何故かメノリに成り代わりました。   作:如月雪見

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前回、剣八の納豆克服の協力をして、7番隊で広島風お好み焼きをご馳走になりました。


今回、10番隊と雛森からある事を頼まれました。



10番隊からの頼まれ事と雛森からのお願い事

 

 

 

11月の下旬に入ったある日、雛森と10番隊の席官の方々がどうしてもお願いしたい事があると、かなり真剣な表情でやって来た。

 

「…日番谷様のお誕生日会…ですか」

「「「はい!」」」

「「「西洋風の祝い方は、藍染隊長の娘さんのお誕生日会で、ある程度は解っているのですが…」」」

「「如何せん、西洋料理は余り自信が無く…献立をどうすべきか悩んでおりまして…」」

「…つまり、お誕生日会の献立の参考が欲しいと言う事で宜しいでしょうか?」

「「「はい!是非とも!」」」

「…と言われましても…西洋に拘らなくとも、日番谷様のお好きな料理をお出しすれば、十分ご馳走になるか「「「そこを何とか!」」」と…」

 

…えぇ~?

 

「で、でしたら…姫様のお誕生日会にお出しした料理から選んでいただく…というのはどうでしょうか?」

「「「良いんですか!?」」」

 

…凄い食い付きですね、皆さん

 

「と、取り敢えずレシピを用意するので、少々お待ち下さい」

「「「ありがとうございます!!」」」

 

…凄い気合い入ってるなぁ

…まぁ、仕方ないと言えば仕方ないのかも

…何せ、12年振りに祝うらしいし

 

以前、毎年祝うのは面倒だからやらなくて良いと、日番谷本人から言われたらしい。

彼としては、外見年齢と実年齢の差が離れている事もあって、尚更誕生日を祝われるのは抵抗があるのだとか。

 

…死神の寿命を考えると、毎年祝うのはなぁ

…ってなるんだろうなぁ

…多分、私もそのうちそういう感覚になりそうだけど

…リッカみたいにまだまだ子どもなら兎も角、成人してからが凄く長いのだし

…人間ですら、祝わなくて良いって言う人だっているしね

…彼等なら尚更、でしょうね

 

 

「お待たせしました。お誕生日会の定番メニューは此方になるかと」

「「「ありがとうございます!」」」

 

…って、あれ?雛森の手が余り動いていない?

…バースデーケーキの作り方を教えて欲しいって言ってたよね?違った?

…何か、物言いたそうにこっちを見てる?

 

「…あの、雛森様のお眼鏡に適うレシピでは無かったでしょうか?」

「え?いえ、そんな事は無いです」

「なら良いのですが…何か?」

「…あ、あの…バースデーケーキもそうなんですけど…せ、せみ…ふ、ふれ…っど?って言う冷たいお菓子の作り方を教えて欲しいのですが」

「…セミフレッドですか?」

 

…あぁ、そう言えば夏の定番おやつとして、かき氷は勿論、アイスクリームにシャーベット、フローズンヨーグルトに加えて今年からはセミフレッドもお出しするようになったっけ

…でもって彼、冷菓が好物だっけ

…って事は、バースデーケーキとは別にプレゼントしたいって事かな?

 

「其方のレシピも探して来ますね」

「突然すみません…でも、ありがとうございます!」

 

…砕蜂と言い、此処の恋する乙女達は行動力が凄いなぁ、本当に

 

 

 

「お待たせしました」

「わぁ…ありがとうございます!」

「あの、戻って来て早々すみません」

「はい、何でしょうか?何か不備が?」

「いえ、お蔭様で献立が決まりました」

「それは何よりです」

「それで、此方のれしぴを使いたいのですが…」

「此方ですね。…では、コピーして来ますので、もう少々お待ち下さい。あぁ、動画のコピーもご用意した方が宜しいでしょうか?」

「良いんですか!?」

「是非とも!」

「「「ありがとうございます!」」」

 

真剣な表情でレシピを読み始めた雛森に対して、献立が決まったらしい席官の方々が選んだレシピのコピーを用意しに再び席を立った。

 

 

「どうぞ、お確かめ下さい」

「「「…確かに、ありがとうございます!」」」

「ではお先に失礼します、雛森3席」

「「頑張って下さい!」」

「「応援しています!」」

「ありがとうございます」

 

席官の方々の用事は終わり、予定通り雛森を残して帰って行った。

 

「…確か、夕方頃に迎えが来るのですよね?それまでにセミフレッドとスポンジケーキの作り方をお教えしますね」

「はい、宜しくお願いします!」

 

 

 

先ずは、冷やすのに時間がかかるセミフレッドから。

基本のプレーンタイプの材料は、生クリームに卵、それに生クリーム用のと卵用に分けて用意したグラニュー糖(砂糖でも可)のみ。

作り方も割とシンプルなので、コツさえ掴めば簡単に覚えられるお菓子のひとつである。

今回は、基本のプレーンタイプの作り方を教える事にした。

卵を卵黄と卵白に分けて、卵白はしっかりとしたメレンゲにして、そこにグラニュー糖(半分強)を加えて更にしっかり混ぜておく。

卵黄にも残りのグラニュー糖を加えて湯煎で温めながら白くモッタリするまで混ぜる。

次に生クリームに別に用意していたグラニュー糖を加えて泡立てて8分立てにする。

後は8分立ての生クリーム、メレンゲ、卵黄を生地に含ませた空気の泡が潰れないようにサックリと混ぜ合わせて、全体的に混ざったら容器(今回はアルミ製のパウンド型)に流し入れて表面を均して冷凍庫で3時間以上冷やして固めて完成。

 

「…本当に少ない材料で出来るんですね」

「えぇ、メレンゲとホイップクリームが上手く作れれば割と簡単に出来るお菓子なんですよ。そして、これにお好みのジャムや果物、煮詰めたメロップにチョコレートとか…後は…ロースト或いは乾煎りしたクルミを細かく砕いたのを混ぜても美味しいですよ。混ぜるフレーバー次第で様々な味を楽しめますし、混ぜなくてもソースを別に用意して食べる時にかけたりとかもありですよ。フレーバー用のとソースのレシピもお渡ししますので、後で参考にしてみて下さい。では冷やしている間にスポンジケーキを作りましょうか」

「はい!」

 

スポンジケーキの材料は卵にグラニュー糖(砂糖)、小麦粉、無塩バター。

 

計量した材料をマジマジと見つめる雛森に声をかけた。

 

「…どうかしましたか?」

「あ、いえ…頭では解っていたつもりでしたけど…クッキーと同じ材料なのに、分量や作り方が違うと全然違うお菓子になるなぁ…って改めて思ったのでつい」

「あぁ…そうですね、不思議ですよね。では、下準備から始めますね」

「はい!」

 

下準備として、オーブンを190℃で予熱して、型にクッキングシートを敷いておく。

 

「シートがずれないように、ペーパーでこう…型の内側に薄く油を塗ってから貼り付ける感じにした方が良いですよ。因みに、型の素材によっては油をペーパーで薄く塗って使うのもあれば、何も塗らないで使うのもありますので、その辺りは確認して下さいね」

「え、そうなんですか?」

「はい。今回持参していただいたのは、シートを敷いて使うタイプの物ですね」

「クッキングシート必須…油で貼り付ける…と」

 

次に無塩バターは湯煎にかけて溶かしておく。

そして、小麦粉は3回ふるっておく。

 

「ここまでが下準備です。では、スポンジケーキ作りに入りますね」

「はい!」

 

先ずは卵を卵白と卵黄に分けて卵白をしっかりと角が立つメレンゲにして、グラニュー糖(3分の2)を加えてハンドミキサーの低速で中の泡が均一になるよう静かにゆっくり1分程混ぜておく。

卵黄は残りのグラニュー糖を加えて白っぽくなるまでしっかりと混ぜる。

 

「…あの、共立てでは無いのですか?」

「少し手間ではありますが、別立ての方が成功する確率が高いんですよ。口当たりも軽くフワッと仕上がりますし」

「成程…」

 

卵黄にメレンゲを入れて泡立て器で混ぜ合わせて、小麦粉を2回に分けてゴムベラで泡を潰さないように注意して混ぜる。

 

「…あの、2回に分けるんですか?」

「一度に入れちゃうと、粉っぽさをなくす為に混ぜすぎて、生地が膨らまなかったり、硬くなったりしちゃうので、2~3回に分けて混ぜるんです」

「そうなんですか…」

「…で、粉っぽさがなくなったので、最後に溶かしておいたバターにこの生地を少し混ぜてから入れて、全体的に行き渡るように混ぜたら…基本の生地の完成です」

「わぁ…ツヤツヤして綺麗…!」

 

クッキングシートを敷いた型に流し入れて均して、空気抜きの為に型を2~3回、台に落として180℃に下げたオーブンで25~30分くらい焼いて、竹串を刺して火の通り具合を確認、型ごとスポンジを台に1回落としてから型を逆さまにして外して、ケーキクーラーの上で冷ます。

冷めるまでの間に表面が乾かないように、ラップで軽く覆っておく。

 

「完全に冷めたら、横半分或いは3枚になるように切って、お好きなクリームと果物等で飾り付けをして、デコレーションケーキの完成となります」

「うわぁぁぁ…綺麗な焼き色~。全然萎んでないし…凄~い!」

「では改めて、スポンジケーキを作る時のコツですけど…」

「は、はい!」

「小麦粉をしっかりふるってサラサラに、メレンゲは角が立つくらいしっかりと、混ぜ合わせる時は小麦粉を2~3回に分けて粉っぽさがなくなるまで、でも泡を潰さないように気を付けながら手早く混ぜる事ですね。後は型に流し入れた時の空気抜き、焼いた後の焼き縮みを防ぐ為の台に少し勢いをつけて1回落とすのを忘れない事…こんなところでしょうか…って、すみません!つい一遍に言っちゃったんですが…大丈夫…ですか?」

「は、はい!…な、何とかモノにして見せます!シロちゃんの為に!!」

 

目をグルグルさせながら、渡したレシピに必死でメモを取る雛森にちょっと不安を覚えつつも、セミフレッドとスポンジケーキ、そしてデコレーションの動画のコピーも渡した。

 

 

 

「…美味しい!口の中でシュワッと溶けて…メロップと胡桃のソースの食感がまた良い塩梅で…シロちゃんが食べたがるのも納得しました!」

「そ、そうですか」

 

帰宅まで後1時間となり、スポンジケーキのデコレーションは間に合わないものの、セミフレッドは試食出来るからと、ストックしておいたメロップとクルミ(ロースト)のソースを添えて食べて貰った。

かなり好評のようで、ひと安心である。

しかし…

 

「シロちゃんてば、市丸隊長の育休期間だけって言ってたのにですよ!?いつの間にか「正式に虚夜宮担当になった」って事後報告して来て…!」

「…あぁ、東仙統括官から通達がありましたね。市丸様は当面、時短勤務という形で復帰するとか」

「やっぱり…!市丸隊長の事を考えたら、担当の変更は当然ですけど…今年から私が担当する筈だったのに!」

「あ、それは…」

 

…彼は貴女に対して過保護なところがあるからね

…そりゃ、絶対に譲らないわ

…本来なら敵対関係にある虚だらけの場所になんて、尚更でしょうよ

 

「このままじゃ…このままじゃ、あの女狐にシロちゃんが!」

「め、女狐?」

「そうです!あの女…私と同じ3番隊の隊員なんですけど…シロちゃんの事を「永遠のお子ちゃま」とかって散々陰口叩いていた癖に…!此方の担当になってからシロちゃん背が一気に伸びたじゃないですか!そうしたら、手の平返して将来有望株候補だとか言って!本っ当にもう!もう!もぉ~!!」

「それは腹も立ちますね。取り敢えず、お茶のお代わりをどうぞ」

「ですよね!あ、すみません…ズズ~…ふ~っ…あんな女狐なんかにシロちゃんが靡くとは思いませんけど…不安なんです」

「でしたら、尚のこと日番谷様は此方の担当の方が良いかも知れませんね。…まぁ、背が伸びようが伸びまいが、日番谷様の中身が変わる事は無いでしょうし」

「…そうですね、シロちゃんの貞操の為にもそれが良いかも知れません…でも…でも、あぁいった手合いの女って、何を仕出かすか解らないし…薬でも何でも使って既成事実とか…それでもって純粋なシロちゃんを…あぁ!駄目!そんな事絶対に駄目――!!」

 

…何を想像したのよ、この子は?

 

「ちょ、おち、落ち着いて下さい!」

「かくなる上は、牢屋行きになってでも…!!」

 

…私の話聞こえてないよねコレ!?

…あぁもう!手のかかる!

 

「そんな事は絶対にありえませんから!日番谷様が雛森様の事をどれ程大切にしているか、皆さんもしっかりと理解していますから!雛森様が悲しむような事は万が一にも起こり得ないですから!」

「万が一が無くても、億が一が有ります!」

「えぇ~!?」

 

迎えが来るまでの間、日番谷への惚気話を聞かされると思っていたのだが。

予想に反して、彼女の日頃溜まりに溜まった鬱憤(主に日番谷絡み)を晴らすかのように、ヒートアップした愚痴を只管聞かされた。

 

 

 

 

 

 

…3番隊の方、早く、早く迎えに来て下さい!

…私の頭痛と胃痛がこれ以上悪化する前に!!

 






カラブリでメガネクッキーを作れる雛森なら、きっと彼の誕生日までにスポンジケーキを作れるようになるでしょう。





次回は、娘(リッカ)が居るバースデー休暇をメノリはどう過ごすのか…思考中です。

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