最果てのサーガ ~夢のポケモン世界に転移したんだが、転移先があまりにも過酷すぎる件~   作:野傘

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第24話:真昼の月

【ゴーゴートの バーストわざ!】

 

 

【“ガラガラ・ドーンストンプ”!】

 

 

 

 ──雷が落ちた。

 

 そうとしか形容できない衝撃が、『鳴神の霊峰』を揺さぶった。

 

 戦場を満たす目も眩むほどの閃光。

 大気をつんざき響き渡る轟音。

 森羅万象を打ち砕く雷蹄の一撃が、大地に深々と穴を穿つ。

 

 これこそが『秘伝王技(ヒデンオウギ)』。

 ユールの覇者たるキングの力、その再現。未だカナタとイワンコが至らぬ、真なるキャプテンが振るう奥儀であった。

 

「──これにて、決着であるな」

 

 閃光と轟音が収まり、抉れた大地が剥きだしとなった戦場(バトルコート)。ラクサは相対するカナタへそう告げた。

 

 巻き上がった土煙が視界を覆い、互いの相棒の姿を見ることは叶わない。

 だが、“つるのムチ”で拘束されたところに秘伝王技(ヒデンオウギ)が炸裂したのだ。結果など火を見るよりも明らか。

 雷王秘伝──“ガラガラ・ドーンストンプ”は秘伝王技の中でも随一の威力を誇る一撃。あらゆる守りを粉砕し、古くは「打ち砕くもの(ミョルニル)」とも綽名(ケニング)されたこの“わざ”を、耐えられる者など在りはしない。

 即ちこの勝負、ラクサたちの勝利である。

 

「キャプテン・カナタ、そして狼王の眷属よ。其方らの奮戦、実に見事であった。未だ進化に至らぬ身ながら、この吾輩らを後一歩まで追い詰めた戦技巧……称賛に値しよう」

 

 だがカナタたちもまた、全てが劣ってる状態でラクサたちを敗北一歩手前のところまで追い詰めたのだ。まさしく健闘といってよいだろう。

 故にラクサは掛け値なしの称賛をカナタたちへと送る。

 

「確かに勝負には敗北したが、其方らが吾輩に示した“力”は間違いなくキャプテンに相応しきものであった。認めよう、其方らには我がキング(オオイカヅチ)に拝謁する資格があると」

 

 格上の相手にも決して怯まず、最後まで食らいついてみせる胆力。

 一撃でも喰らえば終わりの猛攻を悉く凌ぎ切り、果ては“オルタナバースト”による反撃さえ行う戦技巧。

 いまだ未熟な部分はあれど、彼らの戦いぶりは既にキャプテンたるに相応しいものであった。破れこそしたもののキング(オオイカヅチ)に見える資格は十二分にあろう。

 彼らは見事、“英雄行路(チャンピオンロード)”第一の試練を突破したのだ。

 

「この一戦、勝敗を分けたのは偏に経験の差。このまま腐ることなく精進なされよ。さすれば、いずれキャプテン・カナタもこの領域(秘伝王技)へとたどり着くであろう」

 

 将来有望なる若き才能へ、先達としてそう言葉を投げかけたラクサ。

 

「その暁には是非、吾輩と再びもう一戦「──最初から」──?」

 

 だが、ラクサが続いて口にしようとした言葉は──次の瞬間、カナタが発した声によって遮られた。

 

「最初から、マトモにやっても勝てないことは分かってた」

 

 淡々と、呟くような調子でそう言うカナタ。

 伏せられた顔には影がかかり、ラクサにその表情は伺えない。

 

(──なんだ?)

 

「当然っスよね。知識も、経験も、トレーナーとしての実力も、相棒(ポケモン)のレベルだって……何もかも負けてるんスから」

 

(──何を、言っている?)

 

「だから──狙いは始めから()()だった」

 

「!!」

 

 瞬間、ラクサは自らの肌がゾワリと粟立つのを感じた。

 

「最後の最後、勝負に決着(けり)をつけたその瞬間──アンタたちが全力を出し尽くした、その時。そこが俺たちの唯一の勝機だった」

「……ッ!! キャプテン・カナタ!! さっきから何を言っている!?」

「“何を”……? そんなもん、決まってるっス」

 

 原因は、再び顔を上げたことで露わとなったカナタの瞳。

 

「勝負はまだ」

 

 その奥にギラつく──。

 

終わっちゃいねえ……!!

 

 ──闘志の炎だった。

 

 

(バカな! 勝負は既に着いたはず……!?)

 

 

 “ガラガラ・ドーンストンプ”は森羅万象を打ち砕く雷蹄の一撃。数多の“ぬしポケモン”を打倒した秘伝王技(ヒデンオウギ)だ。直撃すれば、いかにキングの眷属であろうとも耐えられる筈がない。

 おまけに炸裂の瞬間、イワンコの体には“つるのムチ”が巻き付いていた。即ち、“秘伝王技”を避けることは不可能だったのだ。

 

 そう。冷静に考えればこの勝負、ラクサとゴーゴートの勝利に揺るぎはない。

 にもかかわらず、キャプテン・カナタのこの自信は一体なんなのか。

 

 “何か、自分に理解できないことが起きようとしている”。

 形容しがたい“ざわめき”を覚えながら、反射的に戦場(バトルコート)を見やるラクサ。

 『霊峰』に吹きすさぶ風により、立ち込めていた土煙が晴れ、徐々にクリアになっていく視界。

 次の瞬間、ラクサは(あらわ)となった戦場の光景を目の当たりにして──。

 

 

「──な」

 

 

 ──思わずして息を呑んだ。

 

 彼の目に映ったもの、それは。

 

「バリ、リ……ゴゥ……」

 

 全ての力を使い果たし、荒い息で膝をつくゴーゴートと──。

 

「ぐ……ぎ……うぅ!」

 

 ──四肢の全てを震わせながら……それでもしっかと立つイワンコの姿であった。

 

(……ありえん! 秘伝王技(ヒデンオウギ)の直撃を受けてなお立つだと!?)

 

 あまりにも信じがたい光景を前に、ラクサの脳が理解を拒む。

 キングの持つ力の一端、自然災害にも等しい一撃を受け、なおも斃れることなく立ち上がる。

 それも同じ(キング)ならいざ知らず、その血を引くといえどもたかだか眷属に過ぎないイワンコが、だ。

 彼我の間に横たわる歴然たる力の差を鑑みれば、まさしく“ありえない”としか言いようがない。

 

(──否! こうして目の前で起きているのならば、かの眷属が秘伝王技(ヒデンオウギ)を耐え抜いたことは紛れもない事実! 必ずどこかにそれを可能としたカラクリがあるハズ!)

 

 だが、ラクサとて長年キャプテンとして務めを果たしてきた古強者。

 すぐさま思考を切り替え、イワンコが何らかの仕掛けで以て耐えたのだと当たりをつける。

 次いでその要因を探らんと視界を広げたラクサは──ほどなくして“それ”を見つけ出した。

 

「……つ、き?」

 

 戦場の上空、真昼の空に浮かぶ……皓皓たる“満月”を。

 

 

 

 極彩の月虹(オルタナオーラ)に縁どられ、燦然たる輝きで以て天に座す満月鏡(まんげきょう)

 降り注ぐ日差しにも負けず、むしろ圧するかの如く戦場を照らすその様は、まるで局所的に“夜”が訪れたかのようであった。

 

 ──これこそが、カナタたちの真なる奥の手。

 先代キャプテン・ラッセルが編み出した、三種のバーストわざが一つ。

 

「──ガッと受けたら、グッと堪えて」

 

 敵より受けた一撃を力に換え、己がオルタナオーラと共に撥ね返す。

 

「──キュピン! バキン! ドカーン!」

 

 “月”を冠せし、その名は。

 

「バーストわざ、“とこよづき・まんげきょう”!

「ウルオオォーーン……!!」

 

 

【イワンコの バーストわざ!】

 

 

【“極夜築・満月鏡(とこよづき・まんげきょう)”!】

 

 

 

 

 刹那、イワンコの咆哮とともに満月鏡は砕け散り──放たれし銀の閃光がゴーゴートを呑み込んだ。

 

 

 

 

 

 『鳴神の試練』、これにて終幕。

 勝者──“挑戦者(チャレンジャー)”カナタ。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

「ガーハッハッハァ!! いや、よもやよもやだ!! 油断したつもりは無かったが……本当に吾輩とゴーゴートを下すとは!!」

 

 そう言いながらカナタの肩をバシバシと叩くラクサ。

 顔に浮かべるのはカラリとした快活な笑み。先の冷厳さはなりを顰め、纏う雰囲気はいつもの豪放磊落なものへと戻っていた。

 

「本ッ当にギリギリのところでしたけどね……。いや、マジで運が良かったっス」

 

 一方、叩きつけられる剛力に若干顔を歪めつつ、謙遜するようにそう返したカナタ。

 

 実際、カナタの元々の戦略は“がむしゃら”と“でんこうせっか”のコンボで勝負を決めるというもの。

 元よりラクサは自分たちより遥かに手練れ、真っ向勝負したところで勝ち目はない。故に相手が勝利を確信した瞬間、その意識の緩みを突いて“オルタナバースト”によるカウンターを決める。それ以外に自分たちが勝利する術はないだろう、と。そう考えたが故の策であった。

 尤もその目論見は、ラクサが返す刀で対応したことであっけなく潰えたのだが。

 

 唯一とも言える勝機を潰され、カナタはもはや敗北は避けられるぬものと覚悟を決めていた。

 事実。最後の最後、ラクサがトドメの一撃として“秘伝王技(ヒデンオウギ)”を選択しなければカナタたちは間違いなく敗北していただろう。

 “ガラガラ・ドーンストンプ”は桁違いの威力を誇る一方で、発動には通常のわざと比べて僅かだが時間がかかる。

 その僅かな時間にカナタはイワンコへ乾坤一擲の“バーストわざ”を指示したのだ。

 

 とはいえ、カナタの指示もまた完全な賭けであった。

 そもそもイワンコの“バーストわざ”の完成度は試合前の状態で凡そ8割といったところ。“わざ”が発動するか否かは運次第だった。

 ラクサが見せた敵手への敬意と、相棒(イワンコ)による土壇場での“バーストわざ”の成功。まさしく偶然と幸運が重なった上でようやくつかみ取った薄氷の勝利。

 カナタの“運が良かった”というの言葉も謙遜ではなく、本当に心の底から出たものであった。

 

「否、否! いかに幸運の助けがあったとはいえ、それをモノにしたのは紛れもなくキャプテン・カナタと眷属の実力によるもの! “運も実力の内”というが、真の強者は幸運すらも味方につけるのよ!」

 

 しかし、ラクサはそんなカナタの言葉に“否”と返す。

 

「──それに謙遜は美徳と言えども、過ぎればそれは吾輩たちへの……何より勝利のために奮闘した其方の相棒(イワンコ)への侮辱である。キャプテン・カナタはトレーナーとして、相棒の尽力を貶めるつもりであるか?」

「……そんなこと! ……いや、そうっスね。言われてみればその通りっス」

 

 “相棒(イワンコ)の尽力を貶めるつもりか”。そう言われて反射的に否定しようとするカナタ。

 が、先の自らの言動がまさしく言われた通りであることに気が付き、自嘲するように苦笑する。

 

「うんむ! 無論、キャプテン・カナタの態度は勝利に驕り、増上するより遥かによい! だが、自らの戦果を卑下することは却って相手を貶めることにも繋がりかねぬ! お互いが全力を尽くした上での結果ならば、相手からの称賛は素直に受けるのが吉である!」

「──ウッス、失礼しましたっス。ラクサさんからの称賛、ありがたく頂戴するっス」

「ガハハハッ!! 素直でよろしい!!」

 

 果たしてラクサの言葉に頷き、照れくさそうな顔で称賛を受け取るカナタ。

 そんなカナタの様子に、ラクサもまた高笑いするのであった。

 

 

「さあて、感想はこれくらいにしておこう! 我がキングに『試練』を突破した勇士をお目通りさせねばならんであるからな!」

 

 

 さてさて。カナタが一頻り勝利の余韻に浸った頃合いを見計らって、矢庭にそう切り出したラクサ。

 

 そも“英雄行路(チャンピオンロード)”とはユール各地のキングたちへ己が力を示し、認められるためのもの。先の試練はキングへの拝謁を賜るための選別に過ぎぬ。

 故にある意味“英雄行路(チャンピオンロード)”はここからが本番。キングが(まみえ)るに能わずと判断すれば、挑戦者の前にその姿を現すことはない。例え試練を突破したとて、お眼鏡に叶うかはキング次第なのだ。

 ──尤も、よほどの例外*1でもない限り試練を突破した者の前にキングが姿を現さないなどということはないのだが。

 

 だからこそ、ラクサは楽観していた。

 カナタは同じキングたるシナトマカミに認められたキャプテン。ならばオオイカヅチが認めないなどあり得ないだろうと。

 

 ──だがそんな彼をしても、次に起きたことは予想外であった。

 

「という訳で、さっそくキングの御許へと向かうである! キャプテン・カナタ、案内する故ついて──む?」

「おん? どうしたんスか……って、オワアアア!?

 

 キングの元へと案内しよう、そう言ってラクサが歩き出そうとした次の瞬間。

 矢庭に空が閃くと、彼らのすぐ傍に雷が落ちたのだ。

 

 空は雲一つない晴れ。予兆などまるでなかった。

 まさしく青天の霹靂。突然の轟音と閃光にビビり散らかすカナタ。

 一方のラクサは驚きつつも、しかし浮かべる表情はどちらかと言えば困惑の色が強いもの。

 

「まさか……御自らお()でになるとは……」

 

 それもまた当然。何せ目の前の事象は彼にとっては見慣れたものであると同時に……異例でもあったのだから。

 

オオイカヅチよ……!」

 

 果たしてラクサが思わずその名を口にした瞬間、それに応えるかのように巨大な影が立ち上がった。

 

 

「える・でぃん・げいと」

 

 

 元より大柄なゴーゴートをさらに三回り上回るであろう巨体。

 身に纏う草の毛皮は悠久の時を経て苔むしたかの如く、分厚く。

 黄金の蹄からは常時バチリバチリと紫電を閃かせる。

 顎からは老爺を思わせる長い髭が垂れ下がり、紫水晶の瞳には深い知性の色が宿っていた。

 

 だが何より目の引くのが、頭頂に戴く大角だろう。

 大槌を思わせるねじれた角はさらに巨大化し、極光を思わせる結晶によって覆い尽くされていた。

 

 土煙を押しのけ現れし此のポケモンこそが、ユール五王が一角。

 霊峰を統べし巨いなる雷霆の化身──オオイカヅチに他ならなかった。

 

 

 

“霊峰キング” オオイカヅチ らいていポケモン タイプ:くさ・でんき】

 

 

 

 

 

(まさかオオイカヅチが自ら挑戦者の前に姿を現すとは……ふうむ、珍しいこともあったものだ)

 

 通常、“英雄行路(チャンピオンロード)”を突破した挑戦者がキングに見える際は、キャプテンによって特定の場所にて呼びかけるのが通例。

 それをキャプテンが呼ぶよりも速く、しかも戦場(バトルコート)にまで姿を見せるなど異例といってもよいだろう。

 明らかに常とは異なるオオイカヅチの様相にラクサは頭を捻るのであった。

 

「あれが、キング……オオイカヅチ……」

 

 一方のカナタは現れた“霊峰キング”の姿を目の当たりにして、思わずゴクリと唾をのむ。

 ただ立っているだけなのにもかかわらず、その姿から目を離すことができない──まさしく圧倒的なまでの存在感。カナタはまるで苔むした巨大な(いわお)を前にしたかのような感覚を覚えた。

 

 

「ぶる・るーせ」

 

 

 その時、オオイカヅチの視線がつ、とカナタへと向けられる。

 

「──う、ぉ……!!」

 

 次の瞬間、凄まじいまでの重圧(プレッシャー)がカナタの総身に圧し掛かった。

 それは先の氷原キング(シナトマカミ)と対峙した時と同じ、魂の奥底まで見透かされるような感覚。

 眼前のニンゲンを勇士として認めるかどうか、値踏みする視線であった。

 

(──クソッ!! 二回目だからって慣れるようなもんじゃねえな……!!)

 

 既にラクサとの激戦で疲労困憊のところに、圧し掛かってきた重圧。カナタは内心悪態を吐きつつも、崩れそうになる身心を叱咤して何とか耐える。

 恐らくはこれが最後の試金石。ここで臆せばキングはカナタのことを認めずそのまま去ってしまうだろう。そうなれば先の勝利も全てパーだ。それだけは何としても避けなければ。

 相棒(イワンコ)が全身全霊の奮闘で齎してくれた勝利、それを無駄にする訳にはいかない。無意識の内に相棒(イワンコ)が格納されたボールを握りしめながら、カナタは必死にオオイカヅチの覇圧に耐え続けた。

 

 

「が・がるふ」

 

 

「──ブヘッ!? ゲッホゲッホ……!!」

「む! 大丈夫であるかキャプテン・カナタ!?」

 

 果たしてどれだけの時間が経ったか。唐突に重圧(プレッシャー)から解放され、カナタは激しく咳き込んだ。

 心配そうに声を掛けるラクサへ“大丈夫である”と返しつつ前を見ると、オオイカヅチは目を細めどことなく満足気な様子であった。

 どうやらカナタは無事、オオイカヅチのお眼鏡に叶ったらしい。“これで先の勝利を無駄にせず済んだ”、と内心で安堵する。

 

 

「えるる・でぃいんぐ」

 

 

 一方のオオイカヅチはやるべきことは終えたとばかりに踵を返すと、四肢に力を込め跳躍。閃光と共に、瞬きの内に姿を消したのであった。

 

「……ん? うわ、おっとッ!?」

 

 と、その時。跳躍の余波で飛んできたのだろう、カナタの目の前に「何か」が飛来する。

 飛来物の勢いに危険を感じ、反射的をそれをつかみ取ったカナタ。手のひらに感じる固い感触と大きさから、恐らくは小石のようなものだろう。

 

「あっぶね。顔面にぶつかるところだった……」

 

 危うく顔面に直撃するところだったと冷や汗を流しつつ手を開き、次いで飛んだきた「何か」へと視線を下ろすカナタ。

 

「……アレ、これって──」

「バカな……!?」

「──ウェッ!?」

 

 が、次の瞬間、耳元で発されたラクサの叫声に思わず肩をすくめた。

 

「び、びっくりした……どうしたんスか、いきなり大声だして?」

「ありえるのか……こんなことが」

 

 突然の大声に心底ビビりながら、ラクサに“いったいどうしたのか”と問うカナタ。

 されども、ラクサはそれに答えることなく、彼の掌におかれた「ソレ」を驚愕の表情で見つめるのみであった。

 

 だが、それもいた仕方がないだろう。何せカナタの手に収まる「ソレ」は正しくあり得ざるもの。

 

 

「──オルタナストーンだとッ!?」

 

 

 ──キングより授けられし、二つ目のオルタナストーン(キャプテンの証)だったのだから。

*1
なお、その数少ない例外が他ならぬルピナスである

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