一般通過レジェンダリアンの〈超級〉〜指名手配を添えて〜   作:苦悩

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ストック分、第一章完結記念。なので、初投稿です。

因みに、ペルくんは魔力を操作できた段階で、リアルの方に魔力が有っちゃったら世界征服可能です。え?デンドロ?……まあ、安全装置が正常に作動してるので……


──到達──【■■】

「それから」

 

「おい待て。それならどうしてお前は【サーラエレギー】を討伐できた。あいつ、並の魔法系超級職よりもMP持ってただろ」

 

……これから話そうとしてたのに……。

話題を先に取られた……。

 

「……あの時は全くおなじMP(・・・・・・・)だったから」

 

「……んん?つまり?」

 

「アイツ、取り憑いた相手のMPと自分のMPの間にある”壁”を取っ払って、総合値でアイツと自分の共有MP、みたいにしてたんだよね」

 

特典のスキル《魔力共有》も、そういった性質がスキル化したと考えれば辻褄が合う。

もしアイツにできるのがMPの支配なら、《魔力支配》みたいになっていた。

《共有》の説明にも、『MPを共有し、統合する』ってあるから間違いないと思う。

そしてアイツは、アイツ自身のMPでしか自爆出来なかった。

だから、どうしても爆破対象のMPを統合する手間が必要だった。

共有したMPを、吸収する為にも。

 

「だから、あの時、あの一瞬だけ。自分の実質(・・)最大MPは……10億くらい?」

 

「じゅっ……」

 

まあ、肌感覚だけど……そんなに間違いではないと思う。1000万の100倍くらいの量だったし。

 

で、ここまではおっさん達には話して、ここで討伐しました、みたいに説明した。

けど、実際はもう一撃、《再壊》の方もある。

さすがにあの時点の【サーラエレギー】に10億もMPがあると、《再壊》でも傷をつけることが出来なかった。

でも、倒せた。ということは、瀕死状態で逃げようとしてた【サーラエレギー】は、下級職一職目レベル1の自分よりもMPが少なかったことになる。

 

「……いやよく勝てたね、自分」

思わず声に出してしまうほど、可能性の低い賭けだった。

 

「まあ、10億もMP持ってるヤツを倒したんだから、そんな感想にもなるわな……てか、これで古代伝説級な時点で【サーラエレギー】やべぇわ」

 

「それな」

 

……まあ、神話級は下のランクと比べると、格が2つ3つ上、どころじゃ済まないらしいから。

他に別の要因(・・・・)があれば、もしかしたら神話級だったんじゃないかな?

 

「話を戻すけど、純魔力属性っていうのは、要は単純なエネルギー勝負。MPを持っていて、人間範疇生物(ヒト)非人間範疇生物(モンスター)であれば込めたMP分の攻撃力を0か100かで通すし、魔法に当てれば込めたMPの多い方が打ち破る。でも、それ以外……例えば盾かな?物質とか、ただの炎とか……そういった物とか、ただの現象とかには非常に脆い。そんな性質……かな?」

 

「……それなら、防具はどうなんだ?《魔弾の射手》だったか?それが埋まったせいで俺は腕を爆破されてんだが……」

 

「あー……んー……分かんない」

 

ぶっちゃけ、自分でもそこは謎。

だって明らかにただの()なのに、普通に貫通できちゃってるもん。

《飛翔魔剣》も、籠手で守られてたフィガロの手首切ってるし。

 

「わかんないって……おま……」

 

「習得したばかりの自分にそんな詳しいこと分かるわけないでしょ……悔しかったら自分でとって検証してみろー」

 

それが一番早い対処法だし。

 

「それが出来りゃ苦労しねぇよ……ちなみに聞くが、どんな理論組んで発動してんだ?」

 

「え、りろん?」

 

何それ。え、なに?もしかしてだけど魔法系スキルの作成って細かなMP操作だけじゃなくて複雑な理論要求されるわけ?

 

「ぐっとしてぱっとしてぐうぃんゆるぶをぉわ、ってやったら《魔力自壊》出来たんだけど……」

 

《再壊》の方はぐっ、のところをうをげぁ!……ってやる感じなんだけど……。

 

「……これだから、バカと天才はなんちゃらっつぅんだな……」

 

「いやいや、百歩譲ってもそれは酷くない?」

こちとら中性的美形八頭身の普通の一般人ですが?

 

「いや、逆に納得した。お前のスキルにひとつとして属性術が無いのを含めてな」

 

そういうおっさんは、納得したって言ってるのに釈然としない顔をしていた。

てか、属性術……あぁ、《ファイアボール》とか、《ウォーターボール》とか、《ウィンドカッター》とかね。

 

考えてみれば、作ったこと無かったかも。

 

「いや、おっさん、冷静に考えてくれ。自分(・・)は【獣戦士】、特典武具で増えてるMP以外は近接ステータスだから」

 

「……嘘じゃねぇってところが逆におかしいんだよな、お前」

 

おっしゃる通りかもしれない。

何処に近接主体でMPが多少多いからって魔法が作れるやついるんだって話……いたわ、自分が。

 

「てかそれくらいMPがあるなら、一回【魔術師】にでも就いたらどうだ?」

 

「んー……それは……んー」

 

案外、悪い選択肢じゃないんだよね、それ。

《生命増躰》の共有ジョブを【魔術師】か【生贄】にするって案はここ2日ずっと考えてきた事だし。

ただ、そうすると【サーラエレギー】……では最初の2回以外お世話にならなかったけど、逆に言えばその2回が重要だった【死兵】の《ラスト・コマンド》を削るってことになる。何より、ステータスの成長が無いって事が……

 

「……もうちょい考えてからかな」

 

「ジョブは逃げねぇんだ。何回も考えて自分に合ったものを探せばいい」

 

「そうする」

 

「ま、そういうことなら属性術の心配だけ(・・)はしなくていいってことだな、楽でいい」

 

それはちょっとどうかと思う。

「女性」体は【生贄】がカンストするまで戦闘行動を取れない上、超弱体化してるし【魔術師】とシナジーが薄いジョブだから属性術自体が使用不可。

でも逆に言えば、それさえ終わればまた属性術を使えるようになるんだから……改めてその時にでもオリジナル魔法を作ればいい訳なんだし。

 

「あ、そういえば……」

 

「どうした?」

 

「どうでもいいんだけど、今作ってある純魔力属性のスキルって、9個なんだよね」

 

《魔力吸収》、《魔力自壊》、《魔力自壊・再壊》、《魔力圧縮》、《飛翔魔剣》、《希望の盾》、《逆茂木》、《魔眼》、《全天星骸(スターデブリ)》……うん、9個だ。

 

「ちょっとキリが悪いから、もう1個何か作ろうとは思ってたんだよね」

 

「……また増やすのか」

 

「しょうがないじゃん、こういうのはきっちりしたい性格なんだから」

 

とはいえ、困った……頭に思い浮かんだアイデアを形にはしたけど、逆に言えば、頭に思い浮かばないと形にできない。

 

「という訳で、アイデア募集中」

 

「なんで敵に塩を送らないと行けねぇんだ……」

 

「えー、いいじゃん自分の鍛錬にもなるって思えば」

 

「まあ、そうだな……言っとくが、街中で攻撃スキルなんざ使わせねぇからな?だから、俺が考えるのは補助系のスキルだ」

 

「全然大歓迎。作ったのって、大体戦闘系スキルに偏ってたからね」

 

なんだかんだ言いつつ、おっさんも悩んでくれてる。

やっぱり、他の人の意見ってのは大切だよね。自分独りだとどうしても偏りが出てくる。

こういう時、自分じゃ無い自分(・・・・・・・・)がいたらいいなぁって、昔から(・・・)思ってるんだけどなぁ……。

 

頭を捻るおっさんを後目に、自分は追加でデザートを注文する。

いやぁ、他人の財布で食うメシは美味い。

 

「……あぁ、補助系と言えば【付与術師】……それがいいか」

 

「あ、決まった?」

 

「まあ……ぼんやりと、だな……おい、ペル・ナルシー?この大量の皿はなんだ……?」

 

「あ、ゴチになります」

 

あ、固まった。

嫌だなぁ、6人前のデザートを6杯の飲み物と一緒に食べてただけじゃないか。

 

ビバ、仮想現実。どれだけ食べても太らなぁい!(太ります)

 

「……借金から、減らしたりは……」

「おっさんの奢りだよ?なんで自分の回収予定リルをわざわざ減らさないといけないの?」

 

「……もう、どうにでもなりやがれ!好きなだけ食え!後でたっぷり絞ってやる!」

 

「え、いいの?!おっさん太っ腹!店員さーん!さっきの『フィロソフィーの虹蜂蜜掛け〜王国直送レムの実を添えて〜』をあと2皿くださーい!」

 

なお、この喫茶店でいちばん高いメニュー。

いやぁ、おっさん最高!

 

「で、どんなスキル?」

 

「財布が……俺の……あれだけあったのに……」

 

「あれ、おっさーん?」

 

何処か心ここに在らずな雰囲気のおっさんを強引に呼び戻して、どんな感じなのかを聞く。

やっぱり、9よりも10の方がキリが良くていいよね。

 

「あぁ……お前くらいMPの制御ができるなら、人に供給できないのか?」

 

「え?……確かに、吸うだけ吸ってやった事ないかも」

 

自分同士なら、態々そんな事しなくても《魔力共有》で事足りるし。

 

「えーと……まずこんな感じで……」

 

とりあえず、対象はおっさんでいいか。

 

「……聞くが、今どんな感じに操作してるんだ?」

 

「ん?対象設定がふおわん、って感じで、MPの量をびゃっ、て決めて。経路をひゅんお、って感じで開いて、念の為ぐし、って感じで逆流防止と操作権の死守、流すのがぇぇん、って感じ」

 

簡単な部類だからそこまででも無いし。

 

「……」

 

「んで、えーと……名前……安直に供給でいっか、《魔力供給》で」

 

流すMPは10くらい。

目に見える感じだと、おっさんのMPはそのくらい減ってるはずだから。

 

「どう?MP行った?」

 

「ちょっと待て……あぁ、確かに来た。来たんだが……なんでピッタリ合わせられんだよ……」

 

「視えてるから」

 

魔力。てかMP。

 

「……どの程度MPがあるかも分かるのか?」

 

「まあ、程々に?おっさんは950より少ないけど、900よりは多そうだから、その範囲内って感じに分かる」

 

「怖っわ……マスターってこんなやべぇ奴らの集まりかよ……」

 

「失礼な」

 

ほかのマスター連中……特にフィガロみたいなやつと一緒にするな。

 

「自分は至って普通な……?」

 

はえ?

 

「……おい、妙に既視感がある途切れ方だな?今度はなんだ?神話級か?それとも話には聞いてる〈SUBM〉なり〈イレギュラー〉なり出たのか?」

 

え、え、え……ええ?

 

「……お前がそんなに固まってるのに、俺は嫌な予感を隠せないんだが?」

 

えぇ……嘘でしょ?こんなことで……えぇ……??

まだ序盤(・・・・)、初めてからリアルで1週間も経ってないよ……?

 

「……おっさん」

 

「やっと動きだしたか。で、次は何処だ?またあの森か?草原か?それともドヴェルグのクソ野郎共の山か?それならそれで万々歳なんだがな」

 

「……【ジョブクリスタル】」

 

「街中じゃねぇかよ……で、それ(【クリスタル】)がどうかしたのか?」

 

「行け、って」

 

「だから、何がだよ」

 

なんで、こんな……こんな、タイミングで……

 

「アナウンスされた」

 

「アナウンスされたって、おめぇ……まさか……」

 

条件(・・)なんか……達成(・・)してんだよ……。

 

超級職(・・・)

 

 

 

 

■同時刻

生贄(サクリファイス)】ペル・ナルシー

 

「《魔力供給》」「なるほど」「使えるね」

 

【生贄】のデメリット、MP以外の超弱体化と、戦闘行為の禁止。

ご丁寧に戦闘系のスキルまで封印されたので、取り敢えずカンストするまではキャリーしようと思ってたんだけど。

 

おっさんの考えた《魔力供給》。これ、結構使える。

多分おっさんは人とかテイムモンスターとかに使うのを想定してたんだろうけど、自分としてはこっち(・・・)に使う目的の方が合致してた。

 

「使い勝手はいいけど」「印に触れるまでが」「めんどくさかったからね」

 

今「無性」体が脚に括りつけている短剣。

『戦闘中に限り、MPを剣先の印に流すことで、流した量に応じた長さまで自在に伸縮する』といった機能を持った武器だ。

昨日手に入れた、所謂ガチャ装備。

 

いやぁ、助かった。前々からちょっと親しくしてた人が、ポロッと〈エンブリオ〉のスキルでガチャができるって零してさ。

その時に予約入れて、昨日漸く回したんだよね。

 

そしたら、出てきたのは変な記号のついた短剣。ハズレかとも思ったけど、説明を見てみればかなりの良武器。

「男性」体は徒手空拳でいいから、武器を持ってなかった「無性」体で試して、いい感じだったから足に括り付けた。

人体でいちばん早いのは足で繰り出す蹴りだし、「無性」体はAGIが得意分野。しかも【蹴士(ストライカー)】のジョブスキルで蹴りの速さに補正が掛かるから、自在に伸び縮みする短剣との相性は良かった。

 

ネックだったMPの供給も、《魔力供給》を作った今なら態々手を触れて入れる必要も無い。そこにMPを流せば勝手に吸ってくれるだろうし、短剣に直接入れてもいいからね。

 

しかも、あくまで物へのMP補充なので、戦闘禁止のペナルティには当たらないのか「女性」体でできるんだよね。

 

……微妙に手持ち無沙汰でそこら辺の自然魔力を吸収するくらいしかやれなかったから、めっちゃ苦痛だった。

他のアバターの状況っていうか、思考が忙しいから特に。

でも、ついに同じ程度には稼働できるはず。

 

「まずは100くらいかな、《魔力供給》」

 

 

 

 

【【魔術師】を含む下級職3職以内に、MPの直接操作を行いました】

【【魔術師】を含む下級職3職以内に、オリジナルの魔法スキルが10以上になりました】

【【魔術師】を含む下級職3職以内に、スキルに頼らず、操作した魔力で与えたダメージが合計1000万を突破しました】

【(〈アーキタイプ・システム〉に問い合わせ)】

【(観測下における才能評価……合格)】

【(ジョブ履歴確認……該当無し)】

【(ルート:マナ達成における不正……未検出)】

【(〈アーキタイプ・システム〉より許可が降りています)】

 

【条件解放により、【術神(ジ・オド)】への転職クエストが解放されました】

【詳細は魔術師系統への転職可能なクリスタルでご確認ください】

 

 

 

「「「はへぇあ?。、。?!あ……《全天星骸》……」」」

 

……勢いでおっさん巻き込んじゃった……どうしよ……

 

 

 

 

 




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