何故かメノリに成り代わりました。   作:如月雪見

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前回、バースデー休暇と杏奈ちゃんの百日祝いが被り、お祝いに参加する事になり、その足でロクゴウちゃんからのプレゼントを受け取りに行って夕食も一緒しました。



今回、やっと帰って来たのに…





大惨事の経緯→みんなで夜食

 

 

 

「ねぇ、何があったの?」

 

ほぼ全壊した食堂と半壊した厨房の瓦礫から救い出された怪我人達を纏めて癒し終えて、イールフォルトの案内でナキームの腕の中で硬直していたビアを抱き締めて原因不明の状態異常から回復させた瞬間、大泣きして私に抱き着いた。

要領の得ない言葉の羅列に困惑を深めながらも、ビアが落ち着くのを待った。

 

しかし、ビアには予想以上のストレスがかかっていたらしく、泣き疲れてそのまま眠ってしまった。

 

周囲の片付ける音が響く中、改めて何があったのかをロカと厨房のみんな、それと用事があってここに来ていたチルッチとネリエル達、そしてグリムジョー達に聞いた。

 

「…謀反です」

「…え?」

「半年前に【刃】入りしたサケオ、デロタの2名と、その従属官達による反乱が起きました。【刃】の方々によって先程鎮圧されましたが」

「謀反って…」

 

ロカ達の話を聞いて青褪めた。

 

謀反者達の作戦は夕食開始と同時に始まったらしい。

いつもなら大体中盤くらいに来る彼等が、珍しく1番乗りで食べに来た。

いつも通り食べ終えて去って行ったので、みんなも珍しい事もあるものだくらいにしか思わなかった。

その後、大半の破面が夕食を食べ終え、ロカ達も食べようと席に着いた時に彼等は戻って来た。

何か忘れ物でもしたのかと首を傾げたその瞬間、食堂に虚閃が数発撃ち込まれた。

その攻撃に防御用の結界装置が保たず崩壊、更に撃ち込まれた虚閃で屋根や壁に大穴が開いた。

突然起こった異常事態にみんな大混乱、戦闘要員では無い彼等は精々その場で蹲るか、まだ無事な厨房に逃げ込むしかなかった。

ビアもその1人で、厨房に向かおうとしたところを謀反者に捕らわれ、何らかの固有能力をかけられて自由を奪われ、そのまま担ぎ上げられて何処かへと連れ去られかけたところに用事があって食堂に来たチルッチとネリエル達、そしてグリムジョー達によって救出され、1番仲の良いナキームに預けられた。

抵抗した謀反者達が放った虚弾の連射で食堂はほぼ全壊、厨房も半壊した。

食堂の非常事態に駆け付けた他の【刃】達も加わり、謀反者達は全員捕縛された。

 

「…何でそんな事を?」

「立ち入り禁止区域に入る為だそうです。出入り出来るのは私達【繭】と一部の許可を得ている【刃】だけですから」

「…ビアさえ確保すれば後はどうとでも出来ると思ったのかしら?」

「…愚か極まりないな」

「そうね…藍染様方が不在の間は出入りが更に厳重になるというのに」

「それもそうだが…君のバースデー休暇を決行日にした事そのものがな」

「…くそっ!何で今日に限って【刃】の奴等が来んだよ…何時もなら自宮にいる時間だろうが…!」

「…アンタ等本当にバカね」

「メノリのバースデー休暇だからに決まってるでしょ」

 

【刃】と従属官達が食堂に来たのは、私へのバースデープレゼントを渡す為だった。

流石にそろそろ帰って来るだろうと思って。

逆に謀反者達は、バースデープレゼントなんて端から頭に無かっただろう。

その事を視野に入れていたら、作戦の変更も出来て、成功率も少しはマシだったかも知れない。

もう過ぎた事だけど。

 

…去年だけでなく、今年もくれるなんて

…こんな惨状だけどみんなの気持ちが嬉しいなぁ

 

【刃】達の尋問に耐え切れなかった従属官数名が、藍染達と私、そしてカノン達が確実にいない今日を選んだ理由を吐いた。

 

1つ目、カノンとマスミの分身体の弱点、それは本体が虚圏から離れると消耗が激しくなり、最低限の能力(マスミは料理にかけられるバフ共有のみ、カノンは本体よりも脆弱な防御のみ)しか使えなくなるから。

2つ目、私が居る=カノン達が居る、つまり、それぞれの固有能力への対処が集めたメンバーでは難しいから。(カノンの防御能力、マスミの影からの奇襲、ニエの頑丈な糸、ロウコのカウンター特化の戦闘能力、アンオウエンの祝福や加護を取り消される可能性、リリアとリリエの薬物による妨害、シオンの神罰だって侮れない)

3つ目、留守中の藍染達に非常事態を知らせられたとしても、そう簡単に戻って来られる訳が無いと推測したから。(希望的観測が過ぎる甘い考え)

4つ目、今喚いた通り、夕食終了間近なら厄介な【刃】は自宮に居て、異常に気付いたとしても此処に来るまでの時間内にビアを攫う事が出来ると踏んだ。

 

…うん、浅はかだね

 

仮に連れ去る事が出来ても、立ち入り禁止区域までの間にザエルアポロからの妨害や罠にかかってお終いがオチだ。

 

「…で、藍染様方は?」

「ただいま、みんな」

「「「「「っ!?」」」」」

 

…ビックリしたぁ

…声音はいつも通りだけど、目が笑っていないそれがかえって怖い

 

事の経緯を聞いている間に戻って来たらしい。

この程度の連中ならどうにでも出来るが、姫様に害を成そうとした事への怒りは隠す気も無いらしい。

 

「捕縛ご苦労。カノンの予想通りになったね」

「ナァ〜オ」

「「「「「え?」」」」」

「カノン?謀反者達の企み知ってたの?」

「ナァ〜オ、ナゥナゥナァ〜オ」

「…う、それはそうだけど…」

「ナァ〜ナゥ、ナァ〜ナ」

「…その代償が大き過ぎるわよ」

「…カノンは何て?」

「…藍染様方には言い逃れの出来ない映像という証拠、何度も話し合っている姿を音声付きでお見せしていたそうよ。そして、決行日が今日である以上、私とテスラは尸魂界に行くからこの情報を知らせて心配事を増やしたくなかったって。みんなにも知らせなかったのは、腹芸が出来ない人にまで情報が入る可能性を考えたからだって。何より、藍染様から情報規制を命じられたから…って」

「成程…」

「…食堂と厨房が、謀反者達を捕らえる為に必要な犠牲になったのは仕方ないとしても…ビアに怖い思いをさせたのは絶対に許せない」

「メノリさん…」

「藍染様方の斬魄刀でアッサリ終わりは認めませんよ?」

「…それは皆同じ思いの様だね。ザエルアポロ」

「既に準備は万端です」

「…それは?」

「どんなに私刑に遭っても死なないし、意識を失えないように、ダメージを受ける度にジワジワ回復する装置さ。殴られたりした際の痛覚はしっかり本人の身体に残るよう調整済だから、どんなに痛みを与えられても、気絶出来ない苦しみを思う存分堪能出来るよ」

「うわぁ…」

「さてみんな、藍染様方から此奴等にそれぞれ一発ずつ攻撃する権利を与えられているよ。本当は思う存分やって良いと言いたいが…何せこの数だ。全員が制裁を与えるには時間が掛かり過ぎるからね。タイムリミットは新しく建設してある食堂と厨房の交換が終わる夜明けまで。さぁ、禍根を残さない一撃を与えると良い」

「「「「「よっしゃああああ!!」」」」」

「「「「「くたばりやがれぇぇぇ!!」」」」」

「「「「「よくも厨房を滅茶苦茶にしたなぁぁ!!」」」」」

「「「「「クソがぁぁぁぁ!!」」」」」

 

ドカッ!バキッ!ゲシッ!ゴッ!ガンッ!メキッ!ドゴッ!バチィィィン!ザシュッ!

 

「「「「「ギャァァァァァ!!」」」」」

 

激怒したみんなが制裁を加えている間に、テスラとカノン達にあるお願いをした。

 

「常夜鍋?」

「そう。今は寝てるビアやロカ達は夕食食べられなかったんだもの。食糧庫は無事たがら、しまってある大鍋ひとつで簡単に出来るし」

「解った。材料取って来る」

「クォッ!」

「クァッ!」

「お願いね」

 

食糧庫に向かったテスラとロウコ、アンオウエンを見送り、膝で眠るビアの目元の涙を拭った。

 

…ビア、トラウマにならなきゃ良いけど

 

「料理長、自分達は何をしたら良いでしょうか?」

「え?ヒロさん…みんな」

「我々は片付け担当だから、先に食べて仕事をしていたので…」

「でも」

「彼奴等への制裁は既に最優先でさせて貰いましたから」

「食堂と厨房内の片付けはほぼ済んで、後はザエルアポロに任せるのみです」

「何より、食べ損ねた方々の食事の方が大事ですよ」

「…俺も手伝う」

「…じゃあ、大鍋で作るからそれに合わせたガスコンロを用意して貰って良い?ナキームはポン酢と胡麻ダレに大根おろし…それと辣油も用意して貰おうかな」

「「「はい!」」」

「…任せろ」

 

 

 

常夜鍋は豚肉の薄切りとほうれん草や小松菜と言った青菜を昆布出汁に料理酒を入れて煮立てた汁で煮て火が通ったのをポン酢や胡麻ダレ等お好みのタレに付けて食べる料理で、具材は家にある物で幾らでもアレンジ出来て、毎晩食べても飽きる事が無いと言うのが名前の由来らしい。

我が家はこれにうどんや豆腐、えのき茸と長ネギも入れていた。

受験生の時は夜食としても、大変お世話になりました。

 

「昆布は細かく切って具にしちゃおうか。時短になるし」

「「はい!」」

「材料全て切ったぞ」

「は〜い、じゃ鍋に水と昆布、料理酒を入れて一旦沸かしてから材料を入れてって」

「…ポン酢と胡麻ダレ、大根おろし出来た。辣油も無事に見つけた」

「ありがとう」

 

昆布出汁が煮立ち始めたところでビアがモゾモゾと身動ぎをした。

 

「…こんぶのにおい?…出汁?」

「ビア?起きたの?大丈夫?」

「…はっ!ボクは…あれ?」

「もう大丈夫よ。犯人達はみんなが彼処で制裁中だから」

 

眠っている間にあった事を説明したら、殆ど使わない自分の刀を手に立ち上がった。

 

「…ビア?」

「…ボクも行って来ます!こんな事をした連中を許せません!」

「え、ちょ」

 

ダッ!

 

「…まぁ、あんな目に遭わされたんですから、当然ですね」

「「「うんうん」」」

「…トラウマとか心配だったけど…あの様子なら大丈夫そうね」

 

怒り心頭で突入して来たビアをみんな快く仲間に入れるどころか、制裁していた者達がその手を止めて最優先で好きにやらせてる。

 

「よくも食堂を!」

ゴッ!

「よくも厨房を!」

ガッ!

「よくもみんなを!」

バキッ!

「よくも変な術かけてくれましたね!この変態!!」

ガンッ!

「よくもメノ姉様とテスラさんの為に用意したご飯を!」

ゴンッ!

「よくもテスラさんのキドニーパイを!」

バチンッ!

「そして…よくも…よくもメノ姉様の為のバースデーケーキを台無しにしてくれましたねーーーーー!!」

ドゴォォォオン!!

「「「「「ふぐぁぁぁぁ!!」」」」」

 

ひと通りの制裁が出来たと、満足気な笑顔で額の汗を拭いながら一言。

 

「…ふ〜、スッキリしました!」

パチパチパチパチパチパチ…

 

「…最後、全員にしっかり当たるように虚閃放ったわね」

「…賞賛と拍手の嵐が凄いな」

 

意気揚々と戻って来たビアはとてもスッキリした表情をしていた。

 

「ボクも手伝います!」

 

…うん、本当にもう大丈夫ね

 

 

 

 

 

「…あ〜、美味っ」

「身に染みる〜」

「小松菜とえのき茸美味しいです」

「胡麻ダレ最高〜」

 

夕食を食べ損ねた面々が、とてもリラックスした表情で常夜鍋(うどん入り)を思い思いの所で食べている。

 

「バースデーケーキも美味しいわよ」

「キドニーパイもな」

「…でも、グチャグチャになってしまいました」

 

半壊した厨房の中で横倒しになった冷蔵庫に仕舞われたバースデーケーキと、落下して上下逆さまになった保温器のキドニーパイは流石に原型を留めていなかった。

それでも、それぞれちゃんとケースに入れていた為、食べられない訳では無かった。

それに、完成した状態をカメラに納めていたので、どんなケーキとパイを作ったのかも解った。

 

「これだけ美味しく出来てるんだもの。来年も期待しているわよ。ね?」

「あぁ、俺も頑張らないとな」

 

私達の絶賛に嬉しそうに笑うビアとみんなに祝って貰い、来年の誕生日こそ、平穏無事である事を願った。

 

 

 

 

 

…まあ、その前に明日のビアとロカの誕生日のお祝いをどうしようかな

…何せ、用意していた物全部台無しにされたし

…考えたら何か腹立って来たな

…ケーキ食べ終わったら、私も彼奴等に制裁与えても良いかな?

…少なくとも、カノン達もキレてるし

…うん、しっかり味わってからでもまだ夜明けまで時間あるからやりに行こう

 






前回の続き、食堂ほぼ全壊、厨房半壊の原因について。
確か、アニメでも離反した藍染達に一部の破面達が反乱して、現世で日番谷達に倒された話があったと思ったので。
死神の支配下に置かれている現状に不満しか無い破面が、この【世界】にもいるだろうと考え、スカウトされたり傘下にと望んで来たりして、数が増える度に篩いにかけたり、膿出ししたりするだろうと。

今年のバースデー休暇は、気疲れのオンパレードに仕事場が滅茶苦茶にされて…と、散々なものになってしまいましたが、1日の終わり際に仲間のみんなに祝って貰えたのが1番嬉しかった事でしょう。







次回は、新しくなった厨房でビアとロカのリクエストに応えます。








〈オリキャラ〉

サケオ

スペイン語で略奪の意味
半年前に【刃】入りした男性破面
虚時代に藍染に立ち向かい、圧倒的な力量差により惨敗したがその胆力を買われて虚夜宮に来た
が、全てが全て愛娘の為と、親馬鹿全開の藍染に幻滅し、
「こんな野郎に支配されてたまるか」
と、虎視眈々と謀反の計画を立てていた
ゾマリの能力の下位互換の能力持ち
至近距離で目を合わせた者の自由を奪う
1日に3回しか使えない


デロタ

スペイン語で敗北の意味
サケオと同時期に【刃】入りした女性破面
自分の美貌に絶対の自信を持っている
どんな男をも魅了して来た自負心を粉微塵にした藍染達を心底憎んでいた
藍染への嫌悪を隠さないサケオを利用して、藍染達の鼻を明かしてやろうと画策した
結果は本文通り



従属官達

デロタの魅了に引っ掛かったマヌケ達


全員、制裁を受けた後東仙によって粛清された
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