前回、食堂全壊、厨房半壊の原因が判明しました。
下手人達はしっかり制裁を受けた後、粛清されました。
夕食を食べ損ねた人達の為に常夜鍋を作りました。
形はどうあれ、私の為のバースデーケーキはとても美味しかったです。
今回、新しくなった厨房と食堂の整理をみんなでしました。
本来ならバースデー休暇のビアとロカは、別の日に取る事にしたそうです。
用意していたプレゼントがダメになった代わりに2人のリクエストに応えたいと思います。
翌朝、新しい厨房と食堂にみんなで足を運んだ。
今日からこの厨房で料理をしていく事になる。
「「「「「…うわぁ…」」」」」
「「「「「…凄い…」」」」」
「厨房が料理用とお菓子用に分かれてるんですね」
「専用スペースがあるのと無いのとじゃ大分違うからね…ん?あ!ピザ用の大窯だぁ!本当に造ってくれたんだぁ〜!わ〜い、これでより本格的なピザが焼ける〜!」
「メノ姉様」
「はしゃぐ気持ちは解りますが時間が…」
「っと、やばっ。そろそろ朝食の用意するから、とりあえず今使う調理器具と材料取って来るよ〜!」
「「「「「はい!」」」」」
劇的ビフォーアフターを果たした厨房に多少もたつきながらも、予定していた朝食を完成させた。
…3ヶ月くらい前に、ザエルアポロが厨房や食堂のリフォームについて聞いて来た事があったけど、今思えばあの時から謀反者達への対策を練っていたのね
…みんなの様子からして、慣れるまでちょっと時間がかかるかな?
朝食を食べている間に、ビアとロカの予定を聞いた。
「昨日確認出来なかったけど、今日はどうするの?」
「私は急ですが、バースデー休暇は別の機会にいただく事にしようかと」
「ボクは姫様との約束があるので、午前中は厨房のお手伝いを、午後は予定通り姫様の所に行って来ます」
「ザエルアポロの所には行かなくて良いの?」
「オリジナルも昨日の件で忙しいから、検査は当分無しだそうです」
「そうなの」
「はい!」
ザエルアポロに会わなくてすむから、凄く上機嫌である。
「それとね、2人のバースデープレゼントの事なんだけど…」
昨日の1件で、厨房に置いてあったプレゼントの材料と道具が破損して用意が出来なくなった事、その代わりとして、2人のリクエストを叶えようと思っている事を話した。
「リクエストですか…」
「「う〜ん…」」
2人して眉間にシワを寄せて唸り始めて早3分。
「…困りました…多分、無理だと思うので」
「…あるにはありますが…ちょっと難しいと思います」
「…え?」
とりあえず聞いてみた。
「ビアは私達と一緒に遊ぶで、ロカは現世へ一緒にお出かけ…」
…確かに当面は無理だ
新しい厨房の整理だけでも数日はかかるだろうし、此処での作業に慣れるまでは余程の事が無い限りは外出も控えたい。
それに、現世に行くとなれば藍染達の許可が必須だ。
よって、ビアのリクエストは兎も角、ロカのは先ず不可能である。
「…う〜ん」
…まさか、食べ物ですら無いとは思わなかったなぁ
「…それよりも、午後からの姫様との約束の方が心配です」
「「「「「…あ」」」」」
…そうだった
前回のおやつタイムで、次のおやつタイムがちょうどビアとロカのバースデー休暇と被るからと、今年は銅鑼焼きの生地作りからする約束をしていたのだ。
その道具の中でも欠かせないホットプレート(お菓子用)も破損している。
向こうの台所にホットプレートは無いし、フライパンとガスコンロも数が足りない。
オーブンレンジはあるが、20人弱分を用意するにはやはり難しい。
どう足掻いても銅鑼焼きは無理だ。
「…昨日の件ですっかり忘れてた…」
「…多分、藍染様は此方での騒ぎを一切伝えていないだろうから…姫様はきっと楽しみにしているだろうな」
「…う〜わ」
「なので、ボクからのリクエストは、午後からの姫様とのお菓子作りを成功させる事です」
「そうですね、私も同じです。一先ず今日の姫様とのお菓子作りを無事に済ませましょう」
「…本当にごめんね。落ち着いたら必ずお出かけして遊ぼう」
「はい!」
「約束ですね」
2人と指切りをしてから、銅鑼焼き作りの代替案をみんなで話し合った。
何とか作るお菓子が決まり、その準備組と厨房の整理組とに分かれて作業に取り掛かった。
「…これで全部ね…ふぅ」
「お疲れ様。にしても、流石はシオンだな。植物関連はお手の物だ。おかげで凄く助かったよ」
「ギャッ!」
「これなら姫様も喜ぶと思いますよ」
「安全面に気を付けていただく必要がありますけどね」
「そこはサチ様に連絡してあるから大丈夫よ」
「奥方様が【前世】で経験した事があるというのは朗報だったな」
「そうね…っと、そろそろ昼食だわ。急がないとおやつタイムに遅れちゃう」
昼食を食べてすぐに姫様が居る立ち入り禁止区域へと向かった。
「あ〜!みんなきたー!いらっしゃ〜い!」
「「「「お邪魔します」」」」
「…?そのみどりいろの…つつ?はなぁに?」
「これは竹と言う植物です」
「…ぎんがみ?がまいてあるね!」
「アルミホイルという調理道具のひとつです」
「ながいのとみじかいのがひぃ、ふぅ、みぃ…8ぽんあるけど、なににつかうの?」
「これでバームクーヘンが作れるんですよ」
「…バームクーヘン?…あれ?どらやきは?」
「…実は、銅鑼焼き作りに欠かせないホットプレートが壊れていた事に朝になって気付いて…その代わりにみんなで楽しく作れるバームクーヘンを用意して来ました」
「え〜…どらやきじゃなくても、ビアはへいきなの?」
「はい。ボクはみい様とリリさんとお菓子作りがしたいので、銅鑼焼きじゃなくても全然構いません」
「…ビアがいいならわたしもいいよ」
「アタシも〜!」
「では、早速作りましょうか」
「「「はい((うん))!」」」
…ビアの誕生日だからと、御自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先して考えられるようになったのですね
姫様の精神的な成長を垣間見て、藍染が感涙してるのは見ないようにしつつ、先ずは火を起こす事から始めた。
BBQ用のコンロに薪と炭を焚べて着火剤で火を付ける。
炎と煙が落ち着いて来るまでの間に、バームクーヘンの生地作りをしておく。
材料は卵に砂糖、蜂蜜の代わりにメロップ、牛乳、バニラエッセンス、溶かしバターそしてホットケーキミックス。
「先ずは卵を解きほぐして砂糖、メロップ、牛乳をしっかり混ぜます」
「よいしょ、よいしょ」
「混ざりましたら、ホットケーキミックスを2回に分けてダマが出来ないように混ぜます」
「…ねぇビア、ダマって何?」
「上手く混ざらない粉の塊の事です。ほら、此処と其処にボコッとなってるの、解りますか?これがダマです」
「え、コレ?ど、どうすれば良いのさ?」
「こうやって、塊をつついたりして固まっちゃった粉をバラバラにして混ぜると…はい、混ざりましたよ」
「な、なるほど…」
「さすがビアだね!」
…ビアもすっかり教える側ね
「では最後に溶かしバターを全体に馴染ませるように混ぜて…はい、生地の完成です」
「メノリ、煙が無くなって来たが…熾火とやらはこれで大丈夫なのか?」
「あ、良い感じね。生地も出来たし、焼いていきましょうか」
「「「おー!」」」
破裂しないようにそこかしこに穴を開けて、アルミホイルを巻いた竹を、BBQ用コンロの両ふちに乗せて温める。
「こうして温めた方が早く生地が焼けますので…では生地をアルミホイルの部分に塗り付けて…はい、竹を回して」
「「はい(あぁ)」」
火傷防止の軍手をしたロカとテスラに、火から遠ざからないように気を付けて貰いながら、均等に焼けるように只管クルクルと回している竹のアルミホイル部分に生地を塗って行く。
「…うわぁ〜!」
「ドンドン太くなって来たね!」
「は〜…バームクーヘンってこうやって作るのか」
「もう30分は経ったんじゃねぇか?」
「すげぇ時間かかるんだな」
「…ジュルルルル」
「…おいウルキオラ、一旦涎拭け」
「…まだか?まだなのか?」
「落ち着け、ウルキオラ」
「…で、このボウルの生地がなくなったら完成です」
「「ふぅ〜…」」
途中で、スタークと東仙に交代して貰って焼き上げた。
「焼いていくうちにドンドン重くなってくるので、辛くなって来たら、我慢しないで交代しながら作って下さいね。汗もたくさん搔くと思われますので、水分補給を忘れないで下さい。後、このコンロから離し過ぎると生地に火が通りにくくなって上手く焼けなくなるので、高さに注意しながら焼いて下さい。では、他のコンロでも焼いていきましょう」
「「「「おー!」」」」
「よっしゃあ!」
「ハリベル様は生地を塗る作業をお願いします。私達で竹を回しますので」
「いや、私も焼くぞ?」
「御言葉ですが…ハリベル様は余り火が得意ではありませんでしょう?」
「うっ…」
「そうですよ!」
「何かあったらそれこそ事ですから!」
「…解った…頼む」
「「「はい!(お任せを)」」」
藍染と火に弱いリリアとリリエ、そしてニエ(現在手の平サイズ)を除いたメンバーでチーム分けして、火傷に気を付けながら焼き始めた。
「あ、あれ…う、上手く塗れない…メ、メノリ〜」
「はい。先ずはこうやって、上の方に線を引くように乗せて、生地が自然に垂れて来ましたら、竹を少し回してお玉の背の方で広げます…少し足りないので継ぎ足して広げて…はい、最初のひと巻きが出来ました。この上にドンドン乗せて広げてを繰り返して下さいね」
「「お〜!」」
「流石メノリさんね。だいぶ昔の事だから、感覚を取り戻すのは中々難しいわ」
「サチ様なら直ぐに取り戻せますよ」
「ちょ、ウルキオラもっと下げろ!火から遠いって!」
「…熱い」
「って、軍手し直せ!何で外した!?」
「…蒸れて痒くなる」
「あーもう!」
「取り敢えず、ウルキオラは軍手をし直してくれ。日番谷様は引き続き生地をお願いします。ヤミーは交代しなくても大丈夫か?」
「このくらい屁でもねぇよ…っと、おいプーロ危ねえから藍染様んとこにいろ。リリアとリリエやニエもそっちにいるしな」
「クゥ〜ン…アン!」
「良〜し、イイ子だ」
…いや、マジであの2人は癒し枠だわ〜
「ちょ、アパッチ!何でお前も右に回すんだよ!これじゃいつまで経っても回せないだろうが!」
「あぁ!?そっちが合わせろよミラ=ローズ!」
「…ハリベル様に黒焦げをお渡ししたいなら、いつまでもやっていなさいな…ハリベル様、こちらの1人用の短い竹で焼きますので生地の方をお願いします」
「あ、あぁ」
「「てめ、スンスン!」」
「…御二方?」
「「うっ…悪かったよ」」
…あの2人、すっかりロカに頭が上がらなくなってるわ
それぞれかなり盛り上がりながら、バームクーヘンを焼き上げた。
「…何か、厚さも長さもバラバラだね」
「これが手作りの面白さなんですよ。それぞれの個性が出て楽しいですし」
「うわぁ〜、とうさまのがいちばんコゲコゲだぁ〜」
「う、う〜ん…」
…頑張ったんだけどね
1人用の短い竹をスンスンが使って焼いた事でスペースが余ったからと、本当にダメ元で藍染に焼かせてみた。
ら、結果はご覧の通り。
姫様の言う通り1番黒焦げで、何か紫色の煙が出ている。
…塗り付けた生地の量も、火との距離も悪くなかった筈なのに何故?
「…前にも言っただろう?どんなに頑張っても父様は料理やお菓子作りだけは本当に出来ないって」
「む〜」
「さて、粗熱も取れて来たので切りますよ〜」
「「「わ〜い!」」」
ナイフを熾火の残り火で温めてから斜めに食べやすい薄さになるように削ぎ切りにしていく。
「先ずは味見を…うん、甘さ控えめだから、これならテスラも食べられると思う…はい、ビア、ロカどうぞ」
「「え…」」
「姫様から。今日は2人の誕生日なんだから、出来たお菓子の1番は2人に…ですって」
「「みい様(姫様)…ありがとうございます。いただきます」」
モグモグ…
「とても美味しいです!」
「削ぎ切りは初めて食べました…ふわっとしてて、とても美味しいです」
「2人の感想もいただいたところで、皆様も削ぎ切りをご賞味下さい」
「「「「「いただきます(!!)」」」」」
モグモグ、ムシャムシャ、ムグムグ…
「「「「美味っ!」」」」
「ロカの言う通りね。フワッとしてて美味しいわ」
「…うん、これくらいなら俺も食べられるな」
「欲を言えば、何か飲み物が欲しいな」
「…確かに、口の中が…」
「紅茶とカフェ・オ・レの用意が出来ましたよ。紅茶はミルクティーにも出来ますよ」
「ボクはカフェ・オ・レが欲しいです!」
「「わたし(アタシ)も!」」
「私はストレートティーを」
「ミルク多めで紅茶を頼む」
「「「私も同じので(を)」」」
「カフェ・オ・レ、ミルク多めで」
「畏まりました」
「「手伝おう」」
「ありがとうございます。東仙統括官はストレートをお願いします。テスラはミルクティーの方をお願い」
「「あぁ(解った)」」
「プーロ用にミルク貰っても良いか?」
「どうぞ」
トッピングとして、ホイップクリームと茹で小豆をお好みで添えて貰ったら案の定、ウルキオラがホイップクリーム大量乗せをしようとして、ヤミーとスタークだけでなく、東仙にまで止められていた。
そして私は好奇心に負けてコッソリと、藍染が焼いたバームクーヘンを食べてみたら、黒焦げ特有の苦味がかなり強めだが、食べられない事は無い味だった。
…あれ?どんな料理でも良くて集中治療室送り、最悪即行であの世逝きじゃなかったっけ?
凄く心配そうなカノン達に、苦味が強いけど具合が悪いとかは無いよアピールして安心させた。
片付け中にその事を伝えたら、みんな物凄く驚くと同時に
「何て危険な真似を!」
「命知らずにも程があるぞ!」
「ってか、死にてぇのか!?」
「アンタが死んだら虚夜宮だけじゃない、尸魂界も荒れに荒れるんだぞ!?」
「もっと自分を大切にしろ!!」
「…君の評価を少し考え直す必要があるかな?」
と、(藍染本人も含めて)物凄い勢いで怒られた。
…確かにちょっと軽率だったかも知れないけど、結果オーライには
…ならないか、うん
無事、姫様とのおやつタイムを終わらせて戻って来た。
余程心配したのか、藍染に作らせたバームクーヘンを私が試食した事を厨房にいたみんなにビアが喋ってしまった。
ここでもみんなに怒られたり、物凄く心配されたりした。
…本当に何ともないんだよなぁ
…リリアとリリエにも調べて貰って、問題なしって診断も出てるし
…それはそうと
「…ねぇ、アンオウエン。姫様の手前、明日から3日おやつ抜きの予定だったけど、それ取り消す代わりにちょっと頼まれてくれる?」
「クァ?」
本当に何ともないまま夕食を作り、いつも通り食べて、食後のお茶を啜りながら、ロカとビアに入浴前に付き合って欲しい事があると頼んだ。
「それは構いませんけど…」
「…何をするのですか?」
「それは行ってのお楽しみ」
「「?」」
2人を連れて宮の外に出た。
「…外で何をするのですか?」
「カノン達が最小サイズですけど…」
「アンオウエン、お願いね」
「クァッ!」
アンオウエンに、私達3人が余裕で乗れるサイズになって貰った。
「「え?」」
「はい、2人とも乗って乗って!」
「「え?あの?」」
困惑する2人をアンオウエンの背に乗せて私達も乗り、アンオウエンに飛ぶように指示を出した。
「「え?え?えぇ!?」」
「ふぁ〜…こんな高さから虚夜宮を見た事は無かったので、何か不思議な感じです」
「…確かに…アンオウエンが仄かに光っているから、地上が何時もと違う景色に見えるので…素敵ですね」
「でも、突然どうしたんですか?」
「昨夜、杏奈ちゃんの試練の事を話した時、2人ともアンオウエンに乗ってみたいって言ってたでしょ?」
「え?えぇまぁ…」
「こんな直ぐとは思っていなかったので…吃驚しています」
「だって、不可抗力とは言え今日は2人のバースデー休暇なのに、何も出来なかったから…せめてこれくらいはって思って…」
と、話したところでギュウ〜〜〜〜!と2人して抱き着いて来た。
「え?ちょ、2人とも?」
「…その気持ちだけで嬉しいです!」
「「ありがとうございます」」
その後、予想以上に広い虚夜宮を巡るのはかなり時間がかかり、結果、大浴場の入浴時間に間に合わず、部屋のお風呂でのんびり過ごす事になった。
…大浴場には行けなかったけど、偶には良いよね?
…2人とも嬉しそうだし
…2人のリクエスト、1日でも早く実現させたいなぁ
1番のリクエストは叶えられませんでした…。
因みに、メノリが用意していたのは、ビアにはひと口大のデコレーションおはぎ7種類、ロカにはチョコメインのプチフールでした。
小豆はザエルアポロの緊急避難により無事でしたが、それ以外が間に合わず、入れていた戸棚ごと瓦礫の下敷きになってしまいました。
2人のリクエストを考えていたら、基本的にはいつも一緒だけど、仕事(尸魂界へ行くのも含めて)以外で何かした事あっただろうか?と思い返したら、ほぼ無いんですよね。
メノリ自身、仕事から離れたのって去年のバースデー休暇以降無い筈ですし。
なので、2人のリクエストは厨房から離れて過ごしたいとなってもおかしくないな…と。
でも、昨日の今日でそれは叶わない。
結局、今日すべき事を共に全うする事がリクエスト代替案になってしまいました。
全てが落ち着いたら、2人のリクエストを叶えに行きたいです。
何気に藍染、劇物しか作れなかったのが、見た目は悪い(酷い)けど食べられない事は無いレベルの料理やお菓子が作れるようになりました。
メノリの料理によるバフ効果(健康になり、理想の自分に近付く)、恐るべし…!
次回は、2番隊の話を書こうか、聖誕祭の話を書こうか考え中です。