増えていますが?」

「…アンコロネ?と豆腐入り焼きドーナツ?…とは一体?」

 

レシピの追加内容に疑問を持った主食担当のマノさんとウニャさんが、聞いて来た。

 

「あぁ、それね…お箸とかのカトラリーを使えない破面用にサンドイッチを用意したでしょ?それに対して藍染様が他にもパンを出せないかと仰られて…そこから色々と話し合った結果、私の前世でやってたお店で、人気だったコロネシリーズからアンコの入ったコロネと、揚げない豆腐ドーナツを追加で出す事になったの。コロネは巻貝みたいな形をしたパンで、中が空洞になってて、そこにホイップとかの好きなクリームを詰めて作るの。中身があんこなら手が出やすいだろうって。豆腐ドーナツは話の成り行きで出て来たんだけど、藍染様が凄い興味を示しちゃって…どっちもレシピは覚えてるし、今回の主食のちらし寿司とお赤飯に食パンは既に教えているから、更に新しい主食を教える事にしたの」

「成程、解りました」

「新しいパン…楽しみです」

「他は大丈夫かな?みんなも気になった事はその都度聞いてね」

「「「「「はい」」」」」

 

 

こうして、姫様の誕生日会に向けての猛特訓が始まった。

 

豆腐入り焼きドーナツは、現世から取り寄せたホットケーキミックスと滑らかに濾した絹豆腐に卵を混ぜてドーナツ型に入れて、予熱したオーブンで焼くだけなので、みんな直ぐに覚えた。

因みにホットケーキミックスだが、基本のドーナツ生地を一から作ろうと準備してたところに、任務で現世に行っていたゾマリが興味本意で入手したものの、結局使い方が良く解らないと相談に来たおかげで、色々と面倒な過程を省いた焼きドーナツ作りが出来た。

 

…本当に感謝だわ〜

…現世にホットケーキミックスがあるって解ったのも凄く有難いし

 

ゾマリには、お礼にカボチャドーナツの作り方(揚げる、焼くの両方)を教えた。

彼はカボチャとピーマンが好物らしい。

出来上がったドーナツを上機嫌で持ち帰った。

 

ドーナツよりもコロネの方が作る過程で時間がかかる為、練習出来る回数に限りがあると理解した彼等は、コロネ最優先で特訓した。

その甲斐あって、1か月半弱で全員見事に修得した。

初参加のガンテンバインもすっかりみんなと馴染んでいる。

彼も、今後都合が合えば料理教室に参加したい旨を伝えて来た。

勿論、大歓迎である。

 

 

 

主菜と副菜は、覚える料理が圧倒的に多いので、それぞれの得意な作業ごとに割り振ったのだが、チャレンジ精神がかなり強い一部の者が異を唱えた。

 

…これが日常の食事なら良いけど、今回は絶対無理

 

「今回は失敗の許されない姫様の誕生日会にお出しする料理です。それぞれが得意な作業を極めて貰う必要があります」

「ですが…!」

「料理長の采配に不満があるのは解りました。ですが、今回ばかりは誰も異動は了承出来ません。新しい調理法を身に着けたいのは皆同じです。でも、状況を弁えた行動を今は求められているのだと、理解出来ませんか?」

「うぐっ…」

「ロ、ロカさんまで…」

「アナタ達のワガママ聞いた結果、みんなの足を引っ張って失敗、東仙統括官からの叱責だけでなく、藍染様からのお仕置きを連帯責任で受けろっての?」

「なっ!」

「お、俺達は…!」

「今回は年に一度の姫様の誕生日会です。そして、生まれ変わったと言っても過言では無い、私達厨房の者達の腕をお披露目させていただく大切な機会でもあります。万が一、億が一の可能性を失くす為にも、このメンバーでそれぞれ作業をしていただきます」

「「「…わ、解りました。申し訳ございません」」」

「うん。誕生日会が無事に終わったら、日を改めてちゃんと教えるから。ね?」

「「「…はい」」」

 

中々引き下がらなさそうな彼等を見て、ロカとシャルさんが説得に加勢してくれたおかげで、何とか納得して貰えた。

その後は、みんな姫様の誕生日会を成功させる事に一丸となって全力を注いでくれたおかげで、誕生日会の数日前には予定していた全てのメニューが作れるようになった。

 

 

 

汁物は、イワシのつみれ汁(澄ましと味噌の2種類)以外にもミネストローネを用意するのだが、そこで意外な新事実を知った。

 

「…ディ・ロイさんが?」

「あぁ、汁物に必要不可欠な出汁やブイヨンは、奴に任せている」

「…とても、美味い…コレ、昨夜作ったヤツ。持って来た」

 

シャウロンの話と共に、ナキームから一番出汁と野菜のブイヨンがそれぞれ入った小鍋を渡された。

 

「じゃあ、いただきます…」

「「「「っ!」」」」

「…美味しい」

「あぁ、しっかり旨味が出ている」

「昨夜作った物なのに、香りもちゃんと残っていますね」

「そっちの一番出汁も美味しいですが、こっちのお野菜のブイヨンも美味しいです」

「…本当、野菜の甘味がほんのりと優しくて…凄いわ」

「だろ?だろぉ〜?」

 

得意気に胸を張るディ・ロイに私達は素直に称賛を送った。

 

…ドジっ子過ぎて毎回ハラハラさせられてたけど

…これは朗報だわ

…シャウロンの言う通り、汁物は出汁やブイヨンの出来に大きく左右されるもの

…彼を汁物担当に推して来るのも納得ね

 

「これなら、安心して任せられるわ。宜しくね」

「おう!任しとけ!!」

 

その後、彼は誕生日会の当日迄、一度も失敗せずに出汁とブイヨンを作り続けた。

 

…いや、本当に凄いわ

…出汁とブイヨンの味が毎回ほぼ同じとか

…正直言って、厨房に欲しいくらい

…絶対、断られるのは目に見えてるけど

 

 

 

タレとソースはほぼ毎日作っているから、今迄のレシピを全て記憶しているビアと、繊細な作業と絶妙な味付けを得意とするナキームが揃えば、ほぼ成功は約束されたようなもの。

何なら、調味料の割合を変えたりと、自発的にアレンジの研究をみんなと一緒になってしているくらい。

時々、やり過ぎて何か変なのを作ってしまっているが、まだ教えていないソースを作って来たのには驚かされた。

 

「ケチャップとマヨネーズの作り方は教えたけど…まさかオーロラソースに行き着くなんて…」

「マヨネーズに練り胡麻とお砂糖を少し入れたら美味しかったので、このケチャップを入れたらどんな味になるかなぁって、ナキさんと試してみたら意外と美味しかったのです。そこでみんなにもレタスに付けて食べて貰いましたが、イケるとの返答をいただきました」

「…マヨネーズの可能性は無限だと思った。出来ればコレも出したい…無理か?」

「…う〜ん…そうね、破面のみんなは珍しがって食べるかも知れないわね。マヨネーズの変わり種として少しだけ出しても良いわ」

「やりましたね、ナキさん!」

「…ありがとう」

 

私は私で料理の腕だけでなく、色々な人との交流によって精神的な成長をし始めているビアに、内心とても喜んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主食に主菜、副菜、それにかけるタレとソース、汁物と、それぞれの特訓はほぼ順調だったが、ある日の夕食の時、ビアがかなり真剣な表情で私達に相談して来た。

 

「…姫様の誕生日プレゼントって、何を贈れば良いのでしょうか?」

「「「「「…え?」」」」」

「誕生日会について、ボクなりに調べたのですが、誕生日にはプレゼントを贈るものだと、殆どの資料に書いてありました。ですが、贈り物は資料によって違っていて…何を贈れば良いのか解らないのです」

「誕生日プレゼント…ですか?」

「…昨年迄は、我々は画面越しに姫様を拝見出来る会場に指定された時間に集合さえすれば、後はそれぞれ都合の良い時間に食事をして終わりだったからな…」

「…姫様の力を怖れ、私達との接触も厭う尸魂界の上層部の方々が、護衛として死神達を連れて来て、私達とは別の会場で画面越しに姫様の成長具合と、1年分の記録を見て、食事をして帰るのが姫様の誕生日会でしたので…今回は本当に全てが初の試みばかりですからね」

「…スターク様にも確認したところ、夜に藍染様と奥方様に平子様御一行、そして東仙様のご家族に市丸様ご夫妻で姫様の誕生日会を改めて行っていたそうですよ。その時に姫様宛の精査済のプレゼントを渡していたとか」

「…改めて聞いても、私の知っている誕生日会と違い過ぎてビックリだわ。身内だけのホームパーティーは兎も角としてもね」

「…奥方様とメノリの言う誕生日会に俺達も驚いたけどな」

「…聞いた噂では、今回来る上層部は半分近くが世代交代した上に、人数は例年の2割しかいないらしいぞ」

「五月蝿い上層部が少ないのもあって、藍染様も姫様を皆に直接紹介する事にしたのだろうな」

「…姫様の画面越しでは無い正真正銘のお目見えに、(表向きは)現世のを参考にした料理達、子どもが主役だけど年齢や性別関係なく遊べるだろう現世のゲーム…初めてだらけで本当に大丈夫なのかしら?」

「…藍染様には奥方様に東仙統括官、日番谷様、そして平子様と御両親もいらっしゃるから大丈夫だろう」

「…結局、肝心のプレゼントについては、メノ姉様以外良く解らないんですね」

「…そのようね」

「リリさん(リリネットの事)にプレゼントについて、【繭】の皆さんはどうしているのかを聞いてみたのですが…大抵は姫様の好きな料理を一緒にお腹いっぱい食べて、姫様が眠くなるまで色々な遊びをしていると…あ、そう言えば、あの涅マユリは毎年パズルを渡していると言っていました。何でも、1年後までの宿題だとか。なので、姫様にとって誕生日とは、昼はカメラに向かって言われた通りに動いて、涅マユリから宿題を貰い、夜は好きな料理を好きなだけ食べて夜ふかしをして良い日だと認識しているみたいですね」

「…その認識は訂正すべきね。出来る限り早急に」

「今回の誕生日会、絶対に成功させる為にもプレゼントは何が良いか、どんな事でも良いのでアイディアが欲しいです。ご協力お願いします!」

 

どんな事でも私にしか聞いて来なかったビアが、みんなに頭を下げて助力を求めている姿に、また感動で涙腺が緩みそうになるのを堪えて、誕生日プレゼントについての記憶を脳内検索し始めた。

 

…誕生日プレゼントかぁ

…無難なところは相手の好きなモノとか、良く使う実用的な物だけど

…でもそういうのって、全部藍染が用意しちゃってるだろうしなぁ

 

考えながら、みんなの様子を窺った。

みんな頭を捻るが、唸るだけで何も出て来ないっぽい。

そもそもプレゼントを渡した事も、貰った事もほぼ皆無な破面には、難易度が高い相談と言えるだろう。

 

…う〜んと、他には何があるかなぁ

…私が幼少期に貰ったり、贈ったりしたモノ

…あ、そうだ

 

「…友達の証として何かをお揃いで持つとか?」

「お揃い…ですか?」

「そう、姫様はビアの事を友達と思っているのでしょ?なら、友達の証をあげたら喜ぶんじゃないかな?」

 

姫様にとって藍染とサチ様は親で、平子一家は叔父と祖父母、東仙達は父親の友人か仕事仲間、私達はお兄さんかお姉さん、ビアとリリネットは友達と認識されている。

なら、友達の証をリリネットの分も含めて用意すれば、姫様にとってプレゼントになる筈。

 

「ビアと姫様にリリネットの3人でお揃いにしたい物を考えてみたら?」

「成程…」

「流石メノリさんですね」

「3人でお揃い…う〜ん?」

「まだ時間は1か月以上あるから、明日のおやつタイムでリリネットとも相談してみたら?カノンの分身体を通して話は付けておくから」

「…はい、そうします」

 

 

 

翌日、おやつタイムよりも早くに行ったビアは、リリネットと話し合い、お揃いのロケットペンダントを持つ事に決めたらしい。

3人で写っている写真を選んで変質しないように加工、しっかり固定してカバーをかけてペンダントは完成。

プレゼントボックスに、チェーンが絡まらないように気を付けながら入れて蓋をして、見栄えの良いリボン細工を本を見ながら作って接着剤で箱に固定、接着剤が完全に乾いたらプレゼントの完成である。

 

「「…ふ〜…出来た(ました)!」」

 

姫様に内緒の2人だけの初めての共同作業は、厨房のみんなと【繭】の方々の協力もあって、誕生日会までに無事出来上がった。

満足気に笑い合う2人を見て、誕生日会を成功させるべく、私の出来る事を全力でこなそうと改めて誓った。

 

 

 

 

 

 

…何もかもが初めての姫様の誕生日会

…出来る限りの事はみんなで全力で準備してきた

…後は姫様が喜んでくれる事を願うのみ

…いよいよ本番、気合いを入れて取り組もう!

 






今回は、頭に光景がポツポツと浮かぶのに肝心の執筆が全く出来ない、指が動かない日が続きました。
短編を投稿後、2、3日程ですが作品から離れて積ん読状態だった本を読んだり、部屋の整理をしたりしていました。
そうしたら、より鮮明なイメージが不思議と湧いて来て、それまでに無理して書いた文章の大半をアッサリ没にして、書き直す事が出来ました。

物理的に距離を置くのもひとつの手なんですね。
書けなくなった時の対処方法が見つかって良かったです。

ガンテンバインとゾマリが当初の予定とは違う形で登場しましたが、それ程不自然とは思わないのでこのままで良いかなと。

こういう事もあるんですねぇ…



次回は、姫様の誕生日会当日の様子を書こうと思っています。






〈今回のオリキャラ〉

マノ
スペイン語で手の意味
140㎝くらいのオトコの娘な破面
自分に似合う女物の服を自作しては、仲の良い同僚にお披露目している
何気にシャルさんとも仲が良い
主食担当で、餅米が好き

ウニャ
スペイン語で指の意味
190㎝はある高身長の女破面
半年前に破面化をした新入りだが、服を嫌がって裸族で過ごし、報告を聞いた東仙から物凄く怒られた事がある
多分、夜一と気が合うだろう破面
マイクロビキニ姿で作業しようとしたので、メノリ達の説得で、料理をするのに相応しい格好をするようになった
主食担当で、お米よりもパンが好き
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。