TS異能力古市   作:ブッタ

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第21話 退学です。

 

 

 風が吹く。

 

 

 

 途方もない怒気が辺りに満ち、見えない質量を持つ威圧感が息を忘れさせる。

 

 

 

 風が吹く。

 

 

 

 

 屋上に立つ者たちが感じる肌を突き刺すような凍てついたドス黒い感情は、指すら動かすことを許さない。

 

 

 

 

 風の中心が緩やかに風をたなびかせながら歩き出す。

 

 

 

「───どいつもこいつも..やれ喧嘩だの、因縁だの.....どーでもいいことをグダグダと...」

 

 心底呆れた様子を見せる彼女は身体から漏らす激情とは裏腹に静かな声で呟く。

 しかし、彼女が一歩地面を踏み締める度にこの場の重力は重く降りかかる。

 

「ほんっと無駄な喧嘩だよ....そんなモンより先にやることがあるでしょうが。ねぇ?六騎聖さん」

 

 彼女の冷え切った鋭い目が静かに彼らを捉える。それだけで六騎聖の面々が竦んでしまう。

 

 しかしただ1人、出馬はそれをモノともせず柔らかい雰囲気で古市を宥めるように話しかける。

 

「せやなぁ..。確かにコッチにも非はある....やけどまずは()()()()()()()()()()()()()()皆んなが怯えてしゃあない...」

「.......」

 

 そう近づく出馬に古市は....

 

 

 

 

 乱雑な蹴りを鳩尾へ突き刺し、足から風を爆発させる。

 

 

 

「!!出馬さんッッ!!?」

 

 腹を蹴られた出馬が風を切って吹き飛び、三木は荒れる風と共に吹き飛ぶその姿に目を見開くほど驚き声を張り上げて出馬をみる。

 しかし吹き飛ばされた出馬は膝をつくが、腹の前に腕をだしておりそこから煙が上がっていた。寸前のとこで防御が間に合ったようだ。

 

「全力で受け流してコレかい...こんなん人間の出せる威力やないで?」

「........」

「せやけどその風...無闇に人前でつこたらアカンやろ」

 

 古市の風を暴発させた蹴りを受けた出馬の腕は赤く腫れ上がり、痙攣している。

 警鐘にも似た出馬の言葉に古市は何も言わずに振り抜いた脚をゆっくり下ろし彼に向かってゆっくり歩き始める。

 

 

 しかし彼女の前に立ち塞がりそれを阻む三木。

 

「そこまでだ古市さん....良い機会だ、ここで貴女を────

少しだけ期待はあったんだ

 

 戦闘態勢となった三木の言葉を古市は遮って話し出す。

 

「男鹿に引き摺られてここへ来る途中....もしかしたらと期待していたんだ」

「....さっきから何を────

「だけどいざ蓋を開けてみれば、オマエは男鹿とくだらない喧嘩を始めた。そうじゃないだろ?オマエらがやるべき事は...そんなくだらない事じゃない」

 

 古市は三木の胸倉を掴み、頭突きをする勢いで顔を近づけて睨みつける。

 

 

 

 

 

 

「オマエらがやるべきだったのは...城山をやった3人をここへ連れてきて謝罪させることだろうが

 

 

 

 

 

 

「オマエらはあの3人に神崎へ...そして何より病院の城山のとこまで連れて行って土下座させるべきなんだよ..」

「.....それは」

「だけどオマエはそれをしない。それどころかここで私怨を含んだ私闘をけしかける....!!」

 

 古市は地面へ叩きつけるように三木の胸倉を離して、見下ろすように冷えきった目を向ける。

 

「なぁチビ....オマエら(六騎聖)ワタシら(不良)は何が違うんだ?」

「──ッ!ふざけるな!!僕らは不良なんかとッ」

 

「今のオマエにソレを言う資格はないで久也」

 

 声を荒げる三木に静かに告げる出馬は三木の肩を掴んで下がらせる。

 

「六騎聖は治安維持の為に制裁を下すことを許されとる...それは決して暴力を振るう事を許されとるわけやない」

「...そ..れは」

「オマエが六騎聖に加入するときに僕が言った言葉や。昼間ん時の騒動、オマエは生徒たちを守る為に拳を振るった...だが今はちゃう。オマエだけやない。郷くんも榊もアレックスも私利のために拳を払ったんやから全員六騎聖失格や」

 

 出馬の言葉に三木は何も言えずに俯くが、彼は気にせず古市へ向き直る。

 古市は相変わらず冷めた目つきをしていた。

 

「しかし、キミもキミや。確かにあの3人に間違いなく非はある。やけどそれはキミらが昼間に暴れていい理由にならへん。賢いキミならどう見られとるか知っとる筈やろ」

「関係ないね」

「ブレへんな...やから僕らも彼等を連れて来れへん。もし連れてきて怪我なんてさせたら僕らの信用は地に堕ちる」

「どーでも良いよ」

「そらキミにはね」

 

 心底興味なさそうに言葉をぶった斬る古市に、出馬はため息をついてしまう。

 

「....ま、取り敢えず今日の所は帰ってくれへんか?でないとさっき静さんが言うたように警察のお世話になってまうで?」

「ふざけんな。まだ話しは..────ッみぎゅ!?」

「帰るぞ古市」

 

 出馬にまだつっかかろうとする古市は急に後ろから男鹿に首根っこを掴まれ変な声が漏れるが、男鹿はそんなこと気にせず出口へ向かって引き摺って歩く。

 

「たくっテメー頭冷やしてろつったろーが。余計な世話焼かせんじゃねーよ」

「ゲホっ!?お..お前マジでいきなり後ろから引っ張るのやめろ!!涙でちゃうじゃんかよ!!」

「そーかい。そりゃ良かったな」

「イかれてんのか!!」

 

 引き摺られながらぎゃあぎゃあ文句を言ってくる古市をテキトーに聞き流して出入り口までくる。すると男鹿は見知った顔をそこで見かけた。

 

「あ?オメェらそこでなにしてんだ?」

「あ...アニキ」

 

 山村と藤崎がドアから覗いていたのだが、2人の視線、特に山村の視線が怯えが孕んでいる。

 2人が先ほどの古市の雰囲気に呑まれていた事に気づく男鹿はあえて指摘しない。

 

「...オメェらさっさと帰れよ。それと明日は迎えに来なくていいぜ」

「え...ア、アニキそれは..」

「じゃあな」

 

 そう言って男鹿は背中越しに手を振って階段を降り始めるのだった。

 

「ちょちょ!!男鹿!流石に手離して!?怖いから!!ちゃんと帰るから!!!」

 

 古市を引き摺ったまま。

 

 

 


 

 その後全員屋上から出ていき、出馬はアレックスを保健室へ運ぶついでに静に赤く腫れ上がった腕の処置をされていた。

 

「スマンなぁ静さん。ここまでしてくれてホンマ頭上がらんわ」

「何言ってるのよ。今更」

 

 処置に使った道具を片付ける静の背中に感謝を述べる。するとふと静の手が止まる。

 

「....ねぇ。あの子一体何者なの?」

「ん?」

「古市さんよ..。あの時明らかに古市さんを中心に風が吹いていたわ..そして極め付けに貴方を蹴った時の暴風。普通じゃないわよね」

「...まぁそーやな。普通やなかった..けどそれよりごっつ怖かったわ。睨まれた時なんか..」

「逸らさないで」

 

 静の言葉に出馬はおちゃらけるも、誤魔化されずに追求していく。

 

「あの時貴方は風を仕舞えって言っていたわよね。つまりアレが何かを知っているてことよ」

「....静さん。僕は彼女とは今日が初対面ですよ..なんも知りません。それにきっとそういう事は彼女から聞くべきです」

「....それもそうね..それはかなり難しいと思うけれど」

「あんなに敵意剥き出しにされたらそら難しいですわ」

 

 けらけらと笑って同意する出馬は手首を回して調子を確かめつつ、先程の古市が操る風を思い出す。

 

「ホンマ、恐ろしい人やで..あの練度。天賦の才て奴やな...」

 

 


 

 六騎聖と戦った翌日の朝。今日も今日とてワタシは男鹿を家まで迎えに行って学校へ登校する。

 道中昨日の騒動を見ていた聖石矢魔の生徒から陰口を飛ばされていたがそんなの気にせず元気に登校した。

 

 そんなワタシ達に待ち受けていたのは...

 

「もちろん..ウチの生徒にも非はあった。それは認めよう。しかし君達は厳重注意を受けての過失。故に退学処分だ。何か言い分はあるかね?」

 

 呼び出しと退学通告でした。

 

 ちなみに呼び出されたのはワタシと男鹿だけではなく、神崎、東条、姫川、夏目、そして葵の7名である。

 ワタシは飴を口に咥えながら今日の晩御飯のことを考えていると葵が一歩前に出る。

 

「...今回の責任は全て皆を止められなかった私にあります。私が退学になるのは仕方ないことです。ですがせめてこの場にいる者はせめて聖石矢魔の方々と同じ処分であるべきです」

 

「───フム..ちなみにウチの生徒で処罰対象は3人。城山君に怪我を負わせた彼等はそれぞれ二週間の停学処分となっている。そして部長連には特に処罰はない」

「──なっ!?何故です!?」

「おいおいおい」

 

 カス3人に対してまさかのたかだか2週間の停学、そして六騎聖への処罰なし。これには不満なのか葵と姫川が声を漏らしてしまう。

 しかし目の前に偉そうに座っているおっさんはさらに言葉を続ける。

 

「彼等とキミ達とは立場が違う。彼らには校内の秩序を守るための制裁行為が認められており、特に君達が来ると決まってからはその権限を強く行使するようこちらからもはたらきかけた。──彼等に落ち度は無いよ」

 

 オッサンの言葉には葵とだけでなく神崎と夏目が眉を顰めて不満を口にする。

 

「納得できませんそんなの!!」

「話にならねーな...」

「じゃ何か?こっちはやられっぱなしで黙っとけって話ですか?」

「ちょっとあんた達も何か言いなさいよ!!」

 

 すると何も言ってなかった男鹿と東条に葵が言う。

 

「「...あー..」

 

 しかし2人はなんだか不満というより他のことを考えているようで心ここにあらずといった様子。

 なにを考えているのか..それは

 

「とりあえずあのメガネとケンカしに行っていーか?」

「オレもあのチビぶっとばさねーと」

「話聞いてた!!?」

 

 こんな事だ。あまりにも脳筋というかバトルジャンキーな2人の答えに葵はツッコむも諦める。するとぐりんっと首をこっちに回してきた。怖いよ。

 

「紬貴!!紬貴からもいって!!」

 

 なんかもう半ば縋るような目でこっち見てくる。

 

「...うーんワタシは別に六騎聖はどうでもいいんだけど、あのカス3人がたった2週間なのはどうなの?」

「そうだ..オレたちが退学なら、城山やったアイツらも退学だろーが」

 

 ワタシの疑問に神崎も乗っておっさんに詰めるが、顔色変えずおっさんは答える。

 

「我々の見解として彼等の行動は積み重なってしまった精神的負担から来る事故だと認識している」

「「───は?」」

 

「知ってのとおり君達石矢魔の生徒達が同じ校舎にいることは、ウチの生徒にとってはあまりにも大きいストレスになっている。そこへ不幸なことにそちらの生徒とウチの生徒が顔を合わせてしまったことが引き鉄で不慮な事故。故にこの処分だ」

「───テメェふざけんなクソジジイ!!」

「ダメよ神崎!落ち着いて!!」

 

 滅茶苦茶なオッサンの言い分に神崎は堪忍袋の緒が切れて飛びかかるも、葵が後ろから抑える。

 

「放せ邦枝ァ!!」

「気持ちはわかるけど此処で暴れたらッ!退学じゃすまないわよ!!」

「知るかァッ!!」

「ちょっと!手伝ってよ男鹿!」

 

 暴れる神崎を抑える葵と男鹿を横目にワタシが口を開く。

 

「それは流石に無理があるでしょおっさん。それにお気に入りの六騎聖から聞いてないの?その時の動画をワタシが持ってるって」

「あぁ聞いているとも。君が精巧に作った()()()()()()のことならば」

「...あー。そーいう感じ」

 

 何がなんでも今回の騒動の原因を石矢魔の生徒であるワタシらだけに責任を負わせたいらしい。

 ならば仕方がないと諦め、ワタシはオッサンに近づいていく。

 

「そういえばおっさん。石矢魔を受け入れると決めた時、相当保護者たちと揉めたんだって?」

「...?いきなりなんの話だ」

 

ワタシが唐突に始めた語りに意図が汲めないのか目を細めるおっさん。なのでワタシはおっさんが肘を置く長机に腰を下ろす。

 

「大変だよね..ただでさえココはワタシたちの石矢魔の高校と近くて評判が悪くなりがちなのにさ。それでも聖石矢魔が今の今まで優等生の集まる名門校でいられるのはきっとアンタら先生方と優秀な先輩たちの弛まぬ努力賜物だ」

「何が言いたい」

 

 

 

 

「いやね?そんな貴方がたが大事に積み上げてきたこの名門校が..ワタシが動画をネットに流すだけで全て崩れ落ちる様はさぞ滑稽だろうなって

 

 

 

 

 

 その言葉におっさんが目を見開き、ワタシは口角が上がるのを抑えられない。

 

「何を言うかと思えば、そんなフェイク動画を流したところで...」

「そうだね。後からアンタらがフェイクだと公表すれば表向きは何の問題はない」

 

 おっさんの言葉を肯定しながらワタシは机から飛び降りてわざとらしく大きく腕を広げ、まるで演説をするかのように大袈裟な所作とともに言葉を続けていく。

 

「────ただ、人の心はどうだろう?品行方正であるはずの聖石矢魔の生徒が、まさかあの恐ろしい石矢魔の生徒を笑いながらリンチにしている姿を見て人は何を考えるかな..」

「........」

「ワタシだったらこう考える...───聖石矢魔は優等生の皮を被った不良の巣窟だと」

 

 我ながら無茶苦茶な暴論だと思うが、それは間違いなく可能性のあるリスクである。

 だからこんな荒唐無稽な話をおっさんホラ話と聞き流せない。

 

「....無茶苦茶な話だ。脅しのつもりか?所詮子供の浅知恵だ。そもそも君がネットに流したところで本当に広まるとでも?毎日数千数億の情報が波のように流れていくこの社会で」

「広まるさ..だってこっちには....」

 

 おっさんの問いにワタシはポンっと姫川の肩に手を置いて堂々と答える。

 

「天下の姫川グループのご子息がいらっしゃるのだから..ね?坊ちゃま?」

「次そのふざけた呼び方しやがったら殺すぞ?」

 

 坊ちゃま呼びはお気に召さなかったらしく、めっちゃ睨まれる。こわ

 

「しかしまぁ、コイツの言うとおりオレに掛かればそんなビデオ広めるのに1時間もいらねえ。なんせインパクトのある動画だ」

 

 ワタシの手を払い落とす姫川がクイッとサングラスの位置を戻しながら、うっすらと笑顔を浮かべて話し出す。

 

「人は事実よりもオモしれぇ方を信じやすい。たとえオマエらが後からフェイクだと公表してもそれを上回るスピードで日本中を動画駆け回るぜ」

「.....貴様ら..ッ」

「オレ達を退学にするならばすりゃあいいさ」

 

 姫川はおっさんに優しくワタシ達の退学を促すように話す。

 

「ただそうしたが最後、この学校はオレらと変わらず無秩序が蔓延ることになるぜ?」

「────ッ!?」

 

 その言葉と後ろで凶暴な笑みを浮かべる石矢魔(ワタシら)見て漸くおっさんは気づく。

 

 そう。ここにいるのは天下の石矢魔の中でもさらに危険とされる人物だ。むしろ退学をすれば鎖から放たれた獣のように暴れ回るだろう。

 とくに男鹿と東条は今にも六騎聖へと殴り込みに行くと言わんばかりに闘志が燃え上がり身体から漏れている。

 

 ワタシは机に手を置いてオッサンと間近に目を合わせる。

 

「もし..ワタシ達の退学を取り消して、あの3人を退学にするならワタシがアイツらを抑えてあげてもいいよ?当然動画もいまここで消すさ」

「────っ!」

「いいやまだだね」

 

 ワタシの提案に姫川が足りないと言ってさらに条件を付け足しいく。

 

それと六騎聖の権限とやらも取り下げてもらうぜ?

「それはっ───!!」

 

「ええで」

 

 ワタシと姫川の脅しに肯定の声をあげるのはおっさんじゃない。窓の向こう中庭からだ。

 目を向ければそこにはなぜか昨日見たメガネがいた。

 

「ただ、それは僕らに勝ったらの話や」

「ああ?勝ったらって────

 

「おぉ!オマエそこにいたのか!ケンカしようぜ」

 

 メガネの登場により今まで大人しかった東条が嬉しそうに凶暴な笑みを浮かべてズンズン窓へ歩いていく。

 

「ケンカはせぇへん。僕らが戦うんはスポーツでや」

「は?スポーツ?」

 

 あまりにも突飛な事を言ってきたのでワタシはついオウムのようにそっくり聞き返してしまう。

 

「せや。1ヶ月後に行われる学園祭にて僕ら部長連と君らで学生らしくスポーツで決着をつけようって話や」

「いやいや..そんな」

「そんでそこで君らが僕らに勝てばさっき言った条件を全て呑む」

「オレたちが負けたら?」

 

 姫川の質問にメガネはさも当然のように答える。

 

「そりゃ負けたら大人しく退学してもらうで?喧嘩もトラブルもなんもなしや。どうです先生?」

「...キミがいいのであれば」

 

 すると姫川がおもむろに懐から何かを取り出してオッサンへ向ける。

 

「なら、オレのスマホに勝負内容、そして今の条件をおっさんの声で録音しろ」

「...いいだろうしかし、勝っても負けても動画は消してもらうぞ」

「あぁ。ただし勝負の後でな」

 

 そんなやり取りの後オッサンは勝負の内容、日時、場所、条件、そして容認したオッサンの名前を姫川のスマホに録音した。

 ちなみにその勝負までの間ワタシ達の退学は保留となるらしい。

 

「よし..これで成立だ。あぁそうだこの契約は破らないでくれよ?ウチの優秀な弁護士たちは報酬が高くて、オレの小遣いだとキツいんだ」

「.......あぁもちろんだ」

 

 姫川の言葉にオッサンが首を縦に振る。こうしてワタシたちと六騎聖とのスポーツ対決が決まったのだった。

 

 

 

 

 

 教室に戻り、勝負のことについてワタシ達が駄弁っていると久々に見た我らが担任が新たな転校生を紹介し始めた。

 

「えー..突然ですが今日は転校生を紹介します。君入って」

「はい」

 

 先生の言葉に入ってくるのは、見知った顔。

 

「えーと名前はヒ...ヒル...?」

「ヒルデガルダです。ヒルダとお呼び下さい」

「これ本名?」

 

 なぜかヒルダが聖石矢魔の制服を着て、そこに立っていた。

 

白目を剥いて驚くワタシと男鹿。そして嬉しそうに目を煌めかせるベル坊。

 

 

 

 

よろしく....

 

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