TS異能力古市   作:ブッタ

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第40話 ゲームは1日24時間まで

 

 一足早く秋空広がる魔二津の朝から男鹿も影組4人組も修行に励む中、邦枝は住職の孫娘である樫野に連れられ山の中にある古く長い階段を歩いていた。

 

「イサちゃん待ってー!ここって一般客立ち入り禁止の山道よね?私達が入って大丈夫なの?」

「大丈夫..!お爺ちゃんが葵ちゃんに言ってた合わせたい人がこの先の奥の院に居るの..」

「奥の..院?」

 

 昨夜の住職の話を聞いた後、邦枝は彼等寺の僧が収める除霊の術及び悪魔祓いの力に興味を持ち、そして彼女はその術を教えてもらえるように頼み込んだ。

 だがしかし、彼等の術は一朝一夕では身につくものではなく、それこそ1週間やそこらではどれだけ才能があっても形にすることは出来ないと住職は語る。

 

 それでも彼女の悪魔と戦えるようになりたいという強い思いに住職が根負けし、樫野が仕事を手伝っている時に使っている一つの方法を伝えた。

 

「この先に..私がお爺ちゃん達の仕事を手伝う時に、必ず力を借りにいく小さな祠があるの..」

「そこが...天狗塚てことね...」

 

 天狗塚。この天狗伝説が伝わる魔二津の山の中でも関係者のみしか踏み入ることを許されていない領域。オカルト好きの間ではそこに本物の天狗が棲み、今でも人間を怨み呪い続けているという。

 

 そうこうしている間に樫野と邦枝はその天狗塚に佇む祠へと辿り着く。壁や屋根、注連縄に年季を感じさせるがそれ以上に丁寧な日頃の手入れがされていることが所々から感じる。

 

「すごい...こんな所があったんだ..」

「───待って葵ちゃん!!」

 

 感心するように呟きながら祠へと近づく邦枝に制止の声をかける樫野。その言葉と共に祠から何かを感じ取った邦枝は反射的に後ろへと飛び去る。

 

 突如立っていた地面を切り裂く不可視の斬撃が走り抜けた。木々を巻き込み抉れた地面がその斬撃の威力を物語っていた。

 

「これは...紬貴の..!?」

 

 見覚えのある技に驚く邦枝に駆け寄る樫野。だが祠から言いようもない圧迫感に2人は気圧される。

 

諌冬...誰やそれ..

 

 低く重い声が辺りに響き渡る。

 

ワシはお前以外の人間の立ち入りを許した覚えはないで?

「ごめんなさい..!で、でも天狗さん話を聞いてください..!この人は私の友達の邦枝葵さんと言います!悪魔と戦う方法を知るためにここへ来ました..!」

知らん、そんなんどーでもええ。諌冬..ワシの言いつけが守らんのやったらもう金輪際力を貸さん..

 

 祠の声の主は樫野の言葉を一蹴し、それどころか今後の協力を拒むような話を仄めかす。さしもの樫野も声を詰まらせてしまうが、邦枝がそれを是としない。

 

「ちょっと待ちなさいよ!イサちゃんは関係ないでしょ!私が勝手に連れてきて貰ったんだから!!」

ほう..ワシの声が..?ほうか..嬢ちゃん"心月流"ントコの娘か

「なんでそれを..」

 

 教えてもいないはずなのに目の前の声の主は一発で彼女の出自を言い当てる。するとその声は驚く邦枝に少し興味を示したようで言葉を続ける。

 

ただの人間が悪魔()()なんてアホなこというと思ったが..まんざら見込みがないわけやないか

「.....」

ほな嬢ちゃん..2、3質問するから答えてみぃや

「私を試そうてわけ...?」

面接みたいなモンや..何もワシらかて無償で力を貸すわけやないからな..

 

 ここで邦枝は一抹の不安が脳裏によぎる。果たして目の前の存在をこのまま信じて良いのか、住職の言う通りならば"妖怪の筈"の祠の天狗は人間の敵ではないのか。ここで不用意に答えるのは危険でないのかと。

 

 しかし、現に樫野はこの存在に認められているようで、住職もそれを認識している....そして何よりここで二の足を踏んでいてはいつまで経っても男鹿や古市に追いつけなくなる。

 覚悟を決めた邦枝は静かに首を縦に振る。

 

「..いいわよ」

ええ度胸や。ほな問一

 

 

 

ズバリ、スリーサイズは?

 

 

「は?」

 

 質問の意味を理解できない、というより自動的に理解を拒んだ邦枝の口から脳を介さずに言葉?が漏れた。

 

せやからスリーサイズやスリーサイズ!!上から順に早く答えんかい!!

「えーと...質問の意味がよくわからないんだけど..?」

意味とかちゃうねん!!知りたいねん!!ごっつ知りたいねん!!ほらええから言うてみ!?

 

 質問に意味などなかった。心なしかなんだかさっきまでの威厳ある喋り方崩れていくようにも聞こえる。

 

ワシの見立てやとぉ...上から七十────

「ちょっと失礼ね!!目測で70台って決めつけないでよ!?」

 

  勝手に目測を始めた祠の声に邦枝は胸を抱くように自身に腕を回して、恥ずかしそうに睨みつける。

 

いやぁその胸は80ないやろw

「なにわろとんねん。」

 

 半笑いの声に返す邦枝は氷のように冷たかった。

 

「イサちゃんコイツなんなの..」

「天狗さんは力を貸しくれる代わりに毎回ちょっとえっちな質問してくるんです」

「とんだセクハラ親父じゃない...。ひょっとして住職さんは知ってるの?」

「お爺ちゃんにはこのことを知られないことも約束なの」

 

 とんでもなく下らない生態に邦枝は頭を抱える。

 

なんや嬢ちゃん..この手の質問苦手か。ほな出血大サービスで質問変えたるわ

「あんな質問しといて上からなのが本当に腹立たしいけど..ありがとう」

 

 

 

今どんなパンツ履いてんの?w

 

 

 

 もう声は出なかった。その半笑いの質問を聞いた途端、身体の中の何かが切れた音を邦枝はハッキリ聞こえた。

 

 数秒固まる彼女を心配する樫野。しかし邦枝は踵を返して藪から手頃な長すぎもせず短くもなく、手頃な木の枝を見つけると澱みなく祠へと足を踏み入れる。

 

「あ、葵ちゃん?」

お、おい?ちょっと何を──

 

 

──心月流抜刀術 弐式 百華乱れ桜!!

 

 

ぎょええええええ!?

 

 躊躇なく振るわれる木の枝は邦枝の手によって木刀に勝るとも劣らない破壊力を発揮して壁や柱を切り崩した。

 

──百華乱れ桜!!

 

 さらに振るわれる木の枝は風情ある瓦の屋根を容赦なく粉微塵にした。

 

──百華乱れ桜!!

 

 怒りのままに振るわれた木の枝は昔から伝わる天狗の祠をただの瓦礫へと変えた。

 

 きのぼうつよい。

 

 

 

 ひと通り更地に変え、正気を取り戻した邦枝だがこれで怒りは収まらず祠の注連縄だった物を踏みつけ声を張り上げる。

 

「出てきなさい!!天狗だかなんだか知らないけどアンタみたいのが妖怪だってんなら妖怪も悪魔も私が滅ぼすっ!!!

「お...落ち着いて葵ちゃん..!?」

 

 目を吊り上げ青筋を浮かべる彼女は今までにないほどにブチ切れている。なんとか彼女の怒りを収めようと樫野が働きかける。

 そんな最中、一欠片の瓦礫が音を立てて動いた。

 

「ちょ..ちょちょ!?待ちぃ!!分かった分かったから!!わしの負けや!!」

 

 もう威厳もへったくれもないが話し方と声色だけでその声の主は先ほどまでの祠の天狗だということが分かる。

 邦枝は声の方向へ急スピードで首を回すが、そこで動きが固まる。

 

「こーさん!!こーさんやからもうそないなモン振り回さんといて!?」

「....アンタが..天狗?」

 

 その天狗はよく想像される長い鼻が特徴的な恐ろしい姿とはかけ離れていた。背丈は彼女らの膝に届かず手足は短い、そして何よりその身体は天狗というよりは...

 

「犬?」

「狛犬や!!天の狗と書いて天狗なんやから間違いやないやろ!?」

 

 ずんぐりむっくりの体型の狛犬と名乗るソレが必死に弁明する。しかし先のセクハラ発言と狛犬らしからぬ憎ったらしい顔つきで樫野はともかく邦枝の怒りは収まることはなく、木の枝を振り上げる。

 

 

 魔二津の山に鈍い打撃音と汚い悲鳴が何度も響き渡ったという。

 

 


 

「よーし、ここいらで十分だろ。水飲むか?」

「....何が十分だコラ...結局5時間ずっと踊ってただけじゃねぇか」

 

 "早乙女'sブートキャプin 山奥"が終わる頃、正午をずっと過ぎていた。どこに隠し持っていたか、早乙女は取り出した水の入ったペットボトルを四つん這いで文句をこぼす男鹿へと投げ、息を切らしつつ男鹿は難なく受け取る。

 

「元々オマエは身体能力だけは高いからな、この二日間邦枝のジーさんに叩き込まれた動きの基礎は出来てる。サクサクと次のステップに行くぜ」

「次...まさかまだ踊るとか言うんじゃねぇだろーな....」

 

 そんな男鹿の怪しむ声に応えるように早乙女はラジカセを地面に音を立てて置いた。

 

「ラジカセ..テメェまじか?」

「フッ..安心しな、踊りはしねぇが次のステップはコイツを使う。そもそもこのラジカセはな.."魔界産"だ。意味わかるか?」

「魔界だと?」

 

 早乙女はタバコの煙を吐き、地面に置いたラジカセのボタンを一つ押す。すると中のカセットが回り、黒い靄が立ち込め始める。

 

「コイツには音楽を再生する以外に、録音した声の主を実体化する機能があってな。してこの中にゃさっきまでのお前達の声が録音してある」

 

 彼の説明を証明するようにラジカセから立ち込めた黒い靄が徐々に人の頭、胴体、腕と上から形を成していく。

 

「もう分かるだろう?お前らにはこれから..────お前ら自身と戦ってもらう」

 

 そして黒い靄は彼等の前に姿を現す。そこだけまるで影が落ちたように靄の姿は真っ黒で顔は見えない。

 しかしそれでも一つだけ分かることがある。

 

 

「...ちっちゃ」

 

 

 靄の背丈は男鹿の膝に届くか届かないかといったところ。そして顔は見えないが素っ裸でおしゃぶり咥えているように見える。

 

 どう見てもベル坊の姿なのだ。

 

 ベル坊の姿をしたソレはヤル気たっぷりにシャドーボクシングをするが、男鹿は呆然としつつソレに指をさして早乙女に問う。

 

「..おいおい、どんだけベタな修行かと思えば..こんなんと戦えってのか?言っとくけどベル坊1人の時とか虫に泣かされるぞ?」

「ベタにはベタなりに理由がある...が、ふむ。どうやら赤ん坊の声が大きすぎたようだな。だが..」

 

 タバコの煙を吐く。

 

「ソイツが弱いとは限らんぞ?」

「は?そりゃい────ッ」

 

 男鹿の言葉が続く前に、靄のベル坊の拳が鳩尾に突き刺さる。いくら油断していたとはいえその拳の威力は半端ではなく、衝撃は身体中を駆け巡り背中を貫通する。

 激痛と驚愕に襲われる男鹿はなす術なく顔を歪ませ、靄はそのまま男鹿を近くの岩場へと殴り飛ばす。直線的に殴り飛ばされそのまま岩へと激突し大きな岩が男鹿の上へと砂埃をあげて崩れ落ちた。

 

「なんせこのラジカセは録音した声の主の潜在能力をそのまま引き出すからな」

「...まじかよ」

 

 崩れた岩を押し退け立ち上がる男鹿は未だ身体に響く鈍痛に顔を歪ませていた。

 

「気張れよオメーら。想定外にも難易度は幾つも跳ね上がりやがった..なんせ相手は"未来の大魔王"だからな」

 

 早乙女の警告と共にベル坊の形をした靄はさらにやる気を滾らせる。彼等の修行はより激しく、そして危険に熱を帯びていくのだった。

 


 

 

 さて、彼等が新しく力を得るために奔走している最中、古市率いる石矢魔不良軍団は焔王達の居場所を探るためにゲーム対決に没頭していた。

 異次元の下手くそさを持つ古市とこの時代に見合わないほどの機械音痴の大森という二つの荷物を抱えながらも、焔王率いるゲーム廃人軍団相手に善戦していた。

 

 ただ普通に戦っていても侍女悪魔達が連れてきたゲーム廃人達に勝てる訳ないが、道中パー子もとい花澤が超レアな巨大兵器を手に入れることで形成は不良軍団へと傾く。廃人達も激しい抵抗を見せるもその兵器を前にして虚しく蹴散らされていた。

 

 しかしこのまま焔王、そして彼の周りにいる侍女悪魔がただ負けを受け入れる筈もなく、イザベラの魔術"魔言召喚"により透明化した兵士、透視能力などそのゲームないはずのシステムを使い、優勢に事を運んでいた不良軍団を追い詰めていくのだった。

 

 最早彼等に勝ち目は無い、そうチームの雰囲気は沈んでいきゲームオーバーとなった古市、大森、花澤、城山、神崎は仲良くゲーム部屋の廊下で真っ白に燃え尽きているのを何処かへ電話していた姫川が見つけた。

 

「....何をやってんだ?テメーら」

 

「姫川...どうやらワタシ達には荷が重かったみたい」

「死体置き場っス」

「神崎さん..守り切れずすみません..!!オレが..オレが...!」

「言うな城山ぁ...オレ達ぁ目一杯やったさ...」

「......」

 

 悟りを得たように何処か見つめる古市といつもの賑やかさを捨てた花澤が灰となって崩れ落ちそうになり、城山と神崎は一昔前の任侠映画みたいなやり取りをしていた。

 

「バカなことやってねーでさっさと部屋戻れ。反撃すっぞ」

 

 ただ1人姫川だけがゲームにやる気を燃やしていた。彼の言葉聞くと全員目を白黒させており、古市と神崎は互いに身体を寄せ合いヒソヒソと話す。

 

「...聞いた神崎クゥン。あの人反撃とか言ってるよ?悔しすぎて壊れちゃったのかな?」

「アイツ馬鹿だぞ古市、蘇生されずにゲームオーバーとなると試合が終わるまでは観戦しかできなくなるってアイツが言ってたくせにな..?」

聞こえてんだよコラ。いいからさっさと部屋に戻って席に着け下手くそ共」

 

 燃え尽きていた敗北者5人は姫川の言われるがまま部屋に戻る。部屋の中では依然夏目と谷村そしてラミアが奮闘していた。

 

「姫ちゃん、電話終わったの?」

「おう待たせたな。よし全員席に着け」

「し、しかしさっき神崎さんも言ったようにオレ達は死んでいるぞ?」

「いいからつけタコ」

 

 有無を言わさない姫川に城山は大人しく座ってコントローラを持つ。

 

「ククッ...このオレ様にイカサマなんぞ舐めた真似してくれやがる..」

「...オイコラ。何勝手に1人で舞い上がってんだ?オレ達に説明しろや!」

「そーだそーだ!おしえろー!」

「おしえろッスー!」

 

 一人で怪しく笑う彼に神崎が文句を垂れ、古市と花澤は悪ノリで便乗する。

 

「黙ってろ三馬鹿。なーに簡単な話さ、目に目を..向こうが"透明人間"ならこっちは"アンデッド"だ」

 

 

 

 一方相手の焔王チームは廃人達を中心に生き残った不良チームのメンバーを追い詰めていく。あとは消化試合といった最中で、一つ問題が発生。

 それは今の今まで焔王が倒されてしまわないように彼女らが奮闘した結果、何も出来ない彼の機嫌が悪くなっていたのだ。

 

「.......」

「イザベラ、そろそろ行かせてあげても良いんじゃない?坊ちゃまぶんむくれちゃってるじゃない」

「ぶんむくれてないもん!」

「そうですね...」

 

 破裂せんばかりに頬を膨らませている焔王に侍女悪魔のヨルダとイザベラは内心焦る。このまま勝つことは容易いが、その後のご機嫌取りに死ぬ気で取り組まなければならなくなることは想像に難くない。

 

「...それではいきましょう坊ちゃま。私たちと一緒に生き残り共を蹴散らしましょう」

「ほ、本当かイザベラ!?」

 

 その言葉に不機嫌の表情を一転、目をキラキラさせ喜ぶ焔王。そして彼等は辺りを蹂躙していた巨大兵器を降りて、見つからないようにイザベラの魔術で透明化しながら敵を捜索を始める。

 

 そして見つける。透明化した彼等に気付かず壁に隠れる無防備な敵の背中を。

 

「いましたよ坊ちゃま。カモです!」

「う、うむ!」

「大丈夫こちらの姿は見えていません。落ち着いて背後から頭を撃ち抜いてください」

 

 鼻息あらく興奮を少し隠せない焔王。しかし敵に近づく足はゆっくり一歩ずつ慎重だ。かなり時間をかけて漸く彼は敵の目と鼻の先まで近づき、もたつきながらもゆっくりと銃の照準を頭へ向ける。そして思い切って引き金を引いた。

 

 ほぼゼロ距離で放たれた銃弾が外れる訳もなく敵は頭を撃ち抜かれて倒れ伏した。

 

「や、やったぁ!!見たかヨルダ!イザベラ!」

 

 初めて敵を倒したことで声を上げて喜ぶ焔王。侍女悪魔達も嬉しそうに駆け寄ろうとしたその時、

 

 ────透明化の魔術が消えた。

 

「透明化が!?」

「私は切ってなど..!坊ちゃま!!」

 

 その異常事態に気付かず喜ぶ焔王の背後で、ついさっき頭を撃ち抜かれた筈の敵がのそりと立ち上がる。

 撃ち抜かれた頭の傷から血と脳漿が溢れながらも立ち上がるそのキャラクターの風貌を説明するならば...

 

.「みぃ〜つけたぁ〜」

 

 神崎(極道)のゾンビだった。

 

「ぎょええええええぇぇえ!?」

「坊ちゃま!?今行きます!!」

「アイツ今死んだ筈じゃ!?」

 

 極道ゾンビに襲われる焔王を救うべく銃を構えて駆け寄るが、彼女達の前に上空から人影が飛び降り妨害する。

 

「次は何..!?」

「さっきは よくもころ してくれたっス ねぇ」

「新手か..!退きなさいヨルダ!!」

 

 新たに現れた花澤ゾンビにイザベラは容赦なく手元の自動小銃の引き金を引いて打ちまくる。身体中を撃ち抜かれ血だらけとなった花澤ゾンビ、しかし彼女はそれでも倒れず彼女達へと襲いかかる。

 

「ウキャキャキャキャキャキャキャキャ!!!!」

「き、効かない!?」

「坊ちゃまは確保したわ!!逃げるわよイザベラ!!」

「ま..まさか向こうにもプログラムを書き換えられる者が..?いやしかしこれは最早そんなレベルでは..!!」

 

 

 

 イザベラの言う通りこれはプログラムを書き換えるだけではない。姫川が打った最大の一手はチートやハッキングすら足元に手が届かない彼のみしか許されないモノ。

 

「────買い取った?」

「ああ、このゲーム自体を買い取った。チートなんざセコイ真似するまでもなく、これで設定弄り放題だ」

 

 気だるげに背もたれにもたれ掛かりながら話す姫川は悪人ヅラを浮かべていた。ゲームブランドを買い取ったことにより姫川はやりたい様に設定いじくりまわした結果、不良軍団には無限体力、透視、オートエイム、超身体能力など強化を入れ、相手の焔王チームの透明化などのチートの強制解除、全武器の極端なナーフが入る。

 

 これにより相手の廃人達はまともに戦うことが出来ず、ゾンビ達に蹂躙され尽くされ一気に形勢が逆転する。

 しかしこのまま大人しく負ける彼等ではなく、イザベラは自身らが保有する超レア最高戦力"二足歩行大型戦車二式"を改造して殲滅を図る。その兵器の耐久力を攻撃力を大幅に上げ、主砲を機関銃のように連射可能にするなどクソゲーを押し付ける改造を施した。

 

「アホが...そんなモンたった一体でオレ達に勝てると思ってんのかよ」

 

 だが悪知恵の働く姫川がそれを想定してないはずもなく、通常1000試合に一機スポーンするかしないかの確率の"二足歩行大型戦車二式"を5台既に自軍の物としていた。

 当然すぐさま設定を弄り直し姫川達の優位となるようなものに作り変えられている。

 

「行くぞオメェら!!」

 

────超絶合体!!

 

 

 驚き慄く焔王達を置いて、姫川達は5台の兵器を変形及びドッキングさせていく。

 

 無機質だった筈の兵器は形を変え、やがてニチアサの戦隊モノの様な巨大人形ロボへと姿を変えた。

 

 

マックス・デ・イシヤマオー!!!

 

 

 最早戦争ゲーム特有の重厚感溢れる世界観を無視したロボットに改造した焔王達は兵器ですら太刀打ち出来ず..

 

「"ダイヤモンド・エビル・アロー!!!"」

 

 一撃の鉄拳にて彼等は全員葬り去られた。

 

 

 そうして姫川達不良軍団の画面に"YOU WIN"の文字が映った。

 

──勝ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

 ゲーム対決の勝敗を決し、姫川達は大きく勝鬨を上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...これ何のゲームだったのよ古市」

「...さぁ?」

 

 喜ぶ彼等の傍らでラミアと古市はぼそりと溢した。

 





古市ちゃん(...普通に遊びたかったなぁ..)



 どーでも良いことかも知れませんが...この作品のタイトル変えるかもしれません(震え声
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