何故かメノリに成り代わりました。   作:如月雪見

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前回、志波家にお邪魔させていただきました。
隼颯君と仲良く遊びました。
工房が大変な事になってしまいました。
再訪問の約束をしました。
今から楽しみです。


今回、餃子が食べたくなりました。
勝手にメニュー変更してごめんなさい。
美味しい餃子を作りましょう。
焼き立ての餃子は堪りません。



餃子が食べたくなりました。

 

 

始まりは週2回のおやつタイムで、現世から取り寄せた料理雜誌をサチさんと見ていた時だった。

 

「地元メシ特集かぁ…今回は町中華だって」

「…このお店、うちの店の近所にあった煉火軒に似てません?」

「…あ〜、確かに。…あ、看板メニューが焼餃子なのも同じね」

「ですよね!私、煉火軒の餃子と卵炒飯が大好きだったんですよ〜!」

「私も!あそこって、焼餃子が看板メニューなだけあって、人気もハンパなくて、お客様からの要望で毎週末だけ売ってる冷凍餃子を良く買いに行ってたわ」

「うわ〜、凄く食べたくなって来た!今夜は流石に無理だけど、明日の夕食は絶対に餃子作る!決定!」

パチパチパチ…

 

いつも以上に賑やかな私達に驚いた顔を向けるみんなに構わず、声高々に宣言した。

 

「…ギョウザってなぁに?」

「…解りません。聞いた事も無いですし」

「ビアも知らない料理かぁ。どんなだろうね?」

 

「…取り敢えず、明日の料理教室、ギョウザとやらに変更になった事を参加者達に通達しておかないとな」

「えぇ、ぶっつけ本番でやる気満々ですね、メノリさん…せめて、どんな料理なのか聞いておかないとですね」

「…だな」

 

餃子で頭がいっぱいの私達は、姫様方は首を傾げ、ロカ達が明日の事を相談しているとは全然気付きもしなかった。

 

 

 

 

 

 

そして翌日の朝食後、餃子に欠かせない皮作りを始めた。

――午前中、特に用事の無い参加者達を巻き込んで。

 

「…ねぇメノちゃん、アタシの記憶が間違ってなかったら、今夜はガンちゃん(ガンテンバインの事)のリクエストのメンチカツを作るんじゃなかったっけ?」

「本当にごめんなさい!昨日、奥方様と現世の雑誌見てたら凄く懐かしいもの見付けちゃってつい…」

「…話はテスラから聞いてる。思い入れがある料理なんだろう?しかも、奥方様も期待してるんだろ?なら、仕方ねぇよ。その代わり、しっかり教えてくれよ料理長」

「勿論です!」

 

…ガンテンバインが心の広い大人で良かった!

…これがチルッチとかだったら、間違いなくネチネチ言われてたもの

…でも、楽しみにしてたのに本当にごめんなさい!

 

「では、餃子に絶対欠かせない皮作りを始めます!」

「「「「「はい!」」」」」

 

…失敗する可能性の高い皮作り、緊張するなぁ

…最悪の場合は、現世のスーパーを知ってる人達にお願いして、皮の箱買いに行って貰おう

 

「用意する物は強力粉と薄力粉、お塩に油、そして熱湯。先ずはボウルに油と熱湯以外を入れてお箸でサッと混ぜ合わせてから、熱湯を一気に入れてお箸でボロボロになるまで掻き混ぜる」

 

お湯はねに注意しながら熱湯を入れて、お箸をグルグルと回して粉全体を混ぜていく。

熱湯が行き渡り、ボロボロになったら手で纏めていく。

纏まったらしっかりと捏ねる。

コツは、手の根元に体重をかけて生地をグ〜ッと伸ばしては纏めるを繰り返すと熱湯の余熱が抜けやすくなってやりやすい。

生地の表面がツルッとしてきたら少量の油を入れてサッと馴染ませてからひと纏めにしてラップと濡れ布巾で包んで30分おく。

同じ要領で再び生地を作り、濡れ布巾に包んで30分おく。

2回目以降はみんなも一緒に作ったので、予定量分の生地があっという間に出来た。

最初に作った生地を再び捏ねる。

生地に弾力が出て来たら、ラップに包んで再び30分おいて生地の完成。

 

「…生地だけでもこんなに時間がかかるんだな」

「…実は、しっかり捏ねて纏めて30分おいたら完成なんだけど、今回は本当に久し振りだから…念には念を入れたくてね」

「…成程」

「メノ姉様がここまで慎重になるなんて…」

「「「「「ギョウザのカワ、恐るべし」」」」」

「さて、ここからが本当の難関、伸ばす作業を始めるよ」

「「「「「…は、はい!」」」」」

 

生地を棒状に伸ばして、スケッパーで12等分に切り分ける。

1個ずつ伸ばすので残りは濡れ布巾をかけたパレットに入れておく。

 

「そのまま放置したら、あっという間に乾くから必ず1個ずつ、残りは濡れ布巾をかけたパレットに入れておいて。濡れ布巾が乾いてきたらこの霧吹きをかけて乾燥しないよう気を付けてね」

「「「「「はい!」」」」」

 

生地をサッと丸めてから、打ち粉をした台に手の平で押して少し平たくして伸ばす準備は出来た。

右手に麺棒、左手は生地の端を摘んで反時計回りしながらひたすら伸ばしていく。

 

「…よし、ちょっと歪だけど出来た」

「「「「「おぉ〜!」」」」」

「こんな感じに丸く伸ばす作業を繰り返すの。出来たのはこっちのパレットに入れて。くっつかないように打ち粉と乾かないように濡れ布巾と霧吹きを忘れないでね」

「「「「「は、はい!」」」」」

「因みに、今のやり方は慣れてないとかなり難しいから、オススメのやり方を見せるね」

「「「「「…ほっ」」」」」

 

明らかにみんな安堵した表情をした。

手の平で平たくした生地の上半分を生地が元の形に戻らないように両手に力を入れて伸ばす。

下半分も同じように伸ばしてから生地を90度回してまた上と下を伸ばす。

今度は生地を45度回して上下に伸ばして最後に90度回して上下に伸ばす。

 

「…これで大体丸い皮が出来る筈よ。コツは力を入れてグッと一気に伸ばす事。乾いたら伸ばしにくくなるから、濡れ布巾から出したら一気にやっちゃってね」

「「「「「はい!」」」」」

 

その後は只管みんなで生地を伸ばす作業を繰り返した。

 

 

 

「…何とか、予定枚数を突破出来たわね」

「…あぁ」

「お昼からも頑張った甲斐がありましたね」

「最後のパレット、冷暗所に入れて来ました。次はどうするんですか?」

 

みんながコツを掴むまで結構な数の失敗作が積み上がり、結果、午前の分だけでは足りず、昼食後も皮作りに精を出したおかげで、皮の買出しという奥の手を使わずにすんだ。

 

「次は中に包む餡を作るわよ」

「「「「え…!?」」」」

「今からあんを!?」

「小豆の選別は!?何処にも見当たらないが!?」

「ちょ、違う違う!あんこのあんじゃないから!」

 

…午後から来た人達に説明してなかった!

…今朝から作ってる人達が、皮の作り方を彼等にも教えてくれたから、ついそのまま作業しちゃってたよ、ごめん!

 

午後から参加した人達にも餃子について説明し直してから使う材料を用意。

先ずは基本の豚挽き肉、ニラ、白菜の組み合わせと鶏挽き肉、ニラ、キャベツの組み合わせに、変わり種としてマグロと長ネギの3種類を作る事にした。

 

野菜は全て粗い微塵切りにして白菜、キャベツにはそれぞれ少量の塩を混ぜて全体に馴染ませたのを10分くらい置いて、水分が出たらしっかり絞る。

 

「葉野菜は加熱すると水分が出て来るから塩でこうやって、いらない水気をきっておくの。こうすると挽き肉と馴染みやすくなるし」

「「「「「成程…」」」」」

 

豚挽き肉には塩コショウ、醤油、最近入手した紹興酒、すりおろした生姜と大蒜、砂糖を加えてしっかり粘りが出るまで混ぜる。

鶏挽き肉には塩コショウ、紹興酒、すりおろした生姜と大蒜、砂糖にお味噌を加えて豚挽き肉と同じように混ぜる。

マグロは包丁でしっかりとたたいてからお味噌、料理酒、すりおろした生姜、卵を混ぜる。

しっかり混ざったら、それぞれ野菜を入れて全体が均一になるまでしっかり混ぜ合わせる。

これを冷蔵庫で1時間程冷やせば餡は完成。

 

「冷やしてる間にご飯と、根菜の鶏ガラスープ、それと餃子のタレを用意するよ」

「「「「「はい!」」」」」

 

 

 

ご飯と根菜スープ、タレは昨夜のうちにビアにひと通り教えておいたので、ナキームといつものタレ作りメンバーに用意して貰って、追加で箸休め用の浅漬けを作り終えたので、いよいよ餡を皮で包む作業に入った。

 

「じゃあ、包んでいくね。先ず逆手に皮を1枚乗せてスプーン1杯分の餡を皮の真ん中に乗せてスプーンの背で押して餡を平たくして…この時、皮の淵1cmちょっとには乗せないように気を付けてね。で、この淵にこの水をサッと塗ってから半分に折って、左端或いは右端を親指と人差し指でくっつけて利き手で手前の皮を少し引っ張りながらこうやって、ひだを作りながら皮をくっ付けていったら…よし、包み終わり」

「「「「「おぉ~…」」」」」

「…ひだを作るのが大変そうだな」

「これも回数やってれば覚えるから。さ、包んでいくよ」

「「「「「はい!」」」」」

 

やっぱり、餃子特有の包み方は中々難しいらしく、水のつけ忘れで剥がれたり、ひだの大きさや幅がバラバラだったり、中身が少な過ぎてスカスカだったり、逆に入れ過ぎて餡がはみ出たりと、コツを掴むまで少し手間取った。

 

「最後の1個…っと…出来た!」

「「「「「や、やっと終わった…」」」」」

「…はふぅ〜、餃子は大変なんですね」

「皮から作ってるから尚更ね。大抵は市販のを使うから」

「道理で…でもこれだけあると、壮観ですね」

「だな…そう言えば、失敗した皮はどうするんだ?」

「アレンジレシピがあるから後日使うよ。さてと、第2会場に運ぼうか」

「「「「「はい!」」」」」

 

奥方様から出来立ての焼餃子の美味しさについて力説された藍染が、みんなで食べられるようにと普段使わない会場を解放する事にした為、お菓子用以外のホットプレートに焼肉用の鉄板を全て出して設置、皮の中身が解るよう、それぞれのテーブルにブタ、トリ、マグロのイラストが描いてある旗も置いた。

 

「…よし、じゃあ焼き始めるよ」

「「「「「はいっ!」」」」」

 

油を馴染ませたホットプレートに、餃子をくっつかない程度に少し離して並べて温度を約220℃に設定。

皮の焼ける音が聞こえてきたら更に1分程そのまま焼いて、熱湯(餃子の1/4の高さになるくらいの量)をお湯はねに気をつけながら入れて蓋をして蒸し焼きにする。

水気がなくなりパチパチと音が鳴り始めたところで、蓋を取ってごま油を淵から回しかけて更にしっかり焼き色を付ける。

 

「念の為、フライ返しで確認…良し」

 

お皿に餃子の焼けた面が上にくるようにひっくり返して完成。

 

「奥方様、どうぞお召し上がり下さい」

「ありがとう。いただきます」

 

先ずは何も付けず、餃子の味を楽しむらしい。

 

「ふ〜、ふ〜…パリッ…モグモグ…〜っ!ん〜っ!これこれ!この味!皮の焼き目がパリッとして、中はジュワっと!堪らな〜い!」

 

満面の笑み全開で褒め称えてくる奥方様にホッとしつつ、一緒に焼いた餃子を姫様と藍染達にも渡した。

 

「とても熱いので、火傷に気を付けて下さいね」

「わ〜い!ありがとう!…ふ〜、ふ〜、ふ〜…パリッ…ムグムグ…ゴックン…ホントだ、おいしい!」

「…うん、初めて食べたが確かに美味しいな…だが、餃子とは、大蒜の匂いが強いと聞いていたのだが…?」

「大蒜が苦手な人用にとお肉やマグロの匂い消し程度に抑えたので、そこまで気にならないと思いますよ」

「成程…」

「かあさま、なにかけてるの?」

「ポン酢よ。母さまの生まれた家ではポン酢で食べていたの。これも美味しいわよ」

「ふ〜ん…あ、いつもひややっこにかけてるのだ!あたしもかける!」

「はいはい、旦那様もどうぞ」

「ありがとう…モグモグ…ふむ、肉の脂がさっぱりして良いね」

「ひややっことちが〜う。でも、おいしい!」

「でしょ?…う〜ん、美味しい!」

 

藍染一家の餃子への評価の高さから、ずっと様子を見ていた破面達の期待の目が凄い。

ご飯と根菜スープ、浅漬け係とそれぞれの餃子を焼く係に分かれて急いで焼き始めた。

 

…ホットプレートと鉄板様々だわ

…フライパンだけじゃ絶対間に合わなかった!

…ザエルアポロにあんこを渡しまくった甲斐があったわ〜!

 

姫様の誕生日会で、ホットプレートを肉用とかお菓子用とか関係なく全部出して作る羽目になった経緯から、来年に向けてホットプレートと鉄板を量産して貰って良かった、本当に。

 

初めての餃子に合うタレが良く解らないだろうからと、用意したタレ一覧表を参考に、それぞれの好みの味を探求して貰ったり、私は飲めないけど餃子に合うお酒(ビール、発泡酒、純米酒)も置いてみたら、酒好き等が挙って飲み出した。

 

「っかぁー!うめぇー!こりゃあ堪んねぇなぁ!」

「やべぇ、何杯でもイケちまうぜ」

「餃子の熱さをビールで…これは癖になりそうだ」

「ビールばかり飲むな、餃子を食べろ」

「うぐっ…ディ・ロイ、テメェ!酢入りのは持って来んなっつっただろうが!」

「うわぁっ!ゴメンってグリムジョー!」

「…紅葉おろしはさっぱりしてるけと、ピリ辛で中々美味いぞ」

「お、マジか。くれ」

「ん…あとは胡麻ダレも俺的にいける」

「ほー…あ、マジで美味いなコレ」

 

…ビールが似合うなぁ、あの6人

…シャウロン、オカン化してるよ

…あ〜ぁ、やっちゃったねぇ、ディ・ロイ

…いくらムカついたからって、ここで暴力はマズイわよグリムジョー

…んでもってナイスフォロー、ナキーム

…さて、他の人達はと

 

「ポン酢が1番だろうが!」

「いーや、染めおろしだね!」

「ハリベル様、胡麻ダレに小葱を入れてみましたの。如何でしょう?」

「…モグモグ…ふむ…胡麻の香りと小葱の食感が何とも…うん、美味しいな」

「お口に合って何よりですわ」

「「スンスン!」」

「喧しいですわよ。折角、色々な味を試せるのですから、貴女達も楽しめば宜しいんじゃなくって?」

「「ぐぬぬ…」」

 

…本当に相変わらずだなぁ、あの3人

…あ、バラガン達だ

 

 

大きなテーブルを3つ占拠してシャルさんとガンテンバイン、それに巻き込まれたドルドーニが代わる代わる餃子を焼いている。

 

…御愁傷様、ドルドーニ頑張って

 

「ふむ…紫蘇入りも美味いが、海苔入りも悪くないのぅ」

「閣下のお口に合って何よりですわ〜」

「…何故吾輩が…」

「まぁ良いじゃねぇか、ほら、純米酒」

「…くぅ〜っ、美味い!確かに酒の肴にピッタリの味!たまらん!」

「だな。料理長が推すだけの事はあるぜ」

「全くだ!」

 

…紫蘇に海苔?今回は出してすらいなかった筈

…そう言えば、シャルさんとガンテンバインが何かコソコソしてたような

…あの時かな?見た事ない容器があったし

…まぁ良いか

 

他の人達も色々なタレを試行錯誤しては、好みの味を見付けて楽しんでいる。

 

「餃子、とても美味しいです。ボクとしてはポン酢か胡麻ダレが好きですね」

「私はポン酢に大根おろしを混ぜたのが気に入りました。さっぱりしててとても美味しいです」

「俺は紅葉おろしに豆板醤或いは辣油入りだな…うん、この辛さが堪らないな」

「…そ、それぞれに好きなタレが見付かって良かったわね」

 

テスラのタレは大根おろしの色が完全に消えて、真っ赤っ赤で見るからに辛そうだ。

額や鼻の頭に薄っすら汗かいてるし。

甘党のビアが思わず後退りするくらいには刺激が強いのだと推測出来る。

滅多に食べられない辛味を存分に味わえたテスラは、始終機嫌がとても良かった。

 

 

 

 

 

 

 

…何にせよ、好きな味で思う存分食べられるって日も偶には良いよね

…さて、私も食べようっと

…ん〜、我ながら美味しい!

…やっぱり、オーソドックスな酢醤油が1番だわ

 





前回の話を執筆中、ふと餃子が食べたくなったので、思い浮かぶままに書きました。
実際に食べたのは、野菜をいっぱい入れた市販の水餃子で作ったスープでしたが。

皮から作る餃子は学生時代の調理実習でやりましたが、物凄く大変だったのを覚えています。
全然思い通りにいかなくて、時間内に完成させるのがやっとでした。
なので、皮を作れる人はプロもアマチュアも関係なく尊敬しています。






次回、朽木家へ再訪問します。



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