高評価、お気に入り、感想ホンットォにありがとうございます!!!!
最近筆の進みが遅くなってしまっていますが最近新大陸の調査に励んでいました。申し訳ありません..
おかしい。
ワタシはさっきまで爺さんの寺にいたはず。それなのに何故ワタシは今...
────カタカタカタカタカタカタカタ
見知らぬ殺風景な部屋に拘束されて拉致られているのだろう。わけわかめ。
「....ここどこ」
「オメーもいたのか...」
聞き覚えのあるイカつい声に顔を向ければそこには顰めっ面をした神崎が同じように拘束されていた。なんならその隣に姫川もいた。
「なんなのさコレ。ワタシをどーしたいの、ていうかアンタも拘束されてるけどどんなプレイする気?こわ...」
「ざけんな潰すぞクソアマ!!オレだってテメェなんざ願い下げだ!!」
「はぁー!?こんな美少女捕まえといてその言い草!?」
「そもそもオレじゃねぇわ!!オレだとしてもテメェなんざ選ばねぇよ!!」
クソ失礼なこと抜かしやがるこの極道と額をくっ付けて睨み合っていると隣に居た姫川が口を開いた。
「うるせーよてめーらこんな時に...つーかマジでここどこだ?さっきまでテレビ見てたらいきなり変なデケェオッサンが現れたとおもったら...」
「それって...ヒゲの奴か!?」
「...もしかしてお前もか?」
「あぁ...晩飯食ってたんだが気づいたらその変なオッサンが混ざってて...そして...なんか割れたよーな..」
「奇遇だな...オレもそのオッサンが割れてたぜ」
2人による共通の
────カタカタカタカタカタカタカタ
「ていうかさ...あれ何?カタカタうるさいんだけど?」
「軍曹だろ」
「...うさぎなのに?」
「軍曹だな」
「足キャタピラだし、斧持ってるのに?」
「「軍曹だ」」
「テキトー抜かすな」
カタカタうるさい足音で歩き回る謎のウサギ型のおもちゃを指さすも2人は思考を止めて同じ言葉をぬかす。その軍曹ってのも胸に書かれてるやつだし。
「どーやらオレ達拉致られたよーだね..」
「夏目!!いたのか!?」
どうやら他にも被害者がいたようで、いつもの飄々とした夏目の声に神崎が勢いよくそちらへ向く。しかし
「「「なんだ!?その格好!?」」」
彼はタオル一丁...ほぼ全裸だった。
「フロに入ってて.....辛うじてタオルは巻けたけど..」
そういう彼の身体は湿っていて、うっすら湯気が出ており風呂上がりであることを理解させる。
もうこれこの人が1番の被害者でしょ。いつもの余裕そうな表情保ててないもん。目死んでるもん。
「そこに東条もいるよ...寝てるけど」
ーんごぉぉお..
ほぼ全裸のパイセンが光のない目を向ける先には野生的にイビキをかいて鼻提灯を膨らませている東条がそこに横たわっていた。
ちなみに彼の寝巻きは意外にも可愛い色んな動物さんが散りばめられたパジャマだった。
いいなぁそれ。ほしい。
「よーするに退学組が集められたみたいだな」
「なら男鹿のヤローもいる筈だっ!どこに...」
神崎の言葉にワタシも首を回して辺りを見回すがそんなに広い空間でもない為すぐにソイツは見つかった。
焦げ臭い匂いとともに。
「「「───黒こげとるッ!!」」」
それはもう焼肉で存在を忘れられた肉のように真っ黒になって気を失っており側に座るベル坊がペシペシとアイツの頬を叩いている。
でもやっぱり飽きる気配はなくただただ声もなく煙あげるただの焼死体となっていた。南無。
すると拘束されて動けないワタシ達の後ろから聞き慣れた凛とした声がかけられる。
「全員集まったようだな....では早速だが本題に入るぞ」
「テメーの仕業かオガヨメェ!!!どーゆーつもりだゴラァ!」
「そーいやあのオッサンも見たことあんぞ!!」
「さっさと帰らせろやブス!!!」
「じゃねーと酷い目に遭わせんぞ腹黒女!!」
こ れ は ひ ど い
この拉致事件の黒幕であろうヒルダが姿を現すと神崎と姫川はキャンキャン吠える犬のように元気よく次々と口早に罵倒と脅しをかける。
しかし相手は正真正銘の悪魔、当然言われっぱなしで終わるはずもなく騒ぐ2人の顔面を一蹴りで凹ませ、文字通り彼らの抗議を一蹴させる。
「騒ぐな」
一発KOされた2人は勿論、それを見ていたワタシもほぼ全裸のパイセンも口を開かない。
「私は唯の使いだ。貴様らを集めたあるお方のな」
「あるお方だぁ?」
「うぉ..起きたのか男鹿」
いつの間にやら黒焦げの状態から復活きた男鹿が隣に座ってくる。そしてヒルダは懐から謎のディスクを取り出してうさぎ軍曹のおもちゃに近づいてしゃがみ込む。
そしてヒルダが右の耳を引っ張るとうさぎ軍曹がパカッと大口をあけてディスクトレイを露わにする。
「このディスクにその方からのお言葉が入っている。それを見てもらうぞ」
そう言ってヒルダがディスクをセットして、うさぎ軍曹の左耳を引っ張り口を閉じる。
するとうさぎ軍曹のつぶらな目が光り壁へ映像が映される。
....プロジェクターなんだそれ。
そんな言葉が漏れそうになるのをグッと堪えて胸中に留める。しかしヒルダ言うあのお方とは誰なのか...それは映し出される映像ですぐにわかった。
映像越しでも一目で高級と分かるソファに偉そうに腰掛けるその男は随分と筋肉質でデカく、あまりにも特徴的な口髭をこしらえた...
「ご機嫌よう諸君。私の名はアラ...違った..Mrバレーボール」
「「「「───さっきのオッサンじゃねえか!」」」」
「なんでモニター越し!?」
「黒幕気取りか!!」
「無駄に画質良い!?4kだ!?」
「帰っていいか?」
「直接来い直接!!ブッ殺してやる!!」
ワタシ達を拉致ってきた張本人がそこにいたことでワタシ達はそれぞれ勢いよく声を上げる。
しかしオッサンはそれを気にも留めず余裕を崩さずに口を開く。
「フフフ..いいねその若さに負けん気。そんな君達を集めたのはある映像を見てもらいたいからだ」
「...ある映像?」
「では早速...VTRスタート!!」
テレビMCのようなポーズと共に映像が切り替わり、映るのは市民体育館。オッサンが言うには六騎聖たちがスポーツ対決に向けて特訓しているらしい。
さらに映像が切り替わり、六騎聖の1人である....なんかすごい美人がサーブを華麗に決めて見事彼等が勝利を収めている瞬間だった。
「彼等の相手チームはスポーツで有名な大学のバレー部なんだが..それでも相手にならなかったらしい。どうだね少しはやる気を出したかな?」
オッサンの補足説明により六騎聖のレベルがとんでもないとわからせられる。
「おいおい..こいつらシロートじゃねぇだろ」
「ねぇ男鹿みた?あのちょーデカい胸」
「胸かよ」
「超揺れてたな」
ワタシの指摘に答えたのは姫川。さすが見所がどこかしっかりわかっている。するとほぼ全裸パイセンがそれを流して口を開く。
「それより..不味いんじゃない?これ」
「ケッ下らねぇな。要は勝ちゃあいいんだよ。なぁ古市」
「そうだね。どんな手使ってもバレなきゃ関係ないね」
「どんな手って...例えば?」
ほぼ全裸パイセンに聞かれてパッと思い付く物を口に出す。
「ドリンクに下剤盛るとか?」
「人質とるのもいいな」
「それで勝ってうれしーのかよ姑息コンビ」
「あー嬉しいね!!超スカッとしますが何かッ!?」
「それよりワタシとコレを一緒にしないでくんない?フツーに嫌です」
「古市テメェ裏切ってんじゃねえぞ!!」
非常に不本意な呼ばれ方を神崎にされたのでワタシは抗議の声をあげて、そんなワタシに姫川が怒る。
しかしそんな姫川が突如何かを察知したかのような画面の向こうのオッサンを呼ぶ。
「おいオッサン!!今んとこ音量デカくしてもう一回再生しろ!!」
「え..なにいきなり」
「だまって聞いてろ」
唐突かつ意図の見えない行動に困惑するワタシ達に姫川はなにも言わずに画面に集中する。
場面は今六騎聖の...すごい美人さんと三木が活躍している。
《てゆーかぁ。あのリーゼントぉ超キモいんですけどぉ》
《ですよねーしかも姑息ですし。人質とか取ってきそー》
《あるあるぅ。卑怯ていうか..ちっさーい》
《練習する気合いもないですよ絶対》
なにこれ
こんな喋り方じゃなかったろ2人とも。声も明らかにオッサンが無理してアテレコしてるって丸わかりだよ。せめてキャラは寄せよーよ騙すなら、こんなんじゃ誰も...
「───なんだぁ?コイツら...」
姫川、キレた!!!
ウソでしょ..こんなのに引っ掛かんないでよ。明らかおっさんの声だよ?
駄作もいいとこのフェイク動画はさらに進んでいき、標的を変える。次に映し出されたのはアマチュア無線部のイカつい人と萌え萌え言ってた目閉じてる人。
《そーいやあのロン毛も本気出すとか相当うざいZE⭐︎》
《神崎とかいうバカもいたけどどんな顔か忘れたZE⭐︎》
「「あ゛ぁ゛???」」
お ま え ら も か い
もう今の2人に至っては語尾変だったよ?文字だけ見たらどっちが話してんのかわかんないよ?全裸パイセンもいつもの謎の強キャラ感はどこ?
《まてまて君らそんなことゆーたら東条とか言うヤツはドブの匂いがしたZE⭐︎》
《だったら男鹿と赤ん坊はうんこ
「「ホウ..?」」
ちなみに今のセリフは関西弁のメガネと男鹿に一発KOされてた外国人。相変わらず酷いアテレコだけどこの2人に至ってはむしろ引っかかってる方が通常運転。
この空間が5人の男達の燃え上がる闘志によって蒸し暑くなってきたと感じていると画面が切り替わりまたおっさんが映し出される。
「さて諸君。どうかな?やる気はでてくれただろうか?」
そんな問いに男鹿が一歩でて答える。
「決まってんだろ..アイツら全員..」
「「「「「ぶっ潰す!!!!」」」」」
もうバカばっか。
「ていうかヒルダ。ワタシのビデオはないの..」
「オマエは必要ないだろう?邦枝からオマエは明日から参加すると聞いていた」
「....じゃなんでワタシまで..」
「理由はない。なんとなくだ」
この天然ドSめ!!!!!!!!!
翌日、聖石矢魔学園にて体育館に向かうための渡り廊下を烈怒帝瑠の面々が歩いていく。今日も今日とてスポーツ対決に向けての練習のために体育館を借りたようだ。
「しっかし..アイツら来ますかねぇ退学組ぃ..」
「男鹿の女があんだけ大見得きったんだ。これで来なかったら大笑いだよアタシは」
花澤と大森の会話を聞いて邦枝は昨日の出来事を思い出していた。それは突然この学校に転校してきたヒルダが、練習に来なかった退学組達を今日連れてくるといった約束だった。
無論そうなるのであれば嬉しいが、彼等は石矢魔の中でもトップのごうつくばりの連中だ。来いといって素直に従う連中でもないし、無理矢理連れてきても練習に参加する筈がない。
────そう思っていた。
「古市ぃ!!レシーブ上がったぞ!!!」
「あいあい」
「こっちによこせ!」
「いーやこっちだね!」
「いや
体育館に入ると昨日まで居なかった退学組が物凄い熱量でバレーボールの練習に取り組んでいた。
「...い..一体......これは..」
「遅ぇぞ邦枝ぁ!!!さっさとコートに上がりやがれ!!!」
珍しく熱くなっている様子の姫川を見て邦枝達の脳内はさらに混乱が極まる。しかしこの現状を引き起こしたであろうヒルダへ問いただしてもただ意味深な笑みを浮かべるばかりで何もわからない。
なので邦枝は理由を聞かないことにした。何があったのかは知らないが問題児たちがここまでやる気を見せているのだから良いことだ。そう自分に言い聞かせてコートへ上がる。
「そーいえば..リベロは誰がやるの?」
「「「「「リベロ?」」」」」
古市の疑問に問題児達は頭にはてなのマークを浮かべ首を傾げる。しかし彼等はリベロが一体何かの説明を受けると目の色を変える。
「まぁリベロってのは色々制限があるけど、何度でも交代できる守備専門のポジション。いわゆるチームの要的なかんじ」
「要..?それはあれか?キャプテン的な奴か?だったらオレが...」
「一年坊なんざにそんなもん任せられるか。キャプテンだったらこのオレに決まってんだろーが」
「いやいや..オメーらみてぇな単細胞な奴らじゃつとまらねぇ。この姫川様がやってやるよ」
「「「あ?」」」
リベロをキャプテン的な立ち位置と勘違いした男鹿と神崎と姫川が睨み合い始める。
しかしそこに邦枝はまったの声をかける。
「リベロをやるのは私よ。あんた達何もわかってないでしょう?」
「...おいおい邦枝ぁ..いきなり横からなにいってんだ?」
「そんなにキャプテンやりてーのか?」
「違うわよバカ」
突っかかってくる神崎と男鹿を一蹴する邦枝。しかし彼等は引き下がらずどんどんと収拾が付かなくなっていく。
すると壁で静観していた筈のヒルダがボールをもってネットの向こう側に立っていた。
「フン..これでは埒があかないな...ならば私のサーブを拾えた者がリベロとやらでよかろう」
「はぁ?テメェなに勝手に仕切ってんだオガヨメぇ..だいたいオレは..」
神崎の言葉は彼の頬を掠めたヒルダの殺人的なサーブにより遮られ、床から天井まで打ち上がったボールは大きな音を立てて破裂した。
それは悪魔ですら恐れ慄かさせるほどの威力を持ったサーブ。神崎はもちろん他の人間も文句は言えなくなる。
「さて..誰から始める?」
「私よ」
ヒルダの言葉に迷いなく答えるのは邦枝。彼女は先程の悪魔のサーブを見て怯えるどころかすでにポジションについていた。
「そうか...では準備はできているか?」
「いつでもどうぞ」
邦枝がそういえばヒルダはボールを上に放り、高く飛び上がって身体を大きく反る。所謂ジャンプサーブだ。
身体を大きく反ることで彼女の豊満な胸が強調され、一部男子がどよめく。そして
───体育館が震えるほどの衝撃と轟音が響き渡る。
彼女のボールは邦枝の目に捉えられることなく足元の床を跳ね体育館の壁へとめり込む。
「な...なんだァ今のサーブ!?」
「人間業じゃねぇだろ!?」
「今パンツ見えなかった?」
明らかに人間の膂力を大きく越えたそのサーブに驚く一同。壁にめり込んだボールが未だに煙を上げながら回転していることでその恐ろしい威力を表している。
「あ..あんなのとれるわけねースよ....」
「ヒルダのパンツ見てないだろーね姫川ァ」
「寝てろ」
花澤や大森達が顔色を青くている横でなにやら古市が変な絡み方をしているがそれは置いておく。
ヒルダは驚愕を隠せず固まったままの邦枝へ煽るように笑みを浮かべる。
「終わりか?」
「......もう一本」
「────もう一本..お願いします」
しかし邦枝は諦める気など微塵もなく、気合を入れて次を促す。彼女から放つその圧は烈怒帝瑠を抜けても依然変わりない他を圧倒するものだ。
「..フ...よかろう」
ヒルダはカゴから取り出したボールをもう一度上に放る。それに対して邦枝は
「姐さん!?なんで目を閉じて..!?」
邦枝は目を瞑りゆっくり大きく息を吸い込む。
ヒルダのボールは人間の反応速度を超えて放たれる...その為眼で追っていても間に合うどころか、視覚の情報が他の感覚を邪魔をして動きを鈍らせる。
故に彼女が考えた方法は予測。ボールが空気を裂いて動く気配、音、流れ、其れ等を最大限に感じる為に視覚を捨て軌道を予測し先回りをすること。
それは武術の達人でさえ困難を極める至難の業..しかし邦枝にとってそれは..
(────いつもやってることよ!)
先ほどよりも大きな轟音が体育館中に響き渡る。ヒルダのサーブは明らかに威力も速度も上げている。
しかし邦枝は目を閉じているのにも関わらず素早く滑らかに銃弾のごとく進むボールの落下地点をドンピシャで回り込みレシーブで受ける。
床に当たることなくレシーブで上げられたボールは高く上がりネット前に落ちる。
「か..返したー!?」
「姐さんっやりましたね!!」
「鬼パネェっす姐さん!!」
サーブの衝撃に尻餅をつく邦枝に歓声の声をあげて大森と花澤が駆け寄ると同時に退学組の5人がコートへ入ってくる。
「何してんださっさと入れよ。しょーがねぇからキャプテンはテメーに譲ってやらぁ」
「リベロね」
ぶっきらぼうに言う男鹿に古市は端的にツッコむ。そしてヒルダは邦枝へ近づいていく。
「という事だ。これから貴様がキャプテン...しっかりまとめるんだな」
「...あなた..はじめからこのつもりで」
「さてな」
そう言ってコートの外へ歩いていく彼女の背中を邦枝はただただ見送っていた。
そして男鹿が拳を突き上げる。
「よっしゃあ!!
「「「「「おぉ!!!!」」」」」
今までバラバラだった石矢魔は六騎聖という共通の敵の前にかつてないほどの結束力を高めていく。
彼等との対決はもうすぐだ。
「...あと少し」
床に散乱した破けたサンドバッグに囲まれた三木が拳を握り呟く。
禁足地も行きたいなぁ...PS5買わねば。