前回、東仙の説得によって、瀞霊廷通信の取材を引き受けました。
今回、尸魂界の大農地の視察に行きました。
破面になって初めて虚圏の外に出ます。
何事も無く帰って来れますように…
姫様の誕生日会から1ヶ月が過ぎた。
以前から招致されていた尸魂界の大農地の視察に行く事をみんなにも話した。
「…尸魂界へ…ですか?」
「うん。大体半月くらい前だったかな?代理人から連絡が来てね。現地の視察を是非って。…というのも、新たに開拓した土地に私が試験的にって、現世のビニールハウスによる栽培をお願いしていたんだけど、そこの状態をきちんと把握した方が良いのではって。定期報告はちゃんと来てたし、その都度目を通しては返信もして来たけど…百聞は一見にしかずって言葉もあるしね。藍染様と東仙統括官に相談して、色々と調整して貰った結果、向こうが指定して来たのが来週でね。その日はお昼とおやつの準備はして行くから、仕上げを頼みたいなぁって」
「…それってメノ姉様、1人でですか?」
「え?流石に私1人は無理よ。それに渡されたチケットは4枚あるから、私とビア、ロカ、テスラの4人で行って来るように言われてるわ」
「…という事は…」
「そう、厨房のみんなにお願いする事になるわね」
「「「「おぉー!」」」」
「「「「「お任せ下さい!」」」」」
「うん、頼りにしているわ」
そして、あっと言う間に視察の指定日になった。
「えっと、最終確認…姫様方の昼食とおやつOK。あちらへの挨拶用のお菓子はテスラが持ってくれてる。服装におかしなところは無し、髪も…うん、問題無し」
「メノ姉様、そろそろ約束の時間になりますよ」
「あ、は〜い…よし、では、行って来ます」
「「「行って来ます(来る)(参ります)」」」
「「「「「行ってらっしゃいませ!」」」」」
――尸魂界――
チケットを破った瞬間、目の前に広がる光景に気圧された。
「「「「いらっしゃいませ」」」」
「「「「お待ちしておりました」」」」
「…お、お迎えありがとうございます」
「初めまして、メノリ様、ビア様、ロカ様、テスラ様。お会い出来て光栄至極にございます。本日の案内人を務めさせていただきます、現当主の末娘の友歌と申します。」
「初めまして、本日は宜しくお願い致します」
「「「宜しくお願いします」」」
「つまらない物ですがどうぞ」
「こ、これはもしかして、カステラ!?」
「在り来りの物で申し訳ないのですが…」
「とんでもない!このカステラに私達がどれ程助けられた事か!ばあや!」
「はい、友歌様。このばあやが責任を持って保管をしておきます。心置き無くお務め下さいませ」
「勿論よ!さぁ、参りましょう!」
全景が全く見えない屋敷に玄関までの距離は勿論、そこまでに続く道のりに並ぶ人、人、人…最敬礼の角度で頭を下げている方々に、会釈をして案内人である友歌さんについて行った。
玄関に入って直ぐの部屋に入ると、以前契約書を作成した時に会ったきりの代理人、田淵さんがいた。
「お久しぶりです、マリア様、そして助手の方々」
「お久しぶりです、田淵さん。本日は宜しくお願いします」
「「「宜しくお願いします」」」
「では、早速参りましょうか」
「「「「「はい」」」」」
綱彌代の血筋が居なければ使えない転移門を使って、大農地へと向かった。
「「「わぁ…」」」
「おぉ…」
「す、凄い」
転移門は、大農地全体を見渡せる一際大きな櫓の最上階に続いていた。
…広っ!多分、最先端の高性能な望遠鏡と、それぞれ八方にある櫓からのカメラ映像が此処に来るみたいだけど
「あの…この望遠鏡とモニターに映っている場所、全部私の所有地って、本当ですか?」
「はい」
「左様にございます」
…今直ぐ返上させて下さい。マジで
…私には、ビニールハウスだけで十分です
報告書にもあったけど、今年は大豊作だったとかで、かなり稼いだとか。
それから必要経費を全て引いた残りは全部、私名義の口座に入金されている。
報告書の金額がどのくらいの価値なのかさっぱり解らす、東仙に聞いたらかなり動揺していたから、相当なんだろう。
…そんなもの、いち破面の手に余るだけなのに
…本っ当にお願いだから返上させて
改めて、その話をしようとして、シオンとカノンが居なくなっている事に気付いた。
「あれ…シオン?カノンも何処に…げっ」
「メノ姉様、どうしたのですか?」
「ちょっとシオン!カノンも!何してるの!?戻って来なさい!」
いつの間にか、シオンとカノンが櫓から外に出て、シオンが自身の尻尾を千切っては彼方此方の田畑に放り込みながら縦横無尽に走っている。
カノンはそんなシオンと並走している。
…マズイマズイマズイ!!
「シオン!カノン!止めなさい!!」
「ガァァァァァァァオオオォォォォォォォォン!!」
カッッッ!!!
田畑に放り込まれた尻尾が遠吠えに応えるように光った。
私の制止は間に合わず、シオンの〈マーキング〉が完了してしまった。
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「メノ姉様!?」
「メノリさん!?」
「ど、どうしたんだ一体!?」
「…やっちゃった…やってくれちゃったよぉ…シオンのバカァ…カノンも何で止めなかったのよぉ…」
「「「え?」」」
これで此処等一帯は全てシオンの領域で、私達がこの【世界】を出る或いはこの土地そのものが消滅しない限りずっと〈約束された豊穣〉の効果が続く。
そして、此処の関係者だろうが何だろうが関係なく、悪意や害意を持ったり、故意でなくとも被害を与えた時点で、問答無用の〈神罰〉の極致〈生涯に渡る植物との絶縁〉が発動する。
それは私達が虚圏にいても効果が切れる事は無い。
この〈マーキング〉をどうにかするには、シオンの同郷で格上の神格持ちの上書きが必要となる。
そして〈神罰〉から逃れる方法は、私達の消滅もしくは【世界】からの追放のいずれかのみ。
かなり難易度が高いと言えるだろう。
私の所有地だからこそと、張り切ってやったとシオンは満足気に尻尾をブンブン振っている。
…もう返却不可能になっちゃったよぉ
…何で止めなかったの?カノン
…この土地返したら、別荘という名の大豪邸が土地ごと所有物になる?それもいらないよぉ
…だから止めなかったって?そっかぁ
頭を抱えて打ち拉がれる私にオロオロするみんなに、シオンのやらかしを説明した。
顔を引き攣らせるロカとテスラに対し、目を輝かせてシオンを褒めるビアと友歌さん、田淵さんとの温度差に頭痛が酷くなった。
シオンの領域となった以上、此処で何が起きても即座に察知出来る為、早々にビニールハウスの方へと向かった。
ビニールハウス内はしっかりと確認したいからと、シオンが勝手な事をしないようにガッチリと抱っこした状態でそれぞれのハウス内を視察した。
「わぁ…色んなトマトがいっぱいです!」
「う〜ん…収穫までもうちょっと時間が必要かな。あ、こっちのは穫っても大丈夫だから、穫って行こうか」
「はい!」
「…随分ツルツルの…胡瓜の仲間でしょうか?」
「それはズッキーニ、西洋の野菜だよ。炒めても焼いても美味しいの。お肉と一緒に炒めて味付けするだけで立派なおかずになるし…収穫が楽しみだなぁ」
「…この匂いは苺か?右側と左側とで形状が随分違うが」
「現世の色々な品種のを育てて貰おうとあの時は思ってたからね。苺はお菓子作りに欠かせないし」
とまぁ、ひと通りしっかりと視察した後、改めてシオンに〈マーキング〉をお願いした。
因みにシオンはずっと抱っこしていたから、凄くご機嫌だった。
その分、他の子達が不機嫌になったが。
本家に戻る前にと、既に収穫された作物の中でも一級品ばかりを土産に持たされた。
流石に、名義変更前から植えられていた作物を貰うのは気が引けるからと、台所を借りて昼食を作らせて貰った。
私達が作ると聞いた者達全員が、外出していた者達にも連絡を入れた結果、ほぼ全員が仕事や用事を放棄して帰って来たのには流石に頭を抱えた。
…ごめんなさい、仕事や用事を放棄された所為で、その後始末を押し付けられたであろう方々
…そして、何で此処にいるの?
…痣城剣八じゃなくて痣城双也
友歌さん曰く、次姉の歌那枝の旦那にあたる義兄だと紹介された。
確か痣城剣八は、生家の財産目当ての貴族達によって冤罪を掛けられて、一族郎党死刑となり、自身も見世物同然の処刑をされそうになった時に姉を失って能力に目覚め、そこから自分にとっての理想の死神像を求めて暴走し、最期は無間へと囚われの身になった筈だ。
この【世界】では、彼もまた違う道を辿ったらしい。
…何がどうなれば此処まで変わるんだろう?
…痣城剣八までもがこうも違うと、まだ会っていない他の人達はどうなっているんだろう?
…まぁ、そのうち嫌でも知る時が来そうだけど
また思わぬ情報を獲得した。
昼食後に友歌さんから、原作と違って存命しているそれぞれの奥方様同士がとても仲の良い朽木家と志波家からも、是非我が家にと預かっていたらしい招待状が渡された。
…うーわ、出来れば行きたくない所から招待状が来たよ
…波風立てないようにしなきゃ
「…藍染様からの許可をいただければ参りますと、言伝をお願いいただけますでしょうか?招待状はありがたく頂戴しますので」
「はい、必ずやお伝えします」
午後からは牧場の視察の為にまた転移門を使って移動した。
牧場経営の代理人の草彅さんの説明を聞きながら、飼育されている家畜達を確認した。
…定期的に小屋から出して柵内を自由に運動させて、ストレスが少なく済むようにちゃんと管理されてるのね
…柵も馬用に山羊用、ウサギや鶏用にとそれぞれちゃんとした逃亡対策もされてるし
…あ、仔牛もいる。すぐ傍にいるのが母親かな?
「…牛舎ってこんな匂いがするんですね」
「…凄いな」
「…う〜…鼻が曲がりそうです」
「あ〜、慣れないとちょっとキツイかな?」
3人とも鼻を摘んだり、鼻と口を覆ったまま眉間に皺も寄せて思い思いの感想を述べた。
ケロッとしている私を信じられない目で見てくる。
…そのうち、鼻が麻痺してくるからそれまでの辛抱だよ
牛舎を出てすぐ隣の生乳管理室へと案内された。
午前中に搾って牛乳用に処理されたのを試飲させて貰った。
「…ふわぁ〜…甘いです」
「…牛乳って、こんなに甘かったか?」
「餌にお砂糖とかを加えているのでしょうか?」
「これは低温殺菌だからね。風味を生かす為の殺菌方法で、牛乳以外にもワインとかジャムを作る時にも採用されてるよ」
「へぇ…」
「そうなのか」
「流石メノリさん」
「まぁ、デメリットもあるけどね。傷むのが早いとか」
「流石お詳しいですね、その通りです。お帰りの際、お立ち寄りいただければご用意出来ますよ」
「え、でもそれは…」
「本日の取引分は既に出荷済みで、此方は余剰分なんです。我々が毎日飲んでも、余ってしまいますので…」
「そうですか?なら、ありがたく頂戴しますね。…あ、そうだ。牛乳が余ってしまうなら、牛乳豆腐とか作っては如何でしょう?」
「「「「「牛乳豆腐?」」」」」
「温めた牛乳にお酢かレモン汁を入れて混ぜて、液体と固体に分離したのをザルで濾して作る、見た目が豆腐みたいな料理です。低脂肪、高タンパクで栄養価も中々のものですよ。お醤油におろし生姜やネギと言った好みの薬味を乗せていただくと美味しいですよ」
「是非!是非ご教授賜りたく存じます!」
物凄い勢いで草彅さんに懇願された。
…牛乳豆腐って、乳牛を飼育している酪農家では割とメジャーなモノだと思っていたけど、そうでもなかったの?
…まぁ、此処はあくまで牧場で、生乳加工は牛乳以外していないようだけど
その後は、他の家畜達を見せて貰い、馬や山羊におやつをあげたり、ケガや病気で隔離されている子達を癒したりして過ごした。
最後に、戻って来た綱彌代の台所で牛乳豆腐を作った。
説明した通り、まずはたっぷりの牛乳を温める。
沸騰させないよう、火加減に注意しながら何回かに分けてお酢を入れていく。
この時、一カ所にドバッではなく、全体に行き渡るよう回し入れるのがコツ。
お酢を入れ終えたら、そっとヘラで混ぜると液体と固体に分離するので、それをザルで濾して水気がなくなれば完成。
「…使った牛乳に対して、だいぶ少ないんですね」
「まぁ、牛乳は見ての通りほぼ液体ですからね。因みに初乳っていう産後3〜4日くらいまでの生乳だとただ加熱するだけで固まりますよ。オススメは蒸し器での加熱ですね。あと、鍋で作るとおぼろ豆腐みたいのが出来るんだったかな?…その辺はちょっとうろ覚えで申し訳ないですけど」
「いいえ、そんな…今迄捨てるしか無かった生乳の使い道が出来ただけでもありがたいです。本当にありがとうございます!」
元々、滋養目的で始めた牛の飼育と生乳への認識はかなり昔から変化が無いらしい。
…まぁ、現世から来た人達の大半が霊力を持たないから、食事をする必要もない以上、ここの食事事情を知る術なんで無いから仕方ないのかな
…知ってたら、もうちょっと現代に近くなってる筈だし
出来た牛乳豆腐は、体質上の問題がある人以外の食わず嫌いな人達の反応は大きく2つに分かれた。
「変わった豆腐だと思えば食べられる」
「やっぱり牛乳でしょ?ちょっとねぇ…」
と。
…まぁ、草彅さんとこの身内や他の酪農家が食べられれば良いからね
…草彅さん、嬉々として食べてるし大丈夫でしょ
他にも、牛乳寒天の作り方も教えた。
こっちの方が好評だった。
…同じ牛乳が入っているのに何故?
試食している間に虚夜宮に戻る時間となり、大量の牛乳と野菜を渡されての帰宅となった。
――虚夜宮の厨房出入口――
「「「「ただいま(戻りました)(帰りました)」」」」
「「「「「お帰りなさいま…せ?」」」」」
「「「お、お疲れ様でした」」」
「「…凄い大荷物ですね」」
「今使わないのは食糧庫に入れて来ますね」
「うん、ありがとう…ふぅ〜」
「これは牛乳…ですか?」
「こんなにいっぱい…どうしますか?」
「半分は明日の朝食に、残りは牛乳豆腐作るから鍋に入れておいて」
「「「「「…牛乳豆腐?」」」」」
コック服に着替えて、牛乳豆腐を今度はレモン汁で作った。
「後は型に入れて重しをして、水受けのボウルに入れて置いておけばOK」
「…割と簡単に出来るんですね」
「まぁね。さて、残りの料理作っちゃおうか」
「「「「はいっ」」」」
…あ〜、やっぱり此処が私の居場所って感じする〜
…自分の部屋と同じくらい落ち着くわ〜
振る舞った牛乳豆腐への反応は、牛乳好きからは結構好評で、逆に苦手だと言う人達もこれなら食べられると、そう悪くは無かった。
因みに藍染は
「悪くは無いけれど、木綿の温奴が恋しくなったよ…」
と、酷く悲しげに零したらしい。
…卵豆腐は良いけど牛乳豆腐はダメだったかぁ
…まぁ、卵豆腐は形の違う茶碗蒸しの印象があるから別物と認識出来るんだろうけど
…豆腐よりも白いし、匂い、味、食感も結構違うから別物。とはならなかったかぁ
…藍染には、牛乳豆腐を出すのは止めておこう
…ガッカリさせたお詫びに、明日の朝食は豆腐ステーキでも出そうかな
お出掛けの話を書こうと意気込んだのは良かったのですが…最初は殆ど記憶が無かったとは言え、〈南奈〉の時から変わらない趣味と与えられた仕事が見事にマッチしてて、1日中厨房にいても全く気にしない引き篭もり状態のメノリが外出…?となってしまいました。
かなり思考を巡らせた結果、綱彌代からお礼にと渡された農地と牧場がどんな状態なのか、真面目な彼女なら放置出来ないだろうと思い立ち、彼女なら助手のロカ達と一緒に歓迎しますと先方から招待されれば、流石に尸魂界に行くのでは?と。
…お出掛けと言いながら、結局仕事の話になってしまった感しかありません。
次回は、破面として目覚めて1年経つメノリを祝いたいビア達の邪魔をしない為に、どうしようか悩む話でも書こうかと。
〈マーキング〉について
他の子達も使える能力。
特に縄張り意識が高い熊(ロウコ)や猫(カノン)、犬(マスミ)が良く使う能力である。
今回は農地で、豊穣を司るシオンに軍配が上がった為、みんなが譲る形で能力を使った。
この領域にはシオンは勿論、メノリ達も自由に行き来出来る。
〈マーキング〉の仕方
カノンは分身体をその対象に取り付かせる。
マスミは自身がその【影】を認識した瞬間。
ロウコは爪で引っ掻いた部位を線で繋いだ内側が領域となる。
因みに、メノリは気付かなかったが、マスミは【影】への干渉を行っている【存在】にすぐに気付き、怒ってその【存在】から今回認識出来た範囲内の【影】への干渉権を全て取り上げた。
よって、その【存在】は今後、マスミに認識される【影】が増える度に干渉出来なくなっていく。
この【世界】の〈痣城剣八こと痣城双也〉
生家がとある罪を犯した為に貴族位を剥奪、処刑される筈だったが、彼の姉が歌匡と懇意にしていた事から、時灘が手を回して一族の犯罪に姉弟は加担は愚か、何の罪も犯していない事を証明し、貴族位と財産を剥奪されはしたものの、2番隊の監視付きで1番隊の傘下におくよう交渉された結果、姉弟2人は助命された。
その後、2人は死神となり、姉は一族の罪を濯ぐ為に、彼は地に落ちた一族の名を元に戻す為に奔走した。
1番隊の中でも優秀であると証明し続けた彼は、念願の11番隊に入隊、あっと言う間に副官にまで上り詰めた。
11番隊を希望した理由は、強さと人望を兼ね備えた当時の剣八から得られるもの全てを身に付けたかったから。
当時の剣八が零番隊からの勧誘に迷っているのを間近で見て、自分がその後を継ぐに相応しい器かを見極めて欲しいと決闘を申し込み、受理された。
決闘の結果は、引き分けに終わった。
卍解を使えないという大きなハンデがありながらも、引き分けに持ち込むその実力に自分はまだ到達していないと、素直に負けを認めた。
しかし、彼が目を覚ました時には、既に先代剣八は零番隊の勧誘に応えた後で、11番隊を預けるに足る器だと、彼等を宜しく頼む旨の手紙を残して瀞霊廷を去った。
その後は手紙に書かれた先代の想いに応える為に、痣城剣八として11番隊を纏めていた。
しかしある日、とことん相性の悪い虚と戦う事となり、深手を負い暫くの間、昏睡状態になってしまった。
その間、副官が代理を務めていたのだが、鬼厳城が剣八の座を奪った。
昏睡中の経緯を知ってからは復帰次第、剣八の座を取り戻す為のリハビリを始めた矢先、あの虚大量発生事件が起きた。
その所為で更に復帰が遅れ、その間に更木剣八が鬼厳城剣八を斃してしまった。
復帰して直ぐに更木剣八と対面、彼の底知れぬ地力を肌で感じ取った痣城は、彼に勝つ為の鍛錬を今でも続けている。
元剣八として、礼儀のなっていない隊士達を教育する役目を担っている。
11番隊で彼に勝てるのは更木剣八のみなので、副官補佐と言う地位にいる。
その後、彼の働きは正当に評価され、剥奪された貴族位を取り戻した。
そして、同期で共に切磋琢磨して来た歌那枝に婚姻を迫られ、自分が昏睡、復帰の為のリハビリをしている間に、外堀をキッチリ埋められて逃げられなくなっていた事を悟り、観念して結婚した。
オリキャラ
〈痣城歌那枝〉
旧姓は綱彌代。
時灘と歌匡の次女で、痣城双也と同期の死神で妻。
周りから腫れ物扱いされても、爪弾きされても目標を見据えて努力し続ける双也をとても気に入り、彼を好敵手と称して良く絡みに行った。
彼が剣八となった後も変わらずちょっかいを掛けに行っては、彼の魅力に気付いた者達への牽制をしていた。
上記の通り、時間をかけて少しずつ確実に外堀を埋めてから求婚、状況を正確に判断した双也はこれを受け入れて晴れて夫婦となった。
〈綱彌代友歌〉
時灘と歌匡の末娘。
兄弟(姉妹)の中でも1、2を争う程歌匡にそっくりな容姿をしている。
その為、時灘は彼女を甘やかすので、良く歌匡に叱られている。
未だに婚約者が決まっていない。
時灘は常に
「嫁入りはさせない、絶対に」
と明言しているので、結婚は愚か、恋愛をする事さえ難しいだろう。