テスラのリクエスト。
命令違反を平気で行う者とそれを阻止する者。
気付いた事、人の事言えない。
オリキャラ増えます。
第1回料理教室から更に4日後、2回目の料理教室を開催した。
今回の参加者も前回と同じメンバーかと思ったが、チルッチがやって来た。
「アンタが藍染様の言ってた料理長?…ふ〜ん…成程ね」
「…あの?」
「アタシの名前はチルッチ=サンダーウィッチよ、宜しく」
「メノリ=マリアです。本日は宜しくお願いします」
「…ルビア=アルコ=イーリスです。メノ姉様に失礼な目を向けるのは止めて下さい。高慢な破面」
「ちょ、ビア!」
「…イイ度胸してんじゃないの…流石は【アレ】の劣化コピーなだけあるわね」
「っ!!」
「ルビア」
「メノ姉様…」
「すみません。この子はまだ私達以外の方との関係を構築し始めたばかりなんです。彼から与えられた情報を上手く精査出来ていないが故の言動が目立ちますが、今後も良くして頂ければ…この子の成長の為にも宜しくお願いします」
「………」
「あ、そう…なら仕方ないわね。ルビアだったかしら?イイ?【アレ】がアンタにどんな事を吹き込んだか知らないけど、それはひとまず置いといて、アンタなりに相手を知る努力をなさい。イイわね?そうすれば相手もアンタを【アレ】と同一視する事は減って行くでしょうよ」
「…ゴメンナサイ」
「…さて、皆さん揃ったようなので、始めましょう」
落ち込むビアの頭をそっと撫でながら、みんなに厨房へ移動して貰った。
「今日作るのは、テスラからのリクエストで玉子焼きです」
「「「「「「タマゴヤキ?」」」」」」
「このレシピ本にも載っていますので、詳しく知りたい方はコピーも可能なので、どうぞお持ち帰り下さい。調理方法は、溶きほぐした卵に好みの味付けをして、焼きながら巻いていくと出来ます」
「「「「「んん?」」」」」
「な、何を言っているのかサッパリ解らんぞ?」
「や、焼きながら巻く…?」
「そ、想像出来ませんな…」
「まぁ、お手本を見せますのでまずは見ていて下さい」
基本の玉子焼きに必要なのは、卵、好きな味付けをする為の調味料と焼く時の油だけ。
私は甘いのが好きだから砂糖を用意する。
「味は本当にお好みで付けて貰うので、どの味付けにするかレシピを参考に決めておいて下さいね」
卵をボウルに全部割り入れて泡立てないように注意しながら溶きほぐし、白身を持ち上げて、その重さで自然と白身が切れてはボウルに落ちるを繰り返して全体的に黄身の色になるように混ぜる。
「きれいな黄色の玉子焼きを作りたいならこの白身を切る作業を丁寧にする事をオススメします」
「成程、透明な白身は火を通すと白くなるものね」
「シャルさん大正解」
「ほぉ…?」
「これが本にあった切るように混ぜるだったのか…」
「あ、料理によって切るように混ぜるのやり方も変わるので、コレは黄色い玉子焼きを作る場合ですのでそこも注意して下さいね」
味付けの砂糖を少し多目に入れてしっかり混ぜる。
「砂糖や塩の塊が残らないように気を付けて下さいね。それと卵液に泡が出来たら、こうやってスプーンで掬って取り除いて下さい。コレをやる、やらないで出来上がりにも差が出ますから」
コレで卵液の完成。
玉子焼き用のフライパンを火にかける。
「丸くないフライパン?」
「初めて見たでヤンス」
「これは玉子焼き用のフライパンです。コレで焼くとキレイな玉子焼きが作れますよ」
「へぇ…?」
十分に熱したフライパンを一旦降ろし、油をしっかり塗る。
「この作業を怠ると、卵液がフライパンにくっついて失敗する確率が上がりますので注意して下さいね」
「しっかり熱してコンロから離して油を塗る…」
「では、焼いて行きますね」
火に戻して卵液を1/3弱くらい流し入れて全体的に広げる。
デコボコが出来たら菜箸の先でつついて上の卵液を穴の中に入れて均して、表面が乾いて来たら奥の方から手前に巻く。
「焼く時なんですが、味付けに砂糖を使っている場合、焦げやすくなるので注意が必要です」
巻いた端が下に来るよう菜箸で調整して、火から降ろして空いてるところに油を塗り、巻いた玉子焼きを奥にずらす。
手前にも油を塗ってまた卵液を流し入れ、今度は奥の玉子焼きの下にも卵液が行き届くように持ち上げて玉子焼き器を傾けて奥にも流す。
新たに流し入れた卵液が乾いて来たらまた手前に巻く。
コレを卵液がなくなるまで繰り返す。
巻き終わったら、キレイなまな板の上に乗せて食べやすい大きさに切る。
「コレで玉子焼きの完成です。菜箸が苦手な方は、このフライ返しを使うと少しはやりやすいと思います」
「「「「おぉ〜!」」」」
「では、皆さんも実際にやってみましょう」
「え!?ソレ食べないの!?せっかくの出来立てなのに!!」
「え」
「講師に何と言う口を!」
「だって!」
「…オイラも出来立てを食べてみたいでヤンス」
「ドンドチャッカ…お前まで」
「ペッシェはいらないでヤンスか?」
「…そりゃ食べたいけど、今は作るのが先だろうが」
「…そうですね、食べちゃいましょうか。チルッチさんの意見も間違いでは無い…いえ、むしろ、作った料理に対しては正論ですし」
「ほ〜ら」
「ぐぬぬ…」
みんなで試食しての反応はほぼ予想通りだった。
テスラには甘過ぎて水を一気飲みしていた。
シャウロンは少し顔を顰めたくらいで、残りの人達は満足そうに頬張って、最後のひと切れで揉めるくらいには人気だった。
…破面って、意外と甘党が多いのかな?
…たまたま参加者がそうなだけ?
実習を再開した。
しかし…
「うわっ!?」
「ちょっ、まっ、たっ、あー!」
「あん、破れたぁ!」
「な、斜めに折れた…くっ、戻せない!」
「しまっ、量が多過ぎたか…こ、溢れた」
「あ、油塗るの忘れた…くっついて取れない!」
…だよね
…私もマトモに巻けるようになるまで凄く練習したもの
「ね、ねぇ、メノちゃん。コツとか無いの?」
「…と言われても、コレも練習するしか…う〜ん」
「油をしっかり塗るのと、熱したフライパンは一度火から降ろす以外に何か無いのだろうか?」
「え〜っと…取り敢えず、もう一度焼いてみますので良く見ていて下さい」
今度はフライ返しを使って、もう一度玉子焼きを作る。
「あ…あえて言うなら、このフライパンをこう…3〜4等分になるだろう線を頭の中に思い浮かべて、そこに沿うように巻くと上手くいくかも知れません」
「ふむ…」
「成程、巻き始める場所を特定すると何とかなるのか」
その後の実習時間内に何とか巻けるようになったのはシャルさん、ペッシェ、シャウロン、テスラだった。
「くぅ~!もうちょっと、もうちょっとだったでヤンスのに〜!」
「落ち着け、ドンドチャッカ。今夜の夕飯のメインを用意出来たから良かったと思おうじゃないか」
「うぅ〜!」
「…私の練習分は我々で食べるが…この他の玉子焼きはどうするのかね?」
「自分が作ったのだから自分で…と言いたいがこの量は流石に…」
「アタシは最後のを閣下に献上して、残りはアタシ達で食べるけど」
「言い出しっぺのコイツに責任持ってどうにかさせるんでしよ?」
「え!?」
「いえ、玉子焼きは冷凍保存出来るので大丈夫ですよ」
「え、そうなの!?」
「保存の仕方もレシピに追加しておきますね」
「凄く助かる…」
「ちっ!」
後片付けを済ませ、食糧庫に夕飯の材料を取りに行こうとしたところでテスラが手袋を忘れている事に気付いた。
「渡しに行って来るわ」
「でしたら私が…」
「大丈夫!ドコにいるかは解るし、すぐに戻るから」
最近、やっと他者の霊圧を探れるようになったし、交流の多い破面の霊圧も大体覚えた。
割と近い場所にいるからと軽い気持ちで行ったのは、本当に軽率だったかもと後悔したのはこの直後だった。
無事にテスラに手袋を渡して、食糧庫に向かおうと踵を返してすぐの角で誰かにぶつかった。
ぶつかった相手を見ようと顔を上げて、全身から鳥肌が立つのを感じた。
見上げた先には前世から苦手なキャラ、ノイトラがいた。
藍染達が尸魂界に戻ってからずっと従属官になれと迫って来ては、他の十刃に見咎められてドコかに立ち去るを2、3日に1回くらいのペースでやって来るので、本当に迷惑だからやめて欲しい。
「…なあ、だから俺のモノになれって」
「何度もお断りしていますよね?私は厨房の料理長です。藍染様の許可なく誰かの従属官にはなりません」
「…強情だなぁ…それとも…焦らしてんのか?」
…鬱陶しいなぁもう、何で帰りにノイトラと会わなきゃならないのよ
…気配を殺して待ち構えるなんて最悪!
「私、アレもコレもなんて器用なマネ出来ませんから」
「大丈夫だって。藍染にはこっちに来次第、すぐに料理長なんてダルい事解任させてやっからよぅ」
「だから結構です、従属官なんてやりません!って、何度言えばご理解頂けますか?」
「テメェ…俺が優しいうちに「何をしているの?ノイトラ」ネリエル…別に」
「チルッチにもドルドーニにも、アーロニーロにだって言われた筈よね?メノリは藍染様が直々に重要な役職を与えた唯一無二の存在。当然、従属官にしてはならない。何度も念を押されているのに、また忘れたの?そんなんじゃ、【刃】なんて大役、任せられないわね」
「テメェ…!」
「やろうっての?良いわよ、相手してあげる。今日の夕飯、凄く楽しみだからお腹空かせておきたいし」
「チッ…テメェなんかに用はねぇよ!!クソが!!」
ノイトラは肩を怒らせてズカズカと大股で去って行った。
…やっといなくなった
「…お手を煩わせてすみません、ネリエルさん。おかげで助かりました」
「良いのよ…それは彼に言ってあげて」
「え?」
ノイトラが去って行った方向とは真逆の壁から、大体2m位の、ドコか見覚えのある破面が出て来た。
「貴方は確か…いつもキレイに鍋やフライパンを洗ってくれる…」
「覚えていて下さったんですか!?光栄です料理長!」
「え?」
同じ厨房で働いているのにも関わらず、名前を思い出せないどころか、知らない時点で大問題だと言うのに、ココまで感激されるとは思ってもみなかった。
彼曰く、厨房へ向かう途中に私を見かけたが、厨房とは全く違う道を小走りで去って行くのを不思議に思い、その道を覗いたら、最近私に言い寄るノイトラが、私の後をコソコソとついて行くのを目撃し、近くにいたネリエルに連絡したから彼女はココに来れたらしい。
私の危機を救ってくれた彼は、ヒロ=コネクタという名前で軽く自己紹介して貰った。
厨房に戻るまでの間、沈黙は気まずいこちらの都合で、私の事をどう思っているのか彼視点の見解を聞いてみた。
最初は正体不明の女破面が出しゃばって来たと警戒したが、すぐにその考えは吹き飛んだと言う。
何せ、あの東仙直筆のレシピ本を読まずにみたらし団子を作り、藍染達が絶賛する生姜焼き定食までも作り上げて、即座に料理長に任命された。
しかも、あの誰もどうする事も出来なかった豆で作ったアンコで【あの】ザエルアポロを屈服させ、ロカと一部の担当者達しか入らない、主に藍染達と最上級専用の食糧庫をたった2日足らずで網羅し、1日がかりとは言え、初心者だらけの破面達と共に、これまたレシピ本にあった寒天寄せとカステラを何も見ずに、しかも大量に作り上げたその手腕に厨房の皆から、感嘆の声が漏れたと言う。
皆一様に私の作る料理やお菓子に興味が尽きないが、あの難解なレシピ本を作り直すと言う過酷な難題と向き合っているのに邪魔をするのは気が引けると、遠巻きに眺めていたとも。
…この短期間でそこまで高い評価をされていたの!?
…全然、知らなかった
…って、そりゃ当たり前だわ
…だって私、ロカとビア以外の厨房の担当者達と話なんて殆どした事ないもの
…精々、調理中に何かお願いするくらいで
…私、ビアの事言えないわ
…原作のネームドキャラ以外の、モブとマトモに話したのって、ビアと今隣を歩いている彼くらいだし
…こうして普通に話せるのも彼の仕事は
…あぁ、本当にビアの事言えない
…私に遠慮して話しかけない彼等と、彼等の作業内容にドン引きして距離を置いていた私
…しかも、常に相談するのは張本人である彼等じゃないし、ロカとビアの主観混じりの意見が彼等の意思だと思い込んでいた
…これじゃいつまで経ってもちゃんとした意思の疎通なんて出来ないわ
「…料理長?」
「…私、同じ厨房で働いているのに、皆さんの事を全然知らないし、知ろうともしなかった事実に今更気付いて、情けない自分に腹立たしさを感じているんです」
「え、な」
「だから、これから教えて貰えますか?色々と」
「…勿論です!俺達にも色々とご指導宜しくお願いします!」
こうして、私は厨房のみんなとのコミュニケーションを取る事に成功した。
…担当者達も食べに来る破面達の中にも、寒天寄せとカステラを気に入った破面って結構いたんだ
…そう言えば、味覚で最も感じやすいのは甘みだっけ
…レシピ本もだけど、基礎知識を学べる本も作ろう
…こんなに、料理やお菓子に興味があっても、実力が伴わなくて諦めざるを得なかった彼等の為に
オリキャラ
ヒロ=コネクタ
スペイン語で糸、繋ぐの意味
男破面、身長203cm。外見年齢30前後の右利き。
厨房で鍋やフライパン等を洗浄する係をしている。
この虚夜宮が建設されて以来、誰も解読出来なかった東仙直筆のレシピ本をより解りやすく改良し、実際に作り上げるその手腕に心酔し、彼女が作ったお菓子の美味しさに感動し…今ではメノリの信者化している1体である。
メノリがノイトラに従属官になるよう強要されているのを見かけ、彼を退けられるネリエルを呼び、他の厨房の担当者達とも会話が出来るようになるきっかけを作ってくれた、彼女にとって恩人に当たる破面。
メノリはヒロさんと呼ぶ。
他の担当者達は苗字にさん付けで呼ぶ。
次回、厨房の現状、対策、みんなで料理教室、迷惑な…