TS異能力古市   作:ブッタ

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第18話 再会しました。

 

「久しぶり..古市さん」

「────三木..?」

 

 久しぶりに会う旧友の姿にワタシは目を見開いて固まってしまう。しかしすぐに正気を取り戻して三木に近寄る。

 

「三木ぃ!!久しぶりだねぇ!!元気してた!?」

「.......」

「なんだよーもー。この学校にいたんなら声かけてよー..寂しかったんだぜ?中学の時転校しちゃってさー!!」

 

 超久しぶりに会う友人にワタシは舞い上がって肩を叩いて話していく。

 

「それにしても..結構変わったね三木。最初なんて一瞬誰だかわかんなかったよ!なんか身体もゴツくなったし..筋トレしてる?」

「まぁ..成長期だからね...でも君達の方は相変わらずだ。どこに行っても噂が絶えないよ」

「...それどんな噂?」

「聞きたいかい?」

 

 嫌な予感がするので首を横に振って断る。

 

 ワタシと三木はそのまま壁に背中を預けて昔話に花を咲かした。

 

「それでさ!今朝はアイツはあろうことかワタシはアイツよりバカだとか言ってきてさ...ワタシの方が勉強できんのに!!」

「ハハハ..確かに男鹿が言いそうな事だ。でも確かに古市さんならウチの高校でも受かっただろうに..」

「まぁね..ふふん」

 

 そして今は今朝の男鹿の愚痴を溢していた。その間も三木は静かに優しく聞いてくれていた。

 それにしても...

 

「...なんか雰囲気変わったね、三木」

「そう?」

「そうだよ...前はもっとオドオドしてたけど..今はなんかモテそう」

「ハハ...全然だよ」

「ウソでしょー。モテるね?わかるよワタシには」

「なら全然わかってないよ古市さんは」

 

 ニヤニヤして揶揄うワタシに三木は特に慌てずに落ち着いて否定してくる。絶対モテるなコイツ...

 すると三木は優しそうな顔を少し真面目な表情へ引き締める。

 

「古市さん...ウチへ転校してくる気はないかい?」

「...?してるじゃん今」

「正式にだよ。さっきも言ったけどキミならウチの編入試験も難なく合格できる。石矢魔ではなくて、ウチに来た方が進路もいい場所へ行けるはずだ」

「.......」

 

 予想だにしていなかった提案にワタシは面を食らってしまうが三木は続けて話す。

 

「キミは友人だから....だから僕はキミにはウチへ来て欲しいんだけど....」

「...確かにその方がいいかもしれないね」

「なら..」

 

 顔を明るくさせる三木だがワタシは遮るようにすぐさま話を続けていく。

 

「でも。ワタシはアイツとバカやりたいんだ」

「.......」

「さっきまで理不尽だとか手がかかるとか愚痴ってたけどさ...それでもまだワタシはアイツの隣にいたいんだよ」

「......そうか」

 

 断ってしまったことに落ち込んだのか少し伏目がちになる三木に、ポンと両手を合わせて慌ててフォローする。

 

「でもさっきの気持ちすごく嬉しかったよ?ありがとね!...そーだ!L⚪︎NE交換しよーよ!今度からまたさ...」

「いや遠慮しとく....ついでだから忠告しとくよ」

「?」

 

 いきなり忠告と言われても意図が分からず私は首を傾げてしまうのだが、後に続く言葉に身を固めてしまう。

 

 

六騎聖とは絶対に戦ってはいけない

「────ッ」

 

 

「この学校の秩序を任されている連中だ。彼らのターゲットは完全に君達となっている」

「........」

 

 余りにもタイムリーな話題..ワタシは何も言わずに三木の言葉を聞く。

 

「どっちが強いとかじゃない..戦った時点で君達の負けなんだ。それを伝えておきたかったんだ。男鹿にもよろしく」

 

 

 

 

「...なるほどね..んじゃ参考までにその六騎聖の見分け方を聞いてもいい?()()()()()()()()

 

 

 

 

 背を向けて歩き出す三木に気になったことを聞くと、歩みを止めてこちらを向く。その目つきに先ほどの優しさは無かった。

 

「...気づいてたのかい?」

「鎌かけだよ。あまりにも忠告の内容が具体的すぎてね...それにさっき肩に手を置いた時も明らかに筋トレ以上のことをしてる体つきだったから」

 

「やれやれ...本当に抜け目がないね...古市さん」

 

 疑った理由を答えれば観念したかのように首を振ると、制服の襟を巻くって裏を見せてくる。そこには..十字を背負った獅子の紋章。

 

紋章(エンブレム)...僕らは皆襟の裏にこれをつけている..もっとも表は各々好きなピンをしているだろうからわからないだろうけど」

 

 忠告したよと言葉を残して三木は今度こそ去っていった。これから荒れそうな予感がするワタシは一応L⚪︎NEで情報共有しておこうとケータイを開いて、ワタシは気づく。

 

「あっやべ!ゆかちーと涼子待たせてる!」

 

 ワタシは急いで飲み物持って2人の待つ場所へ急いで走る。

 

 

 

 


 

 

 

 

 ────時間を少し巻き戻して、職員室の奥の空き部屋。そこに呼び出された邦枝と男鹿が並んで立っており、2人の対面するように長机が置かれており、その机に両肘乗せて口元に手を組んだ男性が座っている。

 

「生活指導の木戸です。2人とも何故呼び出されたのかはわかっているね?」

 

 木戸は落ち着きのあるそれでいて威圧感も感じられる声で2人に話し出す。

 

「恐れ入ったよ..転入早々に暴力事件とは..君たちを退学にするのは簡単だが、それでは聖石矢魔(ウチ)に来てもらった意味がない」

 

 静かに紡がれる言葉を邦枝と男鹿は何も言わずにただ聞いており、木戸はその姿を見て机を指で叩きつつ話を続けていく。

 

「聞けば君達は石矢魔でもリーダー的存在らしいじゃないか...ちょうど良いと我々は思ってね」

 

「...あぁ?」

「どういう..意味でしょうか?」

 

 木戸の言葉に意図が見えず、2人は聞き返すが、木戸は今まで崩さなかった表情をニヤリと口角を少し上げて言葉を紡ぐ。

 

「名付けて..."石矢魔再生計画"....なんつって」

「「?」」

 

 

 

 

 

「はぁーもう最悪!!なんでこんなビクビクして過ごさなきゃ行けないの私達!!」

「本っ当石ヤバがきてから空気悪いわー。不良まじ絶滅しろっての」

 

 石矢魔の生徒が近くいる。それは想像以上に不満や恐怖を溜め込んでしまい、真面目に過ごしていた聖石矢魔の生徒達も日々ストレスが溜まっていく一方である。

 

 しかし何事にも例外はある。

 

「えー?でもいい人達だったよ?」

「「....は?」」

 

 そんな呑気なことを言うのは先日人質となっていた黒髪ツインテールの藤崎梓である。

 彼女の友人達はその発言に一瞬凍りつく。

 

「あ...あんたまさか会ったの?」

「てか!!喋ったの!!!」

「えへへへ。てゆーかね、からまれてボコボコ」

「「からまれてボコボコ!?!?

 

 続く藤崎のカミングアウトに友人たちは教室にも関わらず、大声で問い詰める。

 対して藤崎は人懐っこい笑顔でほんわかとしている。

 

「帝毛の人達がね、いきなり人質にしてきたの」

「帝毛か..いやそれも大事件じゃん!!!」

「でもオガさんとかクイーンさんとか助けてくれたんだよ?」

 

 そうほんわかオーラをだしつつ話す藤崎に友人は両肩に手をおいて諭すように真剣な表情で静かに話す。

 

「あんたね、いい加減警戒心を持たないとそのうちやられるわよ」

「えー?でもオガさんもクイーンも助けてくれたよ?フルイチさんも私に優しく声かけてくれたし?」

「あのねぇ...オガってのは対して詳しくないワタシでも聞いたことあるわよ!やれアバレオーガだの、子連れ番長だのとにかくヤバい奴よ!」

 

 未だにほんわかオーラを放つ藤崎を脅すように悪い噂を伝える友人。目を合わせれば地面に埋められるなど、河辺でオッサンを縦に割っていた、挙げ句の果てには石矢魔の校舎を拳一つで瓦礫の山にしたなどの凶暴で恐ろしい噂。

 

 何より恐ろしいのがどれも嘘でも誇張でもないことだ。だがそれを知らず、ただ助けてくれた藤崎に疑問が浮かぶのは当然、首を傾げている。

 

「んー..そんな人達に見えなかっけどなぁ..たしかにオガさんとかクイーンさんは強かったけど...フルイチさんはすごく優しかったよ?怪我はないかとか聞いてくれたし」

「フルイチ....?」

「そーそ。カズくんが言うにはチショーなんだって!」

 

「なんで山村が....あぁアイツが悪の元凶か..夏休みデビューすごかったし」

「フルイチ...その人ってあれじゃない?一晩で石矢魔全員を占めた狂犬のような女って噂の人じゃない?」

「え?」

 

 藤崎は山村から聞いたとはまったく違う聞いたことのない噂に驚く。

 

「チショーじゃないの?」

「その噂よりもこっちの噂のほうが有名よ?昨日部活の先輩から聞いたから、銀髪で綺麗な女子だけど凶暴で手がつけられないって」

「え?えぇ...?」

 

 先日初対面の藤崎を心配していたときの様子とは全く違う噂に流石に困惑する。

 するといきなり藤崎の席の隣の廊下側の窓が開かれる。

 

「あ、いたいた。オッス」

「あーオガさんだー」

 

 突然の男鹿の登場に教室中はどよめく。それも当然、ここは石矢魔の生徒がきては行けない場所であり、聖石矢魔の生徒たちにとってはセーフティゾーンなのだ。

 

 なのにも関わらず男鹿は現れた。セーブポイントにいきなり魔王が現れたようなもので皆気が気じゃないのだが、そんなことは気にせず男鹿は藤崎に話しかける。

 

「カズいる?」

「いませーん。トイレ行ってるけど長いので多分ウ──」

 

 藤崎は和やかに言葉を返すが、彼女の友人たちは咄嗟にその口に手を当てて止めさせる。

 

「梓ッ!!話しちゃダメ!!」

「子供できるよッ!!」

「できねーよ」

 

 余りの言いようについツッコミを入れる男鹿だが、一緒に着いてきていた邦枝に袖を掴まれたひきずられる。

 

「もう行くわよ。先生にもこっちに来るなって言われてるでしょ」

「いや、六騎聖の居場所を聞こうと思ってよ..」

 

 男鹿の発言、六騎聖の名前聞いた途端に聖石矢魔の生徒たちはより一層どよめく。

 

「お...終わりだ..!アイツらバカだ」

「その名を口にするなんて..」

「アイツら死ぬぞ...!」

 

 

「なんだ?コイツら..」

「...何なの?」

 

 まるで名前読んでは行けないあの人の名前を読んでしまった時のようにどよめき、怯えたクラスの様子に困惑する男鹿と邦枝。

 

 

 そんな2人に近づく人影が二つ。一つは金髪で碧眼といった日本人離れした容姿の男子生徒。白い手袋に手を入れつつ近づく彼の襟にはウンコ男爵ピン。

 

 もう一つは長髪を後ろに纏めた無表情な男子生徒。竹刀袋を担ぐ彼の襟には美少女キャラのピン。

 

 廊下に立つ邦枝と男鹿を挟み込んで逃げ場を作らないように立っている。

 邦枝は佇まいから強者であることを見抜く。

 

(恐らく..コイツらが六騎聖..!」

 

 逃げ場はない。かといって闘えば確実に2人とも退学。この危機的な現実に焦っている邦枝だが、対して男鹿はなんだコイツらと呑気に呟いており飄々としている。

 すると金髪碧眼の男子生徒の方から話しかけられる。

 

「初めマシテ...聖石矢魔部長連合ボクシング部部長。新庄アレックスデス」

「.......」

 

 爽やかに自己紹介をしてくるアレックスに反して、竹刀袋を担ぐ彼は何も言わない。

 その態度が気に食わないのかアレックスは彼の方へ指を刺す。

 

「....榊クン。君も名乗ったらドウデスか。私一人名乗って見たいじゃないデスか。さぁ!!」

「────...萌え..」

「ナニを言っているんだ君は!ていうか目をアケろ!!!」

 

 コントみたいなやり取りを始める二人によって空気が緩み始めるが、邦枝は警戒を解かずに用件を聞く。

 

「...何の用かしら。私達は知り合いに会いに来ただけなの。そろそろ帰るから退いてくれないかしら?」

「......」

「それとも無抵抗なワタシたちに暴力を振るう?六騎聖さん」

 

 邦枝の言葉にアレックスは少し口角を上げる。しかしそれは優しいものではない。静かに、それでいて無慈悲な物だ。

 

「賢いお嬢さんデスね。ただ一つ勘違いをしていマス」

「....勘違い?」

「我々が行うのは暴力ではありまセン」

 

 アレックスの言葉を聞いている邦枝に、突如悪寒が襲う。

 

 咄嗟に身を捩って一歩ずれると榊が獲物を振り抜いており、艶やかな黒髪の一部がざっくり切られる。

 

(竹光!?)

 

「我々が行うは制裁です」

 

 榊はすぐさまもう一度竹光を鞘に収め構える。閉じているように見える瞳の奥を燃やして、隙を見つければすぐさま切れるように。

 邦枝は隙を見せずにあたりを見渡すが武器になるものが見当たらない。

 

「.....梓ちゃん。定規か何か持ってない..?」

「え?」

 

 

 邦枝が選んだ武器。それは可愛らしい動物の絵が散りばめられた15cmの定規だった。

 

 それは素人目に見ても無茶と分かるものだ。榊は剣道部の主将であり、初太刀の速度は時速250kmを超えるほど。

 それほどの達人相手に邦枝はプラスチックのたった15cmの定規で挑もうとするのだ。まさしくそれは自殺行為。しかし

 

「────きなさい

 

 彼女は依然堂々と構え、榊を迎え撃つ。その挑発に榊は乗り竹光を全力で抜く。

 

 

 

 

 超高速で抜かれたそれは最早常人の目には何も見えない。まさしく超速の一振り。達人による神業だ。

 

 

 

 しかし...

 

────フッ!!!

 

 

 

 邦枝はそれの上を行く。超速で振り抜かれた竹光に合わせて、プラスチックの定規で斬り、甲高い音が廊下に響く。

 

「──.....激..萌え...」

「なんと....」

 

 邦枝の神業に教室の野次馬たちだけではなく六騎聖の2人も驚き冷や汗を流す。

 すると次はアレックスがネクタイを緩めて男鹿の方へ近づいていく。

 

「なるほど...少々みくびっていまシタ....本気でお相手しまショウ」

 

 男鹿はその言葉を聞いて、凶暴な笑みを浮かべる。

 

「....後悔すんぞ?」

「アダ」

 

 


 

「遅いっスねーツムっち」

「何してんだ?アイツ」

 

 古市が三木と話している頃、烈怒帝瑠のメンバーである花澤由加と飛鳥涼子は外のベンチで昼ごはんを食べていた。

 飲み物買ってくるはずの古市がなかなか来ない。迷子にでもなったのかと2人で心配になってきた。

 

 そんな2人に3人の聖石矢魔の男子生徒が近づいてきた。

 

「うぉ!見ろよスケバンだスケバン!!」

「スゲー初めて見たオレ」

「本当にいんだなこーゆーの。なんか良くね?なんか新鮮な感じで」

 

 そんなことを言ってくる3人に不快感を覚えた花澤と飛鳥。いつもなら脅して追っ払うのだが、邦枝からトラブルを起こさないようにと言いつけられている為、下手なことはできず眉を寄せるだけだった。

 

 しかし3人は2人の様子に大人しいと勘違いしたのか調子にのって声をかけに行く。

 

「君タチ何年?俺一年三組」

「バカ!聞いてねぇよ!お前のことは!!アホかよ」

「バカだなまずは知ってもらうことから始めんだよこーゆーのは!!」

 

 笑いながら絡んでくる3人に花澤と飛鳥はさらに不快感を覚え、追い払おうと声を上げる。

 

「ちょっと何アンタら。見ての通りオレたち飯食ってるからどっかいってくれない?」

「お?何?殴っちゃう?手ェ出したら退学だよ?」

「てかその弁当手作り?美味そーじゃん」

「....こいつら」

 

 心底舐めている態度にイラつく飛鳥だが睨むだけで何もできない。そしてその態度にさらに調子に乗って、2人の腕を掴む。

 

「取り敢えずさぁオレたちと向こうでお喋りしようよ」

「!?離せよ!」

「まぁまぁそー言わずにさ」

「ちょっと..!!」

 

 

 

おい

 

 そんな彼等の後ろから野太い声が響く。恐る恐る振り向けばそこには2mを超えた三つ編みツインテールの男。

 城山が威圧するように立っていた。

 

ウチのモンに何か用か?

 

「ひ...ひぃ..」

 

 城山の威圧感に1人が腰を抜かすが、残りの2人はビビるどころか冷静に返事を返す。

 

「....別にぃ?」

「オレらおしゃべりしてただけっすよ。なんかマズイっすか?」

 

 不遜な態度言い返す2人に城山は目を細めるがすぐさま、視線を花澤と飛鳥へ向ける。

 

「.....お前ら行け。こんな所で揉めてもどーにもならんぞ」

「..あざっス」

 

 城山の言葉に従ってそそくさと離れる2人にあわてて追いかけようとする男たち。しかしその前を遮るよう回り込んで立つ城山。

 

「ちょっと何してくれんスか!!俺たち結構マジだったんですよ!!」

「そーっすよせっかく勇気だしたのに!!オレたちの純情を返せ!!」

「ちょっと2人とも...」

 

 息巻いて捲し立てる2人を先ほどビビって腰を抜かした男が嗜めようとする。

 すると馬鹿真面目の城山は驚くべきを提案しだした。

 

「...そいつは悪かったな..詫びにお前ら一発ずつ殴らせてやる。 それでチャラだ」

「「「は?」」」

 

 その提案は当然男たちにとっても想定外であり、目を見開く。

 

(ま..まじかよ!今時こんなセリフ言うんだ!ダセエエエエェェェッ!!!)

(恥っず!!!流石石ヤバ!!イタすぎだろ!!)

 

「さぁ、いつでもこ────ッ!!」

 

 促す城山の声は、後頭部から響く金属音と衝撃によって遮られる。城山の背後には先ほど腰を抜かしていた男が歪んで血のついたパイプ椅子を持っていた。

 

「...やっ..やった...」

「ナイスー!うはははよくやった!!」

「どっから持ってきたんだ!?そんなの!」

「そ..そこの倉庫から」

 

 近くにあった校舎の倉庫から持ってきたらしく、そこへ指をさすと2人とも急いでそこへ走っていく。

 

「よっしゃ!!んじゃオレのも受けてくれよー!?」

 

 出てきた男が投げたのは15kgと記されたダンベルだ。城山は回避もせずまたもやモロに受け、膝をつく。頭が割れたのか頭部から血が止まらない。

 

「...よぉし..後.1人だ」

 

「すげぇ!!マジでコイツ何もしねーぞ!?うはははは!バカだコイツ!!」

「よーしんじゃ俺はこれで行っちゃおうかな!?」

 

 はしゃいで笑い声を上げる男。そしてさらに調子に乗ったもう1人の男は両側に20kgのついたバーベル持ってきた。

 

「おぉ!?それ言っちゃう?漢だねぇ!!」

「いやいや..!流石に死んじゃうでしょ!」

「うっせーよびびってんじゃねぇよ今更」

 

 パイプで殴った男が静止をするがテンション高まった2人は止まらない。2人がかりで階段の上からバーベルを城山目掛け放る。

 

 バーベルには両側に20kgずつ、そしてバーベル自体も20kg。合計60kgもする物を人体にぶつければ、当然怪我ではすまない。

 しかし城山は逃げない。血を流しすぎて、もはや立てずに膝をついているがそれでもバーベルが落ちてくるのをただ待つのみだった。

 

 

 そうして60kgのバーベルは、

 

 

 

 城山に当たる前に割り込んできた人物によって真っ二つに斬られた。

 

 

 

 

「「...は?」」

 

 鉄のバーベル真っ二つに斬るという現実離れした事実に男たちは呆けてしまう。

 

 妙な風を纏った右脚を振り上げていたその人物は綺麗に輝く銀髪をウルフカットにしている石矢魔の女子生徒、古市紬貴だ。

 

 振り上げた脚を下ろすと古市はすぐさま城山の方へ向き直り、整った顔を歪ませる。

 

「城山!!大丈夫!?」

「...おまえ..」

「救急車呼んでるから!ほら少し横になって!!」

 

 頭から血を流す城山を横にして、血が止まらない箇所にハンカチを当ててる。

 その姿をみた聖石矢魔の男たちは慌てた様子を見せる。

 

「..きゅ、救急車だってよ!流石にやばいんじゃ..」

「バカ!今オレたちが逃げれば問題ねぇだろ!あの銀髪のねーちゃんが何言ったって信じて貰えるわけねぇし!!」

「さすが!!そうと決まればさっさとずらかるぞ!!」

 

 急いで走って逃げていく男達を古市は気にせず、城山に声をかけ続ける。

 

「城山!!寝ちゃ駄目だよ!!目を開けて!!」

「...すま....ん」

「謝んないでよ!!アンタが悪いわけじゃないのに!!」

 

 古市は徐々に弱くなっていく城山の声に顔さらに歪ませる。すると背後から多人数の人間走ってくる。

 

「患者はどちらに!!」

「こっちス!!」

 

 救急隊をつれて花澤と飛鳥が走ってきたのだ。

 

 

 

 その後城山は救急車に乗せられ病院へ連れて行かれることになり、その姿を花澤と飛鳥は心配そうに眺めていた。

 

 無論古市も城山を心配して見送っていた。

 

 

 

 

 

 

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