思いつきで書いただけの話です。
皆とバーベキューを楽しんだ翌日。ワタシは今病院に来ている。しかしどこか具合が悪いというわけではなく、目的はお見舞いだ。
「...ここか。こんちわー!!」
受付のお姉さんが教えてくれた病室に着き、元気な挨拶と共に勢いよくドアを開ける。そこには..
「...何をしにきた」
「もしかして喧嘩売った相手にお見舞いにでもきた?」
東条の側近の2人がベットに仲良く寝っ転がっていた。
「この間かなり強引に喧嘩売っちゃったんでその詫びも含めてきましたパイセン」
「マジかよ..男鹿ちゃんもぶっとんでるけど、キミも大概だね」
「失礼だな。せっかく壊しちゃったグラサン買ってきたのに...」
ワタシは手提げの袋から来る途中で買ってきたサングラスを取り出す。
「......なんか⚪︎イソーの値札ついてんだけど」
「だってダ⚪︎ソーで買いましたもん」
「なんでだよ!?俺のヤツその50倍の値段だぞ!!」
「いやぁ...最近ゲームいっぱい買って金欠で」
「ならせめて似たよーなの買ってきて!?これおばさんがつけてるよーなやつじゃん!!」
「注文多いなこの人」
「お前が最低限なことできてねーんだよ!!」
グラサンパイセンはワタシに元気よく文句を言ってくるがまぁ、すでに別のサングラスかけてたし気にする必要もない。
次にもう1人の方へ顔を向けて別のお土産を渡す。
「はい、色黒パイセン」
「...むき甘栗..?..」
「好きそうだったんでダイ⚪︎ーで買ってきました」
「食ったことないが?」
「じゃこれがいい機会ですね!」
「...嫌がらせか?」
こちらも反応が芳しくない。これでも一生懸命に頭を捻って考えたのだが、残念ながら2人とも不評だった。
「嫌がらせじゃないっすよ。これでも罪悪感感じてたから真剣に見舞いに来たのに..」
「真剣に....?」
「じゃ、絶望的にセンスがないだけだな」
「ひどい」
「まてやコラ」
グラサンパイセンの言葉に落ち込んでいるとなぜか同室にいる神崎に声をかけられる。
「テメー、男鹿のヤローの女だろ。無視してんじゃねぇぞ」
「まだ入院してたんだ」
「コロす」
「うるせーぞ神崎。オレの部屋で騒ぐんじゃねーよ」
正直な感想を言ってみると神崎にめちゃ怒られるが、神崎の向こうのベッドで寝ている姫川がなだめてくる。
「つーかなんでオレの部屋にテメーら来てやがんだよ。せっかくのオレの1人部屋だったのによ」
「知らねーよ。俺だって1人部屋であと一週間で退院だったのにいきなりこっち移動させられたんだよ」
姫川も神崎も男鹿との喧嘩の怪我も治りかけらしくあと1,2週間で退院だったらしいが、急遽姫川の部屋にこの4人が移ってきたらしい。
「まぁ、石矢魔全校生徒が入院したからね...」
「「はぁ?」」
ワタシの言葉に事情を知らない2人が揃って聞き返してくる。すると色黒パイセンが話しかけてくる。
「校舎がいきなり爆発したこと知らんのかお前ら」
「「爆発!!?」」
「そゆこと。そんでみんな校舎の下敷きになったってわけ。だから全然病室が足りないらしいぜ?」
「なんじゃあ...そりゃぁ」
あまりに荒唐無稽なカミングアウトに神崎は困惑な表情を浮かべている。とりあえずワタシは自分用に買ってきたお高めのプリンを開けながら、ふと疑問を口にする。
「しかしまぁ、誰がみんなを掘り起こしたのやら」
「そいつは東条だよ」
するとまた入り口の方から声がする。振り向けば見たことある2人がいた。
「元気そうだね。みんな」
「神崎さん。フルーツ盛り合わせ買ってきました」
「夏目...城山...」
神崎が名前を言ってくれたおかげで誰だかを思い出した。彼のお友達だ。すると夏目が近くの椅子に座り話し出す。
「や。古市ちゃんだっけ?見てたよこの間の男鹿ちゃんとのタイマン。男鹿ちゃんが東条とやってお終いだと思ってたのにさ、まさかキミまで喧嘩し出すなんてさー。おもしれーなぁキミたち」
「見てたんすね。知らなかったす」
「屋上から見てたからね。大変だったよ急に校舎爆発するんだもん」
「「「「「なんで無傷なんだオマエ!!?」」」」」
「運がよかったんだねー」
夏目は額に一枚の湿布が貼られているだけなことにワタシたちはついツッコんでしまった。
「だけど、東条もさすがだよな。自分もボロボロのくせにみんなを瓦礫から引き摺り出しのも救急車を呼んだのも、みーんな東条だ。やっぱ大将だと思ったよ」
ワタシと男鹿はヒルダ達に助けてもらったらしいけど、あと他は東条がやったのか、流石にこれはワタシも吃驚する。
「....おい城山、お前一階の売店でヨーグルッチ買ってこい」
「了解しました」
「さて、ワタシもそろそろ帰るかな。皆さんお大事に」
ワタシは図体の大きい城山と一緒に病室を出る。
「...あの女..何しにきたんだ」
「...嫌がらせだろ」
古市が出た後に陣野と相沢がこぼした。古市の謝意は届かなかったようだ。
病室を出た後ワタシは城山の横を歩いて一階をめざす。しかし...
「......」
「......」
超気まずかった。
それもそのはず、お互い顔合わせしたことはあるがほぼ初対面であり、会話が起きないのだ。
「.....」
「...あのさ..」
とりあえずワタシは声をかけてみる。気まずい空気は虫より苦手なのだ。
「なんだ?」
「....いい天気ですね?」
「なぜ急に天気の話をする?」
「ハハハ..なんでだろうね...」
「.....」
「.....」
掴みは失敗した。どうしようか...ええい女は度胸!!気になってたことを聞くことにする。
「...あのさ」
「..なんだ?」
「ちょっと聞いてもいい?」
「ああいいぞ」
「結構無粋かもしれないよ?」
「かまわん」
「じゃ...失礼して..どうしてまだ神崎といるの?」
「......」
「ほっ..ほらっだってあの時めちゃくちゃ酷いことされたのにさ、それでもこうして神崎のために売店にいってるからさ...その..気になっちゃって」
「そんなもの決まっている。オレが神崎さんについて行きたいからだ」
ワタシの無粋な質問に城山は迷いなく答えてくれた。その答えも意外なもので目を見開いたのだ。
「例えあの人がオレのことを捨てたとしても、オレは一度あの人に忠誠を誓っている」
「......」
「ならばオレは死ぬまであの人のために尽くすだけだ」
そう言葉を紡ぐこの漢の目はどこまでも真っ直ぐだった。
「....かっけぇ」
「む?」
「かっけぇじゃんよ!!めちゃ漢じゃんアンタ!」
「..そ..そうか?」
「そうだよ!」
ワタシは手放しに賞賛の言葉を贈るが城山は照れている様子。
「よしっ!友達になろう!」
「は?」
「今日からワタシ達はベストフレンドだ!!」
「距離の詰め方エグいなお前」
ワタシの今日から友達宣言に引いている様子だが関係ない。ワタシはキミと友達になりたいのだ。
とりあえず大きな手を掴んで握手をする。
「よろしく城山!!」
「...お、おう」
「んじゃっワタシ帰るから!また今度ねー!!」
新しく友達ができて上機嫌になったワタシはスキップになりそうな程浮き足だった足取りで病院を出て帰路につくのだった
夏の終わりが近づくもまだまだ暑さは健在なある日のこと。
「.....あっちぃ..」
「...マ゛ー......」
暑さにやられているのか男鹿とベル坊は力無くベッドに横たわっていた。窓の外では元気に蝉が合唱している。
「んで..こんなあちぃんだ?もう夏も終わりだろうが」
「...マ゛」
「あれだな...地球温暖化ってやつか?」
「..ダーブー..」
「そうだな...許せねーな人類」
だんだんと思考が悪魔よりになってきた男鹿。しかしどんなに嘆いても暑さは変わらない。
「...こんな日は昼寝に限るな..夜になりゃ少しはマシになるだろ」
「ウィ..」
そういうと2人とも目を閉じて昼寝を始めたのだった。
「.....の.....殿」
「.....んぅ」
「....鹿殿.....男鹿殿..起きてくだされ」
「んぁあ?」
肩を叩かれ昼寝から覚めるとそこには視界いっぱいに広がる髭面のオッサン
「うぉおッ!!?」
「あべしっ」
驚いた男鹿が反射的に顔に拳をめり込ませアランドロンがぶっ飛んだ
「テメェ!?なにしてやがんだこのヤローッ!!?」
「相変わらずの....容赦のなさ....ですな」
「やかましいわ!?」
アランドロンはどこか感心した様子にツッコむ男鹿。しかしすぐさまアランドロンは身体を起こして男鹿と目を合わせる。
「男鹿殿...今日はあなたに力を貸していただきたくて参りました」
「あぁ?なんでだよ。つかまだ昼間じゃねーか。せっかく昼寝してたのによ」
「申し訳ありません。しかし古市殿のことで力を貸していただきたいのです」
「はぁ?アイツがどうした?」
「そ、それがですね」
アランドロンが話し出そうとした瞬間、彼の身体の中から声が聞こえてくる。
『おっさーん。ジュースとってぇー」
「はいこちらです」
アランドロンはポケットから缶ジュースを取り出し、身体を縦に割る。するとその中から腕が一本出てきてそれを掴む。
『ありがとー』
「いえいえ」
アランドロンは縦に割れた身体を元に戻してもう一度男鹿へと向き直る。
「力貸していただけないでしょうか?」
「まてまてまて」
一連の出来事を見ていた男鹿が待ったをかける。
「いや、なにしてんだ古市のやつ?なんでオッサンの中にいんだよ」
「それがですね..ここ最近かなり蒸し暑いでしょう?」
「?。なにが関係あんだよ」
「どうやら私の身体の中が心地がいいようで....」
「その言い方キメェからやめろ」
「まぁつまり...ですねここ数日ずっと引きこもっておられるのです」
アランドロン曰く、彼の中の4次元的な空間では気温という概念がなく常に快適な環境となっているらしく、古市は暑さから逃れるためにその中にこもっているらしい。
「........なにしてんだアイツは」
「こうも長く入られると私としても少々...困りまして」
「じゃあ..力づくで出せばいいじゃねーか」
「それが、以前に条件としていつでも好きなように能力を使わせると契約していまして...」
「..ハァ。相変わらず狡賢いやつだな..身体開けオッサン」
男鹿のいう通りに身体を開くと、男鹿は手を突っ込もうとする。
「オラ!!さっさと出てきやがれ!!」
「フン!!」
「いってぇ!!!」
しかし中から古市はその手をはたき落とす。中の古市は力づくで出されないように構えている。
「フシャーッ!!!」
「..このヤロウ..!」
威嚇する古市にイラつく男鹿。両者睨み合い、タイマン第二ラウンドが始まる。
「テメェ出てきやがれッ!!1人で快適に過ごしてんじゃねぇぞッ!」
「甘いわッッ!!」
また男鹿が中へ切り込もうとするが古市が圧縮された強風を生み出し男鹿へ放つ。
「うぉお!!」
突然の強風になす術なく吹っ飛ぶ男鹿。古市はすぐさまアランドロンの身体を勢いよく閉める。
「..この引きこもりがぁ...!!絶対引き摺り出してやる...!!!」
男鹿はもはやアランドロンのことなど忘れて古市にやり返すことだけを考えている。
「オラぁ!!開きやがれ!!」
『やだね!!ここはワタシの城だ!!』
アランドロンの身体を外からこじ開けようとする男鹿に内側から力づくで閉めようとする古市。なされるがままのアランドロン。
「このぉ..!!!」
「うぐぐ..!!!」
「も...もう限界..」
すると顔色を悪くしたアランドロンから弾き出される古市と大量のコミック。
「うぉおおお!!!?」
「なっ!?」
そのまま古市は男鹿の上に倒れ込む。
「いつつ...」
「おい..どけや」
「あぁ...ごめん」
古市は男鹿に覆い被さっていたがすぐに退けようとするがそこである声が聞こえてくる。
「ウッ...ヴー!!!」
「「ベッベル坊..!」
ベル坊がイラついた声だ。目を向けるとたんこぶができており一冊のコミックが枕元に落ちていた。
焦って名前を呼ぶがもう遅く電撃が閃く。
「ダダイァヴアイ!!」
部屋いっぱいに放電が走り3人の叫び声が響き渡るのだった。
後日、アランドロンの中に留まるのは一日1時間までと決められ、古市の城は崩れ去った。
ただやりたかっただけです。