何故かメノリに成り代わりました。   作:如月雪見

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前回、姫様、97歳の誕生日会を開催しました。
朽木白哉の初めての御子様は女の子でした。
私達はスタッフとして参加しました。
姫様が楽しんで下さったので、満足です。





今回、ナナゴウちゃんの誕生日会に招かれたのがバレてしまいました。
結果、他隊からの招待状が殺到しました。
総隊長権限で、1番隊へと赴く事になりました。
現時点で既に胃が痛いです。



1番隊に招かれました→聞きたい事があるそうです

 

 

姫様の誕生日会から半月が経ったある日、東仙に呼ばれて応接室に向かった。

 

許可を得てから入室したら、私を呼んだ東仙が今にも死にそうな顔をしていた。

 

…どうしたんだろう?

 

「あの、何かあったんですか?」

「…すまない…私達の努力が水泡に帰した挙句、君達に負担をかける事になってしまった」

「え?」

 

実は、ロクゴウちゃんの誕生日会の件で揉めた時に初めて知った事なのだが、全ての始まりであるお土産騒動後、私を特例で瀞霊廷に招いて、感謝状だけでも渡せないかと、署名活動まで行う者達まで出て来たのを憂慮した四十六室が、瀞霊廷は死神達の神聖な職場で、そこに例え恩人だろうと破面を招き入れるのは以ての外だと物申して来た。

 

よって、私が断ったのと、四十六室直々の禁止令を理由に行かなかった結果、ロクゴウちゃんの誕生日会は此処虚夜宮で行う羽目になった。

そして、ナナゴウちゃんの時も姫様の誕生日会が目前だからと断るつもりだったのに、涅マユリが藍染と東仙に直談判しに来て、姫様よりも幼い2人、特に無事1歳を迎えるナナゴウちゃんの為にと情に訴えて来た。

普段とのギャップに物凄く驚いた2人(特に妻子と25年離れ離れだった藍染)はその勢いに呑まれ、私の出す条件を呑むのを大前提にナナゴウちゃんの誕生日会を12番隊で行う手伝いをした。

(何度も尸魂界に行っている私達だけでなく、同伴するシャルさんとコストレイラさんの霊圧等の情報を事前入力、当日警報が鳴らないように細工をした)

 

 

 

無事、誕生日会が終わった後も、この件の関係者全員に箝口令を敷いて、徹底した裏工作を行った。

 

数日前に発行された瀞霊廷通信も例外では無い。

特集として、姫様の誕生日会だけでなく、ナナゴウちゃんの誕生日会の事も載っている。

ナナゴウちゃんの特等席だった私が厳選した写真が希望通り使われていて、記事も全て読んだが最終チェックの時に読んだのと全く同じ内容で、何処にも問題は無かった。

 

「…えっと、どちらも何の問題も無かったと思いますけど。姫様の誕生日会のは藍染様と奥方様が厳選に厳選を重ねて編集している筈ですし。ナナゴウちゃんの方も涅様からの資料提供の中から厳選して慎重に編集しましたし」

「…君が12番隊に招待された事がばれてしまったんだ」

「…は?え?あの写真と記事の内容なら場所の特定は不可能だって、仰られましたよね?」

「…短時間だが4番隊の託児所に預けられた六號が、卯ノ花隊長に自慢したらしい。涅隊長に確認したら、あっさりと認めたとも聞いた」

「…ロ、ロクゴウちゃんが…それはばれても仕方ないですね…」

 

禁止令がある以上、お世話になった者達は死神としてではなく、個人的に(五大貴族や市丸夫妻のように)それぞれの家や懇意にしている店に私達を招いていたのだが、涅マユリはそれを破って12番隊の集会所に私だけでなくシャルさんとコストレイラさんまで招いた事を咎められた。

それに対して彼は

 

「誰が何と言おうがあの娘が2人の母親に違いない。その母親が我が子の生活圏で生誕を祝っただけなのに、赤の他人にゴチャゴチャ言われる筋合いは無いネ゙」

 

と、鼻で笑いながら四十六室に思いっ切り真正面から喧嘩を売った。

流石の四十六室も、屁理屈の極みである涅マユリとの舌戦は分が悪過ぎた。

しかも、彼は四十六室それぞれの弱みをしっかり掌握していた為に、断罪も出来なかった。

 

結局、涅マユリは無罪放免を勝ち取った。

12番隊にお咎めが無かった所為で、禁止令はその意味を失くした。

結果、他の各隊からも私を自分達の隊に是非招待したいとの希望が殺到した。

揉めに揉めた結果、総隊長である山本元柳斎重國がその権限を発動、先ずは隊員達が署名活動をしていた感謝状の贈呈式を1番隊で行い、その後の招待をする隊の順番も決めた。

 

「…い、1番隊でですか…」

「あぁ…日取りも決まっている。10日後の午後に開門するから、そこから入るように指示があった」

「…私とカノン達だけですか?」

「いや、ロカ達も必ず連れて来るようにと念を押されている」

「あ、そうですか…良かったぁ」

 

…流石にカノン達とだけとか言われたらどうしようかと思った

…ロカ達も一緒ならまだ救いはある

 

どの道、行く以外の選択肢は無いので、厨房のみんなに東仙からの通達について話をして、当日の予定の調整をした。

幼いロクゴウちゃんは兎も角、涅マユリの所為で被った迷惑に、ビアが凄く憤るのを宥めるのが大変だった。

 

 

 

 

そして当日、1番隊の応接室にて。

 

「…感謝状貰ったのは良いけど…いつ帰れるのかな…」

「さぁ…?」

「私達に話したい事があると仰っていましたからね…」

「それがどのくらいかかるのか解らないからな」

「だよね…うん…」

「ママもはい!あ〜ん」

「まんま、あ〜」

「はいはい」

 

感謝状の贈呈式には、各隊の代表として隊長と副官が同席していた。

そこに当然のようにロクゴウちゃんとナナゴウちゃんを涅マユリは連れて来ていた。

多分と言うか十中八九、勝手に連れて来たのだろう。

山本元柳斎重國を始めとした一部の隊長達が青筋を立てていた。

贈呈式終了直後、待ってましたと言わんばかりにロクゴウちゃんが抱き着いて離れず、序でとばかりに愚図ってたナナゴウちゃんも抱っこさせられたまま、案内された部屋で現在一緒に待機中である。

 

…座椅子のおかげで足は大丈夫だけど、この子達はいつ回収されるんだろう?

 

催促されるままにお菓子の食べさせ合いをしながらそんな事を考えていた。

 

 

 

待つ事大体十数分、山本元柳斎が右腕の雀部長次郎と涅マユリを連れて来た。

 

「…待たせたのぅ。涅、2人を連れて職務に戻れ」

「ヤレヤレ、手のかかる。よっと…おや?」

「ちょっ、は、離し…」

「やー!」

「あー!」

 

涅マユリが2人を抱き上げようとしたら、2人とも私の服を掴んで離さない。

そして再び愚図り始めた。

ロクゴウちゃんを何とか説得している間に、ナナゴウちゃんも寝てくれたので、また愚図る前に涅マユリに返還、帰って貰った。

 

「…っはぁ〜…」

「お疲れ様です、メノ姉様」

「相変わらず手際良いですよね」

「説得しながら寝かし付けって、器用過ぎるだろ…」

「…前世までの経験値のおかげだよ」

「…んん、話をしても良いだろうか?」

「あ、失礼しました。どうぞ」

「お主らに訊ねたい事がある」

 

そう前置きして、山本元柳斎は先ず藍染達が管理している虚夜宮について、私達破面視点から見てどういう状態なのかを聞いてきた。

私達は姫様のお気に入りで、藍染にとって価値のある存在だから、かなり優遇されている事を話した。

逆に姫様にその存在を知らされておらず、コレと言った価値を見せられない者達はかなりぞんざいに扱われている事も包み隠さず話した。

東仙は虚夜宮に秩序が必要と判断して規則を作り、破った者には1度目は説教か忠告、2度目は警告、3度目になると違反の度合いによって罰の重さが増減し、中には厳罰どころか1度目で即処刑された者も少なくない事を話した。

市丸は現在育休中なので省略、日番谷は2人の補佐と破面達と模擬戦のような事を積極的に行っているとテスラから聞いた。

 

…これで少しでも彼等の待遇が改善されれば良いけど

…日番谷の事は初耳だったわ

 

「ふむ…」

 

少し思案顔をしたと思ったら、今度はとある虚についての情報を求めてきた。

 

「…黒い鳥の姿をした女虚について…ですか?」

「うむ」

 

…私にはこの【世界】に関する記憶を未だに取り戻せていないから、何も答えられないよ

 

私は正直に記憶が戻っていない為、何も答えられないと伝えた。

ビアはザエルアポロから与えられた情報と、自分が経験して得た情報以外持っていない為、黒い鳥の女虚についての情報は太古から存在する虚で、強大な力を持つ取巻きがたくさん居て、性格は気紛れで神出鬼没、この数十年姿を現していないらしいと返答した。

テスラもその虚について知っている事はビアとほぼ同じで、追加情報は子供が好きらしい事くらい。会った事は一度も無く、人間で言うところの都市伝説のようなモノと認識していると答えた。

ロカだけが3回程会った事があると返答した。

 

「まことか?」

「はい。最初に会ったのはもう240年程前でしょうか。あの変た…ザエルアポロに会いに来たと研究所に奇襲して来ました。あの時の彼の顔は…ぷっ」

 

…うわ、思い出し笑いがザマァって言ってるよロカ

 

「…失礼しました。当時は私も研究所の中しか知らなかったので、お2人がどういう関係なのかも解らず、暫しの間話をした後、彼の研究材料を幾つか回収して私達の頭を撫でて、「この子達を虐めたら承知しないからね」と釘を刺してから立ち去りました。2度目は180年くらい前でした。「尸魂界に行って来たお土産」だと、とても信じ難い事を言いながら、果物を幾つか置いて行きました。3度目は70年くらい前でした。何でも、訳ありの母娘の預かり合いを知人としているとかで…「私達に何かあった時はお願いね」と、返答も聞かないで一方的に言いたい事を言って去って行ったのが最後です。それ以降はお会いしていません」

「…ふむ…あの者ならやりかねんし、言いかねんのぅ。実際、何処からか侵入しては度々儂の茶葉や水菓子をくすねて行きおったからのぅ…」

 

山本元柳斎は何処か懐かしそうな、それでいて呆れたような表情を浮かべた。

 

結局、予想通り山本元柳斎の望む返答が出来たのは、ロカだけだった。

 

…この人から物を横取り出来るって、相当の実力者じゃないと不可能じゃない?

…て、あれ?

 

「…訳ありの母娘って」

「藍染の妻と娘の事じゃ。当然、既に話は聞いておる。当時は娘を死なせない事しか頭になくて、バラガンとその黒い鳥の間を行き来させられていたものの、余り記憶に無いとな。辛うじて覚えておるのは、その黒い鳥は自分の叶うかどうかも解らない願いを全て肯定し、元気付けてくれたと。それだけじゃ」

「…そうですか」

「バラガンからも情報は得ておる。虚圏の誕生以前より存在する数少ない同胞。三界分立の儀式の折、餌を取り上げられる事に憤った者共を率いて敵対したと。その時の荒れ狂う彼の者の苛烈な反撃は文字通り骨身に染みたと。あれ以降、彼の者とは不可侵条約を創り、例えどんなに些末な事だろうと情報共有も可能な限り行ってきた。彼の者の機嫌を著しく害さぬ限り、干渉も殆ど無かったとも。しかし、迷い込んで来た藍染の妻子を互いに預かり合っていたが、突然、彼の者の遣いが妻子を連れ戻して来たかと思えば、「緊急事態故暫しの間、身を隠す」と伝言を残して以降、言葉通り姿を見せなくなったと」

「「「「えっ…」」」」

「…その黒い鳥の方は【霊王】様と約束をした方々の1人ですよね…」

「ただ身を隠しているだけなら良いですけど…もしかして」

「め、滅多な事は言わないでビア!」

「そうだな、気紛れ且つ神出鬼没な方という話だし…」

「…混乱を与える気は毛頭無かったのじゃが…すまぬ」

「い、いえそんな事はありません。私なんて、みんなが知っているのに、それすら記憶に無かったんですもの。教えていただいてありがとうございます」

「…なら良いが」

「ご歓談中、失礼します。そろそろお時間です、総隊長」

「む、もうそんな時間か…儂はこれから用があるのでな。これで失礼する…後は頼んだぞ、長次郎」

「はっ」

 

山本元柳斎重國が部屋を出て行くのを見送ってから、雀部さんは此方に向き直り、頭を下げて来た。

 

「改めて私からも感謝を…この度は此方の要望に応えて下さり、誠にありがとうございました」

「此方こそ、皆様の気持ちに区切りが付けたようで何よりです。ところでお話とは何でしょうか?」

「はい、実は個人的な相談なのですが…」

 

彼は紅茶好きが高じて、自ら紅茶用のチャノキを育て始めたのだが、どれも上手くいかずに枯らすか腐らせてしまう。

そこで豊穣を司るシオンに助言を貰いたいと、お願いされた。

 

…そう言えば、設定資料とかに書いてあったなぁ

 

「えっと、先ずはそのチャノキを見せていただけますか?」

「ありがとうございます」

 

 

見せて貰ったチャノキは葉が殆ど育っていなくて、所々変色もしている。

幹も見てみたが、表皮の状態からして、何らかの病気に罹っている可能性が高い。

 

「…シオン」

「グルルルル…ガゥッ!ギャアッ!」

「…リリア、リリエ」

「「シュッ!」」

 

ガブッ…ツツゥー…ポタッポタッ

 

「あ、あの何を…?」

「シオン曰く、このままだと病気で枯れると。なので、リリアとリリエに特効薬を精製して貰い、直接与えています」

「な、何と…」

「ここからはシオンがこのチャノキから聞いた事を話します。良いですか?」

「は、はい!」

 

懐からメモ帳を取り出した。

 

先ずは植えている土が全く合っていない事。

その所為で必要な栄養が足りていない事。

逆にいらない成分が入る為、具合が悪くなる一方である事。

幹の内部に害虫が侵入し始めていた事。

今与えられた薬のおかげでその害虫はどうにかなった事。

しかし、このままだと同じ事の繰り返しになる事。

他にもあるが、先ずは土をどうにかして欲しい事。

 

「ど、どうすれば良いのでしょうか?」

「このチャノキはダージリン…なら産地はインド北東部だった筈…そこの土の入手は可能ですか?」

「は、はい、時間はかかりますが」

「ならこのチャノキの根を成長した後もしっかりと覆い尽くせるだけの土を用意して下さい。他の土が混ざらない工夫も必要です。それから、土を入手するまでの間に今植えられている土の質を改良しましょう。その素材の用意もお願いします」

「は、はい!」

「後は気候ですね…此処とインドでは雨季や気温、湿度等が色々と違いますので、産地のそれに近付ける必要があります」

「な、成程…」

「可能ならば専用のハウスを作って管理する…或いは此処で育てられたチャノキと交配して品種改良の方が時間はかかりますが現実的でしょうか…」

「…品種改良ですか…うーん」

「見せていただければ、シオンが相性の良いチャノキの選別が出来ますよ」

「宜しくお願いします!」

 

日本茶用のチャノキをひと通り見たシオンが、交配候補を3つ選別、効率の良い交配方法も教えた。

 

「色々と進言していただき、誠にありがとうございました。皆様のおかげで、この子を失わずにすみそうです」

「ギャウッ!ギャギャッ!」

「大変なのはこれからだから、気を抜かないように。だそうです」

「はっ、これ以上無い激励、感謝致します」

「では、私達はそろそろお暇しますね」

「はい。大変有意義なお時間をいただき、誠にありがとうございました」

 

雀部さんと一礼し合い、虚夜宮に戻る為に黒腔へと入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…疲れたぁ〜!凄く緊張したぁ〜!

…やっと解放されたよぉ〜!

…山本元柳斎重國と雀部長次郎の2人が揃って目の前にってのは、思った以上に精神的に来たなぁ〜

…虚夜宮に帰ったら暫くは厨房で思う存分、料理とお菓子作りに専念していたいなぁ〜

 





今回は本当に苦戦しました。
1番隊に呼ぶのは良いけど、あの山本元柳斎重國が彼女達を招待して何をするだろうか?と何日も悩みに悩んで、彼は総隊長で瀞霊廷の生き字引だけど、藍染達虚夜宮の責任者からの報告以外で虚圏や破面の事を知る機会はあったのだろうか?と思い付きまして、そこから虚夜宮の現状と、【世界】と【霊王】解放に欠かせない黒い鳥についての情報を欲するかな…と思い立ち、それを書く事にしました。

逆に雀部長次郎は、ある程度書く事が決まっていたので割とすんなり書けました。
チャノキの育成等はそれっぽく書いただけなので、正しいかどうかは解りません…。




次回は、4番隊について書いてみようかと画策中です。
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