前回、砕蜂は大前田希千代と結婚したい。
大前田希千代はどうにか阻止したい。
2人の攻防戦はどうなるでしょうか?
後、連れて行って貰った猫カフェの特別会員証(永久フリーパス)を貰いました。
今回、ロカのリクエストに応えます。
謀反騒動から1ヶ月半が経った。
ビアは諸事情でザエルアポロのラボへ、ロカはハリベル達に呼ばれて不在である。
その間に、ビアとロカのバースデープレゼントが駄目になった代わりに聞いたリクエスト、ビアの〈一緒に遊ぶ〉そしてロカの〈現世へ出掛ける〉を叶える為にスケジュール調整と藍染からの許可を貰って来た。
しかし、ビアは兎も角として、ロカのリクエストは難易度が高い。
何せ、私は一度も現世に行った事が無い。
故に土地勘も無い。
そして私は、初見の場所ではほぼ確実に迷子になる。
逸れて迷子は何としても避けたい。
カノン達は外に出せないから【影】の中に居て貰うとは言え、行った事の無い場所での道案内は、流石に難しいだろう。
ロカは何度か行った事があるらしいが、行く場所はいつも同じ町の同じお店、それでいて最後に行ったのは数年前で、今もそのお店があるとは限らない。
起こり得る不安要素を考えた結果、現世に下見に行こうかテスラに相談してみた。
「…と、言う訳なんだけど…どうしよう」
「どうしようも何も…メノリは現世には行った事が無いんだから、下手に行って迷子になるよりも、全部ロカに任せて色々と教えて貰ったら良いんじゃないか?」
「う〜ん…それはちょっと…ロカに負担かけちゃいそうだし」
「あらん?どしたの2人共?特にメノちゃん、深刻な顔してるけど」
「あ、シャルさん…実は…」
私の悩みを聞いたシャルさんは、苦笑しながら私の頭を撫でた。
「ほーんと、メノちゃんは真面目なんだから。メノちゃんが完璧なエスコートをする必要は無いのよ?」
「え?」
「ロカちゃんのリクエストは〈メノちゃんと現世に行きたい〉なんでしょ?現世の何処でこういう事がしたいって具体的に言われてないじゃない?」
「それは…そうだけど…」
「だったらテスラの言う通り、リクエストして来たロカちゃんにエスコートして貰えばイイじゃない。ロカちゃんの現世でお気に入りのお店とかに。ね?」
「でももう5~6年は行ってない場所だって言ってたし…」
「確かにお店がなくなってたら残念でしょうけど…それはそれ。前はこうだった〜とか、ロカちゃんの現世でのメモリアルエピソードが色々聞けるかもよぉ〜?」
「う〜ん…」
「クールホーンもこう言ってるんだし…ロカだって、メノリが現世に行った事が無いのは知ってるだろう。なのにリクエストした…って事は、ロカ自身がメノリに現世を案内したいって事じゃないのか?」
「…そうかな?」
「あぁ、下手な俄仕込みの情報を詰め込んで行くよりも、「藍染様から現世への外出許可が出たけど、現世は良く解らないから案内をお願いしたい」で良いんじゃないか?」
「そうよぉ〜」
「…そっか…なら、現世についてはロカにお任せする事にするわ」
「決意が固まったようで何よりね」
「あぁ…でもって、そろそろ昼食の用意をしないと間に合わなくなるぞ。何せ、今日でビアは漸くザエルアポロの所へ行かなくて済むようになるんだからな」
「あ…そうだった。戻ったらカボチャ善哉食べたいって言ってたから急がなきゃ」
バタバタバタ…
「「やれやれ…」」
実はこの1ヶ月程、ビアは定期的にザエルアポロの所に行っていた。
それは謀反が起きた時に防御面に問題がある事が判明した為、その対策として肉体改造を段階的に施す事になったからだ。
そして、今日がその最後の経過観察の日で、予定ではそろそろ戻って来る筈である。
最終調整を終えて戻って来たビアは、案の定、不機嫌MAX状態だった。
「…耐久力テストにかこつけてセクハラと拷問をされました」
「「「「「え、また?」」」」」
「はい!裸のまま次から次へと先日とは違う変な色の液体の中に何度も放り込まれました!しかも頭から!その所為で髪がバリバリ肌ガサガサになったかと思えば、今度は立っているのがやっとのヌルヌルに放り込まれて逆さ吊りで引っ張り出されるわで、気持ち悪いったら無かったですよ!!しかも汚れを落とすのにシャワーじゃなくて巨大洗濯機に入れられましたし!」
「「「「「う、うわぁ…」」」」」
「…ビアの耐性がどれだけ上がったかの結果にしか興味が無いが故…でしょうね」
「しかも、せめて水着くらい着させてって言っても聞いてくれないし!洗濯機には他の汚れ物と一緒に放り込まれましたし最後の最後までもう最悪です!…あ、でも幻影とはいえ、オリジナルの顔を思う存分叩きのめせたのは爽快でした!」
「「「「「お、おぅ…」」」」」
「良かったじゃないビア。少しはストレス解消出来て」
「でも…それもたった3分くらいで終わりましたけどね」
もっとやりたかったのに、他のテストよりも時間が圧倒的に短かったのが気に入らないらしい。
…まぁ、ザエルアポロも嬉々として幻影の自分を叩きのめすビアに良い気はしなかったでしょうね
ビアが落ち着いたところで、ロカにハリベル達と何をしたのかを聞いた。
「ロカの方はどうだったの?」
「来月バースデー休暇があるシィアンさんの為に好物の卵を使う料理を教えて欲しいと…なので、トースターでも出来るココットの作り方を教えて来ました」
「あら」
「…問題は、当日にエミルーさんとフランチェスカさんが口論せずに協力して作れるかどうかに掛かっていますけど」
「流石に大丈夫でしょ。多分…うん」
そして3日後、いよいよロカと現世に行く日が来た。
「…良いなぁ、ボクも行きたいです」
「貴女は明後日メノリさんと1日遊ぶでしょう?今回は私の番です」
「…むぅ」
「お土産買って来るから、ね?」
「…はい、行ってらっしゃいませ」
「「「「「行ってらっしゃいませ!」」」」」
「「「楽しんで来て下さい!」」」
「「行って来ます」」
黒腔から出て降り立った場所は、当然知らない土地で、何処かの裏路地っぽかった。
「メノリさん、装置の装着を」
「あ、うん」
飲食可能になり、人間だと認識して貰う為の装置を手首に嵌めた。
私達破面は現世に行く度、藍染達死神の支配下にある証であるこの装置もしくは義骸に入らなければならない。
でないと問答無用で討伐対象にされてしまうからだ。
…何故か解らないけど、私は義骸にどうしても入りたくないのよね
最上級大虚は絶対に義骸に入らないとならないが、幸いにも私達は中級大虚、装置をしっかり装着すれば問題無い。
「では、行きましょうか」
「うん、宜しくね」
「お任せ下さい」
ロカと手を繋いで裏路地を出た。
少し歩いた所に案内板があった。
どうやら此処は空座町では無いらしい。
知らない町の名前が書いてある。
「…良かった。あのお店はまだあるみたいですね」
「どのお店なの?ってか現在地は…?」
「そのお店はまだ開いていない筈なので、先ずは此処から1番近いこのお店に行きましょうか」
「…ランジェリーショップ[紫陽花]?」
「コストレイラさんの作る下着がどれも素晴らしいのは知っていますけど…シャルロッテさんが現世の流行を取り入れたのも着てみたいって言い出したのが始まりで…私達も何年かに一度、こうやって現地調査がてら気に入ったのがあれば購入しているんです」
そう言いながら目的地に到着、早速新作を手に物色を始めた。
「…あ、これとこれ可愛い…サイズは…あ、メノリさんも探して見て下さい。このお店の品揃えはかなりの物ですよ」
「え、あ~…そう…ね」
考えてみれば、覚醒してから今日までずっとコストレイラさん達がデザインした物を身に付けている。
今だって彼女からのプレゼントのワンピースにダウンコートを着ているし。
…下着って、サイズが大きくなると可愛いのが少なくなるのよね
…コストレイラさんに作って貰う方が確実なんだけど
「あ、コレ可愛い…え?AAA~Iカップまで揃ってる!?嘘!?」
「凄いですよね」
「凄いなんてものじゃないわよ。こういうのって、精々Dカップまでの物が多いのに…」
「特別注文しているらしいですよ。その分、ちょっと高いですけど」
「…試着は…」
「あちらですよ」
幾つか試着して、特に気に入ったのを2つ購入した。
…貯まりに貯まっていたお給料で初めて買った下着(上下セット)、大切に使おうっと
と言うか、破面にお給料が出ていた事を今回の外出で初めて知った。
何せ虚夜宮では勿論、尸魂界へ招待された時も金銭について何も聞かされていなかったのだから当然だろう。
…てっきり、現世に行く役目を与えられた者が、その都度必要に応じて渡されている物だと思ってたし
確認したら、料理長と【繭】のメンバーという地位は伊達じゃない額が貯まっていた。
カノン達にも個別にお給料は出ていて、それらの管理者は勿論私である。
…虚夜宮で殆どの事が完結する私達に何故?
と思い、聞けば現世に居る平子達との連絡役や、現世に居座る野良虚の調査等をしている内に、現世の物を欲しがる者が現れた為、与えられた役目をしっかり果たした者達に、人間に認識される為の装置(自動変装機能付き)の貸し出しとお給料を出すようにしたら、一部の下級大虚等を除いた面々が、個人差はあれど自分なりに出来る事を探したりと努力をするようになったので、それ以降、最低賃金を毎年設定して、重要な役目を与えられた者達はドンドン上乗せされる形式でお給料が出るようになったとか。
※バラガンへの慰謝料は別途用意されている。
…虚は死んだ人間達の魂の融合体
…そりゃ、物欲とかの欲求だって湧くわよね
…そのおかげでこうやって、個人的に欲しい物が買えるのはありがたいわ
ビアに似合いそう或いは好きそうな柄のインナーも、数枚追加で購入した。
ロカと2人、ホクホク顔で次の目的地へと移動を開始した。
到着したのはそこそこ広い公園だった。
「…あれ?何か見覚えがあるような…?」
「気付きましたか?実は姫様の誕生日会の時に用意された公園エリアのモデルになったんですよ此処」
「え?…あぁ、確かに!色が違うけどあの滑り台とか砂場の形が同じだわ!ベンチのデザインと位置も同じだし!」
「姫様が楽しめる公園造りの計画が数年前に上がりまして、私が提出した此処の公園が採用されたんです。どうやらこの数年でペンキの塗り替えをしたみたいですけど…」
「成程…此処にあの公園エリアの写真があれば、間違い探しが出来そうね」
「…姫様のお勉強の息抜きに良いかも知れませんね。えっと、カメラカメラ…動画に撮って、後であの変態に上手く編集して貰いましょう」
ザエルアポロにお土産ではなく、新たな仕事が藍染経由で追加される事が決定した。
…労いの揚げ饅頭でもあげるかな
言いだしっぺとしての責任感と、ザエルアポロへの申し訳なさからそんな事を思うメノリだった。
カメラに収めた後、ロカが今回絶対に一緒に行きたかったと言うお店に案内して貰った。
「…喫茶店〈墨華〉!?」
嘗て私が働いていた祖父母のお店と同じ名前のお店に、心底驚く私の背中を押しながら入店した。
ガチャッ、カランカラン…
店内はそこまで広くないものの、それなりに繁盛しているらしい。
人間と人間では無い客も居るみたいだが。
初老の女性が人好きのする笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃ…おやまぁ、久し振りだねぇロカちゃん。元気してたかい?あれから…5年振りかねぇ、あら、お友達も連れて来てくれたのかい。嬉しいねぇ」
「お久し振りです、女将さん。此方はメノリさんです」
「は、初めまして。メノリ=マリアです」
「ご丁寧にどうも。私は此処の店主の浅海だよ。好きな場所に座っとくれ。はいメニュー表、何飲む?」
「アサミスペシャルセットを」
「えっと…オススメのブレンドコーヒーとショートケーキをお願いします」
「ハイハイちょっと待っててね」
鼻歌を歌いながら、やかんを火にかける女将さんこと浅海さんに、モジモジしながら声をかけるロカに内心驚いた。
「あ、あの…美幸雄さんは…」
「あの子かい?ちょっと前まで居たんだけどねえ…「助けを求める声がする!」って飛び出してったよ。相変わらず忙しない子だよ全く…」
「そ、そうですか…」
明らかにガッカリ顔のロカは何処からどう見ても恋する乙女のそれで、驚かされた。
…ミサオって誰?
…何処かで聞いたような気もするけど
出て来たコーヒーは大きめのマグカップにたっぷりで、ショートケーキも平均よりも大きくカットされたのが出て来た。
ロカのセットも子どもの手の平くらいの大きなクッキー数種類とやっぱり大きめのティーカップにミルクティーがドーンと注がれていた。
どちらも食べ応えがありそうである。
「モグモグ…美味しい!スポンジがちょっと硬めでしっかりしてて…甘めのシロップが塗ってあるのかな?…でもって、フワフワのホイップクリームとイチゴが良い塩梅でコーヒーとピッタリ!…あの、お持ち帰りは出来ますか?」
「良いよ、幾つ持ってくかねぇ?」
「えっと…3切れお願いします」
「はいよ、良かったらコーヒー豆も持ってくかい?」
「良いんですか!?是非ともお願いします!」
ある程度食べ進めたところで、ミサオさんとやらの事を聞いてみた。
「じ、実はメノリさんが目覚める前の事なんですけど…」
虚夜宮の建設がある程度進み、藍染曰く利用価値が見込める虚を虚圏だけでなく現世でも探し始めた。
その調査員としてロカも参加していた。
情報収集に打って付けだと教わった飲食店や酒場を転々としている間に、重霊地と定められていないこの町を中心とした周辺地域で虚が増殖傾向にあるのを知った。
調査を続けていくうちにこの喫茶店の経営者が霊感を持っていると聞き、コッソリとお店に潜入したら直ぐにバレてしまった。
しかし、ロカは恥ずかしがり屋の浮遊霊と思われた挙げ句、お店の常連客はそんな店主に慣れっこで、見えないお客さんが来たからと余計な詮索もせず、それぞれ談笑して去って行くのが当たり前のこのお店に居心地の良さを感じたロカは何度も足を運んだ。
そうしているうちに、この町と周辺地域で虚が増殖する原因も判明した。
何でも、店主の旦那さんが霊媒師で、死者が出た場所で起きる不可解な現象の原因を突き止め、そこに留まる地縛霊を除霊する仕事をしていると言う。
その後継者として、最近は息子さんも同行しては共に除霊をしているとも。
霊媒師が1人から2人になれば、除霊成功率も上がって良いこと尽くめだと。
「…でも、その方法が間違っていたのが原因で、虚が増殖していたんです」
「う、うわぁ…」
…善かれと思った行動が、これ以上無いってくらい裏目に出たのね
その方法は霊体から出ている鎖を力尽くで外すというものだった。
そんな事をすれば当然、孔が出来た霊体は虚となってしまい、自由の身を得て何処かへ行ってしまう。
…あれ?何か何処かで似た話を聞いたような
…気のせいかしら?
除霊ではなく虚と言う人間に悪影響をもたらす悪霊を生み出していた事を知った彼等の元に運悪く、その虚が現れてなし崩しに共闘、何とか倒す事が出来た。
自分達の過ちから起きた騒動に巻き込んだ事を真摯に謝り、今後彼等とどう接して除霊すべきか、同じ幽霊であるロカに意見を求めて来た。
しかし、死神の斬魄刀による浄化しか知らないロカは答えられず、項垂れてしまった。
落ち込んだロカを、未だに成仏出来ないが無害の浮遊霊だと思っている彼等は、見当違いの(自身の成仏の方法が解らないのに酷な質問をした事に対する)謝罪とフォロー(自分達が必ずその方法を探し出してみせると宣言)をして来た。
余りに必死なその姿にロカは胸の辺りが暖かくなった気がした。
今まで一度も感じた事の無い現象に戸惑いつつも、取り敢えずその場は解散、藍染達に報告した。
その後も経過を見る為に足を運ぶ度、彼に会うだけであの現象が起きる事に気付いた。
訪問の度に浅海さんの作るお菓子や軽食を食べてみたい欲求も生まれ、飲食可能になる装置を付けて伺うようになってからは、ロカを認識出来るようになった常連客とも話せるようになった。
その時間はとても心地良く尊いものだと自覚した頃、経過観察期間が終わり、本来の役目に戻らなければならなくなった。
とても残念ではあったものの、別れを告げに行った時、彼にこう言われた。
「そうか…行くべき場所を思い出せたのだね。それは良かった。しかし、これでお別れと私は思わない。何故ならロカ君は幽霊で私は霊媒師だからだ。必ずまた会える。だからそんな寂しげな表情をする必要は無い。次に会う時は笑顔で会おうではないか!」
そう快活に語って握手を交わしてくれた。
以来、また現世に行く許可を得られるように本来の役目を果たさんと努力をして来たと。
表情の乏しさがコンプレックスになっていたが、ネリエルやシャルロッテ、テスラに、
「随分、表情が豊かになったわね(な)。良い事だ(わ)」
と、言われるようにもなった。
「…だから、私が変わった切欠をくれた彼…観音寺美幸雄さんを紹介したかったんですけど…」
「…ロカの大切な場所と大切な人達に会えて私も嬉しいよ。今回はその観音寺さんには会えなかったのは残念だったけど…また今度会いに来れば良いし。ね?」
「…はい」
…あのドン観音寺とロカが既に会っていたとはね
…全くもって予想外だったわ
…若かりし頃のドン観音寺、どんなだったのかちょっと見てみたかったかも
…次来た時は会えると良いな
ロカと2人きりのお出かけ回。
漸く書けました。
2人きりのお出かけを執筆中、ふと思いました。
この【世界】のロカとドン観音寺、会う可能性かなり低いんじゃない?と。
小説と違って、痣城双也は姉を失わずに死神としての地位が確立していて、それに加えて自分の理解者でもある嫁がいるので囚人になる事は無いですし、仮にザエルアポロのデッドコピー、シエンが生まれたとしてもどうとでも出来るだろうし。
ロカが狙われて事件に巻き込まれるような事態になる可能性はほぼ無いかと。
ならば、何らかの事件の調査に一時的に派遣されたロカが、現世で調査をしていくうちに、ドン観音寺に行き着いて知り合いとなり、今のロカとなるキッカケになった展開にしようと思い立ち、今回執筆しました。
次回、ビアと遊びます。
オリキャラ
〈観音寺浅海〉
ドン観音寺の実母で、喫茶店[墨華]の店主。
幽霊が見えて会話も出来るが触れ合う事は出来ない。
母方の祖父も同じ体質の人で、どうやら隔世遺伝として度々現れるらしい。
旦那さんとは共通の友人を介して知り合い、意気投合して結婚、ドン観音寺こと美幸雄を授かった。
理解ある周囲の人に恵まれて育った為、大らかでかなりのお人好し。
そんな人柄に惹かれた人間幽霊関係なく寄って来る特殊なお店になった。
〈ドン観音寺の父〉
人間にしてはかなり強い霊感を持ち、どんな幽霊とも会話が出来て触れ合う事が出来る。
先祖代々霊媒師を輩出する家系の傍系の生まれである。
但し、長い間間違った除霊方法を子孫に伝授してきてしまったある意味罪深い一族の末裔でもある。
間違いを正してくれたロカには感謝している。
息子と話し合い、成仏できない幽霊とは心行くまで語り合い、本人の心残りを可能な限り叶えてあげる方法で成仏の手助けをするやり方に辿り着いた。
本文に出なかったが、名前は輝弘(あきひろ)である。
ドン観音寺は父親に激似である。