何故かメノリに成り代わりました。   作:如月雪見

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前回、皆様に異世界の果物を堪能していただきました。


今回、ロクゴウちゃんの5歳の誕生日会の為に、また尸魂界へと赴く事になりました。




ロクゴウちゃん5歳に→覚悟を決めざるを得ません

 

 

今日はロクゴウちゃんの5歳の誕生日。

ロクゴウちゃんからの強い要望で、ケーキのデコレーションを向こうでする事になった。

今は用意した荷物を確認しながら3台の業務用カートに乗せている。

 

「料理とスポンジ、生クリームにイチゴとイチゴのジュレ、デコレーション台にスパチュラ、絞り袋、口金…」

「厨房のみんなからのとシャルさんからの、あとはコストレイラさんからのロクゴウちゃんへのプレゼント…と」

「かなりの量になったな…」

「…そうね」

 

今回は12番隊だけでなく他の隊からもお祝いに来る人がいると昨夜遅くになって連絡が入り、場所も12番隊から別の会場に変更したらしい。

人数が増えると必然的に持参する料理とケーキも増える訳で…結果、みんなに手伝って貰って何とか間に合わせた。

 

…何で前夜になって言って来るのよ?

…せめてもっと早くに伝えてよ

 

「本当に助かったわ。みんな、ありがとう」

「「「「お役に立てて何よりです」」」」

「「「ロクゴウちゃんに、お誕生日おめでとうとお伝えいただければ幸いです」」」

「うん、必ず伝えるわ」

「「「「「行ってらっしゃいませ!」」」」」

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ、ママ、ビアねぇ、ロカねぇ、テスラにぃ!」

「「「「お邪魔します」」」」

「ロクゴウちゃん、気合い入ってますね」

「はい!」

「良く似合ってるよ」

「えへへ~」

 

一緒にケーキのデコレーションをするからと、エプロン姿で迎えてくれた。

早速、台所を借りてデコレーションに取り掛かった。

ナナゴウちゃんは昨夜、何時になく興奮して中々眠らなかった所為で、朝食直後からずっと寝ているらしい。

 

…今のうちにデコレーションしてしまおう

…最低でも2時間は置いて安定させたいしね

 

 

 

「先ずはこの台にスポンジを1枚置いてホイップクリームをド~ンと乗せます。この台はね、こうやってクルクル回るの。でね、こうやってゆっくり回しながらこのスパチュラで均して…はい、次はこの半分に切ってあるイチゴを並べていこうか」

「うん!」

 

踏み台に上ったロクゴウちゃんの後ろに立って、説明しながら作業をしていく。

 

…懐かしいなぁ

…今までの【世界】でもこうやって我が子達と一緒に作ったっけ

 

「ママ、できた!」

「ん?…わぁ~、凄い頑張ったねぇ」

「うん!」

「ちょっと横から見てみようか」

「う?」

 

物思いに耽っていたら、ロクゴウちゃんはイチゴをしっかり敷き詰めたかったらしく、クリームの中に埋まっていたり、隙間をどうにかしようと動かした跡が其処此処に散見し、ロクゴウちゃんの両手がクリーム塗れになっている。

 

「…イチゴ、みぎのほうがいっぱいのってる~。あれ~?」

「そうね、公平になるように左の方にも乗せちゃおうか」

「うん!」

 

イチゴの量に偏りがあるからと、少ない部分にも乗せて高さを調節した。

 

「じゃあもう1回クリームを乗せて均して、スポンジを重ねたらちょっと押さえてクリームとくっ付くように…で、またクリームを塗って均して…側面にも塗って…」

 

…今回は絞り袋は使わない方が良いかも

…コレの出来上がりに合わせて残りのをデコレーションするから

 

「ママ?」

「ん~、綺麗に塗れたね。じゃあ、最後の飾り付けしようか」

「うん!」

 

表面をスパチュラで軽くペチペチと叩いて波立たせ、淵から3㎝くらいの幅になるようジュレを溢れないように乗せて、その上に飾り用のイチゴをグルッと敷き詰めていく。

 

「お~!」

「後は、この作って来たチョコ文字で真ん中に…」

 

       ロクゴウちゃん

       おたんじょうび

        おめでとう

        5 さ い

 

「はい、出来上がり」

「わぁ~!」

「後は冷蔵庫で冷やしておこうね」

「うん!」

「うわぁ~ん!ママァーー!」

 

目を輝かせながら冷蔵庫に入れたところで、ナナゴウちゃんが起きたみたいだ。

声がドンドン近付いて来ている。

 

…あの歳で既に霊圧知覚機能をしっかり発揮しているとは、末恐ろしいなぁ

 

「ママ、ママァー」

「おはよう、ナナゴウちゃん。お邪魔してますよ」

「うぅ~、うっ、う~…ママァ~」

 

会えても尚、不安なのか抱き付いて離れない。

チラッとロカ達に目配せして、残りのデコレーションをお願いした。

此方の意図を正しく受け取った彼女達は、深く頷いて作業に取り掛かった。

私はナナゴウちゃんを左腕で抱っこして、ロクゴウちゃんとは右手を繋いで玩具部屋へと案内して貰った。

 

玩具部屋で遊ぶ事1時間強後、誕生日会の用意が本格的に始まったらしく隣が騒がしくなって来た。

手伝おうとしたが主役のロクゴウちゃんとナナゴウちゃんが全然離れないので、申し訳無い気持ちになりながらロカ達に全部任せる事にした。

その代わり、ロクゴウちゃんとナナゴウちゃんの着替えを手伝った。

因みに会場は、交流が増えた託児施設がある4番隊の一室を借りる事で話がついたらしい。

 

 

 

 

 

誕生日会が始まる時間が近付き、今回初参加の各隊の隊長、副隊長がプレゼントを手に続々と入室して来た。

 

「おぅ、邪魔するぜ」

「やっほー、ロクちゃん、メノリン!」

「やぁ、メノリちゃん。久し振りだねぇ」

「すみません、隊長がこちらでいただくと聞かなくて…」

「遅いぞ、ダーリン」

「その呼び方止めて下さいってば!」

「ははっ、相変わらずだな君達」

「…失礼する」

「お久し振りです、皆様」

 

全員が席に着いたところで、ロクゴウちゃんの誕生日会が始まった。

 

「「「「「ロクゴウちゃん、お誕生日おめでとう!」」」」」

「ありがとうございましゅ!あのね、ママがおりょうりいっぱいつくってきてくれたの。わたしのすきなのばっかりでね、ぜったいおいしいの!だからね、みんなもいっぱい食べてね。それじゃいただきまちゅ!」

「「「「「いただきます」」」」」

 

ロクゴウちゃんの微笑ましい挨拶で食事が始まった。

私は当然ロクゴウちゃんの隣で、ナナゴウちゃんは散々愚図ったが涅マユリの隣に座っている。

 

「ママ、しゃんまとあかなしゅおいしい!ママもはい!」

「ありがとう。あら、長ネギ食べられるようになったのね」

「うん!」

 

始終ご機嫌なロクゴウちゃんに相槌を打ちながら周囲の様子を窺うと、子ども連れの大人は私とほぼ同じで我が子の食事を優先しているのだが、子どものいない大人達ばかりの席は物凄い戦場になっていた。

 

「てめぇ!俺が狙ってた鯖を!」

「早い者勝ちだろう…って、貴様!私のまよ味噌田楽をよくも!」

「俺のをあげますから落ち着いて下さい隊長!」

「このめんちかつ…だっけ?ちーずが入ってて美味しいねぇ」

「お肉ばかり食べないで野菜も食べて下さい隊長」

「こっちの容器のぱぷ…りか?のまりね?は酸味の中にピリッとした辛味があって中々面白いな!」

「…ほぅ…もぐもぐ…確かに悪くない」

「おいこらそこ!今から折り詰めしてんじゃねぇ!まだみんな食ってるだろうが!」

「「「ちっ…」」」

 

…いや本当に何をしているのよ

…特に折り詰めは衛生上、遠慮して欲しいのに

…子ども達が変な事を覚えちゃうじゃない

 

一部の悪い大人の見本市に頭痛を覚えながらも、それ以外は特に問題無く食事会は終わった。

 

 

その後は、みんなからのプレゼントをロクゴウちゃんに渡すのだが、量が量なので、この場で開けて欲しいという要望があった物だけ開ける事にした。

 

因みに私のプレゼントは、本当なら作って来る予定だったんだけど…上手く時間が取れなかった為、此処で用意する事になった。

 

「ママ、これなに?なにするの?」

「これはミシンっていう機械で、お洋服とか鞄とかを作れるのよ」

「じゃ、こっちのは?」

「アイロンっていう機械なんだけど、これから此処の部分が凄く熱くなるから、絶っ対に触っちゃ駄目よ?」

「ふ~ん?あれ?それって…」

「ロクゴウちゃんが大きくなったからもう着れなくなった初めてのエプロンをね、巾着にリメイク…作り直そうと思ってね。まぁ、見てて」

 

先ずはエプロンの紐を外して、両脇の余分な布を裁断、袋状になるように両サイドをミシンで一気に縫い上げる。

今度は方向を変えて紐を通す部分をアイロンとまち針でクセ付けと固定をしてからそれぞれ縫って表に返して、最後に紐を通して抜けないようにしっかり縛って完成。

 

「はい、出来ました!」

「「「「「おぉ~!」」」」」

「どうかな?ロクゴウちゃん」

「かわいい~!ママありがと!だいじにしゅるね!」

 

布地を裁断した際は悲しそうな表情をしたロクゴウちゃんだったが、巾着に生まれ変わったエプロンに無事、機嫌は直ったらしい。

凄く喜んでいる。

 

…良かったぁ

 

プレゼントを貰った後は、何時もやっているらしいみんなで遊べるチーム対抗・巨大双六に参加させて貰った。

止まったマスのお題を攻略出来ないと1回休みになるという、お題によっては中々シビアなルール付きの双六は、それなりのスリルを味わえた。

因みに全チームに参加賞が出るが、それとは別に早くゴールした3チーム、お題を多く攻略した3チーム、そして逆にゴールに時間がかかった3チーム、お題を殆ど攻略出来なかった3チーム(合計12チーム)に特別賞を贈った。

※勿論、中身をちゃんと変えて渡した。

『頑張りましたで賞』と『次は頑張ろうね賞』が一緒はおかしいから。

 

 

巨大双六と授賞式を終えて、バースデーケーキを食べる時間になった。

 

ロクゴウちゃんの目の前には、一緒にデコレーションしたのを置いてロウソクを立てた。

照明を落として障子や窓に布をかけて薄暗くして、ロクゴウちゃんにロウソクを吹き消して貰った。

 

「…すぅ~…ふ~!」

 

フッ…パチパチパチ…

 

「では改めまして…」

「「「「「お誕生日おめでとう!」」」」」

「ありがと!」

「さぁ、切り分けますよ~」

「「「「「わ~い!!」」」」」

「「「「まってました~!」」」」

「「「「「いただきま~す!」」」」」

「「「「あま~い!」」」」

「「「「おいし~!」」」」

「しゅごくおいしいね、ママ!」

「そうね~」

 

ロクゴウちゃんの初めてのホイップクリームのバースデーケーキは大好評に終わった。

因みに5歳未満の子達には、ちゃんとヨーグルトでデコったのを用意した。

 

 

 

 

 

 

ロクゴウちゃんの誕生日会から半月が経った頃、涅マユリが大量の書類と荷物を持って虚夜宮に来た。

 

「漸く手続きが終わったからネ」

「手続き…?」

 

何とも言えない表情の藍染と日番谷、悲愴感漂う東仙に嫌な予感を覚えつつ、涅マユリの話を聞いた。

 

その結果、東仙と同じ表情の私が出来上がった。

 

だって、ロクゴウちゃんを里子に出すとか言い出したのだから。

預け先、つまり里親は私に固定して勝手に手続きを済ませて来たとも言われた。

 

…何考えてるのよこの男!正気!?

…何で寄りにも寄って此処に!?

 

「ロクゴウちゃんは確か死神見習いでしたよね?親とは言え、勝手が過ぎませんか?四十六室でしたっけ?そちらの御方々だって黙っていないでしょう?」

「その六號が此処に住みたがっているのだヨ」

 

…嘘だ!絶対、あの子を唆したんだ!

…ただの月イチのお泊まりとは訳が違うのよ!?

…きっと、急激な環境の変化がどれだけのストレスを与えるかとか、私達破面と同居生活を送ったらどうなるかとかのデータが欲しくて、こんな無謀で危険極まりない事を強行しようとしているんだ!

 

「断りたいならそれも構わないヨ。その場合は虚圏に置いて行く事になるがね」

「はぁ!?」

「六號は既に破面の同胞と認証されている以上、尸魂界に置いておく訳にはいかないのだヨ」

「なっ…」

 

…この男、外堀をキッチリ埋めただけじゃない、逃げ道全部塞いで来た

…最低最悪!外道!

…もう了承する以外、手が無いじゃないの!

 

「…解り…ました…ロクゴウちゃんを…預かります」

「頼んだヨ」

 

奴はとても良い笑顔で帰って行った。

 

 

 

 

 

…あの男、絶対に許さない

 





メノリ=マリア、ロクゴウちゃんの里親になりました。
涅マユリならいずれ必ずこうする日が来るだろうと思っていました。
そのタイミングは何時になるかを推測した結果、まだ七號が物心すら付かない幼いうちに実行しそうだなぁ…と。

話の流れはある程度頭の中にあったのですが、途中途中で肝心の筆が止まってしまい、時間がかかってしまいました。


次回は里親になってからの日常を少々?
そして、この時期が来てしまいました…。
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