萩原秀一~人の行動を操作する者~ 作:のえ
早朝のランニングから帰宅した秀一はシャワーを浴びて、朝から肉という一般的には重めな朝食を平らげている秀一は先ほどのことについて考えていた。
(まさか先の女性が俺の高校の教師だったとはね……。偶然というものは恐ろしいな。なるべく平穏に学校生活を過ごしたいものだな。日本は他国と比べて治安がかなり良いので、要らぬ心配だろうが……)
「ふぅ、朝から少し食べすぎたかな……。ご馳走様!」
テーブルには、食べ終わった空の皿が複数並んでいた。誰が見ても一人で食べるような量ではない。
(さて、そろそろ学校に行く準備して登校しますかね……)
秀一は身支度を済ませて学校へと向かった。
学校に近づくにつれて見えてくる新たに見る顔触れ。
(新生活特有の緊張感はないが、程々楽しい学校生活になればいいなと期待しておくかな)
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秀一は教室ではなく職員室へと向かっていた。
職員室は一度行ったことがあるため、道は憶えていた。
「おはようございます、小倉先生」
秀一が話しかけた小倉は、背が小さい男だった。160cm超えているくらいだろう。
歳の程は40代後半というベテランな教師で、数学を教えている。
「おはよう、萩原君。前の面談通り、自己紹介してもらうからな。ちゃんと考えていただろう?」
「あ~ちゃんと考えていますよ」
「じゃ、いこうか」
「はい」
職員室内から転校生ということで、秀一には視線が集まっている。中でも工藤先生は、ジーッと見ていた。
(あの人隠す様子ないよなぁ……。ある程度落ち着くまで、こっちから話掛けないでおこう)
「それにしても、萩原君背が高いね」
「そうですね。僕の身長188cmなので、大きい方だと思いますよ。ちなみに、スポーツは全くやっていません」
「そうなのか。バスケとかそういうのやればいいのになぁ……。俺も萩原君くらいの身長が欲しかったよ……」
「アハハ、お気の毒です」
二人で話していると、「2-A」と書かれた教室に到着する。
「ここだぞ。萩原君はここで待っていてくれ。合図したら入ってきてくれ」
「了解です」
そう言って小倉は教室に入った。
秀一は暫くボーッとしていながら壁に寄りかかって待っていた。
「質問ある人いるか?いないようなら、お待ちかねの新しいクラスメイトの紹介だ」
少しの沈黙と共にクラス内が騒がしくなった。
壁を隔てているとはいえ秀一にも内容は聞こえてきた。
『男の子かな?女の子かな?』
『噂では男みたいだぞ。しかも帰国子女だとか』
『なんでもイケメンみたいだよ~』
『えーなんか期待しちゃう!』
「静かにしろ~じゃ入ってきてくれ!」
小倉の大きな声が聞こえたので、秀一はドアを開けて教室内に入った。
「えー、今日からお世話になります、萩原秀一です。中1からイギリスで4年間滞在していました。得意なことと趣味はお菓子作りかな。一年間よろしくお願いします」
「席は……三島の隣だ」
「はい、ここです」
一人の女子生徒が、手を上げてくれた。
とても美しい女性だった。淡い水色の長い髪であり、ニコリと微笑む顔はとても魅力的であった。そして極めつけは、日本人離れしているだろう身長であった。恐らく170cmは超えているだろう。
制服の上からでもスタイルの良さが一目で分った。
「よろしくね、三島さん」
「こちらこそ、よろしくお願いします、萩原君」
丁寧な一礼と共に上品な言葉遣いであった。行動の一つ一つに教養の高さが滲み出ていた。