何故かメノリに成り代わりました。   作:如月雪見

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前回

誕生日会に向けて、料理の猛特訓をしました。

ビアとリリネットが姫様とお揃いのプレゼント作りに精を出しました。


今回

いよいよ姫様の誕生日です。

先ずは面倒な方々の用件を済ませましょう。

思わぬトラブルが起こりました。

誕生日会、姫様に喜んで頂けるよう、頑張ります。


姫様の誕生日会

 

 

今日は、姫様の誕生日会。

この日の為に、みんなで猛特訓して献立の全てを修得した。

下拵えは数日前から出来るものは順次用意して来たし、今日に備えてこの3日間、シフトを調整して全員の身体を休ませた。

開催される時間は正午。

朝食を食べ終えた者から順に、担当の作業に入って、どんどん料理を仕上げて行く。

 

 

 

予定通りの10時頃に日番谷から連絡が来た。

「此方の用件は済んだ。転移門前に持って来てくれ」

と。

連絡が来たからと、私はみんなに一度抜ける事を告げてからお土産を手に転移門へと向かった。

 

…午前中に、姫様の現状と記録をお偉方に見せるだけ見せてお土産を持たせてさっさと帰す

…本日最初のミッション成功ね

 

今日の予定を伝えに来た東仙曰く、元々お偉方は姫様の誕生日を区切りにして、1年間の成長具合を確認するだけで直ぐに帰っていたと言う。

ある年、偶々あちらの都合の良い時間が昼食と被った為、止むを得ず此方で食事の用意をした。

それ以降、何故かずっとこの昼食時に確認に来ては食事をして帰って行くようになった。

 

…破面の住処に長居したくないくせに、此処での食事会を続けて来たお偉方の思考は謎過ぎるわ

 

しかも、ずっとそれを続けて来た所為で、姫様の誕生日への認識がおかしくなってしまった。

藍染とサチ様曰く、ちゃんとした誕生日会をしたかった。

でも、毎年来るお偉方の所為で、夜にやり直しをするしか無かった。

今年になって漸くそのお偉方が世代交代してくれた。

新しいお偉方は、誰が見ても明らかな程虚夜宮への来訪を厭う連中ばかり。

そんな彼等に藍染と東仙は、元々は午前中に確認して、お土産を手に早々に帰宅していた事を暴露。

他にも色々と吹き込んでは彼等の思考を誘導し、悪しき慣習を終わらせるべきだと断言させる事に成功。

そして今日、藍染の思惑通り彼等は9〜10時の1時間以内に用事を全て済ませ、お土産を手に帰って行った。

 

「ご苦労だったね。この調子で本番も頼むよ」

「万事滞りなく進んでおりますので、ご安心下さい。では失礼します」

「うん」

 

 

 

 

 

 

で、厨房に戻ったらしっかりトラブルが発生していた。

 

…フラグ立てた覚えは無いんだけど?

 

「え?何コレ?」

 

床一面にコロネが散乱していた。

青褪めた顔のウニャさんが私に頭を下げた。

 

「すみません!私が、私がちゃんと台に乗ったのを確認しなかったから…!」

 

どうやら、焼けたコロネを冷ます台を支える足の状態を禄に確認しないで重ねて置いた為に、バランスが崩れて床に落としてしまったらしい。

取り敢えずゴミ袋に床のコロネを入れながら、どうするのか此方を見ているテスラ達に指示を出した。

 

「コロネは中止!無事なのは別の場所に纏めておいて!焼いてないのはラップして予備の保存庫に入れておいて!」

 

…今から作って間に合うのは、アレしかない!

 

「コロネ担当のメンバーは、今から私の言う通りに動いて!コロネの代わりにベーグルを作るから!」

 

食糧庫から強力粉、ドライイースト、砂糖、塩、サラダ油に黒胡麻を持って来てそれぞれ計量、全部ボウルに入れて同じく計量したお湯を加えて混ぜる。

粉っぽさがなくなったら捏ねる作業に入る。

遠慮なく力一杯捏ねて、生地の表面が滑らかになったらラップをして一次発酵に入る。

発酵している間に、アンコロネのPOPを回収して代わりにベーグルのPOPの用意と、献立変更の連絡を藍染と東仙、ついでにザエルアポロにも入れた。

一次発酵が終わったら、12等分にして丸めて濡れ布巾をかけてベンチタイムを10分程してからガス抜き、丸め直して生地の真ん中に指で穴を開けて全体的に広げて成形、ラップをして二次発酵している間にオーブンを220℃に予熱し、生地を茹でる為のお湯を沸かす。

二次発酵が終わった生地を片面30秒〜1分ずつ茹でてお湯をしっかり切る。

料理用の和紙を敷いた天板に生地を並べて、予熱したオーブンで15分焼く。

竹串チェックで中までしっかり火が通ったら完成。

天板から適当に取ったベーグルをみんなで試食。

 

「これがベーグルですか」

「…食パンと違う食感ですけど美味しいです」

「生地を茹でたのには驚いたが…美味いな」

「で、半分は豆腐ドーナツの此方側に載せて、残りをこうやって切って、片方にあんこをこれくらい塗って、元の形に戻して豆腐ドーナツを挟んでそっちに載せて…良し、完成!」

 

料理を会場へと運ぶ時間が迫って来たので、運搬担当達に事前に伝えた通り、テーブルの番号毎に用意してある事を確認しつつ運んで貰う。

 

「一時はどうなるかと思ったが…お疲れ様」

「みんなもね…さて、ビアは着替え終わったかしら?」

「メノ姉様!」

「おい、走ると転ぶぞ」

「どうだい、いつもと違う妹の姿は?」

「髪は私とハリベル様で仕上げましたわ」

「姫様とも違う髪質だから纏めるのに少し手間取ったが…我ながら良い出来だと思うぞ」

「凄く可愛い!良く似合ってるわ!」

「そうですか?うふふ〜」

 

ハーフアップのお団子ヘアに黄色の花の髪飾りをして、髪飾りと同系色のドレスを着たビアが駆け寄って来た。

いつものエプロンドレスにホワイトブリムとは全く違う姿はとても新鮮で可愛い。

 

…ってか、私が着飾らせたかった!物凄く悔しい!

 

会場へ向かうビア達を見送って、バースデーケーキの仕上げに取りかかった。

リアルタイムで会場内の状況を知る為に、カノンとマスミの分身体を送ったが、映ったその光景に口元が引き攣った。

破面達の食欲と嗜好の傾向は大体知っているから、予想通り食べやすいパンと主菜中心のおかわりも想定の範囲内で、何の問題もなく運搬がされている。

平子達現世組も予想通り、各々好きなだけ取って食べている。

問題は、東仙と日番谷の意見を基準にするしかなかった死神達である。

 

「…嘘でしょ?」

 

…思った以上に洋食の消費が激しいんだけど

…和食オンリーの尸魂界だからてっきり、ちらし寿司かお赤飯の方がなくなると思ってたのに

 

「何が「嘘でしょ?」よ」

「え、だって」

「死神達からしたらアンタの考案した料理が食べられる貴重な時間よ?」

「和食だろうが洋食だろうが、関係無く食べるに決まってるわよ」

「寧ろ、滅多に食べられない洋食の方が売れ行き良いに決まってるじゃない」

「ほら、あの白ヒゲのジジイだって食べてる」

「えぇ!?洋食嫌いの筆頭だって、東仙様仰っていたのに!?」

「…何か喋ってるわね。ねぇメノちゃん、カノンちゃんは声とかは送れないの?」

「出来るよ。ね、カノン」

「ナッ!!」

『…美味い…美味いのぅ…嘗て儂が口にした臭くて辛いだけのあれは何じゃったのか…』

『先生…』

 

…多分、開国直後の向こうから入って来たばかりで、日本人の味覚に合うように調整される前のを食べたとか?

…もしくは単純に作り手が下手なのを食べたのかな?

 

『今なら、あの辛味入り汁かけ飯も食せるかも知れんのぅ』

『山じいが洋食嫌いになった原因のひとつって言う、あの曰く付きをかい?』

『そうじゃ…』

 

「…辛味入り汁かけ飯?」

「カレーライスの事よ」

「あぁ、あの見た目のインパクトが凄かったヤツ?」

「今じゃ半月に1回は食べてるあの?」

「そう。私がどうしても食べたくて、作った残りは冷凍保存しとけば良いと思ったのに…」

「メノリさんが嬉しそうに作っているのを見て、つい私達もいただいちゃったんですよね」

「残るどころか、足りなくなって作り直したんだったよな。それも3回も」

「奥方様なんて、嬉し泣きが中々止まらなくて大変だったと仰っていたものね」

「それのハズレを引いた所為で洋食嫌いだなんて、勿体ないわね〜」

 

その後も洋食の消費の勢いが止まる事は全く無かった。

それどころか先に洋食がなくなり、それでもまだ食べ足りないと言わんばかりに、残っている和食をその勢い衰えぬまま、どんどん食べていた。

 

…予想外にも程があるわよ

…あんなに山盛りだった料理全てが空っぽになるなんて

 

 

 

 

 

 

昼食が終わり、食後の休憩時間となった。

みんなが控室等に行っている間に、運搬係と給仕係が会場の食器を厨房に運び始めたのとほぼ同時に、市丸一家が来た。

 

「久し振りやなぁ、メノリ」

「あ、市丸様。いらしていたのですね」

 

…仮にもお客様が、裏方の厨房に来るものじゃないと思うんだけど?

 

私の心情等知る由もない市丸ギンは、呑気に嫁と双子を紹介して来た。

 

「いらしてましたで〜、ボクの嫁さんと子ども達もなぁ」

「貴女がメノリ?ずっと会いたかったわ〜!妻の乱菊よ。碧色の方がシンで、淡紅色の方がリン、宜しくね」

「初めまして、メノリ=マリアです。遅くなりましたが、ご出産おめでとうございます」

「ありがとう。貴女のおかげでこの子達も私も元気に過ごせてるわ。それに…さっきも助かったわ、離乳食」

「うっかり忘れて来てもうたから、こりゃあかん言うて焦っとったら、念の為に言うて用意しといてくれはって、ホンマに助かったわぁ。おおきになぁ」

「お役に立てて何よりです」

「「あぅ、だぁ~、ぶっ!うっ、」」

「シンとリンもありがとうって」

「どういたしまして」

 

そろそろ作業に戻ろうとしたら双子に指を掴まれ、身動きが取れなくなり、市丸に助けを求めたらとても良い笑顔でこう宣った。

 

「ほなみんな、会場に行きましょか」

「「「「「え?」」」」」

「行けませんよ、これから後片付けなんですから」

「大丈夫、代わりが来たからなぁ」

「代わり?」

「後は我が分身達にお任せを。姫様がお待ちです」

「ルドボーンさん!?」

「姫様がなぁ、ご飯は一緒出来なかったけど、ゲームなら一緒に出来るよね言うて聞かんのや」

「奥方様が説得したんだけどねぇ…どうしてもみんなでやりたいって。で、彼の帰刃の分身達が後を引き継げば良いってなってね」

「でも…」

「もう決定事項やさかい。諦めてぇな」

 

双子を抱っこさせられて、出口へと方向転換、されるがままに厨房から出された。

 

会場に着いた途端、私達を呼びに行った市丸が、ちゃっかり双子を抱っこさせてるのを見た他の子持ちの方々から、

「ズルイぞ!」

「我が子も抱っこして欲しい!」

「おんぶでも良いから」

と、ブーイングの嵐と共に迫って来たのには困惑した。

 

…私は縁起物や験担ぎのアイテムか何かですか?

 

ついでに、瀞霊廷通信に載せたいから写真を撮らせて欲しいとも言われた。

取り敢えず、

「藍染様方からの許可が降りていないので」

と断ったが、藍染から既にOKを出されてしまっていた…。

 

そして、涅マユリが生まれたばかりの眠七號(涅ネム)を連れて来ていたのには驚かされた。

それでも、首の座っていない新生児を危なげなく抱っこした私には、流石にみんな驚いたようだ。

 

…7回の転生は伊達じゃないからね

…一応、結婚に妊娠、出産、育児と経験してるもの

 

そのままミルクだの、オムツ換えだのまでさせられたのは流石にイラッとしたが。

更にそれを彼方此方から撮る檜佐木にもだが。

 

 

 

 

想定外の写真撮影が終わり、漸く今日の主役である姫様と話が出来た。

 

「モテモテだね、メノリおねえちゃん!」

「あはは…本日の昼食は如何でしたか?」

「すっごくおいしかったよ!とうさまオススメのとうふどーなつねぇ、おとうふのにおいがしたの!ちょっとあまくておいしかった!あとねぇあとねぇ、こ〜んなおっきなハンバーグも!あとはぁ〜…そう、エビフライもおいしかった!」

「それは良かったです…あら?既にプレゼントを貰っていたのですね。良くお似合いですよ。勿論、ビアとリリネットもね」

「え、そ、そうかな?」

「そうよ。2人とも、センス良いからね〜。うんうん」

「「「え、えへへ〜」」」

 

 

 

 

 

姫様とひと通り話をしたところでゲームが始まった。

 

「…では、ゲームを始めようか。ルールは見ての通りだ」

 

ゲーム名は姫様が大好きな的当て。

昼食時に座ったテーブルのメンバー6人で1チーム。

的は会場内の天井、壁、床、そして宙に浮いているボード。

玉は小さいお手玉で、1人2個投げられる。

輪の中に書いている数字は-100〜100。

数字のスロットが止まった瞬間から30秒以内にお手玉2個を的に当てる事。

他チームの人にぶつけたら減点10。

姫様に向けて投げたらそのチーム自体が即失格。

以降のゲーム参加の権利も失くなる。

的とお手玉にセンサーが内蔵されているので、自動的に加算、減算がされる。

1チーム12個投げて得た数字の合計点が最高点と最低点、そして姫様チーム(姫様、リリネット、ビア、藍染、サチ、ルドボーン)が出した合計点に近いチームが勝ち。

姫様のおやつタイムである3時まで何度でも行う。

輪の中の数字は1回行う度にリセット、スロットをする。

姫様チームの合計点とピッタリ合ったチームにはご褒美がある。

タイムリミットまでに勝ちを得た数の多いチームにも景品が贈られる。

 

 

ご褒美、景品の文字に目を輝かせる者達に、苦笑いせざるをえない私は差し出された箱に手を入れた。

 

「私はBチームか」

 

私達厨房組(+助っ人達)はくじ引きでチーム分けになった。

 

「よろしくね、みんな」

「ふんっ」

「「「「宜しくお願いします」」」」

 

ネリエルとロリがチームメイトになった。

 

…確かにお手玉を掴んで投げられる人なら誰でも出来るけど

…自分の視界に出て来る数字はランダムで

…これだけビッシリと数字だらけ、しかもスロットだと目にくるわね

…この中で意中の的に当てるのも結構大変ね

…的自体が動き回るよりはマシかもだけど

 

 

「「「「「うぉぉぉぉぉ!!」」」」」

「「畜生!デカい数字が来ねぇ!」」

「いっそマイナスだけ来いや!」

「何だよ!何でんな微妙な数ばっか来んだよ!?」

 

ピピー!

 

「…ふむ、今回の最高点は浦原喜助チーム、最低点は涅マユリチームだね。みいのチームと1番近いのは…おや、今度は兄さんのチームだね」

「おやおや」

「…ふんっ!」

「よーし、よしよし!この調子で巻き返し行くでー!」

「「「っだぁー!クソッタレがぁぁぁ!!」」」

 

…口悪っ、姫様の教育に良くないなぁ

 

今のところ、姫様チームと同点を出したチームは出ていない。

何より、出て来る数字が毎回違うから、運ゲー要素が強くて何処のチームが勝ちを多く取っているとかも無い。

若干、物欲が余り無いチームがリードしているみたいだが。

 

…このまま、同点が出ずに終わるのかな

…その所為で微妙な空気になるのはなぁ

…それと、そろそろ飽きて来た人も出て来る頃かな

 

姫様は的当てとか輪投げとかを一度始めると、目標到達までずっとやり込む子だから、誰かが止めるまで続けられるけど、他の人達はそうじゃない。

 

…そろそろ同点が出ないと、クレームが出て来るかも

 

ピピー!

 

「おや、ついに同点のチームが出たようだね。しかも2つ」

「「「何ぃっ!?」」」

「おめでとう、浮竹隊長率いる13番隊チーム。そしてテスラ率いる厨房Cチーム。此方へ」

「やるねぇ、浮竹」

「いや〜、ははっ」

「「「良いなぁ〜」」」

「「「あ、あんなのほほんとした奴等に…!」」」

「「「「よっしゃぁ!」」」」」

「やったな!テスラ!」

「は、ははは…」

「さて、ご褒美だが…みい、渡してあげなさい」

「は〜い!」

 

浮竹の代わりに志波海燕が、そして少し遅れてテスラが姫様の前に来た。

ニコニコ笑顔の姫様が2人に渡したのは、みんな見覚えがあるだろうお菓子の写真が載っているカタログと2枚のチケットだった。

首を傾げる海燕と凄く申し訳なさそうなテスラに藍染はご褒美について説明した。

 

「それは今迄、要を通してうちの料理長が渡して来たお土産のリストだよ。その中から6人で2つ選んで、その紙に書いて要か私に渡してくれれば、料理長が腕を振るってくれるよ。勿論、本人にも既に連絡、了承済みだから、遠慮なく有効期限内に提出してくれたまえ」

 

藍染の説明が終わると同時にみんなの目の色が変わった。

 

…みんなヤル気取り戻してる?

…現金だなぁ

 

その後、おやつタイム迄の間に同点を取れたのは、食べ物への執念からだろうか、更木剣八率いる11番隊チームと、ハリベル率いる【繭】チーム、そして山本元柳斎率いる1番隊と8番隊の混合チームだった。

 

…作るのは合計10品×6人分か

…やちるちゃん辺りは「全部欲しい!」とか言いそうだなぁ

…おっと、そろそろルドボーンさんの分身が持って来る頃合いだな

 

 

 

姫様のおやつタイムに合わせて、バースデーケーキのお披露目となった。

ロカ達と一緒に作った直径90cmの特別製。

ホイップクリームと姫様が大好きな果物をふんだんに使い、マジパンで姫様に藍染、サチ様、東仙、市丸、日番谷に平子、そして【繭】のみんな(私達含む)を作ってデコレーションしたかなり気合いの入った逸品。

ケーキの真ん中には96のロウソクを固定した小皿が鎮座している。

バースデーケーキのロウソクについて、サチ様から説明されている間に、ロウソクに火を着けて照明を消した。

 

「すぅ〜…はぁ〜…すぅ〜…ふぅー!」

 

フッ………パチパチパチ

 

「姫様、96歳のお誕生日、おめでとうございます」

「「「「「おめでとうございます!」」」」」

「えへへへ」

 

無事、吹き消されたロウソクを取り、ケーキを切り分けて姫様が食べたい部分を1番にお渡ししてから、藍染、サチ様、平子とその両親…と、どんどん渡していく。

当然、このケーキだけで足りる訳がなく、既にカット済のケーキを給仕係が他の死神達や破面達に渡している。

因みに、生クリームがダメな人には、豆乳クリームを使って作ったのを、1歳〜3歳の子達にはスマッシュケーキを渡した。

 

「何だ、この食感は!?」

「甘っ!あんことは全然違う!」

「「「けど美味い!」」」

「ふわふわ〜!あまあま〜!」

「…甘い…が、この珈琲とやらと食すと中々…悪くない」

「とても美味しいです」

「「あー!うー、だぁーうー!」」

「シン、リン、あなた達にはまだ早いからめっ!」

「「あぁー!うー!ふぇぇぇ…」」

「みんなして美味そうに食べとるからなぁ、2人も欲しいんやろうけど、堪忍なぁ」

「「ふぇっ…ふっ、うー…びぇぇぇ!」」

「あ〜、よしよし…2人が落ち着くまで控室行っとるさかい。乱菊はゆっくり食べとき」

「そうは行かないわよ私も」

「あの、ヨーグルト寒天を作ったんですけど…如何でしょうか?」

「え?良いの?」

「事前調査でヨーグルトは大丈夫だと窺っていたので…ケーキの代わりにどうぞ。見た目は同じ白い食べ物なので、ワンチャン誤魔化せるかも」

「…ありがとう。ほ〜ら、メノリがあなた達の為に用意してくれたって、良かったわね〜」

「「う?…きゃーうぁー!」」

 

みんな、初めて食べるデコレーションケーキに驚きながらも、手は止まる事無く全員完食した。

大人達が美味しそうに食べていれば、子どもも興味を持ったり、食べたくなる現象は何処でも起きるらしい。

 

「おかわりないの〜?もっと食べたいー!」

「もうねぇって言われただろやちる!俺だって食いてぇの我慢してんだ。ダダこねて困らせんじゃねぇ!」

「ぶぅー!」

 

予想通り、やちるちゃんがダダこねて、更木剣八に叱られた。

 

…ってか、貴方も食べたいんですか、更木剣八

…でも、無い袖は振れませんので、諦めて下さい

 

 

 

 

 

ケーキの後、ご褒美が後ひとつ残っているからと、的当てが再開された。

中々出なかった最後のご褒美は、浦原喜助チームに渡った。

 

…涅マユリが物凄く彼を睨んでいる

…最後の最後で出し抜かれたとでも思ってるんだろうな

…運ゲーだからしょうがないのにね

 

 

 

予定よりも遅くなったが、死神達の帰宅時間となった。

お土産にひとくち団子(9種詰合せ)をそれぞれに手渡して、最後のミッションも無事完了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…どうにか誕生日会を乗り切れたかな?

…主役である姫様も始終笑顔だったし

…にしても、あの写真撮影を何で藍染は許可したんだろう?

…主役の姫様を差し置いてさ、時間も結構割いちゃって

…アレが無かったら、予定していたゲームが出来たのに

…瀞霊廷通信がどうとかって、良く解らない事言ってたし

…変な事に使われなきゃ良いけど

…さてと、そろそろ頭切り替えなきゃね

…夕食の献立もだけど、他に何か忘れてるような気がする

…あ、コロネの残り焼かなきゃいけないんだった

 






今回は子どもの頃、近所に住む同級生の誕生日会にお呼ばれした時の事を思い出しながら書きました。

執筆当初は、料理長だから始終裏方の厨房にいて、唯一、バースデーケーキの運搬にロカ達とやって来て軽く自己紹介して終わらせるつもりでしたが、姫様の性格を考えると、食事はダメでもお気に入りとその仲間とも一緒に遊びたいってなるだろうなと考え直し、ゲームからの参加にしました。
ルドボーンの帰刃、こういう時本当に便利ですね。









ちょっと思い付いたワンシーン
〈誕生日会の10日後〉

今夜は半月に一度のカレーライスの日。
なんだけど…

「何故此方に山本様が?雀部様と卯ノ花様まで…」

瀞霊廷トップの2人が虚夜宮の食堂でカレーライス(甘口、温玉をトッピング)を勢い良くかき込んでいる姿は、異様な光景としか言いようが無い。
その向かい側でマイペースに食べる卯ノ花(激辛、鶏の唐揚をトッピング)もだが。

「どうやら、総隊長達の話を聞いた破面の誰かが、お前の作るカレーライスは美味いって自慢したらしくてな…」
「しかも次のカレーライスの日まで教えたらしい…此方に戻る我々に同伴すると言い張られてな」
「さながら子泣k…んんっ、断り切れなくて…すまないな」
「は、はぁ…」

東仙と日番谷の疲れた表情と、嬉々としてカレーライスを頬張るお爺ちゃん2人を見て苦笑いするしかなかった。

「「おかわりじゃ(お願いします)!」」
「私もお願いします」

…この3人、どれだけ食べるんだろう?
…追加、用意しとくべきかな?









次回、メノリとして目覚めて1年が経ち、ビアとロカとルームシェアを始めた日が来ました。
3人+護衛付きでちょっと出掛けます。
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