前回、尸魂界にある所有地の視察に行って来ました。
今回、破面として目覚めて1年、バースデー休暇がある事を初めて知りました。
結果、物凄く困りました。
が、みんなのおかげで1日何とかなりました。
事の始まりは夕食の後片付けの最中に起こった。
「…え?明日は料理長お休み?え?」
「そうです。明日はメノ姉様が目覚めた日なので、ゆっくりして欲しいのです」
「明日の献立は既に決まっていますので、楽しみにしていて下さいね」
「俺達で1日厨房をしっかり切り盛りするから安心して休んでくれ」
「え、ちょ、はぁ?待って、いきなり何?前日の夜に言わないでよ」
「…いきなりって、やっぱり忘れていたんですね」
「えー…忘れてたって何?本当にいきなり過ぎて困惑してるんだけど?」
「…メノ姉様、本気で言ってますか?」
「…そもそも、破面として目覚めた日は基本、毎年休むように命じられているが?」
「…え?初耳なんだけど」
「…目覚めた時に説明があった筈だが?」
「えぇ〜?…ネリエルさんからそんな事言われた覚えは無いんだけど?」
…もしかして、記憶喪失の私を気遣って、本当に最低限の説明しかしなかった?
…あの人なら有り得る
「…そう言えば、みんなもこの1年で1回は自主的に休暇申請出してたわね…あれって、そういう事だったの…って事は、私が明日1日休むのは確定事項って訳ね」
「「はい」」
「あぁ」
…1日厨房立ち入り禁止かぁ〜
…しかも私1人だけって
…いきなり過ぎて本当に困るよぉ
翌朝、起きたら既に2人は厨房に向かう用意をしていた。
「あ、メノリさん、おはようございます」
「おはようございます、メノ姉様」
「おはよう、2人共早いわね」
「はい、メノ姉様の分まで頑張ります!」
「そう、じゃあ朝食楽しみにしてるわね」
「「はい!行って来ます!」」
「行ってらっしゃい」
…さて、早速ヒマになったわ
…いつもなら一緒に厨房で朝食作りしてるもの
「…みんな、朝食までどうしようか?」
「ナァ〜…?」
「「シュー…」」
「クォッ!」
「キャンッ!」
「クァ〜?」
「ギャ〜ギャッ!」
「キチキチッ」
…ロウコとマスミ、シオン提案の散歩が妥当かな?
…そう言えば、部屋と厨房、更衣室に大浴場、姫様方がいる立ち入り禁止区域の極一部以外の場所って殆ど行った事なくない?
「よし、散歩に行こうか」
「ナッ!」
「「シュシュ〜…」」
「キャンッ!」
「クォッ!」
「クァッ!」
「ギャッ!」
「キチッ!」
「うん、リリアとリリエはいつも通り首に巻き付いてて良いから、二度寝はナシね」
「「シュッ」」
取り敢えず、散歩に出る事にした。
そして10分後―――
「…ここ、どこ?」
「「シュ〜??」」
「ナァ〜」
「クォ〜ン?」
「ワフゥ〜…」
「ギャゥン?」
「キチィ…?」
迷子になった。
…おかしいなぁ、道なりに歩いていた筈なのに?
…まぁ、前後左右上下どこを見ても白、白、白の真っ白な空間で、感覚がおかしくなっても仕方ないよ…ね?
…念の為に持って来た地図を見ても、今どこにいるのかが全然解らない
…朝食までまだ時間あるから、カノンもマスミも現在地を教えてくれないし
…どうしよう
「…何してるのよ?こんな所で」
「あ、ロリちょうど良いところに。あのさ、ここどこ?」
「は?」
「いや、今日は年に一度の強制休暇でね。暇だから散歩しようと思ったまでは良いんだけど、見ての通り迷子になっちゃって」
「あぁ、そう…で?」
「他に誰かいないか探査回路も使ったんだけど、知ってる霊圧はみんな厨房で私は立ち入り禁止だし、そこまでの道のりも解らないしで困ってたの」
「…はぁぁぁ〜」
「そ、そこまで深い溜息吐かなくても良くない?」
「…地図貸して…今私達はここにいるわ」
「あ、そうなの?こっちって来た事無いから良く解らなくて」
「はぁ〜…で、どうしたいの?部屋に戻るの?このまま散歩?」
「…出来れば、朝食まで散歩したい」
「あっそ…ったくもう、目覚めて1年経つのにこのザマ?…せめて、自室に繋がる道くらいはちゃんと覚えておきなさいよね」
「…ごめんなさい、ありがとう」
その後、ロリの案内のおかげで朝食まで散歩を続けられた。
朝食の為にロリと一緒に食堂に行った。
「…そんな事があったんですか」
「うん、おかげで無事部屋に戻れたわ。本当にありがとう」
「…お礼はもう良いわよ。それよりもこの後どうするのよ?ロカ達はアンタが居ない分、忙しいんでしょ?逆にアンタはヒマを持て余して困ってるようだし」
「う…そうなんだよね…本当にどうしよう…ずっと散歩で1日潰すのもアレだし…」
…マジでどうしよう
…この1年思い返したけど、1日の大半を厨房で過ごした記憶しかない
…厨房に居ない時もあったけど、それは藍染達に呼ばれてとか、姫様とのおやつタイムとかでだったし
…後はこの間の尸魂界の所有地の視察くらい?
「…どうしよう」
「メノ姉様、また悪いクセが出ていますよ」
「そうですよ、ただのお休みなんですから、深く考える必要は無いでしょうに」
「う〜ん…」
「…まぁ、予想通りだな」
「「「え?」」」
「メノリの前世迄の事を考えたら、役目=人生そのもので、それを1年のうちの1日でもやらなくて良いなんて有り得ない事なんじゃ無いか?」
「…あぁ、成程」
「でも、メノ姉様は今日1日、厨房立ち入り禁止は変わらないですよ」
「うぐ…」
「せめて、ロカとビアが一緒なら此処まで悩まずに済んだかもな」
「…そうよ。明日はビアは勿論、ロカも休みの日だもの。2日連続で別行動はキツイわよぉ…」
「…取り敢えず、午前中をどうするかだな」
「…偶には、その子達と遊べば?」
「え?」
「アンタと一緒に居られればそれで良いって子達みたいだけど、その子達と思う存分遊んであげれば、お互いにも有意義な時間になるんじゃないの?」
カノン達を見ると、ご飯後の身繕いもそこそこに、滅茶苦茶期待の籠もった目でこっちを見ている。
…そう言えば、いつも一緒で私の一部でもあるこの子達と遊ぶとか殆どしてないな
…朝と寝る前のブラッシングは欠かした事無いけど
「…うん、ロリの案採用させて貰うわ。午前中はこの子達がのびのび遊べる場所を探してそこで遊びましょう」
パァッと目を輝かせて尻尾を振るカノン達を連れて、みんなから教えて貰ったオススメの遊び場へと向かった。
今度はカノンとマスミが率先して目的地へと移動した。
…よっぽど遊びたかったのね
先ずは来る前に入手した大量の廃材による、みんな大好き〈取って来ーい!〉を四方八方に上空へとドンドン投げて、幾つキャッチ出来たかを競争してウォーミングアップを図る。
全部投げ終えて、イイ感じに身体が温まったところでリリアとリリエが巻き付いていた首から降りて身体を伸ばし始めた。
「おっ、2人がやる気出したよー!縄跳びしたいって!」
「「「「「「!!」」」」」」
縄跳びに反応したみんなは早々に私の前に縦一列に並び、最後尾に私と同じサイズになったロウコが7m程度に伸びたリリエの首を腕に巻き付けた。
私もリリアの首を腕に巻いて、ゆっくりと左回りでリリアとリリエを回し始めた。
「じゃあ行くよ〜!い〜ち、に〜ぃ、さ〜ん………じゅう!おっ、まだイケそうだねみんな?」
「ナ〜オ!」
「キャン!」
「ギャッ!」
「キチッ!」
「…クァッ」
「おっと、アンオウエンは棄権ね、OK!」
その後も大縄跳びを続けていたら、血相を変えたネリエルがやって来た。
…何かあったのかな?
…だとしたら、カノンかマスミが教えてくれる筈だけど
「な、な、な、何をやってるの貴女達!?」
「え、何って…大縄跳びですけど」
「それは見れば解るわ!何でその子達を大縄にしてるのかを聞いているの!」
「え、何でって…縄跳びの時はいつもリリアとリリエが縄役だからですけど?」
「…え?」
「だから、縄跳びの時はこの子達が縄なんです。ここに来る前からずっと」
「…そ、そうなの?その子達が何か粗相をしたとかで折檻をしていたとかでは無いのね?」
「はぁ?そんなの有り得ませんよ。それに、コレは脱皮の手伝いでもあるんです」
「だ、脱皮…?」
「そうです。ほら、良く見て下さい。こことかそことか…皮が捲れて来ているでしょう?この状態で回転したり、地面に当てたりする事で、脱げやすくしてるんです」
「そ、そうだったの…早とちりしてごめんなさい…でもね、初めて見た人は多分、貴女達のこの行動に困惑すると思うの」
思わぬ発言に思わず反論したが、何も知らない人にはそう見える可能性があると指摘されてしまった。
が、取り敢えず、脱皮が終わるまで大縄跳びは続けた。
…折角、楽しく遊んでたのになぁ
…今度やる時の為に、邪魔されない場所無いか探しておいてよカノン、マスミ
…ナッ!
…キャン!
指摘された以上、大縄跳びはそこで終了にした。
因みに、脱皮した皮が地面を猛毒で朽ちさせていくのを初めて見たネリエルが勢い良く飛び退り、皮をどうするのか聞かれたのは言うまでもない。
勿論、脱皮した皮は放置出来ないので、一旦部屋に戻る事にした。
…無毒化する為の処置は流石に部屋でやりたいからね
地面に付かない程度に腕に巻いて誰とも接触しないよう気を付けながら部屋に戻った。
腕に巻いたまま、服を脱いで裸になる。
お腹に貼り付けていた今朝の皮を剥がして無毒化されているのを確認後、鏡を見ながら隙間無く服の下にくるように注意しながら身体に巻き付けていく。
…この長さは流石に手間取るなぁ
…でも、無毒化する方法はこれしか無いんだよね
この猛毒の塊の影響を受けないのは、私と脱皮したリリアとリリエのみ。
たっぷり時間をかけて久しぶりの長大な皮を巻き終えた。
服を着てはみ出していないか最終チェックをしてから食堂に向かった。
「…ボクも参加したかったです、大縄跳び」
「まあ、参加は兎も角、一度は見てみたいな」
「7m程の脱皮ですか…今回の無毒化は時間がかかりそうですね」
「そうねぇ…今夜のお風呂は無理かも。朝シャン出来たら御の字かなぁ?」
「随分とまぁアグレッシブな遊びをするのねアンタ達…で?午後はどうするの?」
絶好の遊び場で意気揚々と遊んでいたのをネリエルに止められた経緯をちょっとむくれながら話した。
思い思いの感想を述べた後、ロリから午後の予定を聞かれた。
「ん〜…実は部屋に戻る時にネリエルさんが図書館があるって教えてくれたんだよね。折角だからちょっと見に行ってみようかと」
「あぁ、彼女も時間があれば良く本を読みに行っているからな」
「姫様の為に集めた世界の絵本とか童話に、短時間で読める短編物を中心に色々あるから、ただ眺めているだけでもあっと言う間に時間が経っちゃうって言ってたわ」
「そうですね…かなりの蔵書数ですから見応えはあると思いますよ」
「面白そうなのがあったら、ボクにも紹介して下さいね」
「はいはい」
と、言う訳で図書館に行ってみた。
「…ほ〜、ほぅほぅ」
…確かに言うだけの事はあるなぁ
入って早々、姫様専用の絵本ルームとひと目で解る装飾がされている空間が目に入った。
あちらに入れる破面は、私達【繭】と極一部の【刃】のメンバーのみ。
ちょっとだけ覗いてみる事にした。
…パッと見だけど、流石に原典は置いて無いな
…あったらヤバイものね、童話とか
基本の日本語版も、時代に合わせた解釈がされたのが順番に並んでいる。
世界各地の絵本は原作者の母国語版や、その他の外国語版のも置いてあるのには驚いた。
…凄い気合い入れて集めたんだなぁ
…コレとか誰が読めるの?ってか何語?
勝手に持ち出しは出来ないのでその場で適当に取った絵本をパラパラ捲ったが、英語でもヨーロッパ圏の言語でもロシア語でもハングル語でも無い、本当に解らない文字が並んでいるのにはちょっと困った。
挿絵でタイトルが分かるのが救いとしか言いようが無い。
…他の棚見に行こう
鳴く訳にはいかない場所だからと、服や髪を引っ張り始めたシオンとアンオウエンの頭を撫でながら案内板を確認してからお目当ての棚へと向かった。
…えっと、ネリエルオススメのはどこかなぁ?
…お、コレとか面白そう
気になった短編集を厳選して借りる事にした。
…一度に何冊も借りて読み切れる訳無いからね
おやつの時間が近いとニエが本の上を歩き回って知らせてきたから、借りた本を持ったまま食堂に戻った。
「…で、借りて来た本がこれですか。ふむ…」
「こ〜らビア、先に読まないの。読み終わったら貸すから、ね?」
「…は〜い」
パラパラパラと速読で読もうとするビアから本を取り戻し、私の為だけに作ってくれたプリン・ア・ラ・モードのバニラアイス添えに舌鼓を打った。
「ん〜!とろけるタイプも良いけど、この硬めのも凄く美味し〜!」
「ほっ…」
「良かったです」
「…手違いでカラメル多めになってしまったんだが…大丈夫か?」
「ん〜?ぜ〜んぜん。アイスとフルーツにかけて味変も出来て美味しいよ」
「そうか…良かった」
どうやら、おやつをバースデープレゼントとして用意していたらしい。
…1番の大好物を作ってくれるなんて
…しかも、テスラは甘いモノが苦手なのに
…嬉しいプレゼントだわ
…それに、誰かに作って貰うって凄い久しぶりだから喜びもひとしおってものよ
「で、この後はどうするのですか?」
「あ〜…実は図書館でシャウロンに会ってね。おやつの後で良いからって、呼ばれたからグリムジョーの宮に行って来るわ」
「「え」」
「…あぁ、だからか」
「何か知ってるの?テスラ」
「ノーコメントで。行けば解るさ」
「むぅ…ま、いいや。そっちの用事が終わったらシャルさんが「夕飯までの時間ちょうだい」って言ってたから、少なくとも夕飯までは用事が出来たよ」
「…それは良かったですね」
「うん。さて、ごちそうさまでした!行ってくるね」
「「「行ってらっしゃい((ませ))」」」
グリムジョーの宮は結構遠かった。
運動不足の身にはちょっと…と思う程度には。
…転移装置が欲しいかも
ゴンゴンゴン…ビビッ
『誰だ?』
「こんにちは。シャウロン居る?メノリだけど」
『あぁ、アンタか。ちょっと待ってな』
…ギィィィ
「あ、やっぱりエドラドだったんだ」
「おぅ、ちょうど良いタイミングで来たな。リビングに案内すっから付いて来いよ」
「は〜い、お邪魔します」
リビングにはおやつ後だからか、みんな居た。
「お、来たな!」
「…いらっしゃい」
「初めての休暇はどうだ?」
「お邪魔します。ん〜、やる事なくて凄く困った。ロリとか…みんなからの助言でどうにか…だね」
「…つまり、持て余していたと」
「うん」
「「よし、俺の勝ちだな」」
「クッソ、負けた!」
「「…はぁ」」
「…下らねぇ」
「え、何?何なの?」
どうやら彼等(エドラド、イールフォルト、ディ・ロイ)は私が今日の休暇を自発的に過ごせるかどうか賭けていたらしい。
…グリムジョーじゃないけど、しょうもな
この後、シャルさんと約束があると伝えたら、雑談もそこそこに、呼んだ目的を教えてくれた。
「…トックブランシュにコックタイが色違いでこんなに…良いの?」
「良いんだよ、オマエへのプレゼントなんだからさ」
「え?」
「姫様の誕生日会の時に、薄紅色のコックタイをしていただろう?姫様が1番好きな色の」
「…人前に出る時用のひとつだけって言っていたから、替えがあった方が良いと思った」
「コックタイとトックブランシュ…だったか?これらは料理長の証だと本にも書いてあったからな」
「言い出しっぺはシャウロンとナキームだが、俺達も選ぶの手伝ったんだぜ」
「…まぁ、そう言う事だ。俺達が持っていてもしょうがねぇからな。使うかどうかはテメェで決めろ」
「…ありがとう!早速明日から使わせて貰うね!」
「「「「「「おぅ(((あぁ)))」」」」」」
彼等のプレゼントをしっかり抱えて、シャルさんとの待ち合わせ場所へと急いだ。
「メノちゃ〜ん!」
「シャルさ〜ん!」
先に到着していたシャルさんとハイタッチで挨拶した。
「あらん?グリムジョーの宮に行ってたのよね?」
「うん、そうだよ?」
「ふ〜ん…意外ねぇ、アノ子達がプレゼントだなんて」
「こらこら、失礼だよシャルさん。ガサツに見えて結構繊細なところもあるよ彼等にだって」
「あらそう。ま、イイわ。何貰ったの?」
「トックブランシュとコックタイが色違いで7つ!」
「大盤振る舞いねぇ…被ってなくて良かった」
「ん?」
「さて、メノちゃんをアタシの部屋へ招待するワ!」
「え?…って、うわわわわっ!シャルさん、速い速い速いって!もちょっとスピード緩めっ…キャァァァァァ!」
距離があるからと、姫抱っこの猛スピードで連れて行かれた先は、バラガンの宮の中、シャルさんの部屋だった。
「ようこそ!私のビューティフル(略)部屋へ!歓迎するワ!…あら?大丈夫?メノちゃん」
「…はぁ…はぁ…はぁ…な、何とか…ね」
減速するどころか、更に加速するシャルさんを止められず、舌を噛まないように縮こまるしかなかった私は、漸くひと息吐けた。
…思わぬ形でシャルさんの自室訪問になったわね
そこには先客が居た。
「お帰りなさ〜い」
「いらっしゃ〜い」
「え?マノさん?今日は午後休で…あれ?何時もと違うタイプの可愛いの着てる…そして、そちらの方は?」
「えへへ〜新作なんですよ〜!シャルに見せたくて遊びに来てたんです!」
「初めまして、コストレイラと申します。お会い出来て光栄です、メノリ様」
「あぁ、成程。こちらこそ初めまして」
…メノリ"様„?
挨拶もそこそこに、ふと此処に居るマノさんとシャルさん、そしてコストレイラさんの体型にも合わない服が大量に作業用テーブルに並んでいる事に気付いた。
…物凄く嫌な予感
予感は的中。
この後、裁縫が特技だと言うコストレイラさんが調整役となり、3人の着せ替え人形と化した私だった。
ご丁寧に、服に合わせた髪型に何度も変えられるわ、普段使いにも出来るのを厳選したと言うシャルさんの化粧道具も、ここぞとばかりに惜しみなく使われ、着替え終わる度に写真も撮られた。
夕飯までの1時間ちょっとですっかり疲れ切った私だった。
…まあ、無毒化した皮でインナーを作ったのには凄く驚いたけど
脱皮した皮を服に加工出来るのは、当時でも一族の中に10人もいなかった。
それを考えると、彼女の技術はかなりのモノだと断言出来る。
…こんなに作っていたとは思いもしなかったけど
思わぬ形でたくさんの服を手に入れた私は、着替えの数着以外何も置いていないクローゼットにしまい込んだ。
…一気に増えたなぁ
…出掛ける予定も無いのに
…まぁ、ビア達の分も作ってるって言ってたし
…貰ったらビアの方から言ってくるだろうし
…見せ合いっことか良いかも、うん
その時を想像して少し楽しみになった。
夕食の時、グリムジョー達から貰ったモノと、シャルさん主体の着せ替えショーの事を話した。
因みに、着替える体力と精神力が無かったので、最後に着せられた緑色のイブニングドレス姿のままで行ったら、みんなに物凄く驚かれた。
…無理してでも着替えれば良かったな
「…後は部屋に戻って大人しく寝るわ。明日の為にも」
「そうですね」
「あ、ビアとロカは明日どうするの?」
「私は、久しぶりに図書館で以前読んでいた本の続きを探そうかと」
「…ボクは午前中はオリジナルの所に来いと命令がありました…何でも、1年分のデータを見たいとかで」
はあ〜…と、心の底から嫌だと解りやすい溜息を吐きながらビアが答えた。
苦笑いしつつ、午後の予定も聞いてみた。
「午後からは未定です。本をどれ程読めるか解りませんので」
「ボクは姫様の所に行って来ます。前回の時に藍染様から了承を得ましたので」
「あら、それは名案ね。…おやつもそちらで食べるのかしら?」
「はい、その予定です」
「ふ〜ん…」
「…メノ姉様?」
「うん、解った。午前中は大変だけど、午後から楽しんでらっしゃい」
「はい!」
部屋に戻る前に行く場所が出来た。
…明日のおやつ、ちょっと予定変更かな
…取り敢えず、藍染に掛け合ってみないとね
…上手く行けばビアとロカは勿論、姫様にとっても良い経験、良い思い出になる筈
…前夜に突然の申し出だから難色を示されるかもだけど
…何とか上手く交渉しないとね
前回よりも更に苦戦しました。
メノリをバースデー休暇だからと厨房から出した途端、本当に動かなくなりました。
「休みだ、やったぁ!やりたい事がたくさんあってどうしよう」
ではなく、
「休みかぁ…特にやりたい事が無いからどうしよう」
って娘なので、どうすれば動くんだろうこの娘?と、数日悩みました。
今回は、見兼ねたロリを始めとする周りの人のおかげで、何とか1日過ごせました。
そして、カノン達のロリへの好感度が爆上がりしました。
自分で書いておいて何ですが、自主的に休める娘になって欲しいです。
次回、ビアとロカ、そして姫様の為にとっておきを用意します。
オリキャラ
コストレイラ
スペイン語で針子の意味
裁縫全般が得意な女破面
2m以上のゴツい身体だが、れっきとした女性
虚夜宮の再建設が始まって直ぐにスカウトされた古株の1体
破面達の死覇装作製班の中心人物
メノリの料理でより裁縫に適した器用な手指を手に入れた
その感謝を伝えたがっていた彼女を仲間に入れて、今回の服を作った経緯がある