東仙さん、酢の物ダメだったんですね…
書いた時、連載の予定が全く無かったので、作者の好物とその時食べたかったモノを出しました。
調べてうわぁ、やっちゃった?…ってなったので、そこから朝食の献立が決まりました。
あんこは粒あん、漉しあんで好みが分かれますよね。
作者は基本、漉しあん派です。
口当たりが滑らかで好きです。
書きたい事を無理矢理詰め込んだら、約8000文字になりました。
長文、乱文で申し訳ありません。
もう少しコンパクトに書けるようになりたいです。
やっと戻って来た自室のベッドで軽く仮眠を取ってから、衣装部屋へと向かった。
…この格好のまま料理はちょっとね
…せめて、エプロンくらいはしたいな
…これかな?あったあった
「…ロカの分も持って行こうかな」
…確か、彼女もエプロンしてなかったよね、うん
「色違いで…私はグリーン系、ロカは…オレンジとか良いかも」
好きな色が解らないから、私の勝手なイメージでオレンジとピンクのを手に部屋に戻って、名前を刺繍で付ける事にした。
…ってアレ?私って手芸こんなに得意だっけ?
…料理やお菓子作りはよくやってたのは覚えてるけど
…アレ?アレレ?
コンコン…
「メノリさん、約束の時間なのでお迎えに参りました」
「あ、はーい」
…まぁ良いや、全部出来たし
…細かい事は気にしないでおこう
迎えに来てくれたロカと厨房に向かった。
道中、エプロンを渡したらとても不思議そうにしていたが、どっちも受け取ってくれた。
…うん、エプロン姿のロカもカワイイ
…さて、作りましょうか
…昨日は成り行きとは言え、東仙の苦手な酢の物に該当するだろう、トマトの甘酢漬け出しちゃったからなぁ
…好きな料理は筑前煮か…良し
…鶏モモにコンニャク、シイタケ
…後は…アレ?根菜類とかってドコにあるんだろ?
「ねぇロカ、根菜…人参と牛蒡に蓮根あと里芋ってドコ?」
「食糧庫にある筈です。彼処のドアの向こうが食糧庫になっています」
「あ、そうなんだ…そういえば、食糧庫の事は頭に無かったなぁ」
「必要な食材、言って下されば持って来ますよ」
「ありがとう、お願い」
「はい」
ロカが食材を取りに行っている間に、白米を研いで炊飯器にセットして圧力鍋を取り出す。
…こっちのが楽に出来るんだよね
食糧庫から材料を取って来てくれたロカと、いよいよ料理開始。
鶏モモは一口大に切って、シイタケは傘に十字の飾り切り。
根菜類は全部一口大よりちょっと小さめの乱切りにして牛蒡と蓮根は水にさらす。
コンニャクはスプーンで一口大になるように千切る。
里芋は、塩を手に付けながら皮を剥いて乱切り、更に塩で揉んで水洗いしてヌメリを取る。
手本を見せれば思った通り、ロカはほぼ同じ形状に材料を切ってくれた。
圧力鍋に油を入れて、鶏モモを炒めてから根菜類、コンニャク、シイタケの順で炒める。
お味噌汁用に多目に用意しておいた出汁を、ひたひたになるまで入れて砂糖、みりん、酒、醤油も入れてフタをしっかりして中火にかけて加圧開始。
加圧が終わったら、火を止めてフタの目印が〈開〉になるまで置いておく。
「コレで筑前煮は良し」
「…このお鍋、こうやって使うんですね」
「そうそう、時間がかかる煮込み料理とかで大活躍する魔法の鍋なんだよ」
「成程…勉強になります」
真剣な表情で頷くロカに、次の料理に取り掛かると言えば、さっきよりも心なしか目を輝かせながら傍に寄って来た。
…昨日よりは馴染んでくれたのかな?
…だったら嬉しいな
塩鮭1匹まんまのを三枚おろしにしてから切り身の状態にして、少し塩を入れた水に漬けておく。
ロカは三枚おろしも塩抜きも初めて見たらしく、真剣に観察していた。
鮭の塩抜きをしている間に、他の料理を仕上げて行く。
お味噌汁は油揚げに大根、長ネギで作って、ほうれん草は胡麻和え、キュウリと塩昆布を揉んで浅漬けにして、後は鮭を焼くだけになった。
「…グリルがふたつ使えて良かった」
…流石にこの量はグリルひとつじゃ無理
火加減に気を付けながら鮭の両面をじっくりと焼いていく。
焼いている間にふと思い付いた事をロカに聞いてみた。
「あの、ふと思ったんだけどレシピ本…料理の指南書?とかってココには無いの?」
「…あるにはあるのですが…」
ロカは凄く申し訳なさそうに答えた。
彼女曰く、殆どが文章で構成されていて、その文章も専門用語が多くて解読は難航、調理の過程における絵等の説明どころか完成した料理の写真も少なく、あってもモノクロばかりでちゃんとした料理が出来ているのかイマイチ解らず、上達してるのかさえも解らなかったらしい。
結局、本の解読を諦めて、とにかく食材を全て一口大に切って、焼くか茹でるかしたのに塩か醤油、時々砂糖をかけたのを出していたらしい。
…そのレシピ本、いつの時代のだろう?
…平成どころか昭和のとか?
…流石に大正以前とかは無いよね?
「それは…何と言うか…うん、みんなが使えるレシピ本、何とかしないとだね」
「…申し訳ありません」
「ロカは悪くないよ、不可抗力だもん。それに、これから覚えていけば良いんだからさ。ね?」
「…はい」
…そりゃ、市丸もあんな反応になるか
…ってか、何でもっと解りやすいレシピ本を用意しないの?
…そんなんであの人達、今までお腹壊したりとかしなかったの?
…いや、それ以前に彼等が自分達で作れば良かったのでは?
…考えたくないけど、彼等も料理出来なくて、レシピ本も良いのが探せなくて今に至るとか…?
更に聞いてみると、東仙が作れるらしいが、常に多忙で料理にまで手が回らず、レシピ本は彼直筆のモノで初心者にはハードルが高過ぎる事が判明した。
…それは本当にどうしようもないなぁ
そうこうしている内に鮭が焼き上がった。
出来上がった料理をそれぞれ盛り付けて完成。
献立と使った材料を併せて書いた、お品書きを添えて給仕係の破面達に渡した。
「さて、私達も食べよっか」
「はい、いただきます」
…さぁ、食べ終わったら待ちに待ったあんこ作りだ
朝食を終えた後、どのくらい時間がかかるかを考えた結果、念の為にと先に昼食の用意を整える事にした。
そして、いよいよあんこ作りを始めたのだか…
「厨房のみんなはともかく、何故にシャルさんまで?」
「アラ、メノちゃんってばつれな〜い。昨日お手伝いしたでしょ?あのアズキがどうやってアンコって言う食べ物になるのか気になって〜、見学させてよ〜。ねっ?ねっ?」
「んー…じゃあいっそ、一緒に作ってみる?」
「え?イイの?」
「うん、ちょうど鍋3つ分あるし。私が真ん中で指示出すからその通りに作ってくれれば」
「ありがとう〜wメノちゃん大好きーw」
「…頑張ります」
「じゃ、始めよっか」
小豆の入った鍋にたっぷり水を入れて火にかける。
沸騰したら数分煮てザルにあける。
「お湯捨てちゃってイイの?」
「うん、茹でこぼしとか渋抜きって言って、小豆の雑味を取る大事な作業なんだって」
「ふ〜ん?」
「…茹でこぼしは大事な作業、忘れずに…と」
鍋に小豆を戻して今度は計量した水を入れて再び火にかける。
沸いてきたらやや弱火にして沸騰しないよう灰汁を取りながら、尚且つ小豆がお湯から顔を出さないように水を加えながら、40分くらい煮る。
「…40分も!?随分煮るのねぇ…」
「芯に火が通るまでずっと、灰汁取って水分減ったら増やしてひたすら煮てだからねぇ…根気のいる作業なのは間違いないよ」
「…これが小豆の香りですか?少し甘いような…?」
「そうそう、まだ味付けしてないのに不思議だよね~」
「はい…」
目安の40分を過ぎた辺りで小豆をひと粒取って指で潰す。
…結構長い間放置されてたから、どうだろ?
「…良かった、キレイに潰れた。2人はどう?」
「こんな感じよ、どう?」
「…どうでしょうか?」
「ん、2人ともしっかり煮えてるね。…あ、ロカの小豆、ちょっと水分多いからこっちを茹で小豆にしようかな…よし、じゃあ味付けしようか」
「はーいw」
「はい」
昨日計量しておいた砂糖と塩を先ずはロカの鍋に少しずつ入れて混ぜて茹で小豆の完成。
次にシャルさんの鍋に同じく計量済みの砂糖と塩を入れて小豆をヘラで潰しながら混ぜて水分を飛ばして完成。
「この潰し具合いで食感や味に変化があるから、好みの粒あん探しに色々試すのものもイイかもね」
「へぇ〜」
「成程…」
「じゃあ最後の漉しあんやろっか…あ、テスラ」
「やぁ、何だか嗅いだ事の無い匂いが気になってね」
「…テスラもやってみる?4人だとちょうど良いし」
「…何をやれば良いんだ?」
「茹でた小豆をこのザルで漉すの。お手本見せるから」
裏漉し用のザルの下に深めのお皿を置いて、ヘラとスプーンを用意して準備OK。
ザルの上にヘラで軽く掬った小豆を乗せて、ザルの目にヘラで小豆を押し付けるようにしながら手前に滑らせて漉していく。
ザルの上の小豆がなくなったら、目を通り抜けた小豆をスプーンで下のお皿に落とす。
「コレを繰り返すの。で、漉したのをもう1回こっちのザルで同じく漉すと滑らかな漉しあんが出来るの」
「へぇ〜」
「成程…」
「んじゃ、やってみようか」
「はい」
裏漉し用のザルはふたつだけだったので、ロカとシャルさんに渡して、私とテスラは丸いザルで漉す事にした。
「よっ、ほっ…はっ、と…」
「うん…しょ…よぃ…しょ…」
「…よっ…おっと…ふー…」
…みんな真剣だなぁ
…さて、そろそろ2回目の裏漉しいくかな
1回目の裏漉しが溜まって来たから2回目の裏漉しに移行した。
1回目の裏漉しが終わった3人のうち、ロカに2回目の裏漉しをお願いしてシャルさんとテスラに道具の後片付けを頼んだ。
「裏漉し終わるまでやる事ないからお願い」
「仕方ないわね〜」
「解った」
…なし崩しでテスラを顎で使ってるよねコレ
…まあ、出来た茹で小豆とあんこで勘弁して貰おう
2回目の裏漉しも終わって鍋に戻して弱火にかけて、砂糖と塩を入れて焦がさないようにしっかり混ぜながら水分を飛ばして漉しあんが完成した。
「3人ともお疲れ様。コレで茹で小豆に粒あん、漉しあんが完成したよ。さぁ、試食してみようか」
「待ってたわ〜。どんな味なのか楽しみ〜!ね、ロカちゃん?」
「はい、とても楽しみです」
「…良いのか本当に?」
「私が良いって言ってるから良いの」
「じゃあお言葉に甘えて」
「良し良し」
「ボクもええ?」
…い、いつの間にまた…!?
「…い、いきなり現れないで下さいよ」
「そない驚かんでもえぇちゃいます?傷つくわぁ」
「無茶言わないで下さい…上手く出来たらお持ちしようと思っていたんです」
「あ、ほんまに?嬉しいわぁ」
「食堂で試食するのでそちらで待ってて下さい」
「はいは〜い」
小鉢にそれぞれよそって、試食ついでに違いを比較して貰った。
…さて、みたらし以上に久しぶりのあんこはどうかな?
先ずは茹で小豆…
「…う〜ん…ちょっとアッサリし過ぎたかなぁ…?塩気が思ったより強いかも…コレはコレで悪くないけど」
「そぅねぇ…アタシはもうちょっと甘い方が好きかも〜?」
「…そうか?俺はこのくらいがちょうど良いと思うが?」
「…これがアズキ…不思議な食感です。味は…甘いけど少し塩辛くて…でもミタラシダンゴとも違って…何と言えば良いのか解らないです…申し訳ありません」
「謝らなくてイイよロカ。素直な感想が聞きたいんだから」
「…はい」
「ボクはもっと甘いのがえぇなぁ」
「ふむふむ」
次は粒あん…
「…お、コレは中々…いい感じに出来てるなぁ…」
「ん〜…あ、小豆の粒が…やだもぉ〜、でも美味しいわ」
「…うん、このくらいの甘さならまだ平気かな」
「…甘くて美味しいと思います」
「いやぁ、久し振りに食べたわぁ…欲を言うてえぇんやったら、もうちょい甘いのが好きやなぁ、ボク」
「ほうほう」
最後に漉しあん…
「ん〜、うまぁ〜!滑らかでイイ感じ〜!」
「今まで見た中で、1番イイ笑顔してるわメノちゃん…でも確かに美味しいわね。口当たりも滑らかでアタシもコレが1番好きかも」
「…俺にはちょっと甘過ぎかな…それに…何と言うか…食べてる気がしない。茹で小豆か粒あんの方が好みかな」
「口の中でゆっくり溶けていくような…とても不思議な食感で…粒あんとも違う甘さで…私も好きかも知れません」
「あー…惜しいなぁ、もうちょい甘かったら完璧やのになぁ」
「あらま」
…まぁ、好みも十人十色だしね
…シャルさんは私と好みが近そう?
…テスラはどちらかと言うと辛党っぽい?
…ロカは自分の好みを模索中かな?
…今まで、与えられた役目を全うする事以外に目を向けて来なかったらしいし
…市丸は結構な甘党かな?
…他の人達はどうだろう?
…試食して貰ってアンケートお願いしてみようかな?
「…あ、そろそろ戻らんと東仙隊長にどやされるわ」
「では、予想よりも美味しく出来たので、今日のオヤツはこのあんこを使ったモノを出しますね」
「あ、おおきに。じゃ、お昼も期待しとります〜」
「え?…あ、もうこんな時間だ」
ピピーッピピーッピピーッ!
「…ご飯、炊けたみたいです」
「タイマー機能あって良かったよ〜。準備しといたおかず温め直さなきゃ」
「アタシも手伝うわ。今日のお昼当番、ジオとニルゲだし」
「俺もやろう」
「2人とも助かる〜、ありがとう〜!」
少し慌ただしく試食に使った食器の片付けと、昼食の用意をしているところに、出来れば会いたくなかった狂科学者がやって来た。
「…おや、珍しい組み合わせだねぇ…君かい?料理長に任命された女破面と言うのは」
「うげっ、出たわ」
「こんな時間に珍しいな…」
「メノリさん、あんなの、話す価値はありませんよ」
「え…?」
…声かけられてるのに無視はなくない?
「…はじめまして、メノリ=マリアです。貴方は?」
「ふぅん…一応、礼儀は弁えているようだね、あのヒステリー女とは違って。僕はザエルアポロ=グランツ、しがない研究者さ…ところでこの妙な匂いの発生源はそこの鍋かい?」
…妙な匂いって
…まぁ、嗅ぎ慣れないとそう言われても仕方ないか
「コレは小豆と言う豆を使ったお菓子です。こちらが茹で小豆、こちらは粒あん、そちらのが漉しあんです。興味があるのでしたら試食してみますか?」
「ちよ、ちょっとメノちゃん!?」
「良いのか!?」
「あんなのなんかに、何て勿体無い事を…!」
「まぁまぁ、色々な人の意見も聞きたいからね」
…正直私もこれ以上会話したくないし、試食しないならそのままお帰り願おう
…ってかロカ、何気にザエルアポロに対して当たり強くない?
「…ふぅん?」
小皿にスプーン1杯ずつ乗せて渡した。
彼は様々な角度からジロジロと眺めた後、先ずは茹で小豆を食べた…ら、
「………っ!?」
目をこれでもかと大きく見開いたまま、咀嚼し始めた。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ………ごくり
…咀嚼長いな!?
…たったひとくちでどれだけ時間かけてんの!?
…ってか、目開きっぱなしで乾かないの!?
「…ふぅ〜」
…やっと目を閉じた
かと思いきや、次の粒あんを心なしか震えた手で口に入れた。すると再び…
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ………ごくり
全身を大きく震わせながら、さっきより長く咀嚼し始めた。
…何か怖…凄く嫌な予感がする
「…あ…あぁぁ…あ…あはぁぁん…あ…はぁ…はぁ…」
…何か、変な声出してハァハァ言い始めた
…って、痙攣してない!?大丈夫!?
こちらの困惑と心配をよそに、最後の漉しあんを口にした瞬間、ついに膝を着いた。
…が、上半身を限界まで仰け反らせて、ビクンッビクンッと痙攣しながら両手を頬に添えて悶え始めた。
口元からは涎も垂れてる。
「あ、あんっ…あひっ…あはぁ…あぁ…あふぅ…あっ…」
…う、うわぁ…どうしようコレ…
収集のつかなくなったザエルアポロをどうすれば良いのか解らなくなって、オロオロし始めた私に対してシャルさんが抱きしめ、ロカは背中をゆっくり擦りながら
「落ち着いてメノちゃん!貴女は何も悪くないわ!」
「そうです!貴女が罪悪感を抱く必要なんて微塵もありません!」
と、声をかけてくれるけど言い出しっぺとしては安易に頷けない。
「で、でも、でもぉ…」
「くっ、こうなったら…」
テスラが斬魄刀に手をかけたその瞬間、
「邪魔だ退け、気色悪ぃ変態が」
「あぐぉっ…」
バキィッ…ゴンッ!…ドサッ
ザエルアポロが何も置いていない壁へと吹っ飛んで行った。
「あ…」
「え…」
「な…」
「ふぇ?」
「気持ち悪ぃツラ見せんじゃねぇよ、ったく」
「グ、グリムジョー!?」
「何で此処に?」
「おい、メノリ」
「へ?あ、はい」
「市丸が渡すの忘れてたってよ」
グリムジョーから手渡されたのは数冊の便箋(縦書き)。
表紙には【要望書】と書いてあった。
「これは?」
「近いうちに尸魂界に戻るからそれまでに欲しいモン書いて渡せってよ…ったく、俺をパシリにしやがって」
「ありがとう…あ、そうだ。グリムジョーも食べる?」
「あ?」
「メノリさん!」
「アナタ懲りてないの!?」
「流石にこの状況でその発言は無いだろう…」
「え、だって…」
「…よく解らねぇが、確かに渡したからな」
「あ…行っちゃった」
何かを感じ取ったのか、用の済んだグリムジョーはすぐに立ち去った。
「う…いたたた…あの獣め…相変わらず野蛮な…」
程なく、気絶していたらしいザエルアポロが起きた。
ついでに正気に戻ったらしい。
…グリムジョー、本当にありがとう
…後で絶対お礼に行こう
「ふぅ…失礼したね、少し取り乱してしまったよ」
「少し?」
「あれが?」
「…これ以上無い醜態を晒した癖に何を世迷言を」
「え、えっと」
…やっぱりロカのザエルアポロへの当たり強いわ
…こんな黒い発言する子だっけ?
「こんな甘美な、至上の食べ物がこの世にあっただなんて…ところでこのあんこ、今後も作るのかい?」
「え、あー…まぁ、小豆が手に入ったら?」
「そうかい、なら」
「ちょっとアンタ!メノちゃんに迷惑かけた癖にせびろうっての!?」
「これだから面の皮の厚い輩は…」
「流石にそれは駄目だろう」
「僕は彼女と話をしているんだ、外野は黙っていてくれないかい?勿論、ただとは言わないさ。食材は尸魂界から送られたモノでどうにか出来るだろうけど、道具に関しては僕に任せてくれたまえ」
「え?」
「何せ此処、虚夜宮に存在する道具や設備は勿論、動力源に至る迄、全て僕が設計、開発したのだから…メノリ、君が欲しい調理道具を僕が全て用意しよう。あぁ、故障した時の修理も勿論するさ。…あぁ、それにもし尸魂界でも入手が難しいモノだとしても、現世で調査、解析して必ずその対象を提供しよう。その代わりにあんこ、或いは茹で小豆を作った時、出来る限り最優先で僕に融通してくれないかい?」
「あ、あのザエルアポロが自分から交渉を…!?」
「しかも有り得ないくらい待遇が良過ぎますよ…!」
「…あんこの威力、恐るべし…」
…何か、言いたい放題言われてるよ
「…まあ、そこまで言うなら…」
「メノちゃん!?早まらないで!!」
「止めておいた方が良い!後悔するぞ絶対!」
「そうですよ!了承したら最後、直ぐに反故にされるに決まってます!!」
…ザエルアポロの人望の無さが良く解るなぁ
「僕が約束を反故にしたら、未来永劫、メノリが作るあんことの縁を切ると契約書にしっかり記載しよう。そして、君達と他に誰か…事情を説明して、藍染様と東仙統括官に証人になって頂いた上で、契約を交わすのはどうだい?勿論、契約書も人数分作成してね」
「目がマジだわ」
「気合いの入り方が違い過ぎますね」
「どれだけあんこに執着しているんだ」
「…じゃあ、この後昼食を渡しに行く給仕係と一緒に行って、契約書作って貰った方がイイ?」
「善は急げと言うだろう?勿論さ」
この後、藍染と東仙だけでなく、市丸も巻き込んでの契約書が作成された。
契約が交わされたこの瞬間から開始だとザエルアポロは主張し、しっかりと今回作ったあんこと共に、壊れて放置されていた道具(多数)を持って上機嫌で自宮へ戻って行った。
…あんこから始まる狂科学者との関係なんて、予想出来る訳ないじゃない?
作者によるザエルアポロの奇行はコレが限界でした。
これ以上は書けそうに無いのでこのまま投稿しました。
誰か、文才ある方、代わりに書いて下さい…或いは文才を下さい。
…現実逃避はさておき、次回は本当にどうしましょう。